■2010年05月17日日経ビジネス


■ユーロ防衛へ各国が動いた
ギリシャに対しEU、IMFによる3年で1100億円の協調融資を実施

ユーロ導入国が財政危機に陥った場合に備え総額最大7500億ユーロの緊急融資制度を創設

欧州委員会が債券を発行し600億ユーロの基金を設立

ユーロ圏各国による政府保証をつけた4400億ユーロ規模の特別目的基金を設立

IMFは最大2500億ユーロ規模を融資

ポルトガル、スペインの追加的な財政赤字削減策実施方針を確認

欧州中央銀行(ECB)を含めユーロ圏安定へ最大限の手段を活用



■日本電産社長 永守重信氏インタビュー
2010年3月期の連結営業利益は783億4200万円と過去最高益を達成した
「世界的な金融経済危機をチャンスとして生かした結果だ」と永守重信社長は協調する
昨年正月「社員をクビにしない」と宣言
5%の賃金カットを発表して社員と危機感を共有した

我々は長年売上高営業利益率で11%程度が続いていて、なかなかそこから上にいくことができませんでした
前期の第3四半期には15.4%、同第4四半期には15.9%と上昇
売上が100%戻れば、20%の水準までいくはず

「ゴホンときたら風邪薬」と僕はよく社員に言いますが、初期の頃の風邪なら市販薬を飲めば治ります
ところがかなり咳がでて熱がでるようになるとそうもいきません
企業経営も同じです
社員に対して嫌なことを真っ先に伝えられるかどうかが大きなポイントになります
賃金カットや降格の話は、誰も言いたくはありません
しかし、嫌な話を先送りにすると、会社も国も手遅れになります


1930年代の世界大恐慌に関する資料をたくさん読みました
「ああ、なるほど」と思いました
米ゼネラル・エレクトリック(GE)とかごく一握りの会社が上手く抜け出しそのあと大きく儲けるのです

どうやって大恐慌を克服したのかという資料を読んで考えついたのが、「WRP(ダブルプロフィットレシオ=利益率倍増)」という改善プロジェクトです
売り上げが半分になっても利益を出す方法です


当時グループ全体で社員がものすごく恐怖感を抱いていました
だから昨年の賀詞交換会でまず一番にやったことは「今回も雇用は天守閣や、絶対にクビにしないから心配するな」と。
しかし社員は5%、幹部は10%の賃金カットをお願いした


1930年代の恐慌が終わるのに3年かかった
私は今回の危機はおそらく1年だと読んだのです
しかも長くて1年だという確信がありました
30年代と今ではだいぶ状況が違います
3分の1ぐらいかなということで1年と読んだわけです

世界を見渡すと今後伸びていくマーケットは明らかに新興国市場です
にもかかわらずに日本企業は10万円クラスのパソコンを手掛け、安いパソコンは台湾勢に任せています
が、これは大きな間違いです

それぞれの製品は購入できる価格帯があります
ケータイは週給、パソコンなら月給、クルマなら年収と同じ価格帯になると購入者が増えます

パソコンはまだ300ドルと手が出ません
月給が100ドルなので100ドルとかせいぜい150ドルまで下げる必要があります

今から50、60年前、静岡の浜松市に30社ほどのオートバイメーカーが誕生してしのぎを削り合い最後に価格競争力に優れるホンダとヤマハが残ったことを思い出してください
このままでは日本は負けてしまいます