■20130107 日経ビジネス
■安部首相
首相辞任後、失意の安部氏が真っ先に取り組んだのが地元・山口県の支持者へのお詫び行脚
罵声を浴びせられることもあったが、「すべてを真っ正面から受け止めることが始まりだと自らに言い聞かせた」と安部氏は振り返る
全国の落選候補などの集会に弁士として積極的に出向いては「有為な仲間を落選させ、自民党を大敗させた責任は私にある」と頭を下げ続けた
「背負った十字架の重さを自覚し、現場に足を運び続けた。逃げずにその姿勢を示したことが安部さんの失地回復の一歩となった」安部氏に近い議員はこう語る
本音では信頼を寄せず、ライバル視する石破氏を党運営の要の幹事長に指名
石破氏の国民的人気を活用し衆院選を自身との二枚看板で乗り切る「実を取る」道を選んだ
懐の広さを示し、党内外の不満の芽を早目に摘み取った安部氏
■澤田秀雄 ハウステンボス社長
2010年4月、私が来た時のハウステンボスがそうでした
18期連続の赤字という状況で私はなにをしたか
たった二つです
一つは借金をなくすこと
もう一つは売り上げを増やすことです
国も同じことをすればいい
二割無駄を減らして、税収を二割増やす
20兆円の経費が浮いて20兆円の増収が出来れば40兆円のプラスです
別に難しいことをやれと言っているわけではないんです
もちろん工夫は必要です
ハウステンボスだって無駄を減らすためにあらゆる手を尽くしました
増収するといってもなにもしなければこんな遠隔地まで誰もきてくれません
ならばとうすればいいか
答えの一つが今開催している「1万球の電球を使った世界一のライトアップ」です
「世界一」というのが重要で、二位では佐世保まで来てくれない
国の場合、無駄はいくらでも削れるとして、増収の方法は2つしかない
一つは江戸時代の悪代官のように税金をむしり取る
もう一つは、16〜18世紀の楽市楽座のように国を栄えさせて、結果として税収を増やす
あとは、どちらが一億数千万人の国民にとってハッピーかという問題だけです
2013年以降、そうした改革を断行できるリーダーが現れるかがこの国の分かれ目だと思います
すべてリーダー次第
それは国も会社も一緒
子供も大人ももっと挑戦してもらいたい
挑戦して失敗して、やっとの思いで成功して感動するのが人間なんだから
僕なんてどれだけ失敗したか
旅行業、LCC、証券業とやってきたけど、挑戦したことの7〜8割は失敗です
致命傷さえ負わなければ人生はなんとでもなるんです
■河内幸枝 マロニー社長
よく核家族化が進んで家庭で団欒が減れば、鍋需要は縮小するという意見がありますが、私はむしろ無縁社会の進展で絆を求める人が増えて、鍋に対するニーズは高まるのではないかと考えています
そもそも仲間と火を囲むのは、狩猟時代から人類の本能に組み込まれた対話の基本形でしょう
私だって、経営に失敗して、個人保証で無一文になって、働くこともできなくなったらどうしようと考えますよ
でも、今のところは生活保護制度がある
私は年金も払っているからさらにいい暮らしができます
そんな風に思えば何にだって挑戦できると思いませんか
人間は積み重ね思考でないといけませんて
■大村禎史 西松屋チェーン社長
何事もダメだと思ったらダメでね
悲観したらいけません
少子化の影響もいつかは出るでしょうけど、先のことばかり考えて対応するのはナンセンス
西松屋は2013年も、目の前のチャンスをしっかりつかみ、少しずつ進みますわ
■宗次徳二 壱番屋社長
経営構造を見てもなにを見ても優れた人しか勝ち残れない時代になってしまいましたからね
なにかひとつくらいは、誰よりも頑張るぞというものがないと、人生にいいことは起きない
私の場合は、「早起きと掃除だけはだれにも負けない」という気持ちでやってきました
午前4時ぐらいにはやおきして、店に行って掃除をする
社長が誰よりも早くきて、誰よりも一心不乱に掃除していたら、社員も働くようになるんです
社長が誰よりもハードワーカーの会社は強い
朝が早いと一日だって有効に使えます
私の場合、毎日できるだけ店舗など現場を回っていました
現場まわりがもう大好き
現場で掃除をしているとお客様の思考の変化とか様々な重要な情報も自然と入ってきます
だから次の一手も自信を持って打てる
でも、世の中を見回すと、どうもそういう経営者は少ないように思います
重役出勤して、現場に顔を出さず、会議で声だけ張り上げる
社長が誰よりもハードワーカーどころか、自分が楽をしとる
現場主義どころか社長室で数字しか見ない
そういう人は顧客のことよりも、ライバルの動きとか世間のトレンドとかろくでもないことばかり気にするんですよ
時間をかけて現場を見ていないから、思いつきでしか指示を出せない
当然、道を誤ります
そういうことですから、2013年以降、自分のお店や自分の会社、企業をよみがえらせたいと思うなら、社長が朝4時に起きて現場を回ることです
効果が出るまで3〜5年はかかります
それでも社長の背中を見て、徐々に早起きして仕事する社員が2割ぐらい出てくれば、もうその会社は生き残れます
■井上貴之 カーセブンディベロップメント社長
顧客がより厳しい目で商品やサービスを選べば、本物は栄える
景気が良い時代は偽物でも飯が食えたけれど、これからはそうはいかない
会社の業績が悪化したり、市場環境が悪くなったりするのは、社内の仕組みを変えられる最大のチャンスにもなる
「世の中変わっちまうぞ、俺たちもやり方を変えよう」と言えば、痛みを伴う構造改革もやりやすい
■堀場雅夫 堀場製作所最高顧問
日本人の課題は、持てる力を120%発揮して具体的なアクションにつなげられないことなんですよ
積極性、アクティビティーが低いわけや
本質的な能力があるんだから、これをいかに引っ張り出すか
僕が「こんなのやれ」と言ったら、「いや、私にはできませんわ」こういいよるわな
だけどアングロサクソンのほうは「おまえには無理やな」と言っても「やらせてくれ」と言う
こういう考え方に変えたらいいだけ
皆さん、フルスロットルで走ったことありますか
フルスロットルで一遍、一週間でも一ヶ月でもやってみろと
本当の能力が出ますよ
■井上礼之 ダイキン工業
今、世の中では市場環境や競争条件が大きく変化する「パラダイムシフト」が起こっています
過去の分析や業界の常識にとらわれていては、もはや戦うことはできません
絶えず現実を見据えながら、実行にこだわり、ビジネスモデルを大胆に変えていく必要があります
経営者には、いわば「答えのないところに答えを出していく」ことが求められているのです
私はこれまで、「自主経営を貫くが、自前主義には執着しない」という考え方を経営の根幹としてきました
最近、その思いはますます強くなっています
自主経営とは、「ありたい姿」や「あるべき姿」を従業員と共有しながら、経営者が戦略の実行局面で幅広い選択肢を持って、主体的に意思決定できることを指します
あるところでは自前主義に徹底的にこだわって差異化を追求する
また、別のところではM&Aや提携によって足りないところを補う
自主経営とは、こうした経営判断を自由自在に使い分けていくこと
■稲盛和夫 日本航空名誉会長
優れたリーダーとは、人格を含めたトータルの人間性に魅力があり、確固たる信念に満ちて、独善ではなく、みんなの意見を吸収して、説得するだけの力がなければなりませんから
作られるものじゃなく、それを持った人がいなければいかんのです
自民党は日銀に国債を買い取らせてでも大きな金融緩和をすると言っておられる
2%ぐらいのインフレをすると
私は専門家ではないし、あんまりよくわかってないので、感覚的にしかモノが言えません
そのうえで、金融緩和は一時的な景気浮揚を招くことはできるかもしれませんが、危険だという気がします
戦時中に国は、戦時国債を膨大に発行して、民衆は国のためにと国債をいっぱい買いました
これが戦後、紙切れになり、同時にハイパーインフレが起こってしまった
父は戦前、印刷屋をやってコツコツとお金を貯めてきましたが、それも全部紙くずになったんですね
焼け野原に掘っ建て小屋を建てて、親子9人で生き延びてきましたが、その時のハイパーインフレ、つまり本当に紙幣が紙くずになっていくのを見てきました
インフレターゲットをやったら、しばらくは国の借金にとっても、借金をたくさんしている人にとってもいいかもしれません
ですが今度、インフレを止めようと思っても、そう簡単に止まるものじゃない
私はブラジルのハイパーインフレや、いろいろなことを現地で見てきましたから
過去の経験からすると、よっぽど劇薬で、非常に危なっかしいと危惧しますね
現在の日本は、政府も民間も非常に依頼心が強くて、誰かがなんとかしてくれると思っている
自主性や自立心が希薄になって、依頼心と依存心が官民すべてに横溢(おういつ)している
自立する心がない限り、日本の現状を打破することはできません
自立するという意識の下に、なんとしてもいい方向に向かわなきゃならんと思う
そういう強い意思力が欠落している気がします
私は7〜8年前、中国共産党幹部の教育機関である北京の党中央校で講演しました
その中で、明治時代、辛亥革命で敗れた孫文が日本にきて、神戸で講演した時の言葉を引用しました
孫文は日本国民に対してこう話したんです
「日本は明治維新を迎えて欧米の近代文明を取り入れ、繁栄を遂げようとしている。その欧米文明というのは覇権の文明、力の文明です。しかし東洋には、人間の徳で治めていくという王道の文明があります。欧米文明を取り入れて覇権の道を歩くのか、それとも古来東洋に存在する王道の道を歩くのか。日本の将来は皆さんの選択にかかっています」
こういう素晴らしいスピーチでした
日本はその声に耳を貸さないで、一瀉千里(いっしゃせんり)に覇権の道を歩いて、1945年に敗戦を迎えて壊滅してしまった
徳とは仁と義です
優しい思いやりの心がベースにあって、素晴らしい仕事をしながら相手を慈しみ、愛し、ビジネスを展開していく
これを続けて、日本人の立派な人間性を分かってもらえれば、彼らも日本人を尊敬してくれるんじゃないかと思っています
ビジネスの根幹には、どうすれば儲かるかということがあります
けれど、それを考える前に、「利他の心」がいると私は説いています
自分が儲けようと思うなら、相手も利益を得られるような思いやりの心、つまり利他の心がなかったら意味がありません
ビジネスにテクニックは必要でしょう
ですがそのテクニックを動かす人間のベースにあるのは、相手を思いやる利他の心です
利己の塊みたいな人が、ビジネスの中でテクニックを使ったら、世の中はますますいびつになっていく
■新浪 ローソン社長
経営者は短期的な収益を求めるマーケットから常に攻められている
しかもどんどん短期的になっている
そんな中で、資本市場からよくやったと言われるのがいいのか、それとも、今は歯を食いしばって「自分たちのやり方でやるんだ」と企業文化を残していくのか
経営者として決めなくちゃいけない問題ですね
恐らく「長期」と「短期」で、どちらが正しい、誤っているというものではない
■安部首相
首相辞任後、失意の安部氏が真っ先に取り組んだのが地元・山口県の支持者へのお詫び行脚
罵声を浴びせられることもあったが、「すべてを真っ正面から受け止めることが始まりだと自らに言い聞かせた」と安部氏は振り返る
全国の落選候補などの集会に弁士として積極的に出向いては「有為な仲間を落選させ、自民党を大敗させた責任は私にある」と頭を下げ続けた
「背負った十字架の重さを自覚し、現場に足を運び続けた。逃げずにその姿勢を示したことが安部さんの失地回復の一歩となった」安部氏に近い議員はこう語る
本音では信頼を寄せず、ライバル視する石破氏を党運営の要の幹事長に指名
石破氏の国民的人気を活用し衆院選を自身との二枚看板で乗り切る「実を取る」道を選んだ
懐の広さを示し、党内外の不満の芽を早目に摘み取った安部氏
■澤田秀雄 ハウステンボス社長
2010年4月、私が来た時のハウステンボスがそうでした
18期連続の赤字という状況で私はなにをしたか
たった二つです
一つは借金をなくすこと
もう一つは売り上げを増やすことです
国も同じことをすればいい
二割無駄を減らして、税収を二割増やす
20兆円の経費が浮いて20兆円の増収が出来れば40兆円のプラスです
別に難しいことをやれと言っているわけではないんです
もちろん工夫は必要です
ハウステンボスだって無駄を減らすためにあらゆる手を尽くしました
増収するといってもなにもしなければこんな遠隔地まで誰もきてくれません
ならばとうすればいいか
答えの一つが今開催している「1万球の電球を使った世界一のライトアップ」です
「世界一」というのが重要で、二位では佐世保まで来てくれない
国の場合、無駄はいくらでも削れるとして、増収の方法は2つしかない
一つは江戸時代の悪代官のように税金をむしり取る
もう一つは、16〜18世紀の楽市楽座のように国を栄えさせて、結果として税収を増やす
あとは、どちらが一億数千万人の国民にとってハッピーかという問題だけです
2013年以降、そうした改革を断行できるリーダーが現れるかがこの国の分かれ目だと思います
すべてリーダー次第
それは国も会社も一緒
子供も大人ももっと挑戦してもらいたい
挑戦して失敗して、やっとの思いで成功して感動するのが人間なんだから
僕なんてどれだけ失敗したか
旅行業、LCC、証券業とやってきたけど、挑戦したことの7〜8割は失敗です
致命傷さえ負わなければ人生はなんとでもなるんです
■河内幸枝 マロニー社長
よく核家族化が進んで家庭で団欒が減れば、鍋需要は縮小するという意見がありますが、私はむしろ無縁社会の進展で絆を求める人が増えて、鍋に対するニーズは高まるのではないかと考えています
そもそも仲間と火を囲むのは、狩猟時代から人類の本能に組み込まれた対話の基本形でしょう
私だって、経営に失敗して、個人保証で無一文になって、働くこともできなくなったらどうしようと考えますよ
でも、今のところは生活保護制度がある
私は年金も払っているからさらにいい暮らしができます
そんな風に思えば何にだって挑戦できると思いませんか
人間は積み重ね思考でないといけませんて
■大村禎史 西松屋チェーン社長
何事もダメだと思ったらダメでね
悲観したらいけません
少子化の影響もいつかは出るでしょうけど、先のことばかり考えて対応するのはナンセンス
西松屋は2013年も、目の前のチャンスをしっかりつかみ、少しずつ進みますわ
■宗次徳二 壱番屋社長
経営構造を見てもなにを見ても優れた人しか勝ち残れない時代になってしまいましたからね
なにかひとつくらいは、誰よりも頑張るぞというものがないと、人生にいいことは起きない
私の場合は、「早起きと掃除だけはだれにも負けない」という気持ちでやってきました
午前4時ぐらいにはやおきして、店に行って掃除をする
社長が誰よりも早くきて、誰よりも一心不乱に掃除していたら、社員も働くようになるんです
社長が誰よりもハードワーカーの会社は強い
朝が早いと一日だって有効に使えます
私の場合、毎日できるだけ店舗など現場を回っていました
現場まわりがもう大好き
現場で掃除をしているとお客様の思考の変化とか様々な重要な情報も自然と入ってきます
だから次の一手も自信を持って打てる
でも、世の中を見回すと、どうもそういう経営者は少ないように思います
重役出勤して、現場に顔を出さず、会議で声だけ張り上げる
社長が誰よりもハードワーカーどころか、自分が楽をしとる
現場主義どころか社長室で数字しか見ない
そういう人は顧客のことよりも、ライバルの動きとか世間のトレンドとかろくでもないことばかり気にするんですよ
時間をかけて現場を見ていないから、思いつきでしか指示を出せない
当然、道を誤ります
そういうことですから、2013年以降、自分のお店や自分の会社、企業をよみがえらせたいと思うなら、社長が朝4時に起きて現場を回ることです
効果が出るまで3〜5年はかかります
それでも社長の背中を見て、徐々に早起きして仕事する社員が2割ぐらい出てくれば、もうその会社は生き残れます
■井上貴之 カーセブンディベロップメント社長
顧客がより厳しい目で商品やサービスを選べば、本物は栄える
景気が良い時代は偽物でも飯が食えたけれど、これからはそうはいかない
会社の業績が悪化したり、市場環境が悪くなったりするのは、社内の仕組みを変えられる最大のチャンスにもなる
「世の中変わっちまうぞ、俺たちもやり方を変えよう」と言えば、痛みを伴う構造改革もやりやすい
■堀場雅夫 堀場製作所最高顧問
日本人の課題は、持てる力を120%発揮して具体的なアクションにつなげられないことなんですよ
積極性、アクティビティーが低いわけや
本質的な能力があるんだから、これをいかに引っ張り出すか
僕が「こんなのやれ」と言ったら、「いや、私にはできませんわ」こういいよるわな
だけどアングロサクソンのほうは「おまえには無理やな」と言っても「やらせてくれ」と言う
こういう考え方に変えたらいいだけ
皆さん、フルスロットルで走ったことありますか
フルスロットルで一遍、一週間でも一ヶ月でもやってみろと
本当の能力が出ますよ
■井上礼之 ダイキン工業
今、世の中では市場環境や競争条件が大きく変化する「パラダイムシフト」が起こっています
過去の分析や業界の常識にとらわれていては、もはや戦うことはできません
絶えず現実を見据えながら、実行にこだわり、ビジネスモデルを大胆に変えていく必要があります
経営者には、いわば「答えのないところに答えを出していく」ことが求められているのです
私はこれまで、「自主経営を貫くが、自前主義には執着しない」という考え方を経営の根幹としてきました
最近、その思いはますます強くなっています
自主経営とは、「ありたい姿」や「あるべき姿」を従業員と共有しながら、経営者が戦略の実行局面で幅広い選択肢を持って、主体的に意思決定できることを指します
あるところでは自前主義に徹底的にこだわって差異化を追求する
また、別のところではM&Aや提携によって足りないところを補う
自主経営とは、こうした経営判断を自由自在に使い分けていくこと
■稲盛和夫 日本航空名誉会長
優れたリーダーとは、人格を含めたトータルの人間性に魅力があり、確固たる信念に満ちて、独善ではなく、みんなの意見を吸収して、説得するだけの力がなければなりませんから
作られるものじゃなく、それを持った人がいなければいかんのです
自民党は日銀に国債を買い取らせてでも大きな金融緩和をすると言っておられる
2%ぐらいのインフレをすると
私は専門家ではないし、あんまりよくわかってないので、感覚的にしかモノが言えません
そのうえで、金融緩和は一時的な景気浮揚を招くことはできるかもしれませんが、危険だという気がします
戦時中に国は、戦時国債を膨大に発行して、民衆は国のためにと国債をいっぱい買いました
これが戦後、紙切れになり、同時にハイパーインフレが起こってしまった
父は戦前、印刷屋をやってコツコツとお金を貯めてきましたが、それも全部紙くずになったんですね
焼け野原に掘っ建て小屋を建てて、親子9人で生き延びてきましたが、その時のハイパーインフレ、つまり本当に紙幣が紙くずになっていくのを見てきました
インフレターゲットをやったら、しばらくは国の借金にとっても、借金をたくさんしている人にとってもいいかもしれません
ですが今度、インフレを止めようと思っても、そう簡単に止まるものじゃない
私はブラジルのハイパーインフレや、いろいろなことを現地で見てきましたから
過去の経験からすると、よっぽど劇薬で、非常に危なっかしいと危惧しますね
現在の日本は、政府も民間も非常に依頼心が強くて、誰かがなんとかしてくれると思っている
自主性や自立心が希薄になって、依頼心と依存心が官民すべてに横溢(おういつ)している
自立する心がない限り、日本の現状を打破することはできません
自立するという意識の下に、なんとしてもいい方向に向かわなきゃならんと思う
そういう強い意思力が欠落している気がします
私は7〜8年前、中国共産党幹部の教育機関である北京の党中央校で講演しました
その中で、明治時代、辛亥革命で敗れた孫文が日本にきて、神戸で講演した時の言葉を引用しました
孫文は日本国民に対してこう話したんです
「日本は明治維新を迎えて欧米の近代文明を取り入れ、繁栄を遂げようとしている。その欧米文明というのは覇権の文明、力の文明です。しかし東洋には、人間の徳で治めていくという王道の文明があります。欧米文明を取り入れて覇権の道を歩くのか、それとも古来東洋に存在する王道の道を歩くのか。日本の将来は皆さんの選択にかかっています」
こういう素晴らしいスピーチでした
日本はその声に耳を貸さないで、一瀉千里(いっしゃせんり)に覇権の道を歩いて、1945年に敗戦を迎えて壊滅してしまった
徳とは仁と義です
優しい思いやりの心がベースにあって、素晴らしい仕事をしながら相手を慈しみ、愛し、ビジネスを展開していく
これを続けて、日本人の立派な人間性を分かってもらえれば、彼らも日本人を尊敬してくれるんじゃないかと思っています
ビジネスの根幹には、どうすれば儲かるかということがあります
けれど、それを考える前に、「利他の心」がいると私は説いています
自分が儲けようと思うなら、相手も利益を得られるような思いやりの心、つまり利他の心がなかったら意味がありません
ビジネスにテクニックは必要でしょう
ですがそのテクニックを動かす人間のベースにあるのは、相手を思いやる利他の心です
利己の塊みたいな人が、ビジネスの中でテクニックを使ったら、世の中はますますいびつになっていく
■新浪 ローソン社長
経営者は短期的な収益を求めるマーケットから常に攻められている
しかもどんどん短期的になっている
そんな中で、資本市場からよくやったと言われるのがいいのか、それとも、今は歯を食いしばって「自分たちのやり方でやるんだ」と企業文化を残していくのか
経営者として決めなくちゃいけない問題ですね
恐らく「長期」と「短期」で、どちらが正しい、誤っているというものではない