いやーまたまた長くなりそうです、

●為替
アメリカの製品が魅力的であれば、日本は輸出と輸入の差額分をアメリカの金融商品に投じて運用してもいい
そうなれば、円ドルレートは変わらない

ポストブレトン・ウッズ時代の国際通貨体制は、自由フロートというよりは、「ドル本位制」である
そして、ドルが金と切り離された状態でのドル本位制は、ブレトン・ウッズ体制までは存在していた国際収支の自動調整メカニズムを欠いている

ただしこのことが、悪かったとはにわかには断じ難い
1973年のオイルショックがブレトン・ウッズ体制下で起きていたら、原油輸入国は金の流出に見舞われ、通貨発行量が減った分、信用が収縮するから、オイルショックに引き続いて発生した不況は、もっとずっと深刻なものになっていた

ドル本位制への移行のおかげで、ブレトン・ウッズ崩壊後に発生した、様々な経済上のショックは、だいぶ和らげられる結果となった

ただし、そうしたショックのもたらす苦痛こそが金本位制やブレトン・ウッズ体制の自動調整メカニズムの核心であったことを思えば、際限なく膨張することを可能にしてしまった


●準備資産
準備資産こそ、この20年間の主役であり、各国の経済が軒並み危機に陥ったバブルを理解するカギが隠されている

日本やアジア危機の諸国は1980年代、90年代にいずれも準備資産の急激な増大を経験している

準備資産の増大には、強烈なインフレ圧力が内在しており、日本もアジア諸国も、準備資産の激増に直面して、マネーサプライをコントロールできなくなった
結果、経済は過熱し資産価格の暴騰つまりバブルが発生し、ついで弾けることとなった
それに続いたのは、金融システムを崩壊寸前まで追いやる不良債権の山であり、それを救おうとした政府の破局的な財政悪化だった

1969年から2000年までに世界総準備資産は20倍に激増している

●マネーサプライ
準備資産の増加、総合収支の黒字の増大はマネーサプライを増加させる

マネーサプライは「一国にあるマネーの総量」と定義される
このマネーの総量は現金と銀行預金から構成される

2000年の日本の現金発行残高は54兆円だが、マネーサプライはM2+CDで見て629兆円だった


信用創造は繰り返されるが、そこにはちゃんとブレーキの役割を果たすものが存在する
おかげで銀行システムの資産は、マネーサプライは無限大に膨張することはない

ブレーキの1つは、現金に対する需要である
個人も企業も手持ち資金の一定割合は現金で保有するのが普通だが、おかげで
貸出→預け入れ→貸出→預け入れ
のサイクルは、一回ごとに金額的には小さくなっている

投資に対するリターンもブレーキの役割を果たしている
投資のリターンが金利よりも高ければ、企業なり個人なりが借金をして投資をして、これが信用創造のサイクルに入って、マネーサプライを膨張させるし、
逆に投資のリターンが金利よりも低ければ誰も借金をせず、信用創造は発生せず、マネーサプライは伸びない(流動性の罠)