◼︎20140324 日経ビジネス

◼︎柳井正
世界で、甘い企業で成功している企業は一社もないですから
特に労働集約的な産業で甘い企業で成功している企業は一社もないと思う

ただ、うちに入った人で3年から5年ぐらい経た人に対しては、できるだけ一生勤められるように、今の制度で厳しすぎる部分は変えていこうと思います
というのは、それだけ勤めたら、やっぱり我々の方に責任がありますよね
ある程度の年数が経てば、普通に努力していれば一人前の給料をもらえて、一人前以上の生活が出来るようにしていこうというふうに思っています

まず一つには、パートタイマー、アルバイトの人をほとんどを地域社員化しようと思います
親の介護とか出産とか育児とか、ライフステージごとの様々な家庭や生活の事情でフルタイムで働けなくても、社員になってもらえるようにします
ある程度、勤続年数がいったら基本的には雇用を保証していこうというものです
こうした地域社員(R社員)が店舗経営の主役になるでしょう
それと、地域に限定せず全国どこでも転勤して働けます、という社員(N社員)
そしてグローバルにチャレンジする社員(G社員)
社員をこの3つに分けようと思っています
それそれの働き方があっていい
海外の国の経営がローカル化していくように、日本は日本で地域に根ざしたR社員やN社員によってもっとローカル化していく
徹底して高い水準でやっていけば、結果としてグローバルにも通用する
というよりも、そういう地域密着のローカルの店、究極の個店しかグローバル競争でいきのこれかそういうことだと気付いたんですよ

僕は、今でもできたら若い人は全部グローバル社員になってもらいたいと思っています
でも現実とか、過去の経験が僕と違うので、それを強要するのはプレッシャーですよね
だからR社員はR社員として、N社員はN社員として、一人一人の社員が、いい人生だったなと振り返られるような会社になるべきだと
それがようやくわかったということです

僕は1人ずつ説得したら変えられると思ったんですよ
でも人はやっぱり自分の過去とか自分の経験とか自分の能力とかいったことで変えられない人もいる
でも変えられない人を否定してもしょうがないということなんです
だからかえられなくてもこつこつ頑張っている人は、それはそれとしてやっぱりいい人生だったなと言ってもらえるようにしたい
そういう単純なことです

僕らもビジネスをやっているのは社会のためで、金儲けを目的にやっているわけじゃない
そういうことを全社員が信じられるような企業にしない限り、特に小売業ではうまくいかないなと思ったということです
みんながそれを信じられれば、一人一人が主役として働けるはずです