2010年09月

フリーフォール13 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール13 ジョセフ・E・スティグリッツ

■地方政府への支援
危機が発生した際、政府からの支援がなければ、州と市町村は歳出の削減に走る可能性が高い
地方政府の支出は公的支出全体の3分の1を占めるが、アメリカの各州は財政均衡の仕組みを導入しており、歳入額に応じて歳出の限度額が決められている

各州に減収分を補填するというシンプルな手法をとれば、公平さを保てる上に、迅速な資金供給を実現できただろう
このやりかたなら、資金の乗数効果は大きく最も支援が必要な人々に直接資金を届けられ、さらに、自動安定装置としての効果が期待できる
可能性は低いが魔法のようにみるみる景気が回復していく場合は、支出を徐々に減らし、景気後退が予想よりも深刻で予想よりも長引く場合は支出を徐々に増やすのだ


■セーフティネットの穴を塞ぐ
第二の優先課題は、セーフティネットの穴を塞ぐことである
オバマの景気刺激法策は、この点に多少の配慮をしているものの、やはり充分とはいいがたい

住宅ローンの返済に行き詰まった失業者の問題は今回の危機の核心である
失業者の多くは自分にはなんの落ち度もないのに、失業後すぐに自宅を失ってしまった
困窮時にローン返済を肩代わりしてくれる新種の住宅ローン保険をオバマ政権は提供するべきだった
住宅所有者が再就職するまで支払いを延期してくれるような保険の存在は社会の公平さを保つだけでなく、アメリカの国益にも寄与していただろう
なぜなら、差し押さえ件数の増加が住宅価格を押し下げるというという負のサイクルを食い止められるからだ

■投資を促進する
未来を強化してくれる投資に、高い優先順位を与えることは、理にかなっている
ハイリターンが望める人間と技術に対する投資なら、なおさらだ
しかし、市場崩壊と地方の歳出減によって、全米の私立大学の基金が大打撃を受けたため、この分野への支出は激減してしまった
景気刺激策の支出の大部分は、まず迅速に実行できるプロジェクトに注ぎ込まれ、そのあと、比較的迅速に実行できるグリーン投資に注ぎ込まれた
政府が踏まえておかなければならなかったのは、今後2年間に追加対策が必要となるリスクは高いという点だ
長期的かつ包括的な景気刺激策には、即効性のあるプロジェクトだけでなく、ハイリターンの公共投資を組み入れる必要がある
長い不況によって公共投資が進むのは不況の数少ない利点といえるかもしれない

アメリカど投資が最も不足しているのは、公共セクターだ
しかし、投資を可及的すみやかに拡大しなければならないとき、公共セクター内だけでは無理がある
例えば投資促進のための減税を行えば、経済への資金流入を加速させ、さらには長期的な恩恵をもたらしてくれるだろう
住宅所有者に税制優遇措置を施していたら、50年ぶりの不動産不況で失職した建設労働者の一部は、首を切られずにすんでいたかもしれない
景気下降期には、企業は積極的に投資リスクを取ろうとはしない
それゆえ期限付きの投資税額控除を実施すれば、企業に適切をインセンティブを与えることになるだろう
期限付きの投資税額控除に累進制を組み込めば、効果はさらに大きくなるぱずだ
景気下降期にも、投資をする企業は必ず出てくる
ただし優遇措置なしでも投資する企業に税額控除を与えても意味はない
過去2年間の投資実績を参考に、過去2−3年の80%を超える分のみを控除対象にすれば、絶大な効果を望めるだろう

■効果の薄い減税
ブッシュ大統領の2008年2月の減税はうまく機能しなかった
ほとんどが貯蓄にまわされたからだ
オバマ政権の減税策には、消費換気の仕組みが導入されていたが、前回と同じ結果に終わると信じうる根拠は枚挙にいとまがない
減税は国家の負債を増加させていくだろう
そして、短期的にも長期的にも、減税の効果はほとんど得られないだろう

景気刺激策の他の部分は、未来から借金しているようなものだ
「ポンコツ車買い換え制度」は、自動車の需要を掘り起こしたが、制度のおかげで今買われた車は将来買われるはずだった車だ
景気下降が6ヶ月で終わるなら、この戦略は理にかなっているかもしれないが、終わりの見えない不況下ではきわめてリスクが高い
果たして不安は的中した
2009年夏期の自動車販売は急増したものの、これは秋季の需要を先食いしたに過ぎなかった

減税策と買い換え制度は、元々矛盾を内包している
今回の危機の原因は、アメリカ人の過小消費ではなく過剰消費だ
それなのに、危機への対応として打ち出されたのは、消費を喚起する政策なのだ
消費の急落ぶりを考えれば理解できなくはないが、長期的成長のための投資が必要なときに消費換気に重点を置くことは望ましくない


■景気刺激策が効果をあげない場合の理由
3つあるとされている
第一の理由は世事にうとい経済学者がよく持ち出してくるものだが、残りの2つは深刻だ

第一の理由は、政府が財政赤字を出すと、将来赤字解消のために増税が行われるので、それを知っている国民が貯蓄を増加さするというものだ
この考えに従えば、政府の支出増は家計の支出減によって100%相殺されてしまう
21世紀に入ってすぐブッシュが減税を行ったときは実際に国民の貯蓄率は下落したのだ
「リカードの等価定理」の擁護者は、減税がなければ貯蓄率はもっと下がっていたはずだ、と反論するだろう
しかし、彼らがもし正しければ、危機前のアメリカ人の貯蓄率は一貫して数%のマイナスだったことになる
財政保守派がリカードの等価定理を引用する回数は減税に反対するときよりも、政府の支出増に反対するときのほうが多い
この定理は、何をしてもたいした違いはないと主張する
政府が増税を断行しても、国民は将来の減税を予想するから現在使われる金額は増税がない場合と全く同じである、という論理

よく見かけるが明らかに間違っている前提は、市場と情報の完全性だろう
このシナリオのもとでは、だれもが好きなだけ金を借りられる
政府が税金を上げても政府と同じ金利で国民は増額分を銀行から調達すればいいのだ

人間は永遠に生きる、所得再分配は勘案しない、という二つの前提も理解しがたい
人間が永遠に生きるなら今日の借金は必ず支払わなければならない
しかし現実には、今日の借金の支払いを未来の世代に押し付けることができるので、現役世代は身の丈を超える消費が可能となる


第二の理由は、政府が借金を重ねれば重ねるほど、貸し手側が政府の返済能力に懸念を抱くことだ
懸念が大きくなるにつれ、貸し手はより高い利率を要求する
この現象は途上国でも見られる
景気刺激策に支出をしなければ、経済が弱体化し、債務者から高い利子を要求される
景気刺激策に支出をすれば、負債が膨らみ、やはり債務者から高い利子を要求される
幸運にも、アメリカはまだ崖っぷちにまでは追い込まれていない
私の見立てでは、現在のところ、景気刺激策の効果のほうが長期リスクを上回っている

第二の理由と深く関連する第三の理由は、投資家が将来のインフレ懸念を抱くことだ
アメリカに金を貸している国々はすでに、インフレで巨額の負債を帳消しにするというインセンティブが働くのではないかと心配している
インフレによって負債の実質価値を低下させてしまうわけだ
そして彼らのもうひとつの心配は投資家がアメリカの負債額に警戒感を強めた結果、ドルの価値が低下することだ
これらの懸念が芽生えてしまうと、長期金利は上昇し、投資は抑制され、総需要の純増数が減少することになるだろう
短期金利を重視する正常な政策に戻り、短期金利を低く保ったとしても、長期金利が上昇して景気回復の足を引っ張るかもしれない
しかし、景気刺激策の支出が投資にまわされれば、このようなマイナス効果は発生しにくくなる
刺激策はアメリカ経済を強化するという点が市場に理解されるからだ
支出が投資にまわされると、アメリカのバランスシートは負債の部の数字が膨らむにつれて資産の部の数字も膨らむ
つまり、貸し手が心配する理由も金利が上昇する理由もなくなるわけだ

手に負えないほど負債が膨らんでいく懸念は、源をたどっていくとアメリカの政治リスクに行き着く
世界大恐慌の最中のアメリカやバブル崩壊後の日本のように景気回復の道を真っすぐ進めなくなる政治的リスクだ
第一回目の薬を服用したあとで、経済が力強く回復出来なかった場合、政府は景気刺激策を続けるのだろうか
私が懸念するとおり、反対派が勝利を収めれば、力強い成長への復帰は遠のいてしまうだろう


フリーフォール12 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール12 ジョセフ・E・スティグリッツ


■アメリカ経済を再生させる
政府に課せられた使命は、経済に再び命を吹き込むことと、住宅ローンの債務不履行の洪水をせきとめることだ

不況対策をめぐる大論争は、財政保守派とケインズ学派との間で繰り広げられてきた

すぐれた景気刺激策は、次の7つの条件を満たさなければならない

1.速やかに実行する

2.実効性を担保する
金を使うからには実効性、雇用と生産を大きく押し上げる効果がなくてはならない
政府が1ドルを支出すると、国民所得は1ドル以上の伸びをみせる
アメリカ経済の短期乗数は平均すると1.5。政府が10億ドル支出すると、その年度のGDPは15億ドル増加する計算だ
長期乗数はもう少し高くなる
政府支出の効果が1年にとどまらず、翌年や翌々年まで続く場合もあるからだ
今回の大不況は長期化する可能性が高いので、政策立案者は2、3年間の長期的効果を見据える必要がある
支出の種類によって乗数は変化する
例えば政府がイラクの請負業者に建設を発注した場合、支出に関連する消費が国外で行われるので、乗数は平均より低くなる
同様に還付金の大部分が貯蓄に回されてしまうので、富裕層の減税も乗数は低い
けれども政府が失業手当を増額した場合、乗数は高くなる
収入が途絶えた人々は、手当のほとんどすべてを消費に回すからだ

3.国家の長期的問題の解決をうながす
低い貯蓄率、巨額の貿易赤字、社会保障を含む高齢者向け施策の慢性的な財源不足、インフラの老朽化、、
景気刺激策を案出する際には、問題が解決に進むよう、少なくとも問題が悪化しないよう配慮する必要がある

4.投資に重点を置く
景気刺激策を打てば、財政赤字の増加は避けられない
しかし、国家のバランスシートを見るときには負債の部だけでなく、資産の部にも注目すべきだろう
景気刺激策の支出が資産投資にあてられ、この資産が継続的な生産性向上に役立つなら、長い目でみると、景気刺激策の結果として国全体の状況が良化することになる
借金による消費で経済を活性化させる国は将来、元本もしくは利子の支払いが始まったとき、生活水準の低下に見舞われる可能性が高い
一方、投資で経済を活性化させる国は将来生産高が押し上げられる可能性が高く、うまく投資をすれば、金利以上の収益をあげることも不可能ではない
優良な投資は現世代だけでなく次世代の生活水準も向上させてくれる

5.公平を旨とする
近年、中流階級のアメリカ人は、上流に比べて重い負担を押し付けられてきた
景気刺激策を設計するさいには、この点を留意する必要がある
2001年と2003年にジョージ・W・ブッシュが行った減税は、もっぱら富裕層が恩恵を受ける施策であり、これは公正さの観点からみると問題外といっていい

6.危機を原因とする緊急事態に対処する
住宅ローンの支払いに窮している人が、失業もしくは家族の病気という事態に襲われると、かなりの確率でローンは債務不履行を起こす
景気刺激策は可能なかぎり、これらの問題を解決する方向で策定されなければならない

7.雇用問題を狙い撃ちにする
雇用喪失が恒常化してしまった場合は、景気刺激策の中に失業者の再訓練を組み込み、将来の仕事に必要な技能を習得させる必要がある



緊急事態を鎮めるための支出は効果が高い(乗数が大きい)が、この手法では有効な資産は形成されない
自動車メーカーの救済は、一時的には雇用を守っても、資金をどぶに捨てる効果となるだろう
また、道路建設への投資は、世界の長期的重要課題のひとつ、地球温暖化問題を悪化させかねない
最新鋭の公共システムに投資するのが賢明といえる
なんの見返りも求めずに、銀行に救済資金を支出すれば、アメリカの富裕層のふところが肥えるだけであり、乗数も限りなくゼロに近くなる
自動安定装置(ビルトインスタビライザー)と呼ばれる財政政策は、経済が悪化すると自動的に支出が増大する仕組みであり、最も有効な景気刺激策といったいい
自動安定装置の例としては、失業保険制度があげられる
失業率が上昇すれば、自動的に給付支出が増え、予想より早く景気が回復すれば、自動的に給付支出は減少する

景気刺激策の内容と規模を決めるさい、先の7つの条件は有益な指針となるだろう
オーストラリアを含む小数の国では、すでに7条件に合致する対策が案出されている
実際、オーストラリアの景気後退はあまり深刻化せず、先進国の中では真っ先に経済成長の再開を実現した

オバマ政権の景気刺激策の欠点をあげるなら、規模が小さすぎることと、支出の多く(約3分の1)が減税にあてられたことと、州や市町村、セーフティネットから漏れた人々に対する支援額が少なすぎることと、投資プログラムの実効性が低いことだ
当初およそ8000億ドルという景気刺激策の規模は、いかにも大金という響きを持っていた
これは2年間の支出総額なので、14兆ドルのアメリカ経済からみると、GDP比では1年あたり3%の計算になる

経済に対する上昇期待を広めようとする人々は、景気回復と雇用回復との間にタイムラグがあることを強調する
しかし、これは逆効果といっていい
彼らが主張するようにおそらく雇用回復は景気回復より遅れるだろう

政府の宣伝用の失業率は2009年10月の時点でわずか10.2%だった
仕事探しを諦めた労働者と不本意なパートタイム労働者を含む広義の失業率は、危機前の2008年8月に10.8%だったものが2009年10月には史上最高水準の17.5%まで跳ね上がっている


労働市場の悪化と住宅市場の崩壊が相互作用を起こした結果、社会不安を増大させる二つの問題が発生した

アメリカの労働市場は世界有数の流動性を誇っている
これはアメリカの強みの一つと言っていい
労働力を最大限に有効活用できるからだ
第一の問題は、この流動性が大きな障害に直面していること
アメリカ人は伝統的に再就職のためなら数千キロの移動をいとわない
しかし現在では、住宅が大多数の国民の主要資産となっており、主要資産の価値の下落に苦しむ人々は身動きがとれない状態に追い込まれている
求職者が有利な転職先を見つけても移動できないせいで断念することが多くなる
失業者は仕事の空きが見つからず、失業期間だけが長くなっていく
それもこれも移動という選択肢の魅力が薄れた結果である

第二の問題にはアメリカの高齢者が深く関係している
従来、ほとんどの年金制度は確定給付型を採用してきた
しかし最近20年で確定給付型から確定拠出型への移行が進んだ
今回の危機では株式市場と住宅市場の崩壊が重なった結果、多くのアメリカ人が老後に不安を覚え、早期の退職を思い留まっている
労働市場から去る人数が減れば、新規の雇用が創出されない限り、必然的に仕事の空きはなくなる


フリーフォール11 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール11 ジョセフ・E・スティグリッツ



アメリカは遠い昔から大銀行に疑念を抱き続けてきた
国法銀行を設立するさい、初代財務長官アレクサンダー・ハミルトンの提案をめぐって論争が起こったが、この論争には銀行不信が色濃く表れていた
州際銀行業務の規制(クリントン政権下で廃止された)は、ニューヨークのような大都市の力を制限するよう設計された
一般国民は事業資金の調達を銀行に頼り、銀行は一般国民向け融資から利益を得ていた
両者共生関係にあったが、必ずしも信頼関係で結ばれているわけではなかった

一般国民とウォール街との戦いは、異なる経済集団間の複雑な対立の縮図だといえる
2008年の大恐慌では、両者の利害と立場の明確な違いが浮き彫りになった
そして、新局面を迎えた戦いの中では、銀行が国民の頭に銃口を突きつけ、「もっと金をよこさないと、痛い目をみることになるぞ」とすごむ姿が見られた
他に選択肢はない、とウォール街が言った
我々に規制を加えるなら(株式配当や役員ボーナスの支払いを中止させ、GMのように経営陣の責任を問うなら)将来、資金調達ができなくなってもしらないぞと
彼らの主張は正しいかもしれず、アメリカ経済消滅の戦犯として糾弾されたい政治家は一人もいなかった
ウォール街は経済崩壊の恐怖につけこんで、アメリカの納税者からすばやく巨額の金を引き出した


オバマはウォール街に味方し、金融界が混乱するという脅迫に屈した
オバマの真意がどこにあるにせよ、少なくとも彼の行動は、ウォール街の利益に接近し過ぎているように見える
救済策が成功したかどうかの尺度にも、バイアスが掛かっているようだ
銀行に対する資金供給が続けられる中、政府の関心はもっぱらウォール街の反応と、株価の推移に向けられるようになった
しかし、銀行がおいしい取引にあずかり、結果として株価が上昇するということは、納税者がおいしくない目にあうことを意味した
一般国民の望みは貸し渋りの解消だったが、銀行救済によって望みがかなった例は、皆無に等しかった

さらにウォール街の無神経さは全国民の融和というオバマの使命を、よりいっそう難しいものにした
貸し渋り解消のための資本増強だと主張しながら、銀行は納税者から受け取った金を巨額の配当とボーナスにまわしてしまったからだ


投資家たちは政府関連の救済プログラムに参加することを渋った
世論に配慮した議会が途中でルールを変えて、投資家から収益を奪いとったり、なんらかの罰則や制約を課したりするのを恐れた
救済策の評判がどんどん悪化していけば、追加資金の投入を迫られたとき、議会の承認をえることはきわめて難しくなる

こういう状況下では、透明性の低い複雑な戦略が選択されやすい
全ての政府支出は議会の承認を受けるのが建前だが、今日では、民主主義の根幹というべき国民の監視をくぐり抜けるため、FRBとFDICを経由させる手口が常態化している


■大不況の終わりはいつか
テクニカルにいうと成長の再開と不況の終結は同じ意味だ
エコノミストの定義でマイナス成長が四半期で数えて2期以上続くことを不況と呼ぶ
労働者の立場からすると、失業率が高いままなら、ましてや上昇し続けているなら、経済が不況を脱したとはいえない
事業家の立場からすると、過剰生産力が残っている間は、つまり、生産高が潜在生産力を下回っている間は、経済が不況を脱したとはとても言えない
生産力が余っているうちは、誰も設備投資などしないからだ

経済のファンダメンタルズだけに注目すれば、失業率が通常の水準に落ち着くまでに、長い時間を要することは確実だ

これからしばらくの間は、紆余曲折が予想される
金融機関が新たに破綻したり、商業用不動産の分野で問題が発生したり、2011年での景気刺激策の期限切れが悪影響を及ぼしたりと、経済がショックに見舞われることも一度や二度はあるだろう

株価が底値から反発する現象はしばしば経済の健全性回復のバロメータとされるが、残念ながら、株価上昇は必ずしも全てが順調であることを示唆しない
株価が上昇した原因はFRBが洪水さながらに流動性を供給しているからかもしれないし、債権よりも株式のほうが有利に見える原因はFRBが低金利政策を維持しているからかもしれない
企業のコスト削減−労働者の解雇と賃金の引き下げ の成功も株価上昇の原因となりうる

今回の大不況の構図は複雑であり、金融危機と経済危機が互いに影響しあっている
ここ数十年間に発生した不況は、どれも規模が小さく期間も短かった
ほとんどの場合、考えられる原因は、FRBがブレーキを強く踏みすぎたことであり、直前にアクセルを強く踏みすぎた結果、急ブレーキが必要となった場合もあった
これらの不況においては、景気を回復させるのは簡単だった
FRBがミスを認識し、ブレーキから足を離し、アクセルを踏み直すだけで、再び成長が始まったからだ
残りの不況の原因は、在庫が過剰につみあがったことだった
だから過剰在庫が整理されさえすれば、たいていは一年以内に再び成長が始まった

しかし、今回の大恐慌は様相が違い、金融システムの崩壊を伴った
過去の経験から金融危機と不況が組み合わさった場合、回復はきわめて難しく、きわめて長い時間を要する

金融市場は持ち直しの兆しを見せているが、将来に対する不安材料は尽きない
例えば、商業用不動産の価格暴落による悪影響は、金融市場に不気味な影を落としているし、居住用不動産とクレジットカード債権の問題も解決したとはいいがたい
このまま高い失業率が続けば、住宅ローンとクレジットカードの分野でも問題が再燃するだろう

証券化された商業用不動産ローンの多くは今後数年間で借り換えの時期を迎えるが、たとえ不良債権の借り換えがうまく進んでも、借金清算の日を先延ばしする効果しかないだろう

新たな破産と差し押さえの洪水を発生させる舞台は出来上がっている

居住用不動産市場と商業用不動産市場は、長期金利の引き下げというFRBの措置によって支えられてきた
もし金融市場に対するFRBの異常な介入がなくなったら、いったい何が起こるのだろうか
逆に命綱を断つリスクを理解しているFRBが約束通り介入しつづけたら、一体何が起こるのだろうか

たとえ金融システムが完全な健康体を取り戻したとしても、実体経済の問題は解決されない
総需要を構成する各要素を見ていくと、楽観を抱ける根拠はほとんどないのだ

銀行が100%の復活を遂げても、以前ほどの無茶な貸付は行わないだろうし、銀行がそう願ったとしても、アメリカ人の大多数は以前ほど金を借りたいとは思わないだろう
高い授業料で教訓を得た彼らは、貯蓄を増やす方向に、それも大きく増やす方向に動くはずだ

1929年に始まった世界大恐慌では、世界各国が他国の犠牲で自国を守ろうとした

この近隣窮乏化政策には、保護主義(関税と貿易障壁を課す)と平価切り下げ競争(自国通貨を安くすることで輸出品を割安に輸入品を割高にする)が含まれるが、今日では当時ほどの効果はなく、それどころか逆効果になる可能性がたかい

中国は力強く成長してきたものの、消費の面ではアメリカに遠く及ばず、中国の消費の増大分ではアメリカの減少分は補えない
しかも、中国の消費増大分のうちアメリカの輸出増に貢献するのはほんの一部だ
今回の世界的危機が途上国に与えた悪影響の深刻さを見る限り、少しでも財政に余裕のある国は、巨額の準備金を蓄積しつづけるだろう
そして、世界の総需要は弱いまま推移するだろう

近い将来、政府の景気刺激策が期限を迎えると、結果として税収が落ち込むため、州政府と市町村の支出も削減を迫られるだろう
つまり、アメリカ経済はさらなる下降圧力を受ける可能性が高いわけだ

今回の危機の前にアメリカ経済および世界経済の大部分を支えていたのは、住宅バブルを背景とし、借金によって裏付けられた過剰消費ブームだった
住宅価格が永遠に上がり続けるという神話のおかげでアメリカ人は収入以上の生活を享受することができた

現在この神話を信じている者はいない
アメリカの成長の基盤となっていたモデルは消滅し、代替となるモデルが現れる見込みもないのである

銀行救済策への 怒りは他の分野にも波及していった
銀行が貸し渋りを続ける一方、銀行の幹部社員は史上最高水準のボーナス(2009年11月初頭の調査によると、平均的トレーダーのボーナスは93万ドルにのぼるという)を受け取り、銀行の株主は株価の上昇から満足感を得ていた

低リスクにみえた戦略 − 争いを避けながらその場しのぎを繰り返す戦略 は、実のところ経済的にも政治的にも高いリストを包含していた
政府にたいする信頼は低下し、大銀行と国民との対立が浮き彫りとなり、経済は回復遅延のリスクを抱え、表裏で行われる巨額の救済は、政府の財政状況 − 国家の未来に必要不可欠な政策への支出を危機にさらした

私が懸念しているのは、過去の決断によって現在の景気下降期が必要以上に深く長くなること
そして、競争力も効率性も劣る脆弱な金融システムと21世紀の難題に立ち向かう準備を欠く経済を負の遺産として受け継がされてしまうことだ


片頭痛の原因と対処方法

片頭痛は、血管が膨らんで神経を圧迫することが原因らしいです

雨の日、飲酒、朝起きたときなどになりやすいようです

対処方法としてはとにかく冷やすことらしいです
こめかみ を冷やせば一番効果的らしいです

昨日テレビでやってました


フリーフォール10 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール10 ジョセフ・E・スティグリッツ


■改革への抵抗
金融界の嵐が増すにつれ、銀行も政府も金融システムのあるべき姿に関する哲学的論議を望まなくなった
銀行家たちが求めたのはシステムに金を注入することだけだ
新たな規制の可能性が議論の俎上に載せられるたび、彼らはすぐさま警告のベルを鳴り響かせた
2007年1月ビジネス界の重鎮が集うダボス会議で、最も力強く表明されたのは、「過剰反応 − 規制強化を示す隠語」に対する懸念だった
彼らは次のように主張を展開した
確かに行き過ぎはあったが自分たちは教訓を得た
そもそも資本主義にリスクはつきものであり、本当のリスクとは過剰な規制でイノベーションを抑圧することだ、と

しかし彼らのイノベーションとやらは、持続可能な高成長をもたらしもしなければ、一般国民の住宅所有のリスク管理に貢献してもくれなかった
彼らがもたらしたのは、世界大恐慌以来最悪の不況と膨大な公的資金の投入だ

彼らのインセンティブか制約条件を変えない限りいくら金を渡しつづけても同じ過ちが繰り返されるだけだろう
金融市場の関係者たちの戦略は明確だった
銀行セクターを変革したい連中には好きなだけ議論をさせてやればいい、と彼らは考えた
合意が形成される前に危機は収まっているだろうし、危機が終息すれば改革の気運も消え去るに違いないからだ



ブッシュの金融危機対応チームは3名で構成されていた
大統領みずからが2006年に指名したFRB議長ベン・バーナンキ、ニューヨーク連邦準備銀行総裁ティム・ガイトナー、財務長官ヘンリー・ポールソンだ

中央銀行のトップがバブルを作りだし、その後継者がバブルを粉々に吹き飛ばすというのは、褒められた構図ではない(グリーンスパン→バーナンキ)
ティム・ガイトナーもバブルにかんしては長期的役割を果たしてきた
かれが財務次官として仕えたローレンス・サマーズとロバート・ルービンは、クリントン政権下で進められた規制緩和の二大設計者だった
さらに重視すべきなのは、ニューヨーク地区の銀行 − 2007年の時点で2兆3600億ドルの資産を有していた世界最大の銀行シティバンクを含む を監督する立場にあったという点だ
2003年ニューヨーク連邦準備銀行の総裁に指名されたガイトナーは、のちに数千億ドルの政府支援が必要となるにもかかわらず、管轄下の各銀行の行動に問題があるとは思っていなかった
過剰なリスクテークには警告を発していたものの彼はあくまで規制者であり、唱道者ではなかった


ポールソン財務長官は政府を去ったものの、後釜の財務長官にはガイトナーが就任し、バーナンキもFRB議長の座にとどまった
金融危機チームの調整役として、オバマはローレンス・サマーズを招聘した
1999年から2001年まで財務長官を務めたサマーズは、任期中の最大の業績を危険なデリバティブに規制をかけさせなかったことだと公言するような人物だ

過去の既得権益と無縁な新顔を揃えることが重要だと知っていたはずなのに、オバマはあえてバーナンキとガイトナーとサマーズを選んだのだ

金融危機対応チームの第4のメンバーはやはりブッシュ政権からの留任組、連邦預金保険公社(FDIC)のシェイラ・ベア総裁だった
ブッシュが住宅差し押さえ件数の増加を傍観しているとき、彼女は住宅所有者の支援を訴え、住宅ローンの見直しを声高に主張した
オバマの対応チームへの幻滅が膨らむにつれ、大銀行に立ち向かう気概を持つ人情派として彼女の株が上がったのは、皮肉というほかないだろう
銀行に公的資金を注入するさい、議会の承認を回避しようという目くらましの試みには多くの場合FDICの魔術がかかわっていた
FDICの本来の使命は小口の預金者を保護することだ
しかし、保護対象は金融商品や貸付金にまで拡大され、銀行の有毒商品を法外な値段で買ったヘッジファンドまでが救済された


私たちは金融市場に対する新しいビジョンを必要としていた
しかし、過去の失敗に深くかかわっていた彼らは、新しいビジョンを世に広め、難しい判断を下す人材として適切なのだろうか

重要な決定を行うべき彼らは長いあいだ規制緩和一辺倒の立場をとってきた
心理学では、コミットメントの漸増(いったんひとつの立場をとると立場を守る方向に脅迫観念が働く)
という現象が知られている
一方、経済学では、過去は過去という対照的な考え方がある
人はつねに前向きで、現場の立場を検証しつづけ、うまくいかないとわかればさっさと新しい立場に移行するというのである
案の定、正しいのは経済学ではなく心理学のほうだった

今回の金融危機からわかるとおり、経済に関する分析とモデルと判断はどれも欠陥だらけだった
しかし、危機対応チームのメンバーたちは、当然ながら欠陥を認めたくはないはずだ
バブル価格での取引から生じた不良債権が危機を招いたのだと悟るより、景気の落ち込みは一時的なものにすぎず、自信が回復しさえすれば住宅価格もアメリカ経済も元どおりになると信じたがるだろう
このような希望にもとづく経済政策はバブル時代の銀行の無謀な貸付と同じくらい危険だ
いったん、危険が現実のものとなれば、悪影響は何ヶ月にもわたって続くことになるだろう

これは、経済観だけの問題ではない
損失を誰が負担するかという現実問題でもある
経済の原則(企業は行動の結果を金銭で支払う)と公正の理念に従うなら、銀行は付帯的損害のすべてを負担しないまでも、少なくとも金融システムを修理するための直接的コストは100%負担すべきだ
しかし、銀行はコスト負担が再起を遅らせると主張した
たとえ、政府支援のおかげで生き残れたのだとしても、破綻した銀行の分のコストまで押し付けられるのはアンフェアだというのだ

いずれにせよ、オバマ政権は銀行の肩を持ったのである
銀行に贈り物がしたかったわけではなく、経済を救うために他に選択肢がなかった、と大統領は反論するかもしれない
のちの章で詳しく触れるが、この反論はきわめて疑わしい
金融システムを保護・強化し、貸し渋りの解消に寄与し、長期的に国の負債を千億ドル単位で減少させ、フェアプレー精神を踏みにじらない選択肢は、いくつも存在したのだ
ただし、これらの選択肢を実行すれば銀行の株主と社債保有者は富を失う
ウォール街と昵懇(じっこん)の危機対応チームが銀行に不利な選択肢を軽く一蹴したのは驚くことではない

ブッシュ政権下でポールソン財務長官がAIGに890億ドルの命綱を投げ、長官の古巣であるゴールドマンサックスが最大の恩恵を受けたときだれもがひどい話だと感じた
しかし、続くオバマ政権下で支援額は1800億ドルまで積みまされたのである


フリーフォール9 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール9 ジョセフ・E・スティグリッツ


21世紀のアメリカは最新技術を駆使した低コストの電子資金決済システムを持つはずだったが銀行の怠慢で実現には至っていない
アメリカはデンマーク並の優良な住宅ローン制度を持てるはずなのにやはり実現には至っていない
なぜ納税者の金で救済された金融機関が詐欺まがいのクレジットカード事業と略奪的な貸付を通じて一般国民をくいものにしつづけることを許されたのだろうか
理不尽なことにこれらの疑問を口にするものは、大銀行から敵対者のレッテルを貼られるのだ

アメリカが危機に陥っていくのを見ながら、私は途上国で何度も目撃した光景が、ここでも繰り返されるのではないかと懸念を抱いた
トラブルの発生に大きな責任を負う銀行家は世間のパニックを利用して富の再分配に預かってきた
大衆の財布から奪って自分のポケットにねじ込むというのが彼らのやりかただった
どの事例でも、政府は納税者に資本強化なくして経済復興なしと説明し、銀行に有利な条件で公的資金を投入した
最終的に景気が回復すると、政府は安堵のため息をもらし、原因の解明にはほとんど関心を向けなかった
(多くの例では、銀行救済が回復を早くしたのか遅くしたのかさえ定かでない)
メキシコでは1994年から97年までのあいだに銀行救済のコストがGDPの15%に達したが、救済資金の大部分は裕福な銀行オーナーのふところに転がりこんだ

メキシコの金融危機が銀行の力をほとんど弱めなかったようにアメリカの金融危機もウォール街の影響力の終焉を意味しなかった
確かに金融セクター内の富は減少したが、金融セクターの政治資本は生き残った
アメリカ政治においてとりわけ政治政策の意思決定において、直接的にも間接的にもウォール街は相変わらず全米最大の影響力を保持した
金融セクターの諸企業はここ10年間、民主・共和両党に億ドル単位の選挙資金を提供し、太っ腹なリターンを収穫してきた
政治投資からのリターンは、専門分野である市場投資と融資からのリターンをはるかに上回っていた
彼らにとって第一のリターンは規制緩和、第二のリターンは巨額の公的資金
彼らが望む第三のリターンは間違いなく規制再強化の阻止だろう
政治と金融機関のこうした交流は、新たな規制を阻止すり動きに燃料を注ぎ込んだ
ウォール街の規則をつくるべく集められたのはウォール街と直接間接にかかわりを持つ大勢の役人だった
金融セクターの関係者に金融セクターの政策を設計させておいて、金融セクターの望まない厳しい規制が実現されるだろうか


もし金融市場の絶大な影響力の証拠がほしいなら金融業界と自動車業界の対象的な扱われかたを見てみるといい

救済が必要な業界は銀行だけではなかった
2008年末、自動車業界のビッグスリーのうちGMとクライスラーが破綻の瀬戸際に追い込まれた
自動車販売が激減したため、優良経営の自動車メーカーでさえ苦戦を強いられていたが、GMとクライスラーは優良経営とはほど遠い状態だった
世間ではドミノ倒しが懸念された
部品会社が連鎖倒産し、失業率が跳ね上がり、さらに景気が後退する恐れがあったのだ
一部の金融関係者は、政府支援を求めた自分を棚に上げ、驚くような論理を公の場でさえ開陳した
経済の血液である銀行を救済することと、実際にモノ作りをしている企業を救済することは、全く別次元の問題である、と。
確かに民間企業の無差別な救済は資本主義のあるべき姿ではないが。

ブッシュは決断をためらい当座の延命措置を施して問題を次の政権に先送りした
オバマ政権は資金援助の条件として、実行可能な生き残りプランを要求した
ここには明らかなダブルスタンダードがあった
AIGの重役報酬は手付かずだったのに対し、自動車会社の労働者の賃金契約は修正を強いられた
生涯身を粉にして働き、なんの落ち度もない労働者たちは、賃金カットの憂き目にあった
他方、世界を金融の墓場にしかけた銀行家は100万ドル以上の給与をそのまま受け取った
収益がないので業績ボーナスはないものの、余人を持って代えがたい彼らには会社残留ボーナスが支払われた
自動車会社の重役たちは、金融界よりやや控えめにふるまったがオバマ政権はそれでも謙虚さが足りないと判断し、自動車会社に破産を強制した
自動車会社には資本主義の基本ルールが適用され、株主が全てを失う一方、社債保険者と債権者が新たな株主となった
経済への政府介入という領域でアメリカは新たな一歩を踏み出したのだ
この措置は必要だったかもしれないが、多くの人々は政府のダブルスタンダードに首をかしげた
銀行業界はなぜ、自動車業界と異なる扱いを受けたのか
この疑問は、アメリカのリストラクチャリング(再編成)問題の深刻さも浮き彫りにした
2009年夏に政府がGMにあわてて貼った500億ドルのバンドエイドは効き目のほどが定かではなかった
トップは引責辞任したものの、GMの経営陣の顔触れはほとんど変わっておらず、4半世紀のあいだ日本とヨーロッパの後塵を拝してきた企業が、突如として世界の第一位に返り咲くとはとても思えない
GMの再生プランがうまくいかなければ、アメリカの負債が500億ドル増加するだけでなく、経済再編成の作業も長引くことになるだろう


ハンズマン カンブリア宮殿

ハンズマンという会社は九州を中心にホームセンターを展開している会社です

この会社のすごさは、その品揃えの多さと部品1つ1つを売るところです

品揃えはお客様の要望があれば、可能なかぎり販売するそうです

またお客様が部品だけを欲しいといえば販売しているものを袋から開けてネジ一つを取り出して販売するらしいです
ストロー1つだけ欲しいと言われたらストロー1つだけ袋から取り出して1円で売るそうです

従業員への給料も業界で一位になるべく努力しているらしいです


面白い会社でした!


なにもしていないのに太る

最近なにもしてないのに太るorz ショック


政府には役割がある

最近は今読んでる本の影響もあるのかもしれませんが、「政府には役割がある」と感じます

政府は馬鹿だからなにもするな。
政府はなにしても失敗する。

こういう考えをよく聞くし、自分も実際そう思うことが多々あります


政府の役割についてですが、80年代の日本は急成長しました
中国、香港、シンガポールなどは現在急成長しています

これは民間が頑張ったということもあるでしょうが、政府の国策もかなりでかいのではないかと思います


ただ現在の日本は、必要のない公共事業を行ったり、既得権益の人達一部にだけお金が行き渡るようになっています
これでは日本がますます落ちぶれてしまうと思います
ただやみくもに政府がなんでもやるのはよくないと思います

だからといって、税金をただ現金でばらまいても日本は良くならない
昔は政府が無駄に使うぐらいならそのほうがいいと思っていました
実際短期的には需要があるし短期的にはいいと思う

でも、長い目で見ると技術開発や新しい産業にお金を投資することが国には必要だと最近強く感じます

ただばらまいても、ほんとに必要なところには金がいかないからです
必要なところとは上に書いたような10、20年先を見越した技術、産業にです
こういう分野は国が支援することが大事だと思います

また、外国から資金を集めたり、誘致することで国を発展させるのも政府だし、やはり政府にはやらなくてはいけないことがあると感じます
大きな政府を希望しているわけではありません。可能な限り小さな政府には賛成です
ただ、なんでもかんでも規制のない自由な資本主義というのには反対です
規制の分野でもやはり政府には役割があると思う




子供手当は2つの点ではいいと思います
・若者にお金が行く
・少子化に効果がある

ただ財政的な問題や外国人の問題もあるので、素晴らしい政策だ!とは思っていません
さらに無駄を省いてその金でやるならまだしも、国債を刷りまくってやっているところが1番いただけない

日本はお年寄りにお金が吸収される仕組みになっていると日々感じているので、そういう意味では子供手当は若者にお金がいくのでいいと思う


フリーフォール8 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール8 ジョセフ・E・スティグリッツ


オバマ政権は保守的な戦略を採用した
わたしに言わせればその場しのぎの戦略だ
これはきわめて高リスクの戦略だった
オバマの戦略が内包するリスクのうち一部は本書の出版前に表面化するだろうし、残りも数年以内には表に出てくるだろう
しかし、ここでひとつ疑問が残る。オバマ政権はなぜその場しのぎを選択したのだろうか

銀行に底無しの支援を続けておきながらアメリカ経済と病んだ金融セクターに対する将来のビジョンを示していない

資本主義にかわるビジョンを提示していないという点でオバマは保守派だった
実際太っ腹な銀行救済策の糾弾に加わったことを除けば彼は金融システムについてほとんどなにも語っていない
灰の中からどうやって新システムを構築するかについても、その新システムにどのような機能を持たせるかについても
オバマが提示したのはより広範で実用主義的な未来のプランだった
すなわち医療、教育、エネルギーの各分野の問題を解決する野心的な計画である
ビジョンをつくることのリスクが存在するようにビジョンを持たないリスクも存在する
政治にビジョンがなければ改革の全プロセスは金融界によって牛耳られるだろう
そして欠陥を抱えた金融システムはさらに脆弱性を増し、リスク管理と資本の適正配分の機能も低下するだろう

金融界は独自のビジョンを持っていた
みずからの利益を最大化し、2007年以前の世界を可能なかぎり再現しようというビジョンだ
彼らは金融ビジネスそのものを目的としてとらえ、ビジネスの規模と収益に誇りを持っていた
しかし、金融システムは目的ではなく、目的達成のための手段にすぎない
膨らみ過ぎた金融セクターの収益は残りのセクターの繁栄と効率を犠牲にして得られたものである
アメリカの金融システムがうまく機能しなかった理由についてオバマ政権は明確な考えを持っていなかった
オバマ政権はシステムを再設計するかわりに失敗した既存システムの補強に資金のほとんどを振り向けた
大きすぎて潰せない金融機関は次から次へと政府に救済を求めた
しかし、金融機関の爆心地というべき大銀行に注入された税金はもっぱら誤作動を繰り返すシステムの不良部分の補強に使われてしまった
ベンチャー企業や中小企業など経済を活性化してくれる分野に対する融資機能はほとんど強化さるぬまま放置された

オバマ政権の手法を実用主義的と評する者もいれば、既存の政治勢力との現実的な妥協と評する者もいる
また経済を建て直すための良識ある手法と評する者もいる




■クリントン政権下
大統領経済諮問委員会にいた。
私たちは優先順位について激論を戦わせた
債務削減に重きを置くべきか、投資と基本ニーズ(社会福祉改革や健康保険改革や医療の拡充)に重きを置くべきか

会議の参加者たちの血圧を跳ね上げたのは企業福祉をめぐる論争だった
これはアメリカ企業が助成や税制優遇の形で受けとる巨額の資金を指す

資源が限られている以上、政府の役割は経済の効率化と貧困者や弱者の援助だ
企業に対する給付は経済の効率性を低下させ、富の再分配を間違った方向に動かした
財政が逼迫している状況下では裕福な企業に貧しいアメリカ国民にわたるべき資金が減ることを、もしくはインフラとハイテクに対する高収益の投資が減ることを意味した
国家全体としてみるとワシントンDCから流れ出る企業福祉という名の血税はほとんど効果がなかった

ブッシュ政権の末期、企業福祉は史上最高水準に達した
民間金融機関向けのセーフティネットは、商業銀行から投資銀行に拡大され、さらには保険会社にまで拡大された
保護対象となった金融機関の中にはリスクに対する保険料を払っていないうえ、課税逃れに血道をあげている企業も含まれていた

オバマが大統領に就任したとき、企業福祉を継続するのか、よりバランスのとれた再分配を模索するのかに注目が集まった
銀行に対するさらなる資本注入を行う場合、経営陣の責任を厳しく問うのか?注入額に見合う価値を差し出させるのか?
ちなみに倒産しかけている企業に救いの手を差しのべるとき、ウォール街はきっちりと相応の見返りを要求する

オバマ政権は大きな賭けに出ることを決断した
ブッシュ政権の路線をそのまま継承し、資本主義の基本ルールの適用を可能な限り避けることにした
資本主義のルールでは債務を返済できない企業は、破産(あるいは清算)処理にまわされる
この場合株主は全てを失い、社債保有者と債権者が新たな株主となる
同様に銀行の場合も債務を返済できないと管財措置が強要される
新大統領はウォール街を懐柔するため、そしておそらくは経済復興のスピードを速めるため、一般国民の怒りを買うリスクをあえてとった
オバマの戦略がうまくいけば、深刻なイデオロギーの争いは回避されるだろう
景気がすばやく回復すれば、一般国民もウォール街への太っ腹な贈与を許容するかもしれない
しかし、ブッシュ路線の継承は大きなリスクをはらんでいた
短期的には、経済に対するリスク
中期的には、財政に対するリスク
長期的には、公正さの観念と社会の一体性に対するリスクだ

どういう戦略にもリスクはつきものだが、オバマの戦略はとりわけ長期的リスクの面で不透明さを抱えていた
そしてこの戦略はまた数多くの中小銀行関係者に疎外感をあたえるリスクも内包していた
なぜなら、彼らは政府の方針の裏に、大銀行の影を感じとっていたからだ
ただでさえ超大型金融機関に有利にできている闘技場は金融システムを危機にさらした張本人たちのほうへと、さらに傾斜を強めたようだ

ブッシュ政権が始めた銀行救済の流れを継承するというオバマの賭けは、さまざまな危険性をはらんでいた
経済の不振が彼の予想よりも深く、あるいは長く続けば、もしくは銀行の抱える問題が自己申告よりも大きければ、後始末のコストはさらに膨らむだろう

金融界は法外な収益で政治的影響力を買うことにより規制緩和を実現させ、続いては兆ドル単位の公的資金を手にした
彼らは財政規律と自由市場主義を唱え、モラルハザードを盾にして貧しい住宅所有者の救済に反対する一方、みずからは底無しの救済を要求しつづけた
金融セクターに対する一般国民の怒りは右肩上がりで膨らんでいく可能性が高く偽善行為に対する大衆の忍耐力がいつまでもつかも定かではない

ウォール街の新しい盟友たちが移り気なことをオバマはすぐに思いしらされるはずだ
べらぼうな報酬を非難する一般国民に対する怒りをむきだしにするだろう
反対にオバマが銀行に無批判の姿勢を貫くなら一般国民の心情にうとい大統領とみなされるだろう

多くのアメリカ人に多くの出費を強いたウォール街の非道を考えれば、金融システムに浴びせられる非難の声が多少荒くなっても驚くには値しない
しかし、声を荒らげたのは金融界のほうだった
資本注入を受けた銀行の役員報酬を制限する試案は、「ニュルンベルク法(ナチスのユダヤ人迫害法)」とこきおろされた
シティグループの新会長は全員になにがしかの責任があると認めながらも「悪党捜しをして、悪党に罵声を浴びせるという文化はいただけない」と訴えた
公的資金を受け取ったある銀行の重役夫人は、ほまれ高きアメリカの銀行家の転落ぶりは「あまりにも突然であまりにも激しく、毛沢東の文化大革命で地方に追いやられた知識人のようだった」と告白した
そう、加害者たちは自分たちこそが被害者だと感じていたのだ

高い役員報酬に懸念を示しただけでウォール街から吊るし上げを食らうのだから、危機後の金融セクターのあるべき姿についてオバマが明確なビジョンの提示を避けたとしても不思議はない
アメリカな銀行は規模が大きすぎて潰せないだけでなく、政治的影響力が大きすぎて制御が不可能になっていた
では、大きすぎて潰せないのが本当だとしても、なぜその大きさまで膨らむのを許してしまったのだろうか


ipadが電子教科書に向かない理由

でかい、重い、電子書籍用に作られたわけではない

個人的には当たり前だけど大事なことだと思います
12年間?使うわけですから、でかいのと重いのはまず始めに解消されるべき
ipad nano!みたいな形で

あと目が疲れてしまうのと、ゲームばかりに使われてしまうのは目に見えています
学校からゲーム持ってくる許可がでたようなものです
休み時間はゲームばかりやってしまうでしょうし、放課後もみんなでゲームしてしまいます
任天堂もソニーも売れなくなりますね、きっと
国をあげて馬鹿な生徒作りはやめるべきです

電子教科書自体は賛成ですが、
電子書籍用に作られた端末で軽くて薄くて目に優しく、エンターテイメント性の低い端末で行うべきだと思います
ipadのような最先端の端末に触らせたいのも事実ですが、ひとまずはGoogleアースとかできればいいんじゃないかと思います


円売り介入!

昨日ついに円売り介入しましたね

円売り介入したとき短期的、長期的にはどうなるのかしっかり勉強したいと思います


フリーフォール7 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール7 ジョセフ・E・スティグリッツ

■経済の大転換期
機能不全を示す諸症状の裏には世界経済が地殻変動並の大転換をしているという真実が存在する

世界大恐慌はアメリカの農業衰退と時を同じくした
農業の生産性があまりにも上がりすぎたため、全人口のほんの一部が農業に従事すれば全米の農産品需要を全て満たせるようになったからだ
農業を基盤とする経済から製造業主体の経済へ移行するのは、たやすいことではなかった
実際アメリカ経済が成長を取り戻すのはニューディール政策が緒につき第二次世界大戦の特需で人々が工場で働くようになってからだった
今日のアメリカは製造業からサービス業への転換というトレンドに揉まれている
この転換の一因は製造業における生産性の向上である
しかしアメリカ、ヨーロッパにはもうひとつ別の転換理由が存在する
グローバル化によって製造拠点と比較優位性が中国やインドやほかの途上国に移ってしまったことだ


アメリカ経済と世界経済に健全性を取り戻させるには、新しい経済に適合するための経済再編成を行い、地球規模の不均衡を是正しなければならないだろう



世界大恐慌以後、数十年の間アメリカが巨大バブルと無縁でいられたのは、大恐慌のトラウマで厳しい規制をしいたからであり、いったん規制緩和へと流れが向かえば過去の悪夢がよみがえるのは時間の問題だった

2008年秋、リーマンブラザーズが破綻しファニーメイとフレディマックが国有化されAIGが救済されたあとブッシュは不良資産救済プログラム(TARP)の名のもと矢継ぎ早に総額7000億ドルの援助資金を銀行に注入した
銀行に救いの手をのばす一方、差し押さえを受けそうな数百万の住宅所有者をないがしろにするという方針は、内出血で死にかけている患者に大量の輸血を行うようなものだった
住宅ローンの債務不履行の洪水を止めないかぎり、いくら公的資金を流し込んでも銀行は救えないだろう
現金の注入は一時しのぎにしかならない

売上高が急落しているときに金利を2%から1%に引き下げても企業は新しい工場の建設や新しい機械の導入には踏み切りにくい
通常不況が深刻化するにつれ、余剰生産力は大きくふくらんでいく
未来が見通せない状況下では金利をゼロにしてもおそらく経済の蘇生は望めないだろう
さらにいうと、中央銀行は政府が支払う金利を決めることはできても民間企業が支払う金利を決めたり、銀行に貸付けを強制したりすることはできない

オバマとマケインの両大統領は3つの基本戦略が必要であるという点で一致していた
劣悪な住宅ローンの洪水を止めること、経済を刺激すること、銀行セクターを再生させることだ
しかし戦略の各論に踏み込むと二人は意見を異にした
経済、イデオロギー、富の再分配をめぐる民主党と共和党の戦いは、四半世紀の間ほとんど変わっていない
マケインが提案する景気刺激策は、消費を喚起するための減税に重きを置くものだった
オバマは投資を中心とする政府支出の拡大を主張し、これには地球環境改善のためのグリーン投資がふくまれた
マケインは住宅の差し押さえ対策として、政府による銀行への損失補填を打ち出した
オバマの打ち出した対策は控えめで住宅所有者の支援を重点としていた
銀行を改革する手法については両候補とも明確なビジョンを持っておらず、ブッシュ大統領の救済の努力を批判することによっていたずらに市場を混乱させることを恐れていた

奇妙にもマケインはときとしてオバマより大衆迎合的な立場をとり、ウォール街の悪行を積極的に批判しているように見えた
共和党は大企業寄りの政党として知られるがマケインは因習にとらわれない一匹狼だった
オバマはビル・クリントンと同じく反産業界の立場をとる民主党の古い党風と懸命に距離を置こうとしていた
クーパーユニオンでの有名な演説では、よりよき規制をしく絶好の機会が訪れたと力説していたのだが、、


小泉元首相、竹中さんの講演会メモ

これは今年の6、7月に行ってきた楽天証券主催のセミナーで講演されたときのメモです。おもしろかったです。

■小泉さん
民主党は、
・特別会計を見直せば15、20兆円出る
・4年間消費税を上げない。国債発行を減らす
といっていて期待していた

痛みを伴う行政改革をやらないとダメ
どんどん予算が増える

今の民主党は、
・数千億円削除して数兆円ばらまいた
・しがらみがないから改革できると期待されていたのに自民党の支持母体を民主党に取り込もうとしている。さらにしがらみ
・1番税金のかかっている道路公団・郵政を民営化したのに、高速道路を0円にするとまた税金がかかる。道路公団は借金40兆円。郵政も再国営化しようとしている。

医療制度
75才が1割、現役3割、乳幼児1割
年齢でわけるのはけしからんというが他にどうわけるのか
一律にするのか
民主党は年齢で差別するのはやめるらしいがではどうするのか

日米関係がよければ、中国・韓国(他の国)とも良い関係がつくれる
日米関係が悪ければ足元をみられる
日米関係がよければよいほど、他の国とも仲良くできる

日本の外交政策は間違っていなかった
日米同盟により60年間平和で発展できた
最大の敵を最大の味方にした。日本はものすごい柔軟

日本には都市資源がある
今後資源が高くなればリサイクルが本格化する

国民が独立してこそ、国が独立する
今一番大切なのは責任。社会への責任。国への責任

人生の本舞台はつねに将来にあり(小沢ゆきお 94才)


■竹中さん
ギリシャ問題
スペインまで広がるかが問題
フランス・ドイツ銀行はギリシャ国債を持っている

アメリカ ハワード氏
「ファンダメンタルは良好」
「イノベーションの力、マネジメント力は変わっていない」
その通りだと思う
短期敵には財政緩和策のエグジット戦略が必要

中国
GDPが日本に追い付くことは、なんら驚きはない
ただ10年後2倍になることは用意に想像できる

元は上昇する
天安門のころより45%低い
ここまでは簡単にいくと考えられる
こうなると予想より早くアメリカに追い付く

一人子政策、政治指導者の入れ替えのために4、5年後政治力は弱まっている
アジアに混乱を招く可能性

日本
失われた12年→ケインズ政策
下げどまった5年→不良債権の処理、道路公団・郵政民営化
さらに失われた3年

小泉政権
失業者は減った→雇用は100万増
格差は縮まった→ジニ係数は改善

日本はまだ需給ギャップが25兆円
民主党はケインズ政策をやるといっているのに需給ギャップをうめない

小泉さんは当たり前のことをやった
・不良債権処理
・民でできることは民

民主党は未成熟
自民党のいいところは取り入れるべきなのに全否定
普天間、郵政の人事

増税で経済が伸びる場合
・大不況などで民間が使わないとき→ケインズ政策
・民間よりも効率的に使える場合→、、、

小泉政策は小さな政府にはしていない
これ以上大きくしていないだけ。横ばい

子供手当
やめるべき
3人いると年間100万円
16年で1600万円
田舎では家が建つ

子供手当をやめれば、法人税を香港並に下げられる


フリーフォール6 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール6 ジョセフ・E・スティグリッツ


■世界に波及した危機
今回の危機はすぐさま全世界に波及した
アメリカの住宅ローン債権のうち、約4分の1が海外に販売されていたのだから当然といえば当然だ
外国の金融機関が有害な証券化商品と国債を買ってくれていなければ、アメリカの状況はもっと深刻になっていただろう
アメリカは最初に規制緩和の哲学を輸出し、最後には不況を輸出した

危機が発生した当初、ヨーロッパ人の多くはデカップリング論を唱えた
アメリカが不景気のままでも、アジアの成長が欧州諸国を不況から救ってくれるはずだと
しかし、これもまた希望的観測に過ぎなかった
アジアの経済はまだ規模が小さすぎるし、アジアの成長は対米輸出に大きく依存している
アジア諸国の消費の総計はアメリカのちょうど40%


ヨーロッパの金融機関がアメリカから買った有害な住宅ローン債権に痛めつけられているときに、欧州各国の政府はみずからが招いたトラブルと格闘していた
スペインは大規模な住宅バブルの発生を許してしまったため、現在では国内の不動産市場がほぼ壊滅状態に陥っている
スペインはアメリカと違って銀行規制が厳しく、銀行システムだけで見ると傷の深さの割に出血は少なかったが、経済全般の落ち込み具合はアメリカよりも深刻だった

イギリスも不動産バブルにねじ伏せられた
世界有数の金融ハブであるシティを擁するイギリスはあらゆる金融ビジネスを誘致しようと底辺への競争という罠に陥っていた
誘致のためのゆるい規制はアメリカと同等の被害をもたらし、経済における金融セクターの比率を高くしていたため、救済のコストは(率で見ると)アメリカより大きくなった
イギリスではアメリカと同じように高い給料とボーナスという金融文化が根付いていた
しかし少なくともイギリスでは説明責任の必要性が理解されており、公的資金を受け取った銀行のトップは引責辞任した
イギリス政府は注入した金額に見合う対価を要求し、オバマ政権とブッシュ政権のように無償提供はしなかった

開放された小国が規制緩和というモットーを鵜呑みにしたとき、一体何が起こるのか知りたいならアイスランドを見るといい
国内銀行のむこうみずな行動がたたって、アイスランドの未来は危機にさらされている
人口30万人のアイスランドでは3つの銀行が国のGDPの11倍にあたる総額1760億ドルの預金と資産を保有していた

2008年秋、国内の銀行システムが見る影もなく崩壊したため、アイスランドは先進国としては40年ぶりにIMFの救済を求めた
アイスランドの銀行は他国の銀行と同様、高いレバレッジをかけ、高いリスクを取っていた
金融市場がこのリスクを認識し、資金を引き揚げはじめると、3行(特にランズバンキ)はイギリスとオランダの国民から預金を集めた
アイスセーバーと呼ばれるランズバンキ傘下のネット銀行は高い利率を謳っており、預金者たちは愚かにもノーリスクハイリターンがうけとれると思い込んでしまった
結局イギリスとオランダからの預金集めは借金清算の日を延期する効果しかなかった
弱体化した銀行を救済しようにもアイスランド政府には千億ドル単位の支援を行う財政力はない
この事実が投資家に知れ渡れば取り付け騒ぎが起こるのは時間の問題だった
アイスランド政府はアメリカの場合と異なり、株式と社債の保有者を救えないことを知っていた
彼らに許された選択肢は、
国内の預金者を救うかどうか、国外の預金者をどこまで保護するか、という2点のみだ
イギリス政府は強硬手段をとり、反テロ法を使って、イギリス国内にあるアイスランドの資産を凍結した
そして、アイスランドがIMFと北欧諸国に支援を仰ぐと、イギリス・オランダの預金者に対する手厚い保護を要求した
預金保険で保証されている以上の金額をアイスランド国民の税金で補填しろと。

それから1年後の2009年、アイスランドを再訪問した私は、現地の人々の怒りを肌で感じた
なぜ民間銀行の尻ぬぐいのために自分たちの税金が使われなければならないのか、とアイスランド人は憤っていた
しかも今回の出来事は外国の規制当局が自国民の保護を怠った結果でもあるのだ

ヨーロッパ各国政府が強硬な反応を示したのは、アイスランドが欧州統合の根源的欠陥を暴露したからである、という見方は多くの人々に共有されている
単一市場の中であれば、ヨーロッパの銀行はどの国でも営業ができる
しかし、規制の責任を負うのは銀行の母国の政府だ
母国政府が規制の仕事をしくじれば、他国の市民が大金を失うことになる
ヨーロッパはこの事実を、この事実の裏にひそむ示唆を考えたくなかった
だから、小国アイスランドだけにすべてのつけをGDPの100%近い額のつけを払わせたのである

今回のようにこれだけ早く危機が広まった一因はIMFとアメリカ財務省が各国に押し付けた政策、とりわけ資本市場と金融市場の自由化政策だ
これらの政策はアメリカをトラブルに巻き込んだ自由市場経済という名のイデオロギーに基づいていた
アメリカでさえ金融支援と景気刺激策の数兆ドルの財源確保に四苦八苦しているのに、貧しい国々がアメリカと同じレベルの対策を打てるはずがなかった


フリーフォール5 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール5 ジョセフ・E・スティグリッツ



ヌリエル・ルービニ、ジョージ・ソロス、スティーブン・ローチ、ロバート・シラー、ロバート・ウェスコットは繰り返し警告を発してきた
彼らは全員ケインズ学派のエコノミストであり、市場に自動調節能力はないという見方で一致していた
私たちの大多数は住宅バブルに懸念を抱いた

しかし、バブルを構築してきた張本人たちはどうだろう
例えばヘンリー・ポールソン元財務長官はゴールドマン・サックスの経営者時代に、自社のレバレッジ比率を過去最高の水準に引き上げたし、ベン・バーナンキはサブプライムローン発行の継続をゆるした

そんな彼らは、世界経済の破綻という現実に直面せざるをえなくなるまで市場の自動調節能力を信じ続けたのである

1992年に私は住宅ローンの証券化が最終的に厄災をもたらすという警告を発している

アメリカ経済の好調さは持続不可能なバブルのおかげで持続していた
バブルがなければ、総需要−個人、企業、政府、外国から求められる商品とサービスの総計は弱いまま推移していただろう

私は長年にわたり、ブルース・グリーンウォルドとともに総需要の全世界的な不足が将来問題になると警鐘をならしてきた

グローバル化された世界では全世界の総需要の数字が重要な鍵を握る
全世界の人々が求める商品とサービスの総量が、もし全世界の生産能力の総量を下回れば、私たちは弱いグローバル経済という問題を抱え込む
全世界の総需要が弱まる一因としては、準備金−万が一のために備えておく資金 の総額が増加している点があげられる
開発途上国は千億ドル規模の準備金をたくわえ始めていた

彼らが避けようとしたのは、地球規模で高まる変動性からの悪影響とIMFに支援を求めた国が味わわされる不快感だった

1997年の金融危機のさい辱めを受けたある国の首相は、わたしにこう言った
「我々は97年の卒業生だ。充分な外貨準備がないとどうなるかは、すでに学習済みだよ」
裕福な産油国も準備金をためこんでいた
原油価格の高騰が持続しないことを知っていたからだ

途上国が発展を遂げる最善策は輸出主導型の成長であるともてはやされてきたが、WTOのもとで制定された新たな通商ルールでは新しい産業をおこすための従来型手法が使えず、途上国の多くは為替レートを通じた競争力維持という政策に転換した
これは自国通貨を売ってドルを買うことを意味し、結果として外貨準備高が膨らんでいった

このように準備金の蓄積にはもっともな理由がたくさん存在するが、過剰な準備金は世界的な需要不足という悪影響をもたらした
今回の危機が発生するまでの数年間、積み上げられてきた準備金の額は、1年間に5000億ドル以上を数えた
しばらくの間はアメリカという名の救世主が現れ、借金で身分不相応な浪費を続けてくれた
アメリカは世界の消費にとって最後の頼み綱といってよかった
しかし、こんな状態は持続不可能だった


山万 千葉県佐倉市 ユーカリが丘 カンブリア宮殿

昨日のカンブリア宮殿は、山万という会社でした

この会社は、千葉県佐倉市で団地を運営しているディベロッパーです

私にとって団地といえば、多摩ニュータウンみたいな、国が開発して現在では高齢化してゴーストタウンみたいになってしまった例が始めに思い浮かばれます

しかしこの山万は、永続的に発展できるように考えて開発していて、幼稚園からバス、鉄道、警備会社まで幅広く手掛けて、ユーカリが丘の発展に腐心しているみたいです
待機児童がゼロらしいです

成田のほうにあるので、ちょっと?田舎ですが、こういう団地になら住んでみたいですね


独立した金融政策、自由な資本移動、固定相場制

国際金融秩序は昔から
独立した金融政策
自由な資本移動
固定相場制

この3つを同時に達成することはできない
「トリレンマ」 の原理 とかいうらしい

金本位制を捨てた今では、固定相場から変動相場が普通
そして独立した金融政策と自由な資本移動を取る


ドルにペッグさせると自由な資本移動か独立した金融政策をすてなくてはいけない

ここからはなんとなく自分で考えて書いてます

自由な資本移動をとると、自国から外国へ資本が移動してしまったりするため、金融政策はペッグを維持するために通貨量を調節しなくてはいけなくなり、自由な金融政策が取れなくなる

逆に独立した金融政策を取ると、通貨量を自由に決めるので、ペッグを保つために資本移動を制限しなくてはいけなくなる

こんな感じかな?


SDRってどうなのかな?

IMFの発行するSDR(特別引出権)を最近耳にする機会が増えてきました

これは、通貨バスケットを採用していて、ドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨らしいです

加盟国の準備通貨としての役割を担うのが目的だとか。

ドルが信用できない今、ニーズが高まりつつあるのかな?とシロウトながら思っています

ただこのSDR、通貨バスケットを取っているとはいえドルが50%で構成されてますし、万が一にもありえないとおもいますけどこのSDRのほうが無効になってしまうことってないのかな?

ドルの比率が50%なのは、経済規模的にしょうがないんでしょうが、、
準備通貨としては自国でSDRの比率と同じで持っているほうがIMFが間にいないだけよかったりしないのだろうか?

もしかしてSDRの意味を勘違いしてるのかな、、私は。

各国に無償で割り当て、新興国の経済成長を促すとか貿易の活性化とかそういう目的で割り当てているのであって、自分の疑問は的を得ていないのだろうか


フリーフォール4 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール4 ジョセフ・E・スティグリッツ


■外部性
銀行家たちは自社の金融商品が人々にどんな危険を及ぼすかについても、自社の金融商品がどれほど大きな外部性を創出するかについても、全く考えていなかった
経済学でいう外部性とは、ある市場取引が第三者に及ぼす損益を指す
市場の効率性という概念は広く信じられているが、深刻な代理人問題と外部性が存在するとき市場はたいてい効率的な結果をもたらさない
これは金融市場の規制の論拠にもなっている

■グラス=スティーガル法
投資銀行と商業銀行を分離していた
1999年に撤廃されたため、大きすぎて潰せない独占的な銀行が生み出された
そして、大きすぎて潰されないことを知った銀行は、過剰なリスクテークに走るインセンティブを持った

グリーンスパンとブッシュは経済面での政府の役割を最小化しようとしたが、現実には政府はさまざまな分野で前代未聞の大きな役割を引き受けることになった
なにしろ、現在のアメリカ政府は世界最大の自動車メーカー、保険会社、世界最大級の銀行数社を保有している(公的資金注入の見返りとして)

これらの皮肉と比肩しうるほどの一貫性のなさが、東アジア通貨危機以前と最中と以後の国際通貨基金IMFとアメリカ財務省の論議に、そして当時と現在の政策の間に見られる
IMFは市場原理主義への帰依を公言する
市場の自己修正機能に任せておけば、成長と効率は最大化されるというわけだ
しかしその一本で危機が起こった次の瞬間には世界中に巨額の公的支援を呼びかけ、危機が国から国へと広がる伝染の懸念を表明した
しかし、伝染とは外部性の最もたるものであり、もし外部性の存在を認めるなら市場原理主義を信奉することは論理的に不可能なのだ
IMFとアメリカ財務省は数億ドル規模の支援を行ったあとも事故の発生率と被害を抑える措置(すなわち規制)の強化を拒んだ
失敗の事例を繰り返し目撃した直後だというのに彼らは市場に任せておけばすべて上手くいくと信じていたのである

エコノミストは返済不能の住宅ローンの借り手を救済すべきでないという論拠として、モラルハザードを引き合いに出している
返済できないときに助けてもらえる可能性があるとわかれば、返済するインセンティブが低下してしまうという理屈だ
モラルハザードを懸念したIMFとアメリカ財務省はインドネシアとタイに対する金融政策援助に反対した
そして両国に銀行システムの大混乱と泥沼の景気悪化をもたらした
リーマンブラザーズを救済しないという決断にもモラルハザードへの懸念が影響を与えた
しかしアメリカの大銀行に危険が及ぶとモラルハザードへの懸念はどこかに吹っ飛んでしまった
銀行重役は記録的な損失を出しながら巨額のボーナスをせしめ、株主への配当は減額をまぬがれ、株と社債の所有者はがっちりと保護された

アメリカ経済がみごとに生き残りを果たしたため、生き残れたのは大規模な政府介入のおかげだということに注意を払わず、規制当局は市場の自律性が機能したのだ、規制は不必要だったと誤った判断を下してしまった

代理人問題と外部性の存在は政府が関与する必要性を意味する
政府が役割を上手くはたせば事故の件数は少なくてすむし、事故の被害も軽くてすむ
いったん事故が起こってしまったら、政府は事態の収拾に動かなくてはいけないが、その際どんな手法を用いるかによって、未来の危機の可能性は大きくも小さくもなる

成功している経済では例外なく政府と市場がそれぞれの役割をバランスよく演じている
どれだけやるかだけでなく何をやるかも重要だ
レーガン政権、ブッシュ政権では、アメリカ社会はそのバランスを失い、政府の役割を過小にしたため、現在では過大にせざるをえなくなった
間違ったことをやってしまうと将来の負担は重くなりかねないのである


信じるな、疑え、確かめろ

なかなかいいなと。

フリーフォール3 ジョセフ・E・スティグリッツ

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他の本でも語り尽くされた内容でもありますが、何度みても勉強になります

■序
グリーンスパンたちは低金利政策に対する非難をかわすため入れ替わり立ち替わりアジアを批判し過剰貯蓄による過剰流動性を批判した
繰り返しになるが好条件で資本を輸入できることは有利になっても不利にはならない
グリーンスパンたちの主張はFRBがアメリカ国内の金利をコントロールできないと言っているに等しい
もちろんFRBは金利をコントロールできる
彼らはあえて低金利の継続を選択したのだ


■ウォール街、規制
ウォール街は自分たちの蛮行を制止しなかった規制当局を批判した
しかし、企業というものは、みずから正しく行動すべき存在ではないのか
蛮行の原因は、インセンティブの欠陥だ
この要因をあげるとすれば、企業統治(コーポレートガバナンス)の制度に欠陥があったことと、独占禁止法の執行が徹底されていなかったこと、市場に情報の不完全性が存在したこと、投資家がリスクを充分に理解していなかったことだ

金融セクターが主犯として批判されるのは当然だが、規制当局も果たすべき務めを果たしておらず、羽目をはずす銀行を制御しなかった
比較的ゆるい金融分野(たとえばヘッジファンド)の関係者は規制が厳しい分野(銀行)で発生した最悪の事態を見て、規制そのものに問題があるという安易な結論を導き出した
しかし、彼らは重要な点を見落としている
銀行を厳しく規制しなければならないのは、銀行が破綻した場合、経済全体に及ぶ悪影響がきわめて大きいからであり、ヘッジファンドの規制がゆるくてもいいのは、悪影響が比較的小さくてすむからなのだ
規制が銀行を蛮行に走らせたのではない
規制そのものと規制の執行に欠陥があったため、銀行の蛮行を阻止することができず、いつもながら、社会全体がつけを払わされる結果となったのだ


■証券化商品
証券化商品はグローバル化した金融界が内包する新たなリスクの格好の事例といえる
新たなリスクとは貸してと借りての破綻だ
証券化の大きな長所はリスクを拡散できること
大きな短所は情報の不完全という新たな問題を生み出すことである
この短所は長所を凌駕していた
住宅ローン担保証券を買うという行為は、事実上住宅所有者に金を貸すのと同じだが証券の購入者は住宅所有者の素性をしらない
購入者は銀行が審査したはずだと信じ、銀行は住宅ローン会社が審査したはずだと信じる
しかし、住宅ローン会社のインセンティブは住宅ローンの質を高める方向ではなく、量を増やす方向にはたらく
実際彼らは膨大な量の劣悪なローンを発行してきた
銀行はよく住宅ローン会社を非難するが、自分自身でチェックしてみれば内在するリスクはたやすく見極められたはずだ
そう銀行は実情は知りたくなかったのである
銀行のインセンティブはつくり出した証券化商品を可能な限り早く誰かに売りつけることだった

金融業は転売ビジネスと化した
住宅ローン会社からローン債権を買い、自社でパッケージし直したあと、出来上がった商品を年金基金などの帳簿上に移しかえるのである
それが最も手数料を稼ぎやすい業態だからだ
これまで銀行の伝統的なビジネスモデルは転売ビジネスとは対極の保管ビジネスだった
住宅ローンを発行しローン債権を所有しつづけるという業務だ


フリーフォール2 ジョセフ・E・スティグリッツ

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メモ〜


■序
規制緩和などにかんする全ての重要な政策は個人の枠を超えた政治的、経済的な力関係−利害、観念、思想など−の結果であるというのが本書の見方だ
ロナルドレーガン大統領が1987年にグリーンスパンをFRBの議長に任命したとき、レーガンは規制緩和に本気で取り組んでくれる人物を求めていた
前議長のポールヴォルガーは規制の重要さを理解しており、レーガンとしては逆に規制を解く方向へ金融行政を進めたかったのだ
もしグリーンスパンが引き受けなくても喜んでその役を担いたがる人間はたくさんいただろう
だから問題はグリーンスパン個人より政策の基調となった規制緩和という考え方なのである


欧米から見ると1997年の東アジア緊急援助は自分たちに害が及ばなかったから成功だったといえる
現地の人達の観点に立てば、自国の経済が破綻し、夢が壊れ、企業が倒産し、国庫が巨額の負債をかかえ込んだのだからとんでもない大失敗だろう
批判家の目にはIMFとアメリカ財務省の政策は事態をさらに悪化させたように映った
支持者の目には大惨事を食い止めたように映った

IMFと財務省の行動は不況を長引かせ深刻化させたのか、それとも収拾を早め、傷を軽くしたのか
わたしからみると答えははっきりしている
IMFと財務省が推し進めた高金利と支出削減の策−今回の危機で欧米がとったのと正反対の策−は危機の傷口を広げた
東アジアの国々はやがて不況から立ち直ったが、それらの政策のおかげではなく、それらの政策の不利を克服しての回復だった

規制緩和の時代に長く続いた世界経済の拡張を見守ってきた多くの論者が束縛のない市場はうまく機能するという結論を出した
規制緩和が高度成長を可能にしその成長は持続するというのだ
この場合も現実はまったく違っていた
それは債務の山の上に築かれた成長だった
その基盤は控えめにいっても脆弱なものだった
欧米の銀行は自分たちの愚かな融資慣行で生じた穴を繰り返し緊急援助でうめてきた。
タイや韓国、メキシコ、アルゼンチン、、数え上げるときりがない。
一件切り抜けるごとに世界はなにごともなかったかのように動きつづけ、多くの人が、市場は自律的に機能していると思い込んだ
しかし、市場が犯した誤りから幾度となく市場をすくったのは、政府なのだ

わたしの目には2008年の大不況は、それに先立つ数年間に推し進められてきた政策のさけがたい帰結であるように見えた

金融セクターに属する人々はしばしばFRBがあまりにも低い金利をあまりにも長く続けた点を非難する
しかしこれほど珍妙な責任転嫁はない
銀行の主要な投入(たとえば鉄鋼や賃金)は資金調達のコストなのに彼らはFRBがそれを安くしすぎたと文句を言っているのだ
もしも安く調達できるマネーが有効に活用されていれば、技術開発や事業拡大の投資に生かされていれば、アメリカ経済はもっと力強く成長し、もっと高い競争力を獲得していたに違いない
規制が緩くても安いマネーがなければ、バブルは発生しなかっただろうし、安いマネーがあっても銀行システムがきちんと機能していれば、もしくは銀行システムきちんと規制されていれば、バブルではなく好景気になっていただろう
同様に格付会社がきちんと仕事をしていれば、年金基金などの機関投資家が大量の危ない金融商品を買うことはなく、バブル崩壊の規模はきわめて微小ですんだだろう
また格付会社がどう評価しようと投資家が自分自身で適正なリスク分析をしていれば、やはりバブル崩壊の規模は微小ですんだ


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内容をメモ

■序
ニューエコノミーは規制緩和や金融工学など20世紀後半を特徴づける驚異的なイノベーションの総称であり、よりすぐれたリスク管理を可能にし、景気循環を消滅させるはずだった
しかし、大不況が幻想を打ち砕いた
明らかに80年前の大恐慌以来、最悪の景気下降である

四半世紀ものあいだ幅をきかせてきたのは自由市場主義だった
いわく、足かせのない自由な市場は効率的で、もし過失を犯しても自力で即座に修正する
最良の政府は小さな政府であり、規制はイノベーションを阻害するものでしかない
中央銀行は独立した機関として、インフレ率を低く保つことのみ専念すべきである


資本主義と共産主義の相克(そうこく)は終わったかもしれないが、市場経済には多くの考え方があり、激しい論争がある
成功した全ての経済において、市場がその中核を担っていることはたしかだが、それらの市場が独力で機能しているとは思えない
その意味では私は、現代経済学に絶大な影響を与えたイギリスの巨人ジョン・メイナード・ケインズの流れを汲んでいる
政府には果たすべき役割があり、それは市場が崩れたときに経済を救うだけでなく、市場に規制を課して、わたしたちが今回経験したような失敗を防ぐことまでを含む

経済には、市場の役割と政府の役割のバランスをとることが必要で、市場と政府のいずれでもない第三機関の大きな意味をを持つ
過去25年間アメリカはそのバランスを失っており、アンバランスな大局観を世界中の国々に押し付けてきた

危機がどこまで長引くかは政策次第だ
すでになされた失策は、景気の低迷をさら
に長期化させ、深刻化させるだろう

私たちは危機以前の世界には戻らないし、戻れもしないだろう


2008年の危機で市場原理主義の命脈は尽きたと思った人もいるだろう
誰も二度と市場が自律的であるなどと唱えることはないし、市場参加者の利己的な行動に任せれば全てがうまく運ぶと主張したりはしないと思った人もいるだろう

市場原理主義の恩恵を受けた人達はそれとは異なる解釈をする
あるものはわが国の経済は事故にあったのであり、事故は起こるものだという
そういう立場をとる人達は出来るだけ早く世界を2008年の状態に戻したがっている
銀行に好きなだけ金を与え、ほんの少し規制を強め、業務規律を徹底させ、ビジネススクールで職業倫理の授業を増やすようにすれば、アメリカ経済はすぐに本来の健全さを取り戻す、と

しかし、問題の根はもっと深いというのが本書の論旨だ
この25年の間、自律的な機構であるはずのアメリカ金融システムは再三にわたって政府の救済を受けてきた
そうやってシステムが延命したことで、国民はそれが自力で修復したかのような錯覚を植え付けられた
実際には危機以前の大半の国民にとってアメリカ経済はあまりうまく機能していなかった


アルゼンチンは、1995年にメキシコのペソ危機のあおりで始まった危機が、97年の東アジア危機、98年のブラジル危機によって激化し本格的な崩壊が起こったのは2001年後半に入ってからだった




ガラケーの定義2

ガラケーの定義ですが、

日本向け機能が豊富にあるケータイ
という意味合いも強いように思います。
スイカとかワンセグとか。




ガラケーの定義は?

昔はガラケーというと高機能端末のことでしたが、iphoneのおかげで 高機能端末であること=ガラケー ではなくなってきているように思います

自分なりに考えてみたところ、SIMロックにより過度にキャリアに適した形で作られたケータイなのかなと
キャリア主導で作られたケータイということです
ドコモがこの状態を脱っしようとSIM解除したのなら意味もあるかもしれません

今後スマートフォンにキャリアに適したサービスがのっけられ続けるとスマートフォン版ガラケーみたいに言われる気がします


ガラケーの定義なんて、みんなわかりきってることかもしれませんがf^_^;


理念、ビジョン、戦略、戦術、計画

カンブリア宮殿で孫さんが下記の順番で考えているって言ってました

理念
ビジョン
戦略
戦術
計画

まず理念があって次にビジョン、戦略、戦術、計画です

ソフトバンクの理念は情報革命で人を幸せにすること

ビジョンは30年後に時価総額200兆円

戦略は技術にはこだわらないとかWEB型の会社?

細かいことは忘れましたf^_^;


両備ホールディングズ カンブリア宮殿

昨日カンブリア宮殿見ていておもしろかったのでメモ。

両備ホールディングズは鉄道フェリーバスなどのインフラ会社?みたいです
途中から見たのでわかりませんでしたが、そんな感じでした

まず両備ホールディングズの社長は、第三セクターみたいに官民両方が出資して会社を作るのに否定的で、フェリーや鉄道のインフラ整備を官が行って、運行などのサービス提供を民が行う形がよいと言っていました
これは、責任の所在がはっきりとするからだそうです
また赤字補填などの補助金はなしで、赤字なら運行会社を入れ替えればよいということでした

ハードは官が用意して、ソフトは民が提供するということでしょうか

これは光の道のアクセス会社を思い出してしまいました
インフラ整備で競争するのではなく、その上のサービスで競う


またここの社長は、30〜40ぐらいの子会社の社長を兼務していて、無給で経営責任だけの社長だということです
実際の実務は全て執行役員が行っており、裁量に任せているということです

社員を信じて性善説で会社経営をしているためコストが抑えられているし、素早い意思決定ができる
性悪説でしか経営できないなら、そんな会社はやめたほうがよいとも言っていました


自分にはすごくためになりました><
おもしろかったです


ギャンブルの利権一覧

総務省 宝くじ
文科省 TOTO
農水省 競馬
国交省 競艇
経産省 オート 競輪
警察庁 パチンコ
地方自治体 公営競馬

うーん。
なんかなー。


3Dテレビ、メーカー社員は持っているのかな、、

3Dテレビをパナソニック、ソニー、シャープなどがごり押ししてるけど、今のところ全く魅力を感じない

そもそもこれだけ押してるけどメーカー社員の何割が実際に持っているまたは買う予定なんだろうか?

ほとんどいないんじゃないかと私は思います

このテレビはもっとよくならないと売れないと思う


JRの線路とかゴミだらけだけど掃除しないのかな、、

ホームの下って空洞になってたりすると思うんですけど、あそこめちゃめちゃゴミがたまってたりするんですよね
線路に落ちたときに避難できそうなところです

見てて不快なんだけど、はたしてJRは掃除しないのだろうか

もしや社員はだれも気付いてない?

ホームでまってるとすごく目立つのに


アメリカにITでは勝てないのが現状

当たり前ですけど、アメリカにIT分野では全く歯が立ちません

Windows、iPod、Google、amazon全て日本企業では勝てません

日本はアメリカに製造業で勝って喜んでいるのかもしれませんが、アメリカはもう製造業からIT分野などの最先端・ハイテクに軸足を移しています

製造業はアジアのメーカーが追い上げてきてかなり苦しい状態の日本、、

アメリカは時代の最先端を行っているように見えます
ハードからソフトに時代の変化と共に軸足を動かした
製造業などでもう勝てないという理由もあったのかもしれませんが

日本もハードにこだわるのはいいと思うし、徹底的にこだわるメーカーが1、2社あってもいいと思う

でも現状はほとんどのメーカーがハードに偏りすぎていてソフトがだめすぎる

今後は製造業で追い付き追い越したみたいにソフトの分野でも追い付いてもらいたいものです


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