◼︎現実を、視よ 柳井正

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この国には一億三千万人を食べさせていく資源などない
だから日本人は必死に働き、知恵を絞って付加価値を生み出し、稼いだお金で生活を成り立たせてきた


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そもそも有史以来、中国やインドが世界の中心地でなかったのは、実はわずかな期間でしかない


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大事なことは自分や家族の生活で、生まれ育ったこの国に対してなにができるかなど、考えたこともない


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これからの時代は、個人としてきょうそうに勝ち抜いていかなければ


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顧客にどういう価値を提供し、社会をもっと住みやすい世界に変えていくかという「資本主義の精神」


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人間の成長は失敗から生まれる
挑戦して失敗し、そこでいろいろなことを学び、再び挑戦する
これが人間の成長サイクルである

だから、人より多く失敗すればするほどより早く成長できる


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せっかく若い力が社会に入ってきても、いつまでも年配者が第一線から退かなければ、仕事を通じて学習し、成長する機会が持てない


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日本は古来から様々な文化を受け入れ、それを換骨奪胎しながら発展をとげてきた


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「国の補助で事業をやって成功したためしはない」
かつて本田宗一郎はこう言って、産業政策に介入しようとする政府や官僚たちに真っ向から勝負を挑んだ
ホンダがいまの大企業になってからの話ではない
当時、彼にあったのは夢であり、志だけであったかもしれない

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なにをどうすればよいかは教えてもらうのではなく、自分に問いかけ、自分で答えを出す
それが自立した人間
そうした人間たちが集まって、強い国ができる

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いつも私は「たった一度の人生なのだから最高の状態を目指したい」と思っていた

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経営者に必要なのは長期的ビジョンを語ること
企業の明日を語り、夢を語り、そして志を語り続けていかなければ、従業員はついてこない
顧客からも信頼されない

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「志を持って生きよ」
日本人が必要としているのはまさにこれではないか

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立ち止まることは最大のリスク

欧米ではよく、こういう言葉を耳にする
現状維持でいい。そう思った途端、進歩は止まる
外の世界では、絶え間ない進化と発展が続いている
なにもせずに同じところにとどまっているのは、じつは最大のリスクなのである

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起こっていることは、すべて正しい

言い換えれば、「世間は常に正しい」


顧客が日本と違う行動をとってもそれには必ず理由がある
その国で多くの人がそうするのであればどんなに日本人の目には不可解に映っても受け入れなければならない
文化とはそういうものである

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おそらくこれからは小売業、製造業という括り自体が意味を失っていくのではないか
需要に業態を合わせていく感覚ぐらいがちょうどいい

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つくるこやとと伝えること。
両者のいずれが欠けても、新しい需要を生むことはできない

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売れる商品というのは、国や地域に関係なく世界中どこでも同じ
これが悪戦苦闘しながらグローバル化をする中でつかんだ、一つの事実である
いい商品というのは、買った人が自分で使い方を考えてくれる


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過去の成功パターンに足を取られれば、現場に隠れている「将来の成功」に必要な要素が見えなくなってしまう
だからこそ、「成功は1日で捨てさら」なければならない


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過去に満足せず、新しいことに挑戦していく姿勢を見せる

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変化に対して躊躇することがない社風を作ることも大切である
担当者がせっかく「こういう風に変えましょう」と言っても、上司が「それは違うんじゃないの?」といつも言っているようではいけない

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成功体験と同じように、ビジネスにとってマイナス要因になりかねないものに、理論がある
経営環境は、決して一定ではない
毎日、毎時刻変化している
そこであらゆるデータを分析してつくられた、完璧な理論があっても、それは「過去の状況ではどうだったか」を証明するものにすぎない

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スマートに戦う必要はない
勝ちに通じると思えば、なんでもやること
高度経済成長期の日本企業がそうだった
野武士のように泥臭くやったほうが、勝機は広がる

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日本から世界に出ていくからこそ、私は日本人の精神性を大切にしたいと思っている

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ときに無情とも言える判断を下さなければならない瞬間もある
経営者は常に会社全体の利益を考えて決断しなければならないからである

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「あえて、専門家ではない人材に任せたほうがいい」場合があります
それは「業界の常識に縛られたくないとき」や「消費者の目線が求められるとき」です