■限界マンション 米山秀隆


これまで、マンションという居住形態については、住まいの利便性が強調されてきた
実は共同所有という形態であるための、もともと終末段階でその処理に誰も責任を持たなくなる事態が生じやすい特性を持っている


超高層マンションが登場した当初から問題視されてきたのは、維持修繕の問題である
超高層では足場を組めずゴンドラでの補修が中心となる
マンションはオフィスビルに比べ、バルコニーがあるなど外壁の形状が複雑であるという点でも維持修繕の難易度が高い
また、付帯するエレベーターや給排水システム、防災設備が高機能・高額であるということも、維持修繕がコスト高となる
築14年前後に行われる外壁やベランダ修理を中心とする1回目の修繕を乗り切ったとしても、エレベーターや給排水システムの交換の必要が出てくる築30年前後の2回目の大規模修繕については、コスト的にできるのかという問題が浮上する可能性がある
埼玉県川口市のエルザタワー(1998年完成、55階建て、185メートル)は、2015年から2年の予定で大規模修繕を実施中であるが、工事費は1戸あたり200万円と、一般のマンションの2倍程度かかるという

今後、超高層マンションの維持修繕が適正に行われていくのか、また、最終的に寿命が尽きた時に区分所有権を解消して解体するという合意ができるのか、さらに、解体費用は捻出できるのかという問題は、通常のマンション以上に大きくなる懸念がある