2003年ぐらいに書かれた本ですがアメリカ経済、世界経済の現在の状況をピタリと当てていると思います
ほんとにおもしろいです!

●バブルの流れ
金を基礎に置いた国際通貨体制の崩壊

貿易の大々的な不均衡

黒字国での急激な信用の膨張

投資・株式ブーム

生産能力過剰

資産バブル

恐慌

デフレ


●世界大恐慌
アメリカは、1914年から1920年の間に通貨ベースである金準備が激増した
そしてそれが、信用創造に大きな影響を与えた


●ドル、準備資産
諸外国の準備資産に用いられるドルは、これがアメリカ国内通貨でもあるから、各国の通貨当局は準備資産で少しでも利子を稼ごうとして、国債、公社債、アメリカ企業の社債、株などのドル建て証券を購入している

ドルを金庫に積み上げるのも、ドル資産を購入するのも嫌だというのであれば、ドルを自国通貨に換える以外にはなくなる
だが、それは自国通貨がドルに対して値上がりする結果をもたらし、自国の輸出競争力を衰えさせることになる
なので、ドルはドルのままで投資されるのが普通

つまり、アメリカが支払ったドルはアメリカに返ってくる

アメリカが支払い、受け取り直すドルの金額は年々大きくなっている
アメリカの経常収支赤字が大きくなればなるほど、アメリカの金融収支黒字も大きくなってきている

海外からの投資がアメリカ経済におよぼした影響は、それ自体としても相当だった
しかし流入資金は第二の経路を経て、もっと強い影響をアメリカ経済におよぼした
流入資金はアメリカの銀行に預けられ、急速な信用創造をもたらし、1990年代末にかけての大好況をもたらした

ここで注意してほしいのは、
流入資金が入るや否や銀行に預けられたと言っているわけではなく、流入資金によって買われたのがどの金融資産であれ、売った人間・企業は、手に入れた金を銀行に預けるわけで、流入資金は最終的にはアメリカの銀行システムの中に入っていくことになる

たとえば、アメリカ国債を購入するのに使われた資金は、財政の一部となって政府の支出に振り向けられ、納入される財・サービスや公務員の給料に回される
支払いを受け取った納入業者や公務員は、その分を自分たちの銀行口座に入れる

海外資金の流れていった先が社債でも株式でも、タンス預金か焼却されない限り、回りまわって銀行預金の増加分となる

つまり、海外からの流入資金は中央銀行による買いオペと同じで、ハイパワードマネーとして働く

1983年以後アメリカに流入した3兆ドルはアメリカ国内で3兆ドルの投資・融資になっただけでなくマネーサプライの大膨張をもたらした

これこそが、1990年代後半にアメリカで生じたバブル経済の真犯人だった

増え続ける還流ドルはアメリカ国内における資金の供給を増やし、金利の低下と、株価・不動産価格の上昇をもたらすこととなった

2000年に景気後退を経た後で、回復を遂げたかに見えるアメリカ経済は、住宅価格の上昇に支えられた個人消費の堅調という、たった一本の支柱のおかげで、かろうじて立っている状態である