20101213日経ビジネス

■独自技術でないと勝てない
上釜健宏 TDK社長
日本は大量に作って大量に売るような物作りは下手です
設備投資の決断が遅く、タイミングを逃してしまうからです
まず日本市場を考え、グローバル市場を後回しにするやり方も問題です。
ただ、日本には優れた製造装置メーカーが揃っている上に、物作りのプロセスがすごくいい
大量生産には弱いが、多品種少量生産には向いている
多くの日本企業は儲からないにもかかわらず、大量にモノを作る分野をやりたがります
みんなが同じモノを同じように作ることも問題です
他社と違うことをやらないと、決して勝てないし、稼げないとおもいます

磁気ベッドの勝因は、他社とは違う独自の技術で勝負したからです
振り返ってみると、他社と同じ技術で取り組んだ時は、すべて負けていました
独自技術を貫くのはリスクがあります
当然うまくものが作れないこともあるので別の技術を用意しておきますがリスクを取らないと決して大きく稼ぐビジネスにはなりません
社内では、新製品は3年で全て切り替えろと口を酸っぱくして言っています
常に新しいものを提供し続けないと、韓国や中国などの新興企業に追いつかれてしまいます

■コマツ
1980〜90年代にかけて業績が伸び悩んだが中国市場の盛り上がりとともに息を吹きかえした
今や売り上げ高の20%を中国、24%を鉱山需要が旺盛なアジア・オセアニアで上げており、先進国からの需要シフトは鮮明だ

ケイレツを鍛える
協力会社にはコマツと一緒に海外に進出するよう働きかけ自立を後押しする中小企業も外に出ないと生き残れない
海外では、原価の7割分を現地調達しますが、日本から一緒に進出する協力企業と現地企業とで受注を競わせます
この結果、7割のうち半分が協力企業、残り半分が現地企業という構図になります
協力企業は現地企業と競うことで価格競争力が高まり、コマツに頼らなくても存続できるようになる
ケイレツを維持する大きな利点は、投資負担の分散です
コマツはこれを享受するかわりに自らが成長して協力会社に報いねばなりません

現地工場では、企業のブランド力を保つため従業員の給料はその地域で常に上位に入るようにしています
優秀な従業員を確保でき、今夏に中国で頻出した工場従業員によるストからも無縁でした

■エルピーダメモリ
DRAMはかつて日本の各社が高いシェアを誇っていたが、韓国勢などに押されて凋落した
NECと日立製作所、三菱電機のDRAM事業を寄せ集めて誕生したのがエルピーダだ
エルピーダのDRAMの世界シェアは16%で3位、韓国サムスン電子と同ハイニックス半導体が6割超を占める
韓国勢に対抗するため、坂本社長が描いているのが、日台大連合だ
台湾のDRAMメーカーは現在6社だが、エルピーダはこのうち4社に生産委託し、技術面での結びつきは強い
シェアを合算すると約22%でハイニックスを抜き2位になる