■20120611日経ビジネス

■トリドール
粟田社長は「セントラルキッチンにすればかなりの利益が出るだろうが、集客に結びつくかどうかは分からない」と導入に疑問を呈する
「外食と中食の境界線が曖昧になる中、飲食店のライバルは、もはや同業他社ではない。飲食店が無機質になれば、最大の競争相手であるコンビニに負ける。手作り、出来たて、手間暇を掛けるのがウチの強みであり、顧客の支持につながっている」

■上西京一郎 オリエンタルランド社長
問:
日本の人口は減少していきます。リピーターを獲得するための一番の方策はなんでしょう
答:
まずはハード面でパークへの関心を常に持っていただくこと
もう一つ大切なのは、そのハードを生かす「人」の部分ですね
キャストの皆さんがゲストの方々に高いホスピタリティーの心を持って対応する
これを続けることだと思います

問:
日本の企業がなかなかできないことに「値上げ」があります
東京ディズニーリゾートは昨年、値上げをしましたが、踏み切る基準などはあるんですか
答:
何年ごとといった基準はないんですが、考え方はあります
パークのバリューが値上げをしてもいいと思われるレベルに1つ2つ上がった時には、アトラクションなどに投資をしているので値上げもするということですね
もう一つ大事なのがやっぱり市場調査と言いますか価格感度ですね
これはしっかりと見極めながら、じゃあ300円なのか400円なのかと最終的にジャッジしていく
これを繰り返していくということですね

問:
施設として新しく追加されたものなどを定量的に判断するんですか
それとも定性的な何かがあるのですか
答:
基本的にミックスなんですけれども、やはり定性的な部分のほうが多いですね
定量的というと、その間にいくら投資したからこれだけあげようということになります
ただ、それだけでやっていくと完全な内輪の論理になってしまいます
アトラクションやエンターテイメントなどについて、常にゲスト満足度調査をしているんですね
それが本当にゲストの方々に受け入れられているのかどうか
どっちかというと後者の定性的な部分を大事にしながら、判断する時はそれを合わせて、じゃあ、やらせていただこうかと


価格ってむやみに下げると、じゃあ、今までの価格って何だったの
と皆さん思いますから。
そう思われてしまうと従来の価格の価値が完全に毀損されてしまいます
私どもは基本的には我慢しようということで、ホテルでも過去に値下げはしていません


■伊藤瞭介 山水電気 元社長
本来サンスイのような専業メーカーは、ただ部品を組み上げて製品を作るだけでは生き残れません
存在し続けるためには、いくつかの条件があることに気づきました
まず一つは絶対にリストラをしないこと
新しい価値を生み出すことができるのは、尖った才能を持つ人材であり、彼らが最大の財産なのです
かつて専業メーカーには、必ず才能溢れるタレントがいました
彼らの多くは組織に迎合せず、一匹狼のような存在です
専業メーカーは、扱いにくいタレントを、窓際に追いやることなく、処遇する文化を持っていた
ところがリストラに走ると、こうした人材が真っ先に会社を去ってしまう
彼らは、企業のブランドや心意気にロイヤルティー(忠誠心)を感じるからこそ、会社にとどまってくれる
リストラは社員の失望を買います
一度でもやると、もう二度と立ち直れません。それはなぜか。
企業文化を失うからです
文化は金では買えません
日本企業はそこに気づいてほしい
企業文化は、従業員と顧客が時間をかけて作り上げるものです

経営者が短期の業績や株価ばかりを気にするようになると、とにかく数字を伸ばそうと、新鮮味にかける商品を次々と投入することになりがちです
また、得意分野だけでは目指す規模に達しないという理由で、多角化を進めてしまう
こうなったら、専業メーカーの強みは失われます

企業規模が大きくならなくても、社員が幸せで、顧客に新しい価値を提供し続けられることのほうが、拡大路線を突き進むことよりも重要なのではないか、と

これからは再び専業メーカーが脚光を浴びる時代になると確信しています
モノが溢れる今の時代、特徴のない商品では消費者の心を捉えられません
顧客に感動を与えるものづくりを続けられるよう、経営者が歴史に学ぶことを願ってやみません