◼︎20130304 日経ビジネス
◼︎古森重隆 富士フィルムホールディングス
私自身、経営は真剣による斬り合いだと思っています
後ろにトップが控えているナンバー2は、いわば竹刀による剣道で、失敗しても死にません
でも、トップが負ければ、会社は決定的なダメージを受ける
大将であるCEOは絶対に負けてはならない
極論を言えば、危機時の打ち手に奇策はありません
当社は売上の縮小した事業では減少幅に応じて固定費を下げ、会社の成長のために新規事業進出などで成長戦略を描きました
これは、誰にでも分かることです
では、うまくいくか否かの違いはどこに出るのか
それは、覚悟を決めてやり抜くかどうか
いわば、リーダーシップに帰結する、と私は考えます
富士フィルムが今もこうして成長し続けられているのは、正しい方向を見定め適切なタイミングで適切な手を打ってきたため
言い換えれば、経営の適切な決断に、技術や人材といった企業の地力が呼応したということです
設備投資や研究開発費を抑えれば、利益率はすぐに改善するでしょう
ただ、将来の成長のタネがなくなってしまう
その過程では悩む局面もありました
夜に眠れなかったことも一度や二度ではありません
ただ、私が手をこまねいていれば、状況はどんどん悪化してしまう
立ち止まっている時間はありませんでした
危機を前に、改革や投資を小出しにする経営者は少なくありません
一気に処理しなかったために、傷が深まるというのは往々にしてあります
「戦力の逐次投入」がタブーということは、多くの経営者が理解しています
それでも逐次投入に陥るのはリーダーがリスクを恐れているため
いくら優れた戦略を描いたところで、実行されなければ意味はありません
リーダーはまず、必要な情報の本質を把握して、その時点の状況を的確に整理、理解しなければなりません
たとえ、不完全でしかない情報であっても、将来の環境動向、トレンドを見切ることが必要です
リーダーには早い段階で、物事の背後にある本質的なものをつかむ力が求められます
情報をつかめば、次にどこに行くべきかというビジョン、進路、方向性を示す構想力が必要です
そのときに大切なのは、「賢く、正しく」判断する力
そして、賢く、正しく判断した後は、それをやり切る力、すなわち「強さ」が必要になる
経営は勝つか負けるかの丁半博打ではなく、80%は成功するという確信をもって進めるべきもの
経営判断はタイミングとの競争で、完全な情報を得た上で決断を下すことなどまずできません
その中で決断するには心の強さが必要です
そしてもう一つ大事なのは、「優しさ」です
社員や会社、社会など周囲を愛する力のことです
大学時代には、独の哲学者ニーチェの「超人思想」に共感しました
人間とは、もともと強く、気高く、賢く、優雅でかつ自由、崇高な存在である
ところが、現実は道徳や宗教、権力者の支配などで飼いならされた羊のようになっている
その束縛から解き放て、と
だからこそ、ニーチェは、「神は死んだ」と叫んだわけです
30歳ぐらいまでははっきり言って、会社のために一生懸命働く社員ではありませんでした
会社員が本当の天職かどうかわからなかったからです
ただ、責任ある立場を与えられてから変わりました
与えられた仕事にベストを尽くそう
会社のために懸命に頑張ろうと考えるようになりました
その中で、私は小手先のテクニックではなく、真の実力を身につけようと努力してきました
一時の成功ではなく、正々堂々、天下の正道を歩んで勝負する
真の実力で勝つことが大事だ
そう考えるようになりました
私は営業の社員でしたから、勝つことが大事だと思っていました
しかし途中で、負けた相手から称賛される勝ち方を意識するようになりました
例えば、いい製品を出して、適正な価格で相手に勝つということです
ただ勝てばよいという勝ち方をすると、相手に恨まれる上に自らが傷つく
ところが、正しく勝てば、相手もフェアプレーで対抗してくる
それを、私の生き方にしようと努めました
経営は最終的に数字で示されるものです
ただ、その数字を出すために、社員を動かし、会社の現状を分析し、将来のビジョンを提示し、様々な決断を下し、会社の力を引き出さねばなりません
◼︎高橋広敏 インテリジェンス社長
多様性を尊重することの大切さを認識しつつも、社会における自らの役割を明確に自覚し、その実現に向けて心血を注いでいる企業や経営者にロマンや魅力を感じる
世の中にこの会社があってよかったと思ってもらいたいとか、一緒に仕事をする人にやりがいを感じてもらいたいといった意識を持つ働き方を私は大事にしたいと考えている
大局的な見地に立ち、何が社会を良くするのか、経営にとってなにが大事なのかを見極め、大胆に実行する
◼︎古森重隆 富士フィルムホールディングス
私自身、経営は真剣による斬り合いだと思っています
後ろにトップが控えているナンバー2は、いわば竹刀による剣道で、失敗しても死にません
でも、トップが負ければ、会社は決定的なダメージを受ける
大将であるCEOは絶対に負けてはならない
極論を言えば、危機時の打ち手に奇策はありません
当社は売上の縮小した事業では減少幅に応じて固定費を下げ、会社の成長のために新規事業進出などで成長戦略を描きました
これは、誰にでも分かることです
では、うまくいくか否かの違いはどこに出るのか
それは、覚悟を決めてやり抜くかどうか
いわば、リーダーシップに帰結する、と私は考えます
富士フィルムが今もこうして成長し続けられているのは、正しい方向を見定め適切なタイミングで適切な手を打ってきたため
言い換えれば、経営の適切な決断に、技術や人材といった企業の地力が呼応したということです
設備投資や研究開発費を抑えれば、利益率はすぐに改善するでしょう
ただ、将来の成長のタネがなくなってしまう
その過程では悩む局面もありました
夜に眠れなかったことも一度や二度ではありません
ただ、私が手をこまねいていれば、状況はどんどん悪化してしまう
立ち止まっている時間はありませんでした
危機を前に、改革や投資を小出しにする経営者は少なくありません
一気に処理しなかったために、傷が深まるというのは往々にしてあります
「戦力の逐次投入」がタブーということは、多くの経営者が理解しています
それでも逐次投入に陥るのはリーダーがリスクを恐れているため
いくら優れた戦略を描いたところで、実行されなければ意味はありません
リーダーはまず、必要な情報の本質を把握して、その時点の状況を的確に整理、理解しなければなりません
たとえ、不完全でしかない情報であっても、将来の環境動向、トレンドを見切ることが必要です
リーダーには早い段階で、物事の背後にある本質的なものをつかむ力が求められます
情報をつかめば、次にどこに行くべきかというビジョン、進路、方向性を示す構想力が必要です
そのときに大切なのは、「賢く、正しく」判断する力
そして、賢く、正しく判断した後は、それをやり切る力、すなわち「強さ」が必要になる
経営は勝つか負けるかの丁半博打ではなく、80%は成功するという確信をもって進めるべきもの
経営判断はタイミングとの競争で、完全な情報を得た上で決断を下すことなどまずできません
その中で決断するには心の強さが必要です
そしてもう一つ大事なのは、「優しさ」です
社員や会社、社会など周囲を愛する力のことです
大学時代には、独の哲学者ニーチェの「超人思想」に共感しました
人間とは、もともと強く、気高く、賢く、優雅でかつ自由、崇高な存在である
ところが、現実は道徳や宗教、権力者の支配などで飼いならされた羊のようになっている
その束縛から解き放て、と
だからこそ、ニーチェは、「神は死んだ」と叫んだわけです
30歳ぐらいまでははっきり言って、会社のために一生懸命働く社員ではありませんでした
会社員が本当の天職かどうかわからなかったからです
ただ、責任ある立場を与えられてから変わりました
与えられた仕事にベストを尽くそう
会社のために懸命に頑張ろうと考えるようになりました
その中で、私は小手先のテクニックではなく、真の実力を身につけようと努力してきました
一時の成功ではなく、正々堂々、天下の正道を歩んで勝負する
真の実力で勝つことが大事だ
そう考えるようになりました
私は営業の社員でしたから、勝つことが大事だと思っていました
しかし途中で、負けた相手から称賛される勝ち方を意識するようになりました
例えば、いい製品を出して、適正な価格で相手に勝つということです
ただ勝てばよいという勝ち方をすると、相手に恨まれる上に自らが傷つく
ところが、正しく勝てば、相手もフェアプレーで対抗してくる
それを、私の生き方にしようと努めました
経営は最終的に数字で示されるものです
ただ、その数字を出すために、社員を動かし、会社の現状を分析し、将来のビジョンを提示し、様々な決断を下し、会社の力を引き出さねばなりません
◼︎高橋広敏 インテリジェンス社長
多様性を尊重することの大切さを認識しつつも、社会における自らの役割を明確に自覚し、その実現に向けて心血を注いでいる企業や経営者にロマンや魅力を感じる
世の中にこの会社があってよかったと思ってもらいたいとか、一緒に仕事をする人にやりがいを感じてもらいたいといった意識を持つ働き方を私は大事にしたいと考えている
大局的な見地に立ち、何が社会を良くするのか、経営にとってなにが大事なのかを見極め、大胆に実行する