◼︎20141124 日経ビジネス

◼︎吉永泰之 富士重工社長
一つや二つの言葉を言い続けた人の言葉は、頭に残るんですね

私は社内で同じメッセージを、しつこく言い続けるようにしています
何年経ってもそれが本質的に正しければ変える必要はありません

サラリーマン社会では「あの人は本音をしゃべったら損をした」という話はすぐ広がります
ですから、会社のためを思って言うことなら、何をしゃべっても不利な扱いを受けないという事実を積み重ねるしかないのです
もう一点、組織にとって大切なこと
それは、実行を伴った「決める」です
私は若い頃から「部長が課長の仕事をするのはおかしい」と思い続けていました
課長は課長の仕事を、部長は部長の仕事を残さずやってほしい
そのためには、部長が課長の仕事をやってはいけないんです
ただ、組織が大きくなると、そんな当たり前のことを履き違えるケースが多くなります

役員会議では、私はなるべく発言しないようにしています
代わりに、参加者の理解が深まっているかどうか気を配っています
私は、参加者の理解を深める発言をします
会議に参加するメンバーの知識と見識を引き出しながら、なおかつトップとしての基本的な考え方、会社が進むべき方向性を伝えたいからです
それで役員クラスの見識と理解を深め、会社が向かうべき方向性を共有してもらいたいのです
そうすれば、いちいち上にお伺いを立てなくても、自分で判断できるようになります
役員でも部長でも課長でも、自分の責任範囲については自分で決める

赤字の時にディーラーさんたちの血と汗と涙を知っている人が決めるからこそ、みんなついてきてくれるわけです
そのために本当に必要な仕事に集中すべきです
「自分の安心のために部下に資料を作らせたり、意味のない会議をしたりするのはやめてしまえ」と言っています

組織の各層それぞれが、自分で決める
それは言い換えれば、社長は社長以外の人がやることに口出しせず、社長にしかできないことをやる、ということです

ほかの取締役の人たちとは役割を分担しているのも、私のスタイルです
生産は生産のプロが、開発は開発のプロが現場を見て決める
財務は財務のプロが考える
そのように役割を分担し、それぞれが個性を発揮して強いチームを形成して、会社を引っ張っていると考えています


なんといっても、サラリーマン社会における社長の権力は強いのです
客観的に考えれば、とても売れそうもないような製品の企画であっても、それが社長の提案なら「売れるかもしれない」と周囲が担ぎ上げてしまわないとも限りませんからね
ですから私は、製品や生産について細かいことは言いません