2011年01月

日経ビジネス20101004

日経ビジネス20101004



なぜ偉大な企業が衰退するのか。
その法則を導こうと試みたのが、このほど発売された「ビジョナリー・カンパニー3 衰退の5段階」
コリンズ氏は多くの企業が左図のように5つの段階を経て衰退すると考えた
1.成功から生まれる傲慢
2.規律なき拡大路線
3.リスクと問題の否認
4.一発逆転策の追求
5.屈服と凡庸な企業への転落か消滅

ソニーの歴史を振り返るとこの5段階をたどっているようにみえる
ソニーが偉大な企業になれた最大の理由は、世の中にない製品を出し続けたからだ
79年に発売した「ウォークマン」は音楽の楽しみ方を根本から変え、89年に発売したパスポートサイズの「ハンディカム」は小型化で先頭を走った

自信からか80年代後半、異業種への触手を伸ばした
象徴的だったのが、89年の米コロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメントの買収だ
これこそ、コリンズ氏が衰退の第二段階とする「規律なき拡大路線」だろう
実際に、映画部門は毎年莫大な赤字をもたらし、ソニーの財務を傷めていった

こうした状況下で95年に登場したのが、その後10年間ソニーのトップに君臨した出井伸之氏だった
出井氏は映画事業に大ナタを振るうことで止血に成功
「PS」や「バイオ」などヒット商品を生んだ

「デジタル・ドリーム・キッズ」などのスローガンを掲げ、デジタルへの移行を声高に叫んだ
それでも、組織が持つ成功体験があまりにも大きすぎ社内にはアナログに携わる人員が多く、経営者1人では変えられなかった
「出井さんはビジョンを掲げてはいたが実行がともなわなかった」あるソニー幹部OBは悔しそうに語る

典型例がテレビだ
97年に発売した平面ブラウン管テレビ「ベガ」が大ヒットしその後数年間ソニーはこの市場で圧勝する
反面薄型テレビへの移行では、シャープやパナソニックの後塵を拝することになる

矛盾は、2003年4月一気に噴出した
大幅な業績下方修正を突然発表したことで、株式相場が大暴落する引き金を引いた「ソニーショック」だ
この時の記者会見で出井氏は大きなミスを犯してしまう
前の期の売上高営業利益率は2.9%だったにもかかわらず、2007年3月期に10%するという公約を掲げてしまったのだ
これは、衰退の第三段階である「リスクと問題の否認」にソニーが陥ったことを意味する
「市場では10%という数字が既成事実化し、出井氏の認識の甘さを問う声が大きくなっていった」と日興コーディアル証券の三浦和晴アナリストは振り返る
しかも出井氏は、「面白い製品を生み出すことではなく、リストラで10%を実現しようとした」(幹部OB)
コスト削減が優先されるあまり、最先端の技術を追求するよりも、消費者に迎合する製品が増え始めた
似たような製品がソニー内の別事業部から乱立する一方で、「新製品を作っても、出井さんは評価してくれないだろう」(エンジニア出身OB)という雰囲気が蔓延
社内で斬新な製品に挑む社員が減っていったとされる
そして、2005年6月、ハワード・ストリンガー氏に「一発逆転」を託す格好で出井氏は退陣することになる
ストリンガー氏はリストラに取り組む一方で、韓国サムスンと液晶パネルの合弁会社を設立
今年に入り米Googleと提携するなど競争力強化に手を売っているが、「業界のトレンドを作るのではなく、追いかける側に回っている」とシティグループ証券の江沢厚太氏アナリストは指摘する
ソニーはコリンズ氏が説く衰退の第四段階「一発逆転の追求」から抜けだせず、かつての輝きを取り戻せていない



日経ビジネス20100920

日経ビジネス20100920

■ゼンショー
ゼンショーはヒトの動きすら、わずかな無駄も許さない
生産性を極限まで高めるのが目的だが、特異さを際立たせるのは、その徹底ぶりだ
企業理念とともに、立ち居振る舞いも事細かに定める「ゼンショーグループ憲章」には、その精神があますとこなく凝縮されている
「商談は30分」
「社員は群れてはいけない」
「笑ってごまかさない」
「いい人に思われるようにするな」
「歩くときは1秒に2歩以上」
グループ憲章は、社員にとってバイブルに等しい
全員に配られる冊子には1つ1つにシリアルナンバーが打たれ、なくすことは許されない
相次いで傘下に収めたグループ企業にも順守が求められる
この10年間でココスジャパン、ビッグボーイジャパンなど17社に及ぶ積極的なM&Aを繰り返し、売上高を20倍に伸ばした
2010年3月期の売上高構成比はレストラン部門が4割強に達する一方、すき家、なか卯からなる牛丼部門は4割弱に低下
しかし経常利益111億円のうち、いまだに牛丼部門が8割を占める稼ぎ頭

すき家では、牛丼をすくう際、コンマ数秒を削るために、体のバランスや手の動かし方までもが細かく定められ、クルーは正確無比な所作が求められている
24時間、店舗を回すために必要な作業すべてに決まりごとがつきまとう
しかも、驚くほど細かなタイムテーブルが組まれ、全てに分刻みの制限時間が設けられている
ある店舗では、午前8時〜9時までにやるべきことは6つ
クモの巣取りに2分、営業報告記入に10分、、、。

すき家がたどり着いた究極の効率運営の象徴がワンオペだろう
ワンオペとは、ワンオペレーション、すなわち店舗での一人勤務をさす
警察当局は防犯上の理由から複数配置を指導している
吉野家は最低二人置く
だが、すき家は違う
深夜シフトで、22時〜翌朝9時まで孤独な作業が続く
たった一人で調理も接客も清掃もすべてを行わなければならない
本社が定めた売上の最低ラインを上回らなければ、ワンオペは実施される
ワンオペに従事するクルーが本社に増員を要請しても「売上が増えれば二人でも三人でも増員します」との回答を得るだけ

曖昧さを排し、ヒトの生産性を高めようとするゼンショー流の手法はヒトの心にも踏み込む
アメリカの海兵隊が使っていた「FFS」という組織理論がある
アンケートで人間の性格を5つのタイプに分類し、組み合わせを最適化することで、優れたチーム作り上げる
これをすき家にも取り入れ、理想的なクルーの組み合わせを決めている

工場での全ての手順や動作は、店舗同様、膨大なマニュアルで管理されている
ゼンショーの工場では、統率された人海戦術がロボット代わりとなり、機能している

社員とパートの比率は吉野家が1:4であるのに対し、ゼンショーは1:7である
M&Aで総従業員が前期より2倍近くに膨らんだ2007年3月期は1:4まで下がったが、翌期には正社員を減らす一方、臨時雇用者を拡充、1:8まで引き戻した

パート、アルバイトを安定的な戦力として活用するのは、容易ではない
だからこそ、ゼンショーは動作の隅々まで徹底的にヒトを管理し、その力を究極まで高める体制を築いている

「食に関して最も臆病な企業でありたい」
簡単には他人を信用しない
自らが見て、調べて、確信したことだけを真とする
このスタンスはゼンショーにおける唯一無二の絶対的な存在、小川社長の経営スタイルでもある

相手がどんな大手企業だろうが老舗だろうが、決して言うことを鵜呑みにはしない
爪に火をともす努力で生産性向上に取り組む一方、リスク管理には莫大な投じ、確認する

現場で、本当にクルーがマニュアル通りに働いているのか
指示を守っているのか
社員による定期巡回だけでは穴が生まれる
たった一人で店舗を回すワンオペ中であれば、なおのこと
だからゼンショーは、すき家全店に監視カメラを設置し、その模様を監視役の社員が24時間モニターしている
もちろん防犯対策の意味もある

考え抜かれたマニュアルと、その順守は、個々人の裁量や能力を排除し、誰でも均一に一定の作業をこなしてもらうための仕組み

1980年、小川社長の働いていた吉野家が会社更正法の申請に至った
小川社長は、「米の方がパンより栄養価が高いし、醤油は保存がきく。シンプルだから製造コストも安いし、飽きない。牛丼こそが世界で通用する」という確信が芽生えていた
革命の武器である牛丼の灯を今消してはならない
もはや自分が先頭に立ち、革命を統率するしかない
小川は二人の部下を引き連れ、82年、会社を立ち上げた

2008年4月、仙台市にあるすき家のクルーは残業の未払い分などについて約100万円の支払いを求め、東京地裁に提訴した
「二人で仕事をこなした場合でも、決められた売り上げに満たないとその都度一人分の労働時間を削るように指示がでる。一人については働いたのに給料がもらえない」
現場の疲弊は増す一方だ
今年7月、牛丼の価格を下げたことで客数が2〜3割増えたが、客単価が下がったため、売り上げは上がらない
クルーはあくまで売上高に応じて配置されるため、労働強化となっているという
ゼンショーは結審を待たずして、要求を承諾した
だが従業員との団体交渉のテーブルにはいまだに着いていない
小川は「うちは外食の中では訴訟が少ないでしょう」と多くは語らない



東洋経済20101225-20110101


■三菱自動車
2004年に経営危機に陥った
当時は資金繰り策として、三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行を中心とした三菱グループに対し、総額6300億円の優先株を発行
2010年9月末の残額は4375億円に上る
本来なら、株主に対し年間200億円以上の配当を行うはずが、累損7700億円を抱えているために見送った

■ゴールドマンサックス
GSは、12月初めに発表したリポートの中で、2011年に日経平均は12000円程度まで上昇余地があるとの見通しを示した
メリルリンチもGSと同様、日本株に対して強気のリポートを出した

こうした海外勢が日本株の上昇要因に挙げているのは、アジア株からの資金シフトの動き
成長期待から過熱感が出ているアジアの金融市場は、インフレ抑制に向けた引き締め策などで、11年前半までは調整含みの展開が予想される
そのため、アジア株に投資している資金の一部を日本株に待避させる動きが活発化するというわけだ

■QE2
6000億ドルの追加量的金融緩和策

エコノミストの多くは、QE2はインフレを引き起こしかねないとしてQE2に反対している
一部のエコノミストは、ミルトン・フリードマンのマネタリストモデルを信奉している
マネタリーベース(現金および準備預金)が増大すると必然的にマネーサプライ(M2)が比例的に増加し、それがインフレを引き起こすというものだ
過去50年間を通して、マネタリーベース、マネーサプライ、名目GDPが歩調を合わせて増大してきたのは事実だ
ところが、日米では今や実質ゼロ金利となり、この関係は変化した
リーマンショック以降、FRBはマネタリーベースを急増させたが、マネーサプライ(M2)、名目GDPはのいずれにも影響していない
QE2がマネーサプライを増大させないのならば、行き過ぎたインフレは発生しないだろう

■アラン・ブラインダー氏
インフレのほうを懸念するエコノミストも多いが、マネタリスト的な考え方に騙されているにすぎない
このような人たちは、FRBが何兆ドルもの過剰な準備金を創造し、それを銀行がバランスシート上に保有していることによって将来にインフレが起こるのではないか、と心配している
しかし、その金がそこにじっとしているだけでは、インフレも成長もそのほかのなにも起こらない
金融刺激策は、それが実体経済に与えた場合にのみ、物価に影響する
この点を理解しないのは、マネタリスト的な考え方の誤った推論だ

■スカイツリー
周辺の商業・オフィス複合再開発も含めて、総事業費1430億円のビッグプロジェクト
売り上げの1.4倍強、約8100億円の有利子負債を抱える東武鉄道には「荷が重い」との声も一部にはあるが、東武のそろばんは違う
事業初年度(12年度)に2500万人を集客し、年間収入172億円、5年目の営業利益は年37億円をたたき出すと弾く


■イギリス
先進国で近年例のないほど激しい財政政策、こんな評価を受ける財政政策に踏み切ったのが、2010年5月に発足したイギリスのキャメロン連立政権だ
しかしキャメロン連立政権は、「(これくらいのことをしないと)破綻の淵から生還できない」(オズボーン財務相)などと、不退転の覚悟で財政再建にのぞんでいる
財政再建の内容は増税より歳出削減に重きを置く
810億ポンド(約10兆円)に上る歳出削減の対象となったのは、国営医療制度と途上国援助を除き、ほぼ全分野にわたる
一方、歳入増加策としては、付加価値税が17.5%から20%へ引き上げられ、危機の原因となった銀行には新税がかせられる
公務員も49万人削減することが予定されている
こうした努力を通じてGDP比の財政赤字比率は09会計年度の11%から15会計年度には1.1%までの引き下げを狙う

■佐々木融
2002〜2007年の過剰流動性に支えられた環境では、米ドルも円も共にファイナンス通貨として弱い通貨となったが、FRBが利上げを開始する2004年後半まではドル円相場は円高方向に進み、利上げ開始後は、円安方向に進んでいる
つまり、FRBが利上げを始め、十分な資本フローを引き付けられるようになってから、米ドルは円よりも強くなり始めたのである
われわれは2011年中のFRBによる利上げを予想していない(2012年4〜6月期を予想)ので、2002〜2004年と同様、2011年を通じて米ドルは弱い円よりも弱くなるとみる

2011年中の各通貨の強弱予想
豪ドル>NZドル>カナダドル>スイスフラン>ポンド>ユーロ>円>米ドル

■中原圭介
私はデフレの正体は、金融機関の収益の基盤が破壊されたことと、国民が将来の安心を持てなくなったことの2つだと思っている

法人減税の半分でもいいから、恩恵を受ける分は、従業員に行き渡るような仕組みにしないといけない
賃金が上がれば従業員のモチベーションだって上がるはずだ

子供手当は、やめるべき
子供を産む動機づけになるなら評価はできるが、実際は生活費の補填や貯蓄に回っている
金融機関はそれで国債を買う
結局、放漫財政の助けをしているだけ
国民が安心して経済活動ができる、そんな税制を考えないといけない
目先の帳尻合わせばかりやっているからおかしくなる

3年以内か5年以内に来るのかわからないが、日本は遅かれ早かれギリシャのようになる
国債が国内だけでファイナンスできているのと、暴落しないのとは全く別問題
私たちが「日本国債危ないな」と、少しでも思ったら崩れる
ヘッジファンドなどが仕掛けてきたらあっという間
ヘッジファンドからすると、欧州はオードブルでメインディッシュは日本
欧州が落ち着いて、緊縮財政がもし計画どおり実施できて落ち着いてきたら、次に日本が狙われる

■居酒屋
「庄や」「日本海庄や」が主力の大庄は、2010年8月期71年の創業以来初の営業赤字を計上
「旬鮮酒場 天狗」など同じく中価格帯業態が中心で老舗組のテンアライドも2011年3月期は2期連続の営業赤字が確実だ


■炭素繊維
比重が鉄の4分の1と軽量でありながら、強度が10倍、弾性率も7倍と丈夫で、産業界からも注目を集めてきた
日本では東レ、帝人子会社の東邦テナックス、三菱レイヨンが3社で世界の約7割の生産量を誇る

東レが供給しているボーイングの航空機の場合、1995年就航したB777では10トン程度だが10年就航のB787では35トン使用している
帝人と取引拡大中のエアバスども20トンを超す使用量の機体が出始めている

航空機や風力発電向けの拡大で年間15%の市場成長が見込まれる


記事検索
応援よろしくお願いします!
人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ

にほんブログ村 株ブログへ
にほんブログ村 株ブログ 株日記へ
にほんブログ村 経済ブログ 金融経済へ
にほんブログ村 経済ブログへ


  • ライブドアブログ