2010年11月

スマートフォンと電子書籍の2台持ちはないきがする

アイパッドやアイフォーン、アンドロイドなどのスマートフォン1台とキンドルなどの電子書籍1台の組み合わせって、費用的にも使い勝手的にも流行らない気がする
スマートフォンと電子書籍は一体になると考えるのが普通かなと
当たり前すぎ?


日経ビジネス20100712



■幸田真音「国債暴落は突然やってくる」
国債は、巨額の発行圧力による暴落リスクは高まる一方

国債の9割以上が国内の投資家に買われているので問題ないといわれますが、長年国債の安定的な買い手であり、長期保有者だった機関投資家、生命保険会社や年金基金などは、買い余力が低下しています
高齢化が進み、保険や年金の支払いに資金を回す必要が増えてきたからです
国債市場の6割を外国人投資家が担っていることも気になります
市場は価格を左右する市場参加者と長期保有者との2重構造になっています
世界的な金融危機や欧州の財政破綻を経て投資家のリスク許容度が極端に低下しています
そうした短期的な消去法の結果として、アメリカ国債や日本国債が資金の逃避先になっています
問題はこの不自然な均衡がいつまで続くかです
それが崩れるとき、暴落は突然やってくるでしょう
最悪なのは本当に必要な時必要なことに国の金が使えない
そんな財政の硬直化が今以上に進むことです

■ローソン新浪社長
国会議員の数はあんなにいらない
失礼ですが、とりわけ○○チルドレンと称される人たちの分はいらない
衆参合わせて議員定数は3分の1に減らすできだと思います

■マーチ輸入は空洞化の号砲
国内生産してきた主力車の移管は、部品メーカーにさらなる海外生産を迫る
円高による完成車メーカーの海外シフトで国内空洞化がいよいよ本格化する
7月13日、日産はフルモデルチェンジした小型車マーチの国内での販売を開始するだが、今回の全面刷新はこれまでとは意味合いが大きく異なる
車両の生産地を日本からタイに全面的に移したからだ
日本の追浜工場を代表する生産品目だったマーチだが、新型では日本向けモデルの全量を生産するのはタイの子会社
追浜工場から全面的に生産を移管した
これまで日本の完成車メーカーはほぼ例外なく、国内で販売する自動車を日本で生産してきた
その前例を日産が先陣を切って破ったのだ
そもそも新型マーチは、日本市場だけに向けて開発した自動車ではない
日産が「Vプラットフォーム」と呼ぶ、海外を念頭に置いた低価格の小型車向けの基盤技術を採用した
マーチはその第一弾で、タイ以外にもインド、メキシコ、中国で生産し、160以上の国や地域で販売する
この技術を使った小型車を2013年には世界で100万台以上販売する計画を掲げている
Vプラットフォームの最大の特徴は、軽量化による燃費性能の向上とコスト削減
主要部品を供給するメーカーを「プロジェクトパートナー」と位置づけ、関係を再構築した
従来、新型車を発売する際には、開発の中盤以降に部品メーカーに仕様を提示し、発注するケースが一般的だった
今回のプロジェクトパートナー制度な下では、異例と言えるほど早い時期に部品メーカーを開発に加え、知恵を絞り出してもらう手法を導入
単に部品を軽量化するだけでなく、「組み立ての際に無駄なコストや負荷がかからない生産方法を、我々も提供した」(部品メーカー)

■国債
日本の国債発行残高は2010年3月末で594兆円だが、借金はそれだけではない
財投債、借入金、政府短期証券などを含めた国の借金は882兆円
来年3月末には973兆円になる
他にも地方の長期債務が200兆円ある
2010年末の国債発行残高のうち、家計が直接保有している分はわずら5%、34兆円に過ぎない
全体の95.4%を保有する国内勢のうち、銀行、生命・損害保険、公的年金などが大挙して国債を買い支えているから、国債バブルはなかなか破裂しない



「光の道」今回の決定が失敗だった場合誰が責任を取るのかな?

「光の道」でソフトバンクの案が不採用になった
自分はその案が正しかったのかわからないので、それはそれでいいが現在の「機能分離に留める」という案が失敗だったとわかったとき誰が責任をとるのだろう?
事業仕分けと同じで責任取る人を明確にしてほしい
もう明確になってるなら自分が無知なだけです、、

怖くてなにもできないから、現状を維持するような先延ばしをしようと考えているだけに感じて、リスクを取ってやろうと言っているということなら、孫さんにやってもらえばいいのに。
成功したときの日本にとってのプラスを考えて

現状維持は短期的にはいいが、長期的には破滅の道に突き進むのではないか、、

そもそもNTTはADSLに否定的で光に肯定的だったのにいつの間にか逆になってるらしい、、どうして?


グローバルな世界に今足りないもの

読んでいる本の受け売りなところもありますが、
現代のグローバルな世界に足りないものはグローバルなルールやシステム、政策だと思う

特に自分が気になるのは、政策です
現在のような大不況のときにとる各国の政策が自国にとって最大の利益が出る政策をとろうとすることです
当たり前といえば当たり前ですが、この政策により世界にとってマイナスでも自国にとってプラスならおかまいなしなので、世界経済の立ち直りは遅くなってしまうと思います
各国が協調して世界経済に最大の利益となるような政策を行ってほしいなと思います

まあこれは、大恐慌などのときもある程度グローバルなマーケットだったように思うし、昔からの問題なのかもしれませんが


現在じわじわとインフレが再発しているように感じます
円高だから感じませんが、これで円安だと数年前の再来でした
まあドル安による商品の値上がりな感じですが、やはり今後注視すべきはインフレなのかもしれません


WBS見て留学生のやる気とポテンシャルの違いを感じた

留学生は、英語、母国語、日本語の2、3カ国語をしゃべれるし、なんといってもハングリー精神が違うように感じた
自分も含めて今の日本人は、あんな風にハングリー精神がある人が少ないように感じる
あとグローバルな人間とか少ない気がする

今後優秀なハングリー精神のある外国人をどんどん採用することで、日本人にも変化が起きるかもしれませんね
グローバルな国に少しずつですが、近づいていける気がします

自分にも変化が起きるといいなーf^_^;笑っ
自分にももっとハングリー精神がほしい


フリーフォール26 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール26 ジョセフ・E・スティグリッツ


金融市場に身をおく人間を含めて多くの人は、市場の規制さえ緩和されれば、そこに大きな利益を得る機会が見出だせると考えていた
結局、規制とは制約なのだ
ほぼ必然的に、制約のある市場で企業が得る利益は、制約のない市場で得られるはずの利益より少なく見えてしまう
利益が少なく見えるとわたしがいうのは、見込み利益について考えるとき、各企業は、制約が取り除かれたらどうなるかという結果の全体像を考慮にいれていないからだ
制約のない市場では他の企業の行動も変化する
実際、市場が効率的で競争的だという主張が正しかった場合に、標準的な経済理論が出す答えを、私たちは知っている
最終的に利益は再びゼロへと押し下げられるだろう

成功を収めている市場経済の中核には、よく機能する金融市場があって、不足しがちな主要資源の一つである資本の割当を指揮している
価格メカニズム(訳注:価格の変動を通して資源の過不足が解消され、価格が資源配分の機能を果たすこと)は、市場が情報を集めて処理し、伝える過程の中心になっている
物の価格は、経済において起こっていることの一部を織り込んでいるが、外部の雑音も多い
あまりにも多いので、市場において価格が提供する情報だけを頼りに売買する投資家はほとんどいないだろう

市場参加者が数十億ドルもの金を湯水のように注ぎ込んで市場を負かそうとする事実そのものが、市場は効率的であり、ほとんどの市場参加者は合理的であるという二つの前提が間違っていることを証明する

FRBがバブルについてあれほど無関心だった理由のひとつは、問題が生じてもたやすく対処できるだろうという理念にくみしていたからだ
たやすく対処できると信じていた理由のひとつは、新しい証券化モデルを信頼していたからだ
リスクが世界中に分散されていたので、世界ね経済システムが簡単にリスクを吸収できると考えていた

■ジョセフ・シュンペーター、フリードリヒ・ハイエク
シュンペーターが重きを置いたのは、イノベーションを巡る競争だ
各市場では一時的に独占者が支配権を握るが、イノベーションを導入した別の主体がすぐに取って代わり、新たな独占者になる
市場の内部で競争があるのではなく、市場を手に入れようとする競争があるのであり、この競争はイノベーションを手段として繰り広げられた
シュンペーターは、次のような重要な問い掛けを行うことはなかった
独占者が新しいライバルの参入を阻止するために行動を起こすのではないか
イノベーションを導入した者は、ほんとうに新しい発想を練り上げるのではなく現独占者の市場シェアを奪いとろうとすることに注意を向けるのではないか
イノベーションの過程が効率的だと言い張れるような感覚が果たして存在するのか

近年の経験から問題は市場擁護者が主張するほど楽観視できないことがわかる
例えばMicrosoftはパソコンのOSにおける独占力をテコにして、ワープロや表計算ソフト、ブラウザのようなアプリケーションにおいても支配権を握ろうとした
Microsoftが競争相手の候補者を押さえ込むその力は、ライバル候補者のイノベーションに冷水を浴びせた
実際、現独占者は、他社の参入を思いとどまらせて独占的地位を維持するために、おびただしい数の行動をとることができる
そういう行動の中には、プラスの社会的価値を持つものもある
とにかくライバルより速くイノベーションを成し遂げることもそうだ

共産主義システムにおける意思決定は、中央集権化されて、計画局が集中して行った
大恐慌を経験し、膨大な資源が誤って割り当てられるのを、そして人々がとてつもなく苦しんでいるのを、見てきた人々の中には、資源をいかに割り当てるべきかを決めるさいに、政府が中心的な役割を果たすべきだと確信するものがでてきた
ハイエクは、そういう見解に異を唱え、分権化された価格システムの持つ情報面での利点を擁護するだけでなく、より大きな視点から、機関そのものが分権化されるという進化をも擁護した
計画を立てるさいに、関連する全ての情報を集めて処理することができるものなどいないという点で、ハイエクの主張は正しいが、これまでみてきたように、だからといって、束縛を受けない価格システムそのものが効率的であるというわけではない
ハイエクは生物学の進化という概念に影響を受けて、比喩として用いた
ダーウィンは適者生存について語り、社会ダーウィン主義は、同じように最も適した企業のみが生き残るという情け容赦のない競争が経済の効率性をどこまでも高めていくのだと力説した
ハイエクはこれをそのまま信条として受け入れたが、じつは、指針のない進化の過程は、経済を効率的にするかもしれないが、しないかもしれないのだ
残念ながら、自然淘汰は必ずしも、長期的に見て最適の企業(ないし機関)を選ぶとは限らない
ハイエクは、労働時間の規制から、通貨政策、法制度、適切な情報流入まで、様々な分野ど政府には果たすべき役割があると主張した



フリーフォール25 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール25 ジョセフ・E・スティグリッツ


アメリカを含め、経済運営に成功した国々では必ず政府が重要な役割を果たしている
政府が特に大きな役割を果たしてきたのが、大きな成功を収めた東アジア経済だ
この地域においては、過去30〜40年間で国民一人あたりの収入が史上例をみないほどの伸びをみせた
それらの国のほとんど全てで、政府は市場メカニズムを通じて積極的な役割を担い、開発を促進してきた
中国は30年以上にわたって平均年率9.7%で成長し、数億人を貧困から救い出すのに成功している
日本の政府主導の急成長は過去のものだが、シンガポール、韓国、マレーシアなど多数の国々が日本の戦略を学び、改良して、一人当たりの収入を四半世紀の間に8倍に増加させた
もちろん政府も誤りを犯しがちだ
しかし、東アジアで、そしてそのほかの場所で、失敗を補って余りある成功が成し遂げられた
経済実績を高めるには、市場と政府の両方を改良していくことが求められる

完璧な市場モデルは、新古典派モデルと呼ばれることがある
新古典派経済学の主要な予言の多くはたやすく論駁できる
最も明白なのは、「失業は存在しない」という予言だ
市場の均衡状態では、りんごに対する需要と供給が必然的に釣り合うのと全く同様に、(この理論では)労働に対する需要と供給を必然的に釣り合わせる
新古典派経済学から引き出される奇妙な結論はそれだけではない
追従者たちは、信用割当などというものは存在しないとも主張する
だれもが借りたいだけ借りられる、ただし、利率は債務不履行の危険性を適切に反映したものになる、と
経済学の主流が現実から乖離している3つめの例は、企業の財務構造に関わる
ある会社が資金調達を負債で行うのか、株式で行うのかは、問題ではないという考え方
主張は、企業の価値は、稼ぎ出す利潤のみによって決まり、その利潤の大半が負債の支払いにあてられ(収益レベルに関わらず固定費を払う)、残りが純資産として増加するのか、大半が純資産として増加するのかは、たいした問題ではない

破産の可能性と破産に関連するコストを、さらには、借金が増えれば増えるほど破産の可能性が高くなるという事実を考慮しなかった

現在の危機によって誤りだと示された4つめのものは、収入を決めるものと不平等についての説明だ
熟練労働者や非熟練労働者の賃金と、企業重役の給与の対比をどのように説明するのか?
新古典派理論は、それぞれの労働者が社会に対する限界貢献(その人物の労働が加わったことによって、社会にどれだけの効用が生じるか)に従って支払いを受けると述べることで、不平等を正当化した
この見解では重役への報酬に口をはさむのは、市場の効率性に逆らうことになってしまう
過去四半世紀の間にこの理論で重役への報酬の急騰を説明できるかどうかについて、ますます疑念がつのってきた
この間に上級幹部の給与は、平均労働者の40、50倍という30年前の数値から、数百倍ないし数千倍へと上昇した
幹部の生産性が突然高くなったわけではないし、人材が突然不足したわけでもない
それに、ナンバーワンの立場にいる者のほうがナンバーツーよりも給与が多い分だけ熟練しているという証拠はなかった
グローバル化された世界では、様々な国々において同じような技術が利用できるようになったのに、なぜこういう報酬格差はアメリカのほうが他の地域よりはるかに大きいのか、という点も、新古典派理論では説明できなかった

最後の例は、新古典派理論の元では、差別などは存在しないというものだ
理論的な根拠は単純だった
差別が存在するなら、そして、社会に差別的ではない人がいるなら、その人は差別によって不利な立場に置かれているグループのメンバーを雇うだろう
というのも、そういう人々は賃金が安いからだ
これによって賃金は上がり、最終的にはグループ間に存在する差異はなくなるだろう

シカゴ学派は、市場は常に効率的だと信じていたので、現在の景気後退のような経済変動を心配すべきではないと言い張る
経済が外部から受けた衝撃(例えばテクノロジーの変化のような)に効率的に適応しようとする動きにすぎない、と
この学派が政策に関して出す処方は明確で要するに、政府の役割は最小限にすべきだというものだ
この学派は新古典派モデルを元に分析を行っているが、そのモデルをさらに単純化して、全ての個人は同一の存在であると考えた
これは、代表的個人モデルと呼ばれた
しかし、すべての個人が同一の存在であるなら貸し借りはありえない
そうなると倒産もありえない
あたしがまえに主張したように、情報不足から生じる数々の問題が現代経済学を理解するにはきわめて大切だが、この学派のモデルでは、ある人が知っていることを他の人はしらないという情報の不均衡は存在しない
情報の不均衡をこのモデルで説明しようとすると、同一の個人が激しい分裂状態にあるということになり、人間は完全に合理的な存在であるとする他の前提と矛盾してしまう
この学派の分析から出て来る(一見ばかげた)結論の多くは、そのモデルが前述のように様々な点で極端に単純化されてしまっていることから生じる
そういう結論のひとつが、政府の赤字支出は経済を刺激するわけではないというものだ
この結論は、市場は完璧だという前提よりもさらに非現実的な前提から導き出される
代表的個人は、この赤字をまかなうために将来税金が課されることを知っているので、そういう税金を支払うために現在手に入るお金をとっておくという前提だ
これは消費支出の減少が政府支出の増加を完全に相殺してしまうことを意味する
また別の例として、失業手当てを取り上げて、個人が失業することなどない(単に休暇を楽しんでいるだけだ)し、どのみち本人が望みさえすればいつでも借金して消費を一定に保つことができるから、失業手当てなど不要だと主張する
それどころか失業手当ては有害だとまでいう
なぜなら問題は職が足りないことではなく、職に就きたいと望むなら誰にでも職がある、職を探そうとする努力が足りないことであり、失業保険はそのモラルハザードを悪化させるだけだという論法だ


フリーフォール24 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール24 ジョセフ・E・スティグリッツ


ドルの保有に関して2009年3月、中国の中央銀行の総裁が長年温められてきたある着想に支持を表明した
世界準備通貨の創設だ
新しい世界準備通貨が毎年発行されれば各国はもはや現在の収入の一部を世界的な備えてとっておく必要がなくなるだろう
かわりに、新しく発行されたお金をとっておくことができるからだ
従来の保有分が消費に回されることで、世界総需要が増加し、世界経済が強化されるだろう
この発案には、他にも重要な理由が2つある
まず、現行制度が不安定なことだ
現在、各国はドルを保有して、自国通貨と国に対する信認を担保し、世界市場の浮沈に対する一種の保険にしている
外国が準備金として保有するドルが増えれば増えるほど、アメリカの対外債務の増加に対する不安が増す
もうひとつは、もし一部の国が外貨準備を積み上げるために貿易黒字を達成しようと画策すると、他の国々は貿易赤字を免れなくなる
世界の黒字の総額と赤字の総額は等しいはずだからだ
しかし、貿易赤字は問題となりうるので、各国は懸命に赤字から脱却しようとしてきた
もし一つの国が赤字から脱却すると、他の国の赤字が増える
ほとんどの国が少額の貿易赤字を出しながら、外貨準備金を積み上げることも、新しい世界準備通貨の割り当てのおかげで可能になる

貧しい国々がアメリカに数千億、いや数兆ドルを低金利で貸し出している
国内にきわめて多くのハイリターン投資プロジェクトがあるのにアメリカに貸し出しているのだから、外貨準備金がいかに重要であり、世界の不安定性がいかに深刻であるかがわかる

争点は、世界がドル準備通貨制度から完全に撤退するかどうかではなく、よく考えて注意深く撤退するかどうかなのだ
明確な計画を立てないと世界の金融システムはいっそう不安定になってしまう

新しい世界準備通貨があれば、各国はアメリカのTビルを買って準備金の形で保有する必要はなくなるだろう
もちろんドルの価値が下がり、アメリカの輸出が増加し、アメリカの輸入が減少し、総需要が強まり、政府としては大赤字を垂れ流してまで完全雇用状態を維持する必要が少なくなる

世界は2(ないし3)通貨制度に移行して、ドルとユーロを併用するかもしれない
しかし、そういう制度は現行の1通貨制度よりいっそう不安定なものになりうる
世界にとってこのシステムは、ドルに対してユーロの価値が上昇すると期待される場合、各国が保有財産をユーロに切り替えはじめることを意味するかもしれない
そうなるとユーロが強くなり、ユーロへの信頼感がいっそう強まる
ただし、そのあとなんらかの出来事、政治的ないし経済的騒乱が起こると、逆のプロセスが始まる
ヨーロッパにとってこの制度は特別な問題を提起するだろう
というのも、EU諸国は制約によって、財政赤字を出して弱い需要を埋め合わせることができないからだ

2009年、G20は合意により特別引出権(SDR)(IMFが創出した一種の国際準備資産)を大量に(2500億ドル)発行した
しかし、SDRには厳しい制限がある
SDRはIMFのクォータ(各国がIMFに払い込む出資金割当額)を基礎に配分され、アメリカが最大の取り分を有する
しかし、アメリカはいざとなればドルを印刷すればいいのだから、外貨準備金を保有する必要がないことは明白だ
SDRを発行する際、割合がなければ外貨準備を拡大していくと思われる国々に割り当てたほうが、この制度ははるかにうまく機能するだろう
あるいは別の選択肢として、新しい世界準備通貨なら、援助を必要としている国々に行き渡ることも可能だろう
新制度が黒字を阻害するように設計されるなら、さらに望ましい
アメリカは中国の黒字に神経をとがらせているが、現在の制度では、各国が準備金を維持し、黒字を出して準備金を増やす方向へ強いインセンティブが働いている
今回の危機では、準備金の額が大きい国のほうが、適正な額の準備金を持たなかった国よりはるかに上手く危機を乗り切った
上手く設計された世界準備制度では、継続して黒字を出す国々は準備通貨の割合を減らされ、そのことによって、もっと適正なバランスを保つよう促される
うまく設計された世界準備制度は、さらに世界経済の安定化にも役立つだろう
世界の成長が弱いときにより多くの世界準備通貨が発行されれば、支出を促すことになり、それに伴って成長と雇用も上向くからだ
世界はドルを基軸通貨とする準備制度から距離を置く方向に進むだろう
新しい世界準備制度の創設に関する合意が得られなければ、世界はドルから離れて多通貨準備制度へと移行し、短期的には世界金融を不安定にして、長期的には現行制度より不安定な管理体制を生み出す公算が大きい

アメリカは、特に多極主義を強化するためにできることをするべきだ
それはつまり、IMFと世界銀行を民主化し、改革し、資金を提供して、途上国が困ったときにニ国間援助にあまり頼らなくていいようにすることを意味する
アメリカは、保護主義やブッシュ時代のニ国間貿易協定と袂をわかたなければならない
これらは過去60年間にわたって多くの人が熱意を注いできた多極的貿易制度創設への努力に水を指してしまう
アメリカは、金融市場の分裂の危機を回避するのに不可欠な新しい強調的金融規制システムの設計に手を貸し、前述した新しい世界準備制度を支持すべきなのだ
そういう努力がなされないと、世界金融市場は不安定な新時代に突入し、弱い経済状態の時代が続く恐れがある

80年前の大恐慌、当時優位に立っていた理論的枠組みは、今と同じように、市場は効率的で自己修正できるという考え方だった
経済が景気後退へ、そのあと不況へと陥ったとき、多くの物はある簡単な助言を与えた
何もするなと
ただ待っていれば、経済は迅速に回復するだろうと
またハーバード・フーヴァー政権下の財務長官アンドリョー・メロンが国家財政の収支バランスを回復しようとしたことを、多くの者が支持した
不況は税収を歳出より速く減らしてしまう
自信を取り戻すためには、支出を税収にあわせて減らさなければならないと、ウォール街の財政保守派は信じていた
1933年に大統領になったフランクリン・ルーズベルトは、別の道を歩むと主張し、大西洋の向こう側から支持を得た
イギリス人のジョン・メイナード・ケインズは歳出を増やして経済を刺激せよといったのだ
これは赤字を増やすことを意味する
ケインズは資本主義を資本主義そのものから救おうとしていたのだ
市場経済は職を生み出せない限り生き延びられないということをケインズは知っていた
2008年の大不況で数多く聞かれた主張は、ルーズベルトのニューディール政策がじつは失敗で、それどころか事態をさらに悪化させてしまったというものだ
この見解によると、ようやくアメリカが大恐慌から抜け出せたのは、第二次世界大戦のおかげだった
たしかにそういう面もあった
しかし、そうなってしまった主な理由は、ルーズベルト大統領が一貫して国家の支出を増やす政策をとらなかったせいだ
1937年には赤字の大きさを憂慮して、政府の支出が削減されてしまった
しかしたとえ戦争のためであっても支出は支出であり、その支出がアメリカ経済の将来の生産性や市民の福利を改善するのは必然なのだ
ルーズベルトに対して、批判的な者でさえ、ニューディール政策の支出によって経済が恐慌から抜け出せなかったとしても、戦争への支出によって抜け出せたという点では見解が一致している
ともかく、大恐慌からわかったことは、市場経済は自己修正できないということだ

第二次世界大戦後の不況のほとんどが、FRBによる鹿渡の金融引き締めに関係しているという事実を根拠に、保守派は市場の失敗にこそ、市場の完璧さがそこなわれた責任があるのだという偏見を強めた

経済史学者の故チャールズ・キンドルバーガーによると、金融危機は過去400年間におおよそ10年間隔で起こっている
1945年から1971年の四半世紀は例外で、景気の変動はあったが、世界で銀行危機が生じたのは1962年のブラジルだけだ
この期間の前も後も、銀行危機は経済生活につきものだった
フランクリン・アレンとダグラス・ゲイルは、なぜ第二次世界大戦後の四半世紀に危機が起こらなかったのかに関して、説得力のある解釈を提示している
世界全体で協力な規制が必要だと認識されていたからだ
政府の介入が結果として、経済の安定化をもたらし、当時の急速な成長と平等の拡大をもたらしたと思われる
驚いたことに1980年代になると、市場は自己修正できるし効率的であるという見解が、政界の保守派の中だけでなく、大学のエコノミストの間でも再び幅を利かせるようになった


フリーフォール23 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール23 ジョセフ・E・スティグリッツ


アメリカ型資本主義に批判的だった第三世界の人々にとっては、現在の経済危機へのアメリカの対応はダブルスタンダードに思える
10年前の東アジア危機の最中にアメリカとIMFは被害を受けた国々に対し、歳出を切り詰めて財政赤字を削減するよう要求した
タイのように結果としてエイズば再び蔓延しても、インドネシアのように飢えている人々への食料助成金が減らされても、おかまいなしだ
アメリカとIMFはそういう国々に金利をあげるよう、場合によっては(インドネシアのように)50%以上にするよう強要した
インドネシアには、銀行に対して厳しい姿勢で臨めと諭し、政府が銀行に緊急援助を行うことを禁じた
そんなことをすれば極めて悪しき先例になり、順調に機能している自由市場メカニズムへの極めて悪しき介入になるというのがその理由だった

東アジア危機と今回のアメリカ危機とでは、処理のしかたが著しく異なっていることは明々白々で、気付かれずにすむはずがなかった
自国を窮地から救うためにアメリカは支出を大幅に増やして赤字を膨れ上がらせ、金利もゼロまで引き下げた
そして、あちこちの銀行に緊急援助が行われた
それはダブルスタンダードという問題にとどまらなかった
先進国が一貫して反景気循環の通貨・金融政策をとる一方で、途上国は景気循環政策(歳出を切り詰めて、税金と金利をあげる)を押し付けられるので、途上国の景気変動は、何も対策を講じない場合よりも大きくなり、先進国の変動は小さくなる
これによって、途上国の資本コストは、先進国が直面する資本コストに比べて高くなり、先進国は途上国に対してますます優位に立つ

途上国の多くは、長年にわたって弱い者いじめを受けてきたせいで、今でも苦しんでいる
アメリカの慣行を採用し、アメリカの政策に従い、規制緩和に賛同し、アメリカの銀行に市場を解放し、優れた銀行実務を学び、そして、偶然にではなく、企業や銀行をアメリカ人に売り、特に危機の最中には投げ売りするよう仕向けられたためだ

私が懸念しているのは、途上国の多くがアメリカの経済・社会システムの欠陥を目の当たりにしたせいで、自国にとってどういうシステムが最善かについて誤った結論を出すのではないかということだ
小数の国は正しい教訓を得るだろう
成功に必要なのは、市場と政府の役割が流動的で強力な国家が効果的な規制を発動するような管理体制であること
そして、特定の利益集団の力を抑制しなければならないことを悟るだろう

古いタイプの共産主義が復活することはないだろうが様々な形の行き過ぎた介入は再開されるだろう
そしてそういう介入は失敗に終わるだろう
新しい管理体制が再びバランスを狂わせて、市場へ過度に介入したりすると、貧者は再び苦しむことになるだろう
そういう戦略は成長を伴わず、成長がなければ、持続的に貧困を解消していくことは不可能である
成功した経済は必ず、市場に大きく頼っていた

中国の問題点は、家庭の高い貯蓄率にあるのではなく、家庭の収入がGDPに占める割合が他の国々に比べると小さいという事実にある
低い賃金は企業に高い収益を保証し、企業に対して、その収益を配分しろという圧力がかかることはほとんどない
その結果、事業会社が収入の大半を保持する
中国の成長モデルの原動力は供給だ
収益は再投資され、消費よりはるかに速く生産が増加し、その差が輸出にまわされる
このモデルは上手く機能してきた
中国では職を生み出し、他の国々では、物価を低く押さえてきたが、今回の危機がこのモデルの欠陥を際立たせた
今回の景気下降では、中国が余剰生産物を輸出するのが困難な時期が続いたのだ
長い目で見ると、多くの製造物で中国のシェアが増加するにつれて、成長率を維持するのが難しくなるだろう
中国は成長戦略を変えなくてはいけない
たとえば、地方銀行や地域の中核銀行をつくりだして、中小企業により大きな支援を与えるのだ
ほとんどの国でそういう会社を土台に職が創出されている
職が創出されると賃金が高くなり、それが収入の配分の変化をもたらして、国内消費の増加を支えていくことになる
企業収益の一部は中国政府が天然資源(土地を含む)に関して適切な利用料を徴収していないことから生まれている
本来それは人民の所有物なのだ
企業がそういう資源を競売したら、その売却代金によって潤沢な収入を得るだろう

中国がアメリカに投資をしようとすると抵抗にあうことがある
たとえば、ユノカル社を買収しようとしたときがそうだ
比較的小さなアメリカの石油会社で実質的な資産のほとんどがアジアに存在していたというのに
アメリカは一見すると、多くの分野で投資に対して開放的だと思われるが、国家の安全保障にとって非常に重要であるとして、幅広い分野を投資から保護してきた
これはグローバル化の根本原則を揺るがす危険性がある
アメリカは途上国に対し、ゲームの基本ルールの一つとして、市場を開放して外国人の所有を認めなければならないと主張してきたのだから

もし中国が外貨準備金として、保有している大量のドルを売ると、中国の通貨はドルに対してさらに価値が上がり、それによって、アメリカと中国とのニ国間貿易の不均衡は改善されることになる
ただし、中国がアメリカの貿易赤字全体を解消するほど大量のドルを売却することはないだろう
そんなことをすれば、アメリカは他の国から繊維製品を買うはずだ
しかしながら、中国がまだ持ち続けている巨額のアメリカ財務省短期証券(Tビル)、そのほかのドル建て資産に関して大きな損失を被ることを意味する
中国が進退きわまっていると見る人もいる
ドル離れをすると、外貨準備金と輸出で巨額の損失を被る
ドルを持ち続ければ、外貨準備金の損失を先延ばしできるが、いずれにしても必ず調整は訪れるだろう
売上減についての心配はおそらく杞憂だ
中国は現在、実質的な売り手融資を提供している
つまり、中国の品物を買う国に対して資金を与えているのだ
アメリカに資金を貸して品物を買ってもらうかわりに、他の地域の国々に貸せばいい
現実に他国への貸出は増えているし、中国国民に貸し出す手もある


フリーフォール22 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール22 ジョセフ・E・スティグリッツ


21世紀のイノベーション経済においては、政府が今より中心的な役割を担う必要がある
たとえば政府の主導で、全ての組織に役立つ基礎研究を提供する
助成金や報奨金を出すなどして研究の方向性を定め、国家の求めに応じた研究を行うインセンティブを高める

市場は不完全だが、政府もまた不完全である

一つの国家が規制を受けない自由な銀行制度を実践した最後の例が、ピノチェト大統領に率いられたチリで、結果はひどいものだった
アメリカと同じく、チリでも信用バブルが崩壊し、融資の約30%が焦げ付いた
チリは四半世紀かけてようやく、その実験の失敗から生じた負債を払い終えたのだった

市場が失敗すると、政府が事態を収拾する
だとすれば、政府は大惨事を防ぐためにできることをしなければならない

全てのゲームには規則があり、審判員がいる
政府の主要な役割は規則を記して、審判員を配することだ
アメリカでは、あまりにも多くの規則が金融部門の出身者の手で、彼ら自身のために定められ、審判員も偏向していた

制度の濫用を防ぐにはは、民主主義のプロセスを通じて点検していくしかない
しかし、民主主義のプロセスが経済の風土に根付くかどうかは、選挙献金と選挙方式の改革にかかっている
なぜなら、費用を負担する者が決定権を握るという基本原理は、今でも有効だからだ
金融部門は二大政党の両方に資金を提供し、決定権を握ってきた
金融部門が、大きすぎて無視できない献金者の地位に居座っている現状で、私たち市民は、大きすぎて潰せない、大きすぎて変身できない、大きすぎて管理できない銀行を解体するような規制の導入を期待できるだろうか
過剰なリスクテークを制限するような政策を期待できるだろうか

ワシントンで、中国やインド、ブラジルなどの新興国を含むG20の会議が2008年11月に開かれたとき、古い枠組みの命脈が尽きつつあることははっきりしていた
世界経済を統治する新たな制度がどのようなものになるかについては、今後何年ものあいだ明確には見えてこないかもしれない

グローバル化された世界でも、政策決定は国家レベルで行われる
それぞれの国は自国の行動の利益とコストを、残りの国々に与える効果とは切り離して評価検討する
世界的乗数(世界経済の生産高が支出1ドルごとにどの程度増加するか)は、国家的乗数よりもはるかに大きい
世界の利益が一国の利益を上回るので、各国が強調して危機に対応しないかぎり、それぞれの国の刺激策、そして、そこから生じる世界の刺激策の規模は小さすぎるものになってしまう
さらに悪いことに、それぞれの国は刺激策を立案するさいに、自国に最大の利益がもたらされるようにするインセンティブを持つ
各国は国外への漏出が最小になるような支出方法わ探り、国内で生産された品物やサービスに支出する
その結果、世界全体の刺激策が望ましい規模より小さくなるだけでなく、実効性も低下してしまう
すなわち出費に見合うだけの価値がなくなってしまうから、回復の度合も世界が強調して刺激策をとった場合より弱くなるだろう
それに加えて、国内での支出を奨励するために、多くの国が保護主義的方策を導入する
例えば、アメリカは景気刺激法案にバイ・アメリカン(アメリカ製品を買え)条項を盛り込んで、アメリカの品物への支出を義務づけた
保護主義的な政策が機能しない理由の一つは、そういう政策は報復を招き、すでに報復が起こりつつあるという点にある
たとえばカナダの各都市はドント・バイ・アメリカン(アメリカ製品を買うな)条項を採用する
他の国々もそれにならい、結果として今日アメリカ以外にもそういう保護主義に陥る国々が現れている

G20の元首たちが、保護主義の回避を誓ってから数ヶ月の間にG20のうち約17カ国が先を競って保護主義を導入した


IMFに与えられた資金が最貧国に届く見込みはほとんどなかった
実際、ヨーロッパが資金を拠出する誘因となったのは、おびただしい問題を抱える東ヨーロッパをIMFが助けてくれるだろうという期待だった

貧しい国々の多くは膨大な負債から抜け出したばかりで、さらなる負担には及び腰であることが予想できた
豊かな国々は、IMFの短期貸付ではなく、援助金、つまり返済の必要がない資金を提供するべきだった
ドイツなど小数の国がこの方向への意志を明確に示し、総合経済刺激策の一部を割いて貧しい国々を助けようとした
しかし、それは例外で、G20の決定事項にはならなかった

資金を交付する機関としてIMFを選んだこと自体が、問題をはらんでいた
IMFは、これまで危機を防ぐための方策をほとんど何も打ち出さなかったばかりか、規制緩和政策を推し進めてきた
そのなかには、資本市場と金融市場の自由化が含まれ、それが一因となって危機が発生し、世界全体へ急速に拡大したことさえある
さらにIMFが推し進めた政策は、資金を必要としている多くの貧しい国々に嫌われていたし、保有する多額の流動資金を最貧国に融通してやれるかもしれないアジアや中東の国々にも忌み嫌われていた
IMFを直接見てきた経験から、IMFに融資を願い出るのをためらう国があることは理解できた
IMFの資金提供には、必ず厳しい条件が課され(中央銀行が金利を引き上げるか、赤字が削減されるというマクロ条件、政府が銀行を民営化するという構造条件、政府が銀行を民営化するという構造条件、政府が中央銀行を完全に独立させるという政治条件があいまって、独立した政策決定の範囲を狭めているので、これらの条件は経済的主権を奪うものだとみなす途上国が多い)、現実にはそれが苦しんでいる国々の景気をさらに下降させてしまった
これらの条件は、ヨーロッパの債権国が出来るだけ多くの資金を回収できるように立案されたもので、苦しんでいる国が経済力を維持できるようにするためのものではない
IMFが頻繁に課す厳格な引出条件は、世界中で暴動を誘発してきた最も名高いのは、東アジア危機の最中のインドネシア暴動だ(アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ケニア、韓国、ジンバブエでも起こっている)

朗報といえるのは、ドミニク・ストラウス−カーンが専務理事に指名され、そこへ今回の危機が到来したので、IMFがマクロ政策と貸出政策を始めたことだ
例えばアイスランドは、IMFに援助を求めたとき、資本統制を課すことと赤字予算を維持することを許された、プログラムの初年度に関してだが
IMFがようやくケインズ流のマクロ刺激策の必要性を認めたのだ
カーン専務理事は刺激策の解除が早過ぎる場合のリスクについて明確に語り、雇用に重きを置く必要性についても言及している
これで、優良国なら無条件で融資を受けることができるだろう
ただ、いくつかの疑問がのこる
どの国が優良印を獲得するのか
サハラ砂漠以南のアフリカの国に、予選通過の見込みがあるだろうか
多くの国では、IMFのプログラムは過去のものと著しく異なっていたが、いまだに過酷な引出条件を課されている国もあるようだった
その条件の中には、予算削減と高金利という、ケインズ経済学が推奨する条件とは正反対のものも含まれる

IMFは豊かな工業国家、つまり債権国の同窓会で、それらの国々の金融担当大臣と中央銀行総裁によって運営されていた
アメリカだけが重大な決定に対する拒否権を持っていて、いつもナンバー2の地位につく人物を指名する
ヨーロッパがいつもナンバー1の専務理事を指名する
今私達が公的機関に期待しているような透明性を持ち合わせていない
改革の進み方は氷河のようにゆっくり
それでも、少なくとも一つの重大な進歩、長い間待ち望まれていた進歩が見られた
IMFの長は透明度の高い公開選考で選ばれるべきで、加盟国は国籍にこだわらず最適任者を探すべきだという合意が形成された

危機が起こる前ですら、アメリカは先進国の中で特に援助を出し惜しみしていた国の一つだった
国民所得に占める割合でみると、アメリカの拠出額はヨーロッパ主要国の4分の1を下回る
しかし、今回の世界的な危機はアメリカから始まったのだ
アメリカはそれまで他国に自らの行動に責任を持てと再三にわたって説教してきた
それなのに今回、不当な規則を他国に強要してアメリカからの危機の伝播をあまりにも容易にしてしまったことに対して責任をとろうとする姿勢がほとんど見られなかった
保護主義的な政策についても世界規模の混乱状態のきっかけをつくったことについてもだ
IMFに1000億ドルを貸与すると公約したが、日本の申し出と比較すると、さらには国としての大きさや銀行に注入した額と比較すると少ないし、特にアメリカが他国に多大な苦痛をもたらした危機の張本人であることを考えると少なすぎる

2009年初めのG20第二回会議の準備段階において、世界が強調して刺激策を講じるのと、世界が強調して規制管理体制を築くのとでは、どちらが重要かという議論が行われた
答えは明白で、どちらも必要なのだ
包括的な規制がないと、規制逃れが横行するだろう
金融は最もゆるい国へと流れる
一国が適切な規制を行わなければ、他国に負の外部性が生じてしまう
世界が強調して規制のシステムをつくらなければ、世界金融が分割されてしまうリスクが生じる
それぞれの国が他国の過ちから自国を守ろうとするからだ
それぞれの国は、他国が制度悪用を抑える適切な手立てを取っているという確証が得られないかぎり、強調しようとしないからだ

2008年9月15日、リーマンブラザーズが破綻した日は、市場原理主義(束縛を解かれた市場は独立で経済的繁栄と成長を確実に達成するという考え方)にとって特別な意味を持つ日となる
ベルリンの壁の崩壊が共産主義にとって特別な意味を持つのと同じことだ
この日以降は誰も市場原理主義というイデオロギーを本気で擁護出来なくなった
今日では、市場は自己修正できるとか、市場参加者の利己的行動に任せたら全員の利益になるよう機能するとか、必ず全てがごまかしなく機能するとか主張するのは、時代錯誤の単細胞くらいのものだ


19世紀半ば、イギリスとフランスは清朝中国に戦争を仕掛け、中国が世界貿易に対して門戸を開けておくように仕向けた
これがアヘン戦争であり、そう名付けられたのは、中国が西欧のアヘンを締め出さないよう釘を刺すための戦争だったからだ
西欧が中国に輸出できる品といえば麻薬くらいのもので、西欧は麻薬を中国市場で投げ売りできるようにしたがっていた
第二次世界大戦後、政治的な独力が多くの植民地に与えられたが、経済的な植民地主義が終わったわけではなかった
アフリカなど一部の地域では、露骨な搾取、天然資源の持ち出しと環境破壊、それに対する申し訳程度の見返りが行われていた
他の地域では、もっと巧妙なやりかたがとられた
世界の多くの国や地域で、IMFや世界銀行のような国際的な機関は、独立後の元植民地を支配する道具と見なされるようになった
そういう機関が押し付けたのが、市場原理主義というアメリカ式の考え方で、これは自由で束縛のない市場を理想とする
アメリカは途上国に金融部門の規制緩和、民営化、貿易の自由化を迫った
世界銀行とIMFは、そういう全てのことを途上国の利益のためにやっているのだと嘘ぶいた
これらの機関を後押ししていたのが自由市場エコノミストのチームで、構成員の多くは自由市場エコノミストの大聖堂たるシカゴ大学の出身だ
ヨーロッパとアメリカは自国市場の門戸を、第三世界の農産物に対して開こうとしなかった
貧しい国々が売りに出せるのはそういう農産物しかないことが多いというのに
それどころかヨーロッパとアメリカは途上国に新しい産業をつくり出すことを目的とした補助金を無理矢理削減させ、その一方で、自国の農民には巨額の補助金を提供していたのである
こうして自由市場イデオロギーは新しい形の搾取の口実に過ぎないことが明らかになった
民営化とは、外国人が途上国の鉱山や油田を低価格で購入できるということを意味する
さらに、遠距離通信などの分野を独占もしくは寡占して大きな利益を得ることもできた
金融・資本市場の自由化とは、外国の銀行が貸出によって高い収益を得られることを意味し、貸出が焦げ付いたときには、IMFが強制的に損失を国有化させる、つまり、国民全員で外国の銀行に貸出金を返すよう無理強いする
そのあと、少なくとも1997年の危機後の東アジアでは、貸出を行った当の外国銀行が、債権処分の投げ売りを利用してさらなる利益をあげているが、この投げ売りも、IMFが資金を必要としている国々に強要したものだ
貿易の自由化はまた、外国企業が創成期の産業を抹殺して、起業家になれる人材の開発を押さえ込めるということも意味した
資本は自由に流れるが労働力は流れない
ただし、とびきりすぐれた才能を持つ個人は別でその多くは世界市場で恵まれた職を見つけた

もちろん、例外もある
アジアには常に、ワシントン・コンセンサスに抵抗する人々がいた
そういう人々は資本流入に制限を設けた
中国とインドは自国経済を独自のやり方で運営し、前例にない成長を生み出した
しかし、そのほかの国々、特に世界銀行とIMFに牛耳られていた国々の状況は芳しくなかった


フリーフォール21 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール21 ジョセフ・E・スティグリッツ


今回の危機は、自己規制(金融界は、この概念を普及させようとしたが、私に言わせれば、規制と自己という相矛盾する言葉を組み合わせるのは悪い冗談としか思えない)
が機能しないことを明らかにした

仮にある銀行が自己のリスクを適切に管理していたとしても、金融界全体のシステミックリスクは必ずしも低下しない
全ての銀行が同じような行動をとればとるほど、システミックリスクは高まってしまう
そして実際、銀行業界は集団心理に従って行動してきた
例えば、全銀行が同じようなモデルを使用しているなら、全銀行が同時に同じような乱脈融資を行い、全銀行が同時に不良資産を売却しはじめるだろう
実際にこのとおりのことが起こったのだ
全銀行は同じ前提のもとで賭けを行っていた
不動産バブルは存在せず、不動産価格は下落しない
金利は上昇せず、たとえ上昇したとしても、借り手は返済を続けられる、という前提だ
彼らの希望と正反対の結果が出たとき、全銀行だけでなく金融システムそのものがトラブルに陥ったのである

通常ほとんどの市場は独力で合理的に機能する
しかし、外部性が存在する場合、すなわちある集団の行動が別の集団の行動に悪影響を及ぼす場合は、この限りではない
金融市場には外部性が溢れており、金融市場の失敗は社会と経済に莫大なコスト負担を強いてきた

ミスの原因としては市場の失敗と大きな外部性の存在があげられるが原因は他にもたくさんある
インセンティブの方向づけの失敗、資産の買い手側の情報の不完全性など。
銀行の経営陣のインセンティブは、他のステークホルダーや社会全般の目的と一致していなかった
金融市場の社会的機能のひとつは、情報を収集・評価・流布することだが、これは同時に情報弱者を搾取する力ともなる


大きすぎて潰せない銀行の問題には単純明快な解決策がある
組織の分割だ
巨大な金融機関の存在を許していいのは、小さな組織より大きな組織のほうが効率性が高く、規模を制限することが経済全体に大きな損害をもたらす場合、と言い換えてもいい
しかし私の見るかぎり、規模が効率性を高めている証拠はない
むしろ現実は逆であり、大きくて潰せない金融機関は、大きすぎて経営ができなくなっていた
彼らの競争優位性は、規模の経済ではなかった
市場の寡占状態と政府からの暗黙の補助金だった


一部の銀行は事実上、金儲けに利用できる内部情報を保有している
彼らは他の市場参加者の多くが何をしているかを知っており、この情報を利用すれば、他人を犠牲にして利益を得ることができる
CDSなどの保険に類似した金融商品を発行する際にも、彼らには不公平な優位性が与えられる
AIGの経営危機はカウンターパーティ・リスクの重要性を世間に認識させた
これは、契約相手が破綻し、保険が無効になるリスクだ
しかし、事実上の引き受け手が政府だと誰もが知っているため、大銀行はCDSの発行に大きなアドバンテージを持つこととなる
大銀行のCDS発行のシェアがとてつもなく大きいのは、おそらく偶然ではない
結果として生み出されるのは、不健康な原動力だ
大銀行は実体経済上の強みに基づく競争優位性ではなく、暗黙の政府保証から発生する歪み故の競争優位性を持つ
やがて金融セクターは、歪みが増大するリスクを抱え込むこととなるだろう

巨大組織の解体は、得るものが大きく失うものが少ない
解体には紆余曲折が予想される
だから三ヶ所同時攻撃が必要となる
大きすぎて潰せない金融機関を解体し、残った大型金融機関の活動を厳しく制限し、公平な土俵を実現するために預金保険と自己資本比率要件を修正するのだ

FRBと財務省がリーマン破綻の可能性を理解していたように見えないという点だ
それでもFRBと財務省の力は欠かせない

企業収益の40%ほどが金融セクターで占められている
こうした金融セクターの肥大化が、何かが間違っているという信号を発していることに私たちは気付くべきだった

心配なのは、2006年だけでアメリカが他の国々から8000億ドル以上を借りており、このような借金は持続不可能だということなのだ
やがてその不均衡の無秩序な巻き戻しが起こりうるし、その場合、為替レートの破壊的な変動を伴うかもしれない

特に問題なのは、アメリカはベビーブーム世代の退職後に備えて貯蓄すべきなのに、逆に
借金を続けているという事実だ

アメリカの債務はまもなくGDPの約70%に達しつつあり、仮に5%という穏当な金利でも、利子の支払いだけでGDPの3・5%、政府が受け取る税金の約20%が必要になる

世界中で不平等が拡大しており、グローバル化は、この世界的パターンをもたらした要因の一つに数えられる

世界が直面している数々の問題で、アメリカにおいて特に顕著なものもある

一般的な製造業の難問、つまり、生産性の向上から派生する雇用問題だけでなく、海外移転、つまり比較優位の変遷を反映して生産拠点がアメリカから中国その他の国へ移転するという問題も抱えている
こういう経済構造の転換に順応するのは簡単ではないだろう
たいていの場合、競争力を失った分野で職が失われるほうが、新しい分野で新しい職が生み出されるよりもたやすい
金融部門が活況を呈し、中小企業や新しい会社(職のほとんどはここで生み出される)への融資に重きを置くような状況にならないと構造転換への順応はことさら難しくなる
そして今日、アメリカはさらなる困難に直面している
立て直しのために人の移動が求められているにも関わらず、多くのアメリカ人が純資産額の大部分を失ってしまった
現在の自宅を売っても、同じ大きさの新しい家を買う頭金にもならないだろう
こうして、かつてアメリカに成功をもたらした特徴の一つ、社会的流動性が低下してしまう

アメリカの長期的競争力は高等教育機関と、それらの強みがもたらすテクノロジーの進歩にある
この分野ほど、世界において大きな市場占有率を持つ経済部門はない
アメリカの大学は世界中から最高の才能を引き寄せてきたし、その多くがアメリカに残って永住する
アメリカの一流大学はどこも利益追求機関ではない
その事実は、利益追求機関に信を置くことの誤りを示している

金融市場は政府に働きかけて高齢者の問題に誤った解決法をとらせようとしてきた
社会保障を民営化しようとしたのだ
金融市場は民営化を新たな手数料源、高齢者の負担で自分たちを豊かにする新たな好機とみている
だがイギリスで、公的年金の部分的民営化の影響を研究したところ、処理コストがかかる結果、年金額が40%減少することがわかった
金融部門は処理コストを最大にしたがるが、退職者の福利を考えると最小化することこそが肝要なのだ

ほとんどのアメリカ人には認めがたいことだが、鉄鋼や自動車などの多くの分野で、わが国はもはやテクノロジーの牽引国ではない
最も効率的な生産者でもないし、最も優れた製品をつくっているわけでもない
アメリカは製造業の分野でもはや競争力を失っているのである
一国の競争力は変化しうる
重要なのは動的競争力だ
東アジアの国々はそれに気付いた
40年前、韓国が競争力を有していた分野は、半導体や自動車の生産ではなく、米の生産だった
韓国政府は教育とテクノロジーに投資して競争力を変容させ、国民の生活水準を向上させることにした
韓国は成功をおさめ、それによって社会と経済を変容させた


保守派は、政府の役割を最小限にとどめようと懸命に努力してきた
例えばミルトン・フリードマンのマネタリズムは中央銀行の役割を機能的なもの、つまり固定金利で通貨供給量を増やすという役割にとどめようとした
それが挫折すると、今度は保守派は別の単純な対処法を探した、それがインフレ目標だ
しかしながら、現在の危機では、市場の失敗は複雑な様相を呈し、かつ広範囲に及んで、簡単には修正できず、それどころか機械的に対処すると事態を悪化させかねないことがわかった


昔の自民党は優秀な人が集まっていたんだろうなあ

昔の自民党は、政策が正しい、方向性とか愛国精神とかやる気は関係なく優秀な人が集まっていたのかなと思う
それが政権を失うことで空中分解した感じ
自民党は、理念がどうとかではなく、与党だから人を集められていた
それが政権を失うことで人の流出が止まらない
与党ではない自民党には興味がないのでしょう。まあ当たり前といえば当たり前ですが。

昔から二番手だった民主党は、元々層が薄く優秀な人自体もあまりいないように思える
今の民主党の政権運営の下手さは当たり前で、今度また自民党になってもくりかえすと思う
自民党は優秀か人がいなくなってどんどん民主党化していくし、民主党は自分達の利権を守ることに力を入れどんどん昔の自民党化していく


テレ東、好きだけど視聴率は悪いんだなあ

個人的にテレ東が好きなんですけど、視聴率でみると、他局より悪いみたいなんですよね
コンテンツは一番優れていると思うけどな

ガイアの夜明けやカンブリア宮殿よりバラエティー番組のほうが現代人には好まれているんでしょうね、きっと

それが悪いとは思いませんが、経済も負けないくらい面白いと思うんだけどなあー

まあ株とか投資している影響もあるのかもしれませんね
投資してると自然と経済に興味持つと思う
自分のお金が掛かってますからね


フリーフォール20 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール20 ジョセフ・E・スティグリッツ



破産処理は資本主義に欠かせない要素だ

アメリカには、企業に再出発させるためのきわめて効果的な手法が備わっている
すなわちチャプターイレブンだ
航空会社を例に説明すると、チャプターイレブンの適用を受けた航空会社は、雇用と資産を守り、営業も継続することができる
通常、株主は全ての権利を失い、社債保有者が新たな株主となるが、負債という重荷から解き放たれた会社は刷新された経営体制の元で飛行機を飛ばし続けられるのだ

銀行が他の企業と違うのは、預金保険という形で政府が利害を持っている点だろう
政府は預金を保証することによって金融システムの安定性を保ち、ひいては経済の安定性を保とうとしている
しかし、いったんトラブルが発生してしまうと、基本的には銀行も一般企業と同じ手続き(株主の権利を消失させ、社債保有者を新株主とする)をとらなければならない
社債に十分な価値があるなら、この手続きだけで十分だ

例えば、アメリカ最大の銀行シティバンクは、資産2兆ドルに対して3500億ドル分の長期社債を発行していた
破綻となると、株式配当を支払わなくてすむ上に、社債が株式に転換されるので、社債に対する莫大な金利も不要となる
これなら銀行の経営はかなり楽になるはずだ

しかし、資産総額が預金総額を下回ってしまうこともある
そうなると、政府は預金者との約束を守るべく行動に出なければならない
実質的に国が銀行のオーナーとなる
もちろん引き受け手を探し、可能な限り早く売却することが前提となる
破産した銀行は債務超過に陥っているので、政府はたいていの場合、バランスシート上の穴を補填しなければならない
このプロセスは、管財措置 と呼ばれる

ふさわしい求婚者がすぐに現れないときは、しばらく政府が銀行を経営する場合もある

管財措置に反対する者たちは、この伝統的手法を国有化と揶揄する
しかし、最終手段としての一時国有化の可能性を含む管財措置は、由緒正しき手法といってよく、政府から銀行への巨額贈与こそが前代未聞の出来事なのだ
国有化された銀行はやがて必ず売却される

長い経験が教えてくれるのは、破綻リスクに直面している銀行の経営者は、納税者の負担増のリスクを高める行動に没頭するという事実だ
例えば、銀行は大きな賭けに出ようとするだろう
賭けに勝ったときは、利益を自分のものにすればいい
賭けに負けたとしても、なんの問題がある?
どうせなにもしなくても破滅する
こういう事態を防ぐため、銀行の資本が縮小した場合には、営業停止措置もしくは管財措置を取るよう法律は定めている
銀行の監督機関は全ての金がなくなるまで待ったりはしない

規制当局はキャッシュ不足を察知すると、その銀行に資本増強を勧告し、状況の改善がみられなければ、いまのべたような措置をとる

危機が勢いを増していた2008年当時、政府は資本主義のルールに従って財務リストラを強行すべきだった
財務リストラは、再出発の機会を与えることであり、世界の終わりを意味するわけではない
政府が銀行の財務リストラを一時国有化という方法で強行していれば、納税者の金はほとんど必要なかったかもしれないし、それ以上の政府の関与は必要なかったかもしれない

財務リストラは銀行の企業価値を増大させる
なぜなら、破産の危険性を低下させることによって破産手続きの高額な取引コストを節約出来る上に、継続中の事業の価値を温存できるからだ

株主が一掃されて社債保有者が新オーナーになると、社債保有者の長期的展望は、銀行が中途半端な状態(生き残れるかどうかも政府からの施しの規模や条件がどうなるかもわからない状態)に置かれているときより向上する

オバマ政権は大銀行を「大きすぎて潰せない」と説明しただけでなく、「大きすぎて財務リストラができない」「大きすぎて資本主義の基本ルールが適用できない」と評した
「大きすぎて財務リストラができない」ということは、その銀行が破綻の瀬戸際まで追い込まれた場合、税金の投入以外に解決策がないことを意味する

「大きすぎて財務リストラができない」との理由で公的資金が投入されるなら、金融機関の社債保有者は政府保証を受けているに等しい

政府保証がない中小ライバル銀行の犠牲のもとに大銀行がさらに肥え太っていく
結果として金融セクターではみるみる寡占化が進むだろう

大きすぎて財務リストラができない銀行をめぐる議論は、人間の恐怖心を利用した謀略であると、私は本気で考えている

リーマンを救済していれば、今回の危機が回避できたという説は、全くのナンセンスだ
リーマンが救済されようとされまいと、世界経済は難局に向かって突き進んでいた
危機前の世界経済を支えていたのは、バブルと過剰借入だ

AIGに投入された公的資金の総額は1800億ドルにまで膨らんだ


銀行は信頼と流動性の問題が解決すれば危機は収まるという話がさも真実であるかのようにふるまおうとした
流動性の不足は、誰も金を貸したがらないことを意味した
各銀行は自行の本当の資産価値は借入(負債)を上回っていることを信じたがった
しかし、各銀行は自分に都合のいい信念を持ちながら、他の銀行のことは信じようとしなかった
資金を融通しあわなくなったのがその証拠だ

2009年10月、IMFは金融セクターの損失が3兆6000億ドルにのぼると発表した


■経済原則
第一の経済原則は、「質量保存の原則」だ
政府が不良資産を買い取っても損失そのものが消え去るわけではない
シティバンクの損失に政府保証がついても、損失は厳然として存在しつづけている
では、誰が損失を負担するのか?
ゼロサムの世界では銀行の株主や社債保有者にとって有利な取引は納税者にとって不利な取引を意味する
不良資産を買い取るプログラムの一番の問題点はここにある
所有権と効率性とルール遵守の観点から考えると浄化のコストは銀行に負担させる必要がある(現在もしきは将来、税金の形で支払わせればいいだろう)
銀行に税金を課せば(悪い外部効果に課税するばあいと同じく)経済効率性の向上と政府の歳入増を同時に達成できる
貯蓄や労働などのよいものに課税するよりはずっと理にかなっている
銀行はこう反論するだろう
課税によるコスト増は、民間からの資金調達を妨げ、金融システムの健全性回復の足を引っ張ると。
しかし、銀行にコストを負担させないと経済全体が歪んでしまう
何度も強調してきた通り、問題はインセンティブにある
銀行救済は必然的にインセンティブを歪ませる
過ちの結果を100%背負わなくてすむかもしれないと知っている貸し手は、おざなりな信用評価を行い、より高リスクの住宅ローンを発行する
これこそが、「モラルハザード」である
救済をするごとに次の救済の可能性が高まる、という恐れはすでに実証されたといっていいだろう
政府の救済手法は、さらにインセンティブを歪めた
この歪みが景気後退を深刻化させた可能性さえある
例をあげると、政府が損失を補填してくれるシティバンクのような銀行は住宅ローンを再編成するインセンティブを持たない
再編成を先送りすれば、可能性は低いものの、ローン債権の価値が元通りになり、全ての利益を独り占めできるかもしれない
先送りの結果として、損失が拡大しても、コストは全部政府が負担してくれる
銀行と銀行の重役は、政府から資金を引き出し、可能な限り多くの配当とボーナスを支出する、というインセンティブを持っていた
もちろん、公的資金注入の目的が資本増強と貸し渋り解消であることも、彼らは知っていた
目的と違う使い方をすれば、銀行の体力が弱まり、国民の怒りを買うことも知っていた
彼らは銀行の将来に危機感をおぼえ、未来の利益より現在の利益を優先したのだ

無視された第二の経済原則は、「過去は過去、常に前向きな姿勢を」の原則だ
どうせ7000億ドルを支出するねなら、無能さをさらけだした既存の銀行を救うのではなく、優良経営を行う健全な小数の銀行に投資をしたり、いくつか新銀行を設立したりすればいい
従来のアメリカ政府の戦略とは、リスク評価と信用評価で無能さを証明した銀行に、不良資産の買い取りや追加資金注入を行ったあと、再び貸し出しを活性化してくれることと、危機前よりもましな仕事をしてくれることを祈る、というものだった
しかし、真のイノベーションを駆使した前向きな戦略をとれば、従来よりも貸出を増加させられる上に従来よりも国民負担を減少させられるだろう

第三の経済原則は、「資金は景気刺激効果が最も高い分野に狙いを定めて振り向けなければならない」という原則だ
資金が限られている以上は、1ドル1ドルが適切に使われるよう手段を講じる必要がある
TARPが貸し渋りに繋がらなかった理由の一つは、ほとんどの資金が大銀行に注ぎ込まれたことだ
大手の銀行は何年も前に、ビジネスの主眼を中小企業向け融資から転じてしまっていた
TARPの最終目標が雇用の創出・維持なら、雇用の源である中小企業にこそ、資金を投入すべきで、中小企業に資金を行き渡らせたいなら、大銀行ではなく小規模銀行や地方銀行に金を注入すべきだったのである
とりわけ、愚かなのが、AIGの救済だ
当時は救済しないとクレジットデフォルトスワップの契約先企業にも問題が波及する、という議論があった
しかし、契約先の保護が重要ならAIGに札束を与えるのは、手法としていかにもお粗末だ
オバマ、ブッシュ政権は、トリクルダウン経済を取り入れ、AIGに充分な金を与えれば必要なところまでしたたり落ちていくと考えた
保険会社と年金基金を救うにしても、トリクルダウン経済を採用するのではなく、必要な資金を必要な場所に直接届ける手法を採用すべきだ
年金基金に1ドルを届けるために上流の投資家を20ドルで救済するなどというやり方は、どんな理由をつけても許されるものではない

無視された経済原則の最後は、「救済は、金融システムが本来果たすべき機能を向上させるための再編成に貢献しなければならない」という原則だ
救済資金は偏って振り分けられ、新規の企業や中小企業の事業拡大をうながす分野にはほとんど回らなかった
銀行救済の手法が金融セクターの寡占化を招き、「大きすぎて潰せない」という問題や「大きすぎて変身できない」という問題を深刻化させたことも指摘してきたとおりだ
今回の救済劇と1980年代から2000年代初頭にかけて繰り返し行われた救済は、銀行に対して力強いメッセージを送り続けてきた
つけは政府が払うことになるから、乱脈融資を心配する必要はない、と。
銀行救済の手法は、やるべきことのまさに正反対を行っていた
銀行に適切な規律を課し、思慮深い銀行に報賞を与え、過剰なリスクテークをした銀行を破綻させるべきなのに、最悪のリスク管理をしてきた銀行に、政府から最大の贈り物を与えてしまったのだ
オバマ政権は、利益を民営化して損失を公営化するという「えせ資本主義」をつくりだした


レオパレスは欠陥アパート?

レオパレスのアパートってものすごく壁が薄く、隣の部屋のケータイいじる音まで聞こえるとか
で、そんなレオパレスですが、赤字が続いていて、経営が厳しそうです

レオパレスが潰れたらオーナーはどうなるのかな、、?
レオパレスの仕組みは知りませんが、大和ハウスとかって、オーナーは完全にアパート経営を大和ハウスに任せていて、空室・満室に関わらずお金を一定額もらう契約だと聞いたことがあります

これって会社が信頼できる会社ならいいですが、倒産しそうな会社とかだとリスクが高そうです、、
いきなり倒産されると、明日から経営は?
って感じですよね
オーナーによっては、そのままアパートを辞める人がいるのではないでしょうか
これはアパートよりもフランチャイズの飲食店、コンビニなどではさらに影響が大きそうです
飲食店、コンビニは仕入れできないと何もできないですからね、、
ちゃんと調べないと恐いですね


FF14が叩かれてる

みたいですね

オンラインゲームなのに、金払ってソフト買うわりに月額料金が取られる
ここまでならまだしも、おもしろくないらしいですね笑っ
致命的です

FF5、7、10しかやったことないんですが、個人的にFFは王道ゲームであって欲しかった
タクティクスとかディズニーとのコラボのやつとか出さないで欲しかった
やったことがないので、食わず嫌いですが

オンラインゲームであることは、いいとして、なにかFFは自分の中でブランド価値がどんどん低下している

自分が小学生から社会人に成長していったからだろうか?
それともスクエニのせい?


和田アキ子は在日韓国人だからパチンコパチンコ行ってるのかな

最近和田アキ子が在日韓国人だということを知りました
この人、パチンコパチンコいつも言ってるけど、だからなのかなと思いました
ほとんどのパチンコ屋は在日韓国人が経営しているらしいので


フリーフォール19 ジョセフ・E・スティグリッツ

フリーフォール19 ジョセフ・E・スティグリッツ


真に効率的な金融システムとは、必要性に応じ、最も生産性の高いところに効率のよい方法で資本を振り向けられるシステムであり、リスク管理の点で個人と企業を等しく支援するシステムであり早くて安い決済の基盤となりうるシステムである
しかし、ブッシュとオバマ両政権が行なった一連の救済策は、危機を乗り越えたあとに国家としてどのような金融システムをもつべきか、ということはほとんど考慮していなかった

アメリカ政府による債務保証と公的支援の規模はGDPの80%、およそ12兆ドルに達しようとしている
債務保証分は全額支出されるとは限らないので、納税者の負担はもう少し小さくなるだろう
しかし、公式発表の数字の裏には数千億ドルの無償供与が隠されている
例えばFRBは劣等な物件を担保にして住宅ローンを買い取っているが、これは納税者を高いリスクにさらす金融取引であり、納税者は間違いなく莫大な コストをせおわされるだろう
ゼロに近い金利で銀行に金を貸し、今まで通りのギャンブルを続けさせたり、他の企業に高利で又貸しすることを許すのも、形を変えた銀行救済といえる
大多数の一般企業は、ゼロ金利の融資を利用できるなら、喜んで金を借りただろう
そして最低でも成功している銀行と同程度の高い収益をあげられただろう
銀行支援の実態は巨額の贈与であり、納税者の目を欺く形で実行されているのだ


金融危機が発生したとき、ブッシュ政権は銀行本体だけでなく、銀行家と株主もまとめて救済することを決断した
そして、この資金は透明性を欠いた形で供給された
税金の無駄遣いにたいする国民の怒りは銀行への追加支援をさらに難しくし、結果として救済の手法はどんどん不透明で非効率的な方向へと進んでいった


今日までの不確かな道のりは、すでに高いコストを要求してきた
財政赤字という負の遺産は、将来の経済政策にかせをはめるだろう
実際、銀行救済が行われて以降、深刻な赤字財政は、医療改革の規模縮小の言い訳に使われてきた

金融セクターの成功の尺度は、結局のところ、一般市民の福祉をどれだけ向上させられたかであり、福祉の向上は、資本の適正な配置、もしくはリスクの適正な管理によって実現される
実際にアメリカ経済を成功に導き、国民の生活水準を向上させたのかと問われれば、彼等のイノベーションが重要な貢献をしたとはとてもいえない

グリーンスパンFRB議長は、国民に変動金利型ローンの利用を推奨した
彼は市場の効率性を信じると同時に全体を平均すれば変動金利型への乗り換えで住宅所有者が支出を節約できると信じていた

金融イノベーションと経済の失敗の間には、いとも簡単に明確な因果関係を描きだせるが、金融イノベーションと生産性向上の間には、なんの因果関係も見当たらない

金融セクターの小さな一角を占めるベンチャーキャピタル企業(彼らの主な活躍の場はニューヨークではなく西海岸) は、数多くの新興企業に資本を提供することにより、アメリカの経済成長に大きな役割を果たしてきた
一般消費者と中小企業に必要な資金を供給するという面では、地方銀行と信用組合も良い仕事をしてきた

保管ビジネス(昔ながらの融資事業)から転売ビジネス(複雑な証券化商品を開発し、軽率な投資家に売りつける事業)への転身を自画自賛する大手銀行は、実際のところ、雇用創出に些末な貢献しかしてこなかった
彼らはもっぱら、大金が飛び交う企業合併に興味をもち、再編に失敗した企業からは資産を根こそぎ剥ぎ取った
雇用創出と起業の面では役に立てなかった大手銀行は、お得意のコスト削減努力を通じて(自社ではなく他社の)雇用破壊には傑出した手腕をみせたのである


銀行は貧困層が必要とするサービスを提供せず、テクノロジーの進化を考えれば実現されて当然だった低コストの電子決済システムも、やはり銀行から提供されることはなかった

金融システムか上手く機能しなかった理由は複数あり、不具合を修正するためには、これらの理由を理解しなければならない
本書はここまで、次の5点を指摘してきた

第一は、インセンティブの問題
現在のシステムでは、社会的利益と個人的利益の間に食い違いが存在している
両者に同じ方向性を持たせないと市場は上手く機能しない

第二は、一部の金融機関が「大き過ぎて潰せない」状態になったこと
中には「大き過ぎて経営できない」状態の企業もあった(AIG)

第三は、大銀行が堅実な銀行業務から証券化事業にシフトしたことだ
証券化には長所もあるが慎重な管理も必要だ
金融関係者と規制当局者はその点を理解していなかった

第四は、退屈な業務に打ち込むべき商業銀行が他の金融機関を手本に、ハイリスク・ハイリターンの複雑な大型取引を志向したことだ
商業銀行の預金が政府保証の対象であるのに対し、ヘッジファンドの資金は対象外だ
両者が全く違う種類のビジネスであることを商業銀行家の大多数が忘れてしまっている

第五は、ほとんどの銀行家が市民として果たすべき責任を失念していたことだ
彼らは貧者や弱者をくいものにしてはいけなかった
当時は国中に強欲が渦巻いており、社会的弱者からの搾取を含めてなんでもありの状態だった


海外旅行で思ったユーロの適正水準

個人的にユーロの適正水準は100〜120円ぐらいかなと思いました
そのぐらいが日本と同じ物価水準になるからです
レストランや博物館、美術館の料金を考慮してです

旅行での偏った物価水準なので、実際にユーロ圏で暮らすと思う適正水準が変わってくるかもしれません

ただ170円はありえないぐらい高いというのが、個人的な見解です
ユーロ170円だとヨーロッパ旅行なんていけたものではありません


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