■マイナス金利税で凍りつく日本経済 副島隆彦


民間銀行が日銀に新規に積む分の「政策金利残高」の10兆円は、銀行が手持ちの国債を売却して日銀の当座預金に積むとわマイナス金利(つまり、利子を取られる)ということです
ですから銀行は手持ちの国債を売却しなくなるはずです
使い途がないですから

それでいて、黒田総裁は、「赤字国債はこれからも日銀がどんどん引き受ける」という姿勢を崩していない
マイナス金利が上昇導入による「金利封殺」によって、かえって銀行の国債売却が鈍化します
にもかかわらず、さらなる量的緩和(=民間銀行からの国債購入。実質は国債の直接引き受け)を継続するという矛盾した政策をやっています
黒田総裁の金融政策は一見、支離滅裂に見えます
ところが、国債のデフォルトを阻止するという意味で言うと、日銀が国債を買い上げて、その上で国債金利を冷凍保存して金利が動かないようにする
要は国有化です
財政ファイナンスに使っているということだと思います

日銀黒田の狙いは、何が何でも国債のデフォルトを阻止するということですね
国債の暴落さえ防げれば、あとのことはどうなってもいい、ということです
つまり大不況はこのまま続く
続いていいということですね

マイナス金利の影響を一番受けるのは地銀でしょう
日銀の当座預金に積み上がった分の第3段階分は、マイナス0.1%のペナルティを受けるので、下ろして現金として持たざるを得なくなっている
しかし、これを現金でもつと預金者への利息が払えません
そこで、地銀がやろうとしているのが、米国債の債券ファンドの購入と、日本株の株式に突っ込むという二つです
政府はそれを狙っている

マイナス金利ですから世界中の銀行が預金拒否です
利子など払えないから預金なんていらない
むしろ手数料をとるようになりますね

マイナス金利というのは、「お金を安全に預かってやる。その手数料を払え」ですね
マイナス金利というのは口座手数料を払え、ということだ
マイナス金利にしてお金が世の中に回るようにさせるのだ、と黒田と日本政府は言っている
ところがまったく逆のことが起こる
ますますお金が動かなくなって、世の中はさらに冷え込みますね

景気をさらに冷やして、冷凍状態にすることで、日本は生き延びられる、と考えている
これは私が言う焦土作戦です
外国からの金融攻撃に耐えるために、日本国内が焼け野原になってもいい、という、悪魔の政策です


日銀が国債をもう360兆円も買って、今も量的緩和をやっている
国債市場は年間100兆円ぐらいの発行で、新発債が30兆円。あとはロールオーバーの洗い替えで満期になった既発債を刷り直している
この年間100兆円のうちの80兆円ぐらいを日銀が買っています
日銀の国債保有がいずれ600兆円を超えてゆく
そのとき何が起こるのか

地銀は国債運用で利益を出してなんとか生きながらえてきた
貸付先がなくなっていますから
日銀が国債買い取りを大量にやるので、ブツがなくなってしまった
その上にマイナス金利です
地銀は干上がり始めています



金融政策というのは手前に「引く」ことはできる
縄で引っ張って景気を引き締めることはできる
しかし、向こうに「押す」ことはできません
緊縮(デフレ)はできますが、インフレにはできない

実需がないとやはり金融政策一本ではダメです
日銀はマネタリーベースを積み上げています
しかしそれらは、日銀の当座預金になっているだけで、資金は市場には回っていません
マネーストックが伴っていない
日銀が国債を飲み込んで吸い上げているにもかかわらず、お金がたっとも市中に出回っていない