■ノリエル・ルービニ氏インタビュー
カルメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏が新著で指摘した通り、財政危機は経済回復を遅らせ、長期間にわたり成長のあしかせとなることは歴史が証明している
政府債務問題が深刻化する可能性は高い
自国通貨建てで国債を発行出来ない国(新興国)や、それができても独自に貨幣を発行できない国(ユーロ加盟国など)が過剰な財政赤字を抱えると、信用危機や国債のデフォルトといった強制的な公的債務整理に追い込まれる場合がおおい
自国通貨で借り入れができ、公的債務を貨幣に置き換えることが可能な国では政府債務危機はすぐには表面化しない
だが債務の貨幣化はいずれインフレを招く
インフレは固定金利債の実質価値を下げる効果がありデフォルトと同様、国債保有者の利益を損なう政策だ
現在ギリシャが直面する問題は氷山の一角だ
債権市場では投資家がPIIGS諸国や英国に狙いを定め国債利回りを押し上げている
いずれ矛先は日本やアメリカなど、持続不能な財政赤字を抱える国にも向かうだろう
財政危機が経済回復のあしかせとなる状況では、経済成長だけで民間部門のかじる債務を解消し、公的債務の比率を下げるのは難しい
一方、貯蓄増加によって債務比率を下げようとすれば景気後退が深刻化し、債務比率がさらに悪化するという節約のパラドックスが起きる
結論を言えば、国による損失肩代わりや公的債務の増加によって、民間部門の過剰債務の解決を図るのは危険だ
うまくいっても将来の増税や財政支出削減は免れず、成長に悪影響を与える
民間が抱え込んだ債務は、デフォルトや債務整理、債務の資本化などの方法で解決すべき
国による肩代わりが行き過ぎれば、先進国を待ち受けるのは支え切れないほどの債務を抱え、成長戦略も描けない未来だ