この本は97年ぐらいに書かれた本ですが、今見てもいい本です。
著者はなにかと批判されることが、多いように感じますが、私は結構好きですね


●沖縄返還
中国へのメッセージを沖縄からの核抜きによって行った
そして、中国取り込み
ソビエトの孤立の始まり
やがて共産主義思想の終わり
となった

●アメリカの訪中 72年2月
中国はアメリカの持つ弾道ミサイル技術と最新鋭偵察機がほしくてたまらなかった
今にもソビエト軍の全面総攻撃を受けそうになっていたあの時期に、キッシンジャーがもってきてくれたのが、スパイ衛星から撮った写真である
この写真の束で、国境線に展開するソビエト軍の動きは全て手にとるようにわかった


沖縄返還

ニクソン訪中

米中合作

佐藤首相のノーベル平和賞

ソビエト衰退
を一連の出来事として筆者は捉えている



ニクソンの訪中のときに、
「米中接近」は成り、米中が手を組んで、ソビエトをはさみ打ちにした
日本もソビエトとアメリカのはさみ打ちにあい、先の戦争でボロ負けした

はさみ打ちとは本当に恐い戦略である

ソビエトはこの時期を境に衰退に向かう

実は、ソビエトはこの時期まで本当に強かった



●沖縄返還
69年に沖縄返還交渉が急激に進展を見せ始めた真の立役者は、モートンハルペリンとディックスナイダーであった

キッシンジャーは、あとからこの2人の業績を横取りした人物ということになる

日本にはキッシンジャーファンがたくさんいるが、日本をこれまで上手に導いてくれた恩義と同時に、日本人が彼らグローバリストからどのように上手に手玉に取られてきたか、という観点からも考え直す必要があるのではないか



●国家戦略研究所
日本には国家戦略研究所がない
これは、独立した一個の国民国家としては、致命的な弱点ではないだろうか
台湾や韓国にさえあり、ワシントンにその支社を置いている

国家戦略研究とは、
国際社会の中で、この先どのように生きていくかを考える学問
近い将来に起こるあらゆる不測の事態に備えて、それらに対応できるように想定的にたくさんの理論を作っておくこと


国家戦略研究所は、
政府の公務員(官僚)による研究所であってはならない
日本も外務省や防衛庁系の、外交・軍事問題のための附属研究所の類がたくさんある

しかしそれらは、
国家戦略を自由に研究して、あれこれのオプション(選択肢)を理論として大量に提出できる研究機関ではない

公務員は行政官として法律に縛られるから、自由な学問研究ではない

たとえ、理論派の官僚OBたちが天下って作った研究所であっても、政府から独立した研究所とは言い難い


70年代以降に、
日本の大企業の多くが、ワシントンのシンクタンクを模倣して作った日本版の「○○総合研究所」の類は、本来のシンクタンクとは似て非なるものである

各種の経済計量統計や経済分析(景気予測)や企業依託のマーケティングリサーチの類は豊富に行っている

しかし、世界政治思想に立脚した国際的な政治戦略分析はほとんど行われていない