■20120618 日経ビジネス
■坂根正弘 コマツ会長
日本で販売するより輸出のほうがはるかに稼いでいます
これは1ドル79円の実績です
国内販売より輸出が儲からなくなれば、日本から逃げ出す理由になるでしょうが、現実は違います
この数字から判断するなら、国内生産をやめるのではなく、国内販売をやめるべきになります
強い生産部門を持てば、国内に製造拠点があっても十分戦えることがおわかりいただけたと思います
通常、生産部門と言えば、自社工場など社内の生産部隊を指します
しかし、コマツでは生産部門とは協力企業を含めた概念にしています
協力企業とは部品や部材をコマツにおさめている外部の企業です
生産部門を強くするには、協力企業を含めて強くしなければいけません
協力企業とうまく連携する秘訣は、信頼関係につきます
コマツを信頼しているからこそ増産や減産に臨機応変に応じてくれます
当社では強い信頼関係を構築するために様々な取り組みをしてきました
まず、一度出した仕事は社内に引き揚げない
これが大原則です
2008年のリーマンショックの後、当社も仕事がなくなりました
だからといって、外部に頼んだ仕事を引き上げてはいけません
むしろコマツの仕事を協力企業に出しました
苦しい時はお互い様です
そこで引き揚げたら、絶対にお願いを聞いてもらえなくなるでしょう
信頼関係を築くには時間がかかりますが、壊すのは簡単です
当時銀行から資金調達に困る企業が出てきました
そこで当社は支払いを現金にしました
新規に設備を導入したばかりのところにはコマツが設備を買い取りリースしました
さらにコマツの幹部が銀行に一緒に行き「おたくがかさないなら、コマツが貸す」とも言いました
そこまですれば銀行もお金を貸しますね
こうやって苦楽を共に経験し、積み上げることで、いい関係を築いてきました
コマツの一番の財産です
もちろん、甘いことばかりでは関係は続きません
発注先を合理的な理由で代えることはあります
新しい商品を作ったり、モデルチェンジをしたりする時には、数社に競合させます
その結果、いいアイデアや提案をしてもらったところに発注します
価格が安ければ、いいわけではありません
コンペをするときには我々の理論価格を持っています
仕事を取りたいために極端に安い価格を提案してきたところには、仕事を出しません
安ければいいというスタンスでは永続的な関係にはならないでしょう
いったん発注を決めたら、価格を調整するのは鋼材など原材料の価格が動いたときです
為替相場が動いたからって、取引条件を変えたりしません
短期的にみれば、当社は多少、高い値段で買っているのかもしれません
でも長期的にみれば我々のほうが合理的で有利なはずです
普段買い叩いているようなところは、部品や部材が足りなくなったときに値段を吹っかけられるに決まっています
ライバルを圧倒する競争力を持つダントツ商品には、どこかにキーとなる部品が必要です
キーコンポーネントを作るのはコマツだけの力ではありません
協力企業をはじめ鉄鋼、ゴムといった素材メーカーなど関係する人たちが皆で知恵を出しあって作ります
これまでの経験でいいますと、日本で作ることが圧倒的に有利です
日本は少しずつ技術が進化します
10年、20年経つと海外で作るのに比べて相当な差がついているでしょう
これが日本の強さです
だからコマツではキーになるコンポーネントは、技術革新を継続させるため日本で作ることにしています
日本の生産の力は強い
技術力も非常に優れています
だが、海外の企業に負けてしまう事例は残念ながら多い
私は「技術で勝ってビジネスで負ける」と言っています
世界の変化を予測してビジネスモデルを構築するのはトップの役割です
ビジネスモデルがわかれば、足りない経営資源を外部から買ってくることも必要になります
技術力はボトムアップですが、ビジネスモデルの構築はトップダウンの仕事です
日本の最大の弱点は、ここにあるように思います
■郭 ホンハイCEO
ホンハイによるシャープ本体の持ち株比率は約10%
よって経営をコントロールすることはできません
それでも資本提携が成功すると考えた理由は3つあります
第一は距離の近さです
大阪〜台北の飛行時間は約3時間です
第二は両者が補完関係にある点です
シャープはシステム統合などの上流の技術に優れ、ホンハイは生産能力と世界に顧客を抱える
2社が組めば1+1=2ではなく5になるはずです
第三は社員が株式を持つことによって報われる制度を導入すれば、社員の潜在的能力を大きく引き出すことにつながります
日本企業はこれまで結果平等の社会主義にとらわれてきました
これまでも話していますが、ホンハイに自社ブランドの民生機器を手がける意思はありません
それで収益が高まるわけではないですから
一方、家電販売店事業は、サプライチェーンを簡素にするためにやります
ホンハイは将来、ネット通販を含め世界最大級の流通業者の一つとなることを目指します
■坂根正弘 コマツ会長
日本で販売するより輸出のほうがはるかに稼いでいます
これは1ドル79円の実績です
国内販売より輸出が儲からなくなれば、日本から逃げ出す理由になるでしょうが、現実は違います
この数字から判断するなら、国内生産をやめるのではなく、国内販売をやめるべきになります
強い生産部門を持てば、国内に製造拠点があっても十分戦えることがおわかりいただけたと思います
通常、生産部門と言えば、自社工場など社内の生産部隊を指します
しかし、コマツでは生産部門とは協力企業を含めた概念にしています
協力企業とは部品や部材をコマツにおさめている外部の企業です
生産部門を強くするには、協力企業を含めて強くしなければいけません
協力企業とうまく連携する秘訣は、信頼関係につきます
コマツを信頼しているからこそ増産や減産に臨機応変に応じてくれます
当社では強い信頼関係を構築するために様々な取り組みをしてきました
まず、一度出した仕事は社内に引き揚げない
これが大原則です
2008年のリーマンショックの後、当社も仕事がなくなりました
だからといって、外部に頼んだ仕事を引き上げてはいけません
むしろコマツの仕事を協力企業に出しました
苦しい時はお互い様です
そこで引き揚げたら、絶対にお願いを聞いてもらえなくなるでしょう
信頼関係を築くには時間がかかりますが、壊すのは簡単です
当時銀行から資金調達に困る企業が出てきました
そこで当社は支払いを現金にしました
新規に設備を導入したばかりのところにはコマツが設備を買い取りリースしました
さらにコマツの幹部が銀行に一緒に行き「おたくがかさないなら、コマツが貸す」とも言いました
そこまですれば銀行もお金を貸しますね
こうやって苦楽を共に経験し、積み上げることで、いい関係を築いてきました
コマツの一番の財産です
もちろん、甘いことばかりでは関係は続きません
発注先を合理的な理由で代えることはあります
新しい商品を作ったり、モデルチェンジをしたりする時には、数社に競合させます
その結果、いいアイデアや提案をしてもらったところに発注します
価格が安ければ、いいわけではありません
コンペをするときには我々の理論価格を持っています
仕事を取りたいために極端に安い価格を提案してきたところには、仕事を出しません
安ければいいというスタンスでは永続的な関係にはならないでしょう
いったん発注を決めたら、価格を調整するのは鋼材など原材料の価格が動いたときです
為替相場が動いたからって、取引条件を変えたりしません
短期的にみれば、当社は多少、高い値段で買っているのかもしれません
でも長期的にみれば我々のほうが合理的で有利なはずです
普段買い叩いているようなところは、部品や部材が足りなくなったときに値段を吹っかけられるに決まっています
ライバルを圧倒する競争力を持つダントツ商品には、どこかにキーとなる部品が必要です
キーコンポーネントを作るのはコマツだけの力ではありません
協力企業をはじめ鉄鋼、ゴムといった素材メーカーなど関係する人たちが皆で知恵を出しあって作ります
これまでの経験でいいますと、日本で作ることが圧倒的に有利です
日本は少しずつ技術が進化します
10年、20年経つと海外で作るのに比べて相当な差がついているでしょう
これが日本の強さです
だからコマツではキーになるコンポーネントは、技術革新を継続させるため日本で作ることにしています
日本の生産の力は強い
技術力も非常に優れています
だが、海外の企業に負けてしまう事例は残念ながら多い
私は「技術で勝ってビジネスで負ける」と言っています
世界の変化を予測してビジネスモデルを構築するのはトップの役割です
ビジネスモデルがわかれば、足りない経営資源を外部から買ってくることも必要になります
技術力はボトムアップですが、ビジネスモデルの構築はトップダウンの仕事です
日本の最大の弱点は、ここにあるように思います
■郭 ホンハイCEO
ホンハイによるシャープ本体の持ち株比率は約10%
よって経営をコントロールすることはできません
それでも資本提携が成功すると考えた理由は3つあります
第一は距離の近さです
大阪〜台北の飛行時間は約3時間です
第二は両者が補完関係にある点です
シャープはシステム統合などの上流の技術に優れ、ホンハイは生産能力と世界に顧客を抱える
2社が組めば1+1=2ではなく5になるはずです
第三は社員が株式を持つことによって報われる制度を導入すれば、社員の潜在的能力を大きく引き出すことにつながります
日本企業はこれまで結果平等の社会主義にとらわれてきました
これまでも話していますが、ホンハイに自社ブランドの民生機器を手がける意思はありません
それで収益が高まるわけではないですから
一方、家電販売店事業は、サプライチェーンを簡素にするためにやります
ホンハイは将来、ネット通販を含め世界最大級の流通業者の一つとなることを目指します