20110815 日経ビジネス


コマツは販売した建機に取り付けた情報端末で、建機の稼働率を常時、監視している
その情報によると、5月に稼働率が前年同月より5%低下し、6月はさらに落ち込み14%の低下になった
稼働率の低下は、建機の需要が減少していることにほぼ等しい
コマツは4〜6月期の中国の建機売上高が前年同期比23%減の754億円にとどまった
前期比で10%の伸びと見ていた2012年3月期の中国市場の成長率は、5〜10%のマイナスへと下方修正した

■木瀬輝雄 TOTO会長 × 加藤嘉一 コラムニスト
加藤:
日本企業は、価格だけでは韓国や中国の企業にはなかなか勝てない
でも、僕は値段で勝ち負けをかんがえるのではなく、日本企業の特徴を考えるべきだと思うんです
木瀬:1979年に中国に進出し、94年には北京に合弁会社を設立して、市場展開を本格化しました
今では、全社売上高の6%を稼ぐほどになっています
その根底でかんがえ続けたのは、中国の企業が得意な領域に日本勢が参入して、市場を荒らす必要は全くないということでした
我々が狙っているのはハイエンドの消費者
数でいうと、中国人全体の10%、1億3000万人ぐらいです
商品やブランドを評価するのは消費者なので、社員には「中国の生活や文化の向上に貢献できる企業になって、中国に必要な存在であり続けないと意味がない」と常々言っています

日本で売れているモノが、必ずしも中国人にとって魅力的なわけではない
だから、基本的な技術開発の部隊などは日本に置きつつ、中国で好まれるデザインや型は現地で作ることが重要です
加藤:受け身の姿勢ではダメです
中国の人たちは、プライドが非常に高い
日本の自動車メーカーか家電メーカーは、日本で売れなくなった商品を中国に流しているのではと疑っている人がいまだに多い
反面、自分たち向けに開発してくれた商品となれば自尊心がくすぶられて財布のひもを緩めがちです

今ほど日本に有利な状況はないと思うんです
中国の人たちが現状に対して抱いている不満は、日本勢が過去に取り組んできた様々な課題と合致する
格差とか、社会保障とか、快適な住宅とか
特に、成長著しい内陸部ではこうした不満が顕著です
この先、日本企業は雇用や人材育成の面で、他の外資系企業とうまく差異化を図ることが重要だと思います
和の精神を持って、企業づくりをしていく
これが今、中国で最も不足していくことです
雇用の保障、社員教育の充実
企業活動を通じて、日本企業の価値観をうまく輸出していくことが大切ではないでしょうか
僕は、中国に進出した日本企業に重要なことは二つあると思っています
一つは、現地の人間にどれだけの責任と権限を与えられるか
もう一つは、チームワークの精神を維持しつつも、成果への対価をどう与えていくか
この2つを、中国の人たちのアイデンティティーや価値観に合う形で解決できるかどうかがカギでしょう

東日本大震災が起きたことで、まさに今、日本人としてどう国造りをしていくのかという明確なビジョンが問われていると思います
単に法人税が下がらないとか、日本企業が出ていってしまうといった議論をしても仕方がない
震災を経て、改めて日本人にとっての豊かさは何なのかを考えるそして、その答えに相応するよう制度を設計し、ビジネスもきちんと付随させる
これが勝利の方程式だと、僕は思うんです

■カルロス•ゴーン 日産自動車社長兼CEO
今は円ドルレートは78円
本当に衝撃を受けています
韓国や他の国は、自国の経済をサポートしています
日本は金融危機だけではなく、震災もあって円高もある
自国を危機にさらしているのは理解に苦しみます

今、日本に足りないものは、ビジョンです
あるべき姿を描いた計画が必要だとおもいます
日本の現場は世界のナンバーワンです
経済規模では世界トップ3の大国です
ビジョンの欠如が問題なのです
企業が海外で発展することによって、日本もまた活性化します
海外市場で自動車が売れることは、日本を守ることと同じで、日本の発展に寄与するのです
私たちは産業界として、海外での成功がなぜ日本のためになるのかをもっと説明しなければなりません

■アジア少子化
親と同居、または近所に住んでいることが多い香港の子育て世帯は支援にめぐまれている
加えて、毎月四万円程度できる外国人ヘルパーに世話を任せるのも一般的
夫婦共働きが当たり前で、ビジネスの世界での女性の存在感は大きい
出産や子育てによるキャリア上の不利益もほとんどないようだ
しかし、その合計特殊出生率は1.04(2009年)と極めて低く、同じ年に1.37だった日本を大幅に下回る
台湾も深刻だ
2010年の合計特殊出生率は0.91と過去最低水準となった
そのほか、シンガポールの1.16など、日本より少子化が進んでいる国があることがわかる
一般的には人口維持には、2.08以上の合計特殊出生率が必要だとされる