◼︎信じていいのか銀行員 マネー運用本当の常識 1巻 山崎元

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少々の利回りの差を求めてリスクを取るよりは、普通預金にお金を置いておくほうが便利だし分かりやすい、という判断は、今の状況なら大いにあり得る

現状でむしろ良くないのは、小さな利回りアップを狙って、例えば個人向けに売られている社債を買うような運用だ
個人に社債の信用リスク判断は難しいし、そもそも機関投資家が魅力を感じない発行体及び条件だからこそ、金融的な判断力が弱い個人を狙ってリテール網で社債を売っているのだ
一方、定期預金は、普通預金の利便性を手放す割には利率が悪いから、目下のところ魅力的ではない


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我が国では、日本国内の銀行の円建て預金の、1000万円までの預金の元本と金利が、預金保険でカバーされることになっている
この場合、支店が異なる預金口座の預金も、同一の銀行であれば、預金者個人の単位で合算される


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個人向け国債のほうが銀行よりも信用リスク面で安全である
潰れるとすれば、国家財政よりも、銀行のほうが先だ


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初心者向けの運用商品など存在しない

投資家の側で盲点になりやすいのは、「リスクは投資金額で調節することができる」(そして、それがより確実で効果的だ)という点だ

投資家の側からすると、「リスクに対する期待リターンの効率が最もいい商品(の組み合わせ)」を必要なリスク分だけ購入すればいいのであって、世にある運用商品の殆どは不要であり、知らなくてもいいものだ


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運用で増やしたお金を何に使うのかによって、適切な運用方法•運用商品が変わるというのも投資家が陥りやすい余計な先入観だ

お金の長所は、あとから使途を自由に決められることだ
効率よく増やしておいて、使途はあとから考えたらいい


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運用商品のリターンを分解すると、
「市場リターン+運用者の腕のリターン−手数料」である
ここで、「運用者の腕のリターン」が事前に評価できないとすると、運用商品のリターンは、「市場リターン」と「手数料」に分解できる

そうすると「市場リターン」が共通な商品は、「手数料」の大小だけで優劣が決まってしまう
この事情は、同じ通貨•金利で、為替の手数料が異なる外貨預金の優劣を考えると分かりやすい

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投資対象の今後のリスクとリターンは自分の過去の買値からは何ら影響を受けないのだから、投資の判断は、自分の買値に関係なく行わねばならない

これができずに、株式や投資信託をいわゆる「塩漬け」にしたり、安値で買い増しする「ナンピン買い」でリスクを膨らませたり、といった非合理的な行動に陥るケースが非常に多い

「自分の買値に対するこだわり」は、無用であるだけでなく、危険でもあるこだわりなのだ


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リスク管理の一般論として、投資額の縮小は最もシンプルで確実な方法だ
他方、バランスファンドに投資した場合、運用の中身が実際にとうなっているのかが把握できないことが多いし、ある時点で中身がよくわかったとしても、今後はどうなるのかについて曖昧さが残る
リスクの把握が難しいということは、少なくともバランスファンドは「初心者向け」ではない、ということだ

投資家はリスクを理解して投資すべきだ

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運用はお金を増やすことが目的だ
手数料の支払いは、リスクを取って運用する資産額に対して、せめて年間1%以内でありたい

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資産運用の大原則として「商品を購入する相手を、運用の相談相手にしてはいけない」
彼らは、相談の手間と時間のコストを、商品の手数料から回収していることを忘れてはならない

金融機関の人間は、人生相談の相手として相応しくない

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アクティブファンドの運用利回りの平均が市場平均、インデックスファンドの運用利回りを下回る

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成長率の低下も、リスクプレミアムの拡大も、それが株価に反映されてしまえば、以後の期待リターンには悪影響を及ぼさない
問題は、成長率でいうと、「これまで予想されていた成長率よりも上がるか•下がるか」の変化の方向性ということになる
ゲームとしての株式投資は、「変化」にいかに先回りし適応するか、適応に於いて他人に対してどう差をつけるかにある

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理論的には、幾つか微妙な問題があるが、大筋でいうと、「運用期間が長いほうがリスクが小さくなる」というのは完全な間違いだ
1年間投資するよりも、2年間投資するほうが、運用資産の額が取り得る範囲の上下は間違いなく拡大する

若い人は、自分の金融資産の中でリスク資産の比率を高めてもいい場合が多い
しかし、それは、「運用期間が長いとリスクが小さくなるから」ではない
正しい理由は、主として、典型的な若い人は、大きくて安定した「人的資本」を持っていることと、そもそも所有する金融資産の額が人的資本に対して小さいことだろうと筆者は考えている

但し、個人の「人的資本」も、所有する資産額も、将来必要なお金も人によって様々だ


長期投資について、一般によくあるもう一つの誤解は、市場全体あるいは個別銘柄の将来の株価などについて、「短期ではよくわからないけれども、長期でならある程度予測できる」「長期のほうが予想は簡単だ」と思っている投資家が少なくないことだ
長期ならより不確実性が大きくなるのが現実であり、これも錯覚である

長期投資だからといってリスクが縮むわけではない
長期だからといって相場が当てやすくなるわけではない、という2点から言えることは、「短期」「長期」で運用内容はたいして変わらないということだ

売買コストがゼロなら、運用期間が3ヶ月でも、1年でも、10年でも、年率の期待リターンは6%で変わらないはずなので、最適な運用の内容は全て同じと計算されるはずだ
多くの場合、運用期間を長期化する最大の効果は売買コストの償却期間を長期化して期待リターンに与えるマイナス効果を抑制できることにある

長期投資が現実的に持っている意味は、一般の投資家が抱いているイメージとはかなり異なるものだ

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ローソク足のチャートなどは、動きを見ると、つい先の動きを想像してしまうことがある
しかし、株価や為替レートの動きは気まぐれだ
少なくとも、チャートを「予測」や「投資行動」に結びつけるべきではない
あれは、株屋さんが、素人顧客を相手にもっともらしい話をするためのツールなのだ

少なくとも、株価のグラフは、過去の出来事を解釈するためだけに読むべきであって、将来に関連づけてはいけない


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リスク資産の比率については、「国内株式」と「外国株式」を「5:5」とした


◼︎機会費用
ある選択肢を取ることによって放棄した別の選択肢の中で最大のものを指す概念
直接的に支払う費用ばかりが、意思決定にあって問題なのではないということを教えてくれる

一般に、よく考えるべきなのは時間の費用だろう

運用の意思決定にあっても、「他のベストな選択肢との差」は常に意識すべきだ

機会費用の応用例としては、たとえば、出し入れが簡単で送金や決済などに使いやすい普通預金にお金を置いておくことは、機会費用が通常の金融環境よりもずっと下がっているので、現在、それほど「もったいなくない」といった考え方をすることができる

◼︎サンクコスト(埋没費用)
機会費用と並んで重要なのがサンクコスト(埋没費用)の考え方だ
意思決定に影響させるべきなのは、「現時点よりもあとのコストとベネフィット」のみであり、これまでにかかってしまってこれから変更できない費用は「サンクコスト」として無視するのが正しい

問題はあくまでも「今後の損得」のみなのだ


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情報が非対称である
それぞれ人は自分の利益に基づいて動いている