■鈴木敏文氏、異能の経営者が語る「ものの考え方」の極意
http://diamond.jp/articles/-/102771

基本的には、「世の中の変化を見つめろ」ということ。それを僕の経験などから話しています。その上で、「今の自分がやっている仕事の延長でものを見てはいけない」と繰り返し伝えている。


例えばセブン-イレブンは、「日本では小さな店は成り立つはずがない」と言われたが、実際にやってみたら、またたく間に伸びていき、今では社会インフラになってしまった。だからインフラというのは、それがあるからインフラなのではなく、無のところからでも環境がどう変わるかという見方をしていけば創り出せるのです。そういうものの見方をしていかなければ、強い企業は作れない。


要するに、世の中には視点を変えればできることがたくさんあるのです。例えばアイワイバンク銀行(現セブン銀行)立ち上げにしても、「これだけ銀行があるのに新しく創るのは大変だ」「素人ができるわけがない」と誰もが言った。当時の主力銀行頭取は、心配をして自ら会いにきてくれ、「鈴木さんに失敗させるわけにはいかない。止めた方がいい」とおっしゃいました。しかし私は単に、視点を変えて、24時間利用できる決済だけの銀行を作りたい。そう考えただけです。

質問
セブン-イレブンの創業はもちろん、新商品として出したおにぎりや銀行サービスなど、新しいことに挑戦するときに、「周囲から無理だと言われた、反対された」という経験がたくさん出てきます。

答え
私はそうした時、自分の内側に、よくよく問いかけます。「彼らの言い分は正しいか、それとも自分の考えに理があるか」とね。セブン銀行のときには、主力銀行の頭取のお話をよく伺っていると、どうやら「中小企業融資なども含めた、既存の銀行業」をイメージしておられたようでした。しかし、僕はそんなことをやりたかったわけじゃない。引き下ろしや振込などをコンビニでできるようにしたかっただけです。
であれば、心配してくれるお気持ちはありがたく受け止めるけれど、僕が自分の歩みを止める必要はない。そんな風に考えたね


カリスマなんて呼ばれ方は、自分では本当に違和感ありますよ。私は特別な才能があるわけじゃない。ただ、自分で「こうしてみたいな、やりたいな」と思ったことをやってきただけのことだからね。やり始めた以上は、なんとしても成功させようと、そういう執念は持ち合わせていましたけれどね
あとは、環境やチャンスに恵まれた。世の中には、いろんな分野で才能がある人はたくさんいるはずなんだけど、それがたまたま生かせるチャンスに恵まれるかどうかでしょうね。