■池上彰の学べるニュース 社会人の基礎知識&一般常識編
■日銀
国の金融政策を担う機関であることからトップの人事には国が関与し、また、国民の意見を反映させる狙いから、衆議院と参議院の同意がないと総裁にはなれません
日銀の仕事はなにか
大きく分けて3つあります
日本銀行券を発行する
政府のお金を取り扱う
「銀行の銀行」の役割をする
こういう銀行のことを「中央銀行」といいます
2つ目の業務は、政府のお金を取り扱うこと
よく「政府の金庫の役割をしている」という言い方をします
国に入ったお金をとりあえず日銀に置いておくとか、国が使うときには日銀からお金を出すといったことです
税金や年金がいい例で、私たちが納めた税金は、国に入ったものはとりあえず日銀が保管しておき、年金も、集めた保険料を日銀が保管して、そこから給付金を支払います
公共事業費も、国のお金を公共事業として使うときに日銀から出してもらい、普段の管理は日銀がしています
国のお金の使い道はもちろん政府が決めますが、実際に出金と入金の管理を行うのは日本銀行の仕事です
3つ目の業務は、「銀行の銀行」としての仕事です
日銀には民間の金融機関の口座があり、すべての銀行が、実は日銀に当座預金口座を持っています
普通預金ではなくて当座預金
当座、つまりとりあえず置いておくということで、原則として利子は付きません
銀行間の送金は日銀の口座で行う
日銀のコンピュータシステムを使って、A銀行が日銀に持っている当座預金口座からB銀行の当座預金口座にお金を移しているのです
日銀の窓口は、税金や年金の支払い、傷んだ紙幣の引き替えなども受け付けています
私たちが最寄りの銀行で税金や年金保険料を支払うとそのお金は最終的に日銀に行くのです
最寄りの銀行の支店に行ってみて、よく見ると、日銀の代理店だと書いてあります
普段私たちが利用する銀行の窓口で同じことが出来るのは、日本銀行の代理店として業務を行っているからです
日銀は、民間企業が持っている国債を買うことがあります
国債を買ったとき、日銀はお札を銀行に渡し、このとき世の中にお金が出て行きます
これが「通貨の発行」ということです
この時点で日銀が持っている国債には当然、利子が付きます
この利子の収入が日銀にとっての利益になるのです
なぜ国債をたくさん持っているかというと、国内に出回るお金の量を調整するため、民間銀行が保有する国債を頻繁に買っているからです
ちなみに、日銀が国から国債を直接買うことは、原則として禁止されています
かつて直接買ったことで大量に紙幣が発行され、インフレ、つまり必要以上にお金が出回り、物価が上昇する現象が起きました
その教訓から、法律で禁止したのです
現在の日本銀行は、公定歩合によって直接金利を決めるのではなく、流通するお金の量を増やすことで自然と金利が下がるような政策を行っています
こうやって決まる金利のことを「政策金利」と呼んでいます
日銀としては、金利をだいたいこれくらいにしようという目標を設定しておいて、あとは国債の売買によってお金を増減させて、目標金利に近づけていくのです
■
二度と財閥が生まれないようにという強い決意を背景に、ある法律が作られます
それが独占禁止法です
独占企業を禁止するために、この法律の第9条で持株会社の設立が禁止されました
持株会社を認めると、結局それは財閥になってしまうので、一切認めないことにしたのです
持株会社が禁止されたのは1947年
ところがその後、高度経済成長を経て、経済が発展し国際化が進む中で、次第に持株会社の必要性が高まってきました
こうして、1997年に自由競争を妨げない範囲で持株会社の設立が解禁となり、その結果ホールディングスが誕生することになりました
■
王様がいない国の国家元首が大統領でした
では、王様がいる国はどうなるのか
その場合、国家元首は王様ですからら首相が行政のトップに立つのです
イギリスはエリザベス女王が国家元首、キャメロン首相が行政の最高責任者です
まとめると、一般的に国王がいない場合は国の代表が大統領、国王がいる場合は国の代表は国王、行政のトップが首相、ということになります
日本の国家元首は誰でしょうか
多くの人が天皇階下だと思っているようです
ここは微妙な問題があって、日本国憲法には「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と書かれているだけです
つまり、憲法上、天皇が国家元首だという規定はないのです
ただ、世界各国から、天皇階下が日本の国家元首と受け止められている現実はあります
ですから、「天皇階下がいらっしゃるので、日本には大統領ではなくて首相がいます」と言っても間違いではないわけです
大統領と首相の両方いる国がありますね
この場合、どちらがトップになるのでしょうか
大統領と首相のどちらのほうが力が強いのか
これは国によっていろいろで、一概に「こうだ!」とは言えません
大統領が国家元首で、首相は行政のトップ
これが基本ですが、フランスやロシアでは大統領が国民の直接選挙によって選ばれています
そういう国では、大統領が一番強い力を持っているといえます
一般論として言えば、直接選挙で選ばれた大統領が首相を任命し、首相が大統領の命令を受けて国内行政を指揮するのが普通の形です
一方、イタリアやインドの大統領というのは、あまり聞いたことがありませんよね
これらの国々では、議会が国王の代わりをする国家元首を選びます
その国を代表して海外にも行きますが、政治的な力や権限は何もないのです
つまり、この場合の大統領は名誉職だということです
こうした国では、首相が力を持っています
このように、大統領と首相のいる国は、大統領の選ばれ方に注目することで、大統領と首相のどちらが実質的な力を持つかが見えてくるのです
■日銀
国の金融政策を担う機関であることからトップの人事には国が関与し、また、国民の意見を反映させる狙いから、衆議院と参議院の同意がないと総裁にはなれません
日銀の仕事はなにか
大きく分けて3つあります
日本銀行券を発行する
政府のお金を取り扱う
「銀行の銀行」の役割をする
こういう銀行のことを「中央銀行」といいます
2つ目の業務は、政府のお金を取り扱うこと
よく「政府の金庫の役割をしている」という言い方をします
国に入ったお金をとりあえず日銀に置いておくとか、国が使うときには日銀からお金を出すといったことです
税金や年金がいい例で、私たちが納めた税金は、国に入ったものはとりあえず日銀が保管しておき、年金も、集めた保険料を日銀が保管して、そこから給付金を支払います
公共事業費も、国のお金を公共事業として使うときに日銀から出してもらい、普段の管理は日銀がしています
国のお金の使い道はもちろん政府が決めますが、実際に出金と入金の管理を行うのは日本銀行の仕事です
3つ目の業務は、「銀行の銀行」としての仕事です
日銀には民間の金融機関の口座があり、すべての銀行が、実は日銀に当座預金口座を持っています
普通預金ではなくて当座預金
当座、つまりとりあえず置いておくということで、原則として利子は付きません
銀行間の送金は日銀の口座で行う
日銀のコンピュータシステムを使って、A銀行が日銀に持っている当座預金口座からB銀行の当座預金口座にお金を移しているのです
日銀の窓口は、税金や年金の支払い、傷んだ紙幣の引き替えなども受け付けています
私たちが最寄りの銀行で税金や年金保険料を支払うとそのお金は最終的に日銀に行くのです
最寄りの銀行の支店に行ってみて、よく見ると、日銀の代理店だと書いてあります
普段私たちが利用する銀行の窓口で同じことが出来るのは、日本銀行の代理店として業務を行っているからです
日銀は、民間企業が持っている国債を買うことがあります
国債を買ったとき、日銀はお札を銀行に渡し、このとき世の中にお金が出て行きます
これが「通貨の発行」ということです
この時点で日銀が持っている国債には当然、利子が付きます
この利子の収入が日銀にとっての利益になるのです
なぜ国債をたくさん持っているかというと、国内に出回るお金の量を調整するため、民間銀行が保有する国債を頻繁に買っているからです
ちなみに、日銀が国から国債を直接買うことは、原則として禁止されています
かつて直接買ったことで大量に紙幣が発行され、インフレ、つまり必要以上にお金が出回り、物価が上昇する現象が起きました
その教訓から、法律で禁止したのです
現在の日本銀行は、公定歩合によって直接金利を決めるのではなく、流通するお金の量を増やすことで自然と金利が下がるような政策を行っています
こうやって決まる金利のことを「政策金利」と呼んでいます
日銀としては、金利をだいたいこれくらいにしようという目標を設定しておいて、あとは国債の売買によってお金を増減させて、目標金利に近づけていくのです
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二度と財閥が生まれないようにという強い決意を背景に、ある法律が作られます
それが独占禁止法です
独占企業を禁止するために、この法律の第9条で持株会社の設立が禁止されました
持株会社を認めると、結局それは財閥になってしまうので、一切認めないことにしたのです
持株会社が禁止されたのは1947年
ところがその後、高度経済成長を経て、経済が発展し国際化が進む中で、次第に持株会社の必要性が高まってきました
こうして、1997年に自由競争を妨げない範囲で持株会社の設立が解禁となり、その結果ホールディングスが誕生することになりました
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王様がいない国の国家元首が大統領でした
では、王様がいる国はどうなるのか
その場合、国家元首は王様ですからら首相が行政のトップに立つのです
イギリスはエリザベス女王が国家元首、キャメロン首相が行政の最高責任者です
まとめると、一般的に国王がいない場合は国の代表が大統領、国王がいる場合は国の代表は国王、行政のトップが首相、ということになります
日本の国家元首は誰でしょうか
多くの人が天皇階下だと思っているようです
ここは微妙な問題があって、日本国憲法には「天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と書かれているだけです
つまり、憲法上、天皇が国家元首だという規定はないのです
ただ、世界各国から、天皇階下が日本の国家元首と受け止められている現実はあります
ですから、「天皇階下がいらっしゃるので、日本には大統領ではなくて首相がいます」と言っても間違いではないわけです
大統領と首相の両方いる国がありますね
この場合、どちらがトップになるのでしょうか
大統領と首相のどちらのほうが力が強いのか
これは国によっていろいろで、一概に「こうだ!」とは言えません
大統領が国家元首で、首相は行政のトップ
これが基本ですが、フランスやロシアでは大統領が国民の直接選挙によって選ばれています
そういう国では、大統領が一番強い力を持っているといえます
一般論として言えば、直接選挙で選ばれた大統領が首相を任命し、首相が大統領の命令を受けて国内行政を指揮するのが普通の形です
一方、イタリアやインドの大統領というのは、あまり聞いたことがありませんよね
これらの国々では、議会が国王の代わりをする国家元首を選びます
その国を代表して海外にも行きますが、政治的な力や権限は何もないのです
つまり、この場合の大統領は名誉職だということです
こうした国では、首相が力を持っています
このように、大統領と首相のいる国は、大統領の選ばれ方に注目することで、大統領と首相のどちらが実質的な力を持つかが見えてくるのです