■藤巻健史インタビュー
郵政に代表される「大きな政府」には「市場原理」が働かない
海外の高い収益に目もくれず、収益的に全く魅力のない国債の購入に邁進したのは経済原理では行動しない公的機関だからこそ

実際今でもゆうちょ銀行は集めた資金の8割を超低金利の日本国債に投資している
日本のバブルが崩壊を始めた90年以降、現在までにニューヨーク株価は4倍になった。日本株は4分の1である

今回の金融危機以前の世界経済は平均5%成長が5年間も続き30年ぶりの好景気を謳歌した
その結果、株価不動産価格は急騰し、金利も高かった
日本の公的機関はこのような海外の高い収益チャンスには目もくれず、ひたすら超低金利の日本国債に投資を集中し続けた

大きな政府では、民間では当然の「高収益の追求」という市場原則が働かない


最大の金融機関が極めて内向きであれば、他の民間金融機関も海外投資に二の足を踏む
「国力が弱くなればその国の通貨は弱くなる」という経済原則が働かず、結果としてドルの低位安定が続いた

この円高ドル安こそ、日本経済低迷の最大の理由である

低迷から脱却しようと政治が巨額の公共投資を増やし、ばらまきを増やしても、収益を無視した簡保や郵貯などが、どんどん国債を買ってくれるから長期金利は上昇しない
その結果無制限に財政赤字が膨れ上がってしまった

低迷経済と累積赤字の根は1つだ
巨大な公的機関の存在である
市場原理の働かない巨大な公的機関が海外に十分な投資を行わないから円高ドル安になり低迷経済が続いた

そして海外投資の代わりに超低金利の国債投資を続けたからこそ政治家のばらまき欲望をとめられず、巨額赤字を累積してしまった

バブル末期、日経平均が最高値をつけた89年末の円相場は1ドル=143円である
日本経済は当時よりも極めて弱くなったのに円は90円台と高くなってしまった

小泉政権下で郵政民営化を進めたのは、郵貯で集めた金が「国債購入で最も非効率に使われている」ことを是正するためだったはずだ
異常なほどに肥大した公的金融機関を解体するのが目的だったはずだ
決して「平等な利便性確保のための改革」ではなかったはずだ

私は円を安くして時間稼ぎしながら郵貯を縮小させ、小さな政府を志向していれば日本は再生し得ると信じていた
だからこそ市場で1番の楽観論者だった
しかし今郵貯問題に象徴されるように日本は再度大きな政府を志向し始めている
これだけ財政赤字が累積した中で過剰な福祉や平等なサービスを求めれば財政が近々破綻するのは避けられない



■吉野家HD
「現在、オーストラリア産の牛肉を調達できないか検討している
オーストラリア産は基本的に一頭買い。一方、我々はショートプレート(バラ肉)で商品を作っている
バラ肉が流通したら購入することも考えている
可能性を探っている」
ある幹部はいう


■日本マクドナルドCEO 原田永幸
攻め時を逸しても勝利から遠のくだけだが、退き際を謝れば身を滅ぼす
古今の名将はみな、進出と同じく撤退も巧みだった