■20121105日経ビジネス
■柳井正 ファーストリテイリング会長
「ファッションか、品質•機能かではなく、それを超えた新しいベーシックを作っていく。我々の考える服のほうが、ファストファッションよりもよほど市場はでかい」
■桐山一憲 P&Gアジア統括責任者
世間一般での「在宅勤務を認めるか認めないか」という議論を聞いていると、社員を野に放ってしまうと仕事をしないのではないか、という管理職側の不安がよく伝わってくる
だが、実際に在宅勤務を導入してみた経験から言えば、社員が仕事をしないなどということは、まずない
社員は本当に一生懸命働くようになった
もちろん、中にはサボる人も出てくる
だが、サボる人は当然ながら結果を出せないわけである
社員が出した結果に対してきちんと評価できる仕組みがあり、かつ評価基準がしっかりと整っていれば、野に放ってもみんな仕事をするのだ
それはなぜだろうか
自宅で一人で仕事をすると周囲の様子がわからないので余計に一生懸命やろうと思うからなのだろう
在宅勤務や社外での仕事を認めたら、もっと働くケースのほうが多くなったのだ
私は、優秀な人間ほど野に放ったほうが、もっといい仕事をするものだとさえ思っている
制度改善で優秀な人間が効率よく成果を出せるようになるのに、成果を出さない人間を念頭に置いて何かを変えることに後ろ向きになるのは、実に持ったいないことである
誰かが変えなければ、組織は変わらない
しかし風土改革は、一朝一夕で実現できるものではない
となれば、変えられる人はやはりトップしかいない
末端からちょこまかとやっても変わらない
それにいったん制度の導入を決めたら、トップの言行不一致はタブーだ
例えば、会議に電話で参加している人がいたとする
それで私が「何であいつはここにいないんだ」と言った瞬間に、それまで進めてきた風土改革の努力は全てが台無しになってしまうだろう
「なんだ、口で言っているだけではないか、本気ではないのだ」と社員たちに思われて終わってしまう
自分が言っていることと、していることが違うというのは、リーダーが絶対にしてはいけないことだ
管理職が部下に対し、「仕事が終わるまで会社にずっと張り付いていろ」と命じるのは、基本的には管理職のエゴで、自分が見ていないとその人たちが働かないと思い込んでいるからだ
こうした発想は、そこまで人を信用できないのかと情けなく思う
「俺の目が届く範囲で必ず仕事をしてくれ」と思っているわけだから、これは結局、部下を信頼していない証拠だ
しかし管理職が部下を信頼できないのであれば、組織でうまくやっていけるわけがない
管理職が気にかけて定期的にチェックし、アドバイスをすることはもちろん必要だ
だが勤務時間中、可能な限り毎日一緒にいなければ信用できないなどという態度は、実に器が小さいと言わざるを得ない
大きなものになびいていくのは人間の習性であるから、仕方がないのかもしれない
しかしそこで一つ二つと思い切ったアクションを取れるようになった人は、優秀なリーダーへの道をたどり始めたと言えるだろう
もちろん、トップが率先して改革を始めたからすぐに組織が全部それに馴染むということはない
時間をかけて何度となく、繰り返し繰り返し言い続けて、ようやく定着していくのが会社の風土というものだ
末端の現場まで行けば、自分の考えていたことと違うことが起こっている場合もたくさんある
しかし、そこで手綱を緩めるのか、あるいは常に改革、成長を目指して前に進むのかで、結果は全然違ってくるだろう
■柳井正 ファーストリテイリング会長
「ファッションか、品質•機能かではなく、それを超えた新しいベーシックを作っていく。我々の考える服のほうが、ファストファッションよりもよほど市場はでかい」
■桐山一憲 P&Gアジア統括責任者
世間一般での「在宅勤務を認めるか認めないか」という議論を聞いていると、社員を野に放ってしまうと仕事をしないのではないか、という管理職側の不安がよく伝わってくる
だが、実際に在宅勤務を導入してみた経験から言えば、社員が仕事をしないなどということは、まずない
社員は本当に一生懸命働くようになった
もちろん、中にはサボる人も出てくる
だが、サボる人は当然ながら結果を出せないわけである
社員が出した結果に対してきちんと評価できる仕組みがあり、かつ評価基準がしっかりと整っていれば、野に放ってもみんな仕事をするのだ
それはなぜだろうか
自宅で一人で仕事をすると周囲の様子がわからないので余計に一生懸命やろうと思うからなのだろう
在宅勤務や社外での仕事を認めたら、もっと働くケースのほうが多くなったのだ
私は、優秀な人間ほど野に放ったほうが、もっといい仕事をするものだとさえ思っている
制度改善で優秀な人間が効率よく成果を出せるようになるのに、成果を出さない人間を念頭に置いて何かを変えることに後ろ向きになるのは、実に持ったいないことである
誰かが変えなければ、組織は変わらない
しかし風土改革は、一朝一夕で実現できるものではない
となれば、変えられる人はやはりトップしかいない
末端からちょこまかとやっても変わらない
それにいったん制度の導入を決めたら、トップの言行不一致はタブーだ
例えば、会議に電話で参加している人がいたとする
それで私が「何であいつはここにいないんだ」と言った瞬間に、それまで進めてきた風土改革の努力は全てが台無しになってしまうだろう
「なんだ、口で言っているだけではないか、本気ではないのだ」と社員たちに思われて終わってしまう
自分が言っていることと、していることが違うというのは、リーダーが絶対にしてはいけないことだ
管理職が部下に対し、「仕事が終わるまで会社にずっと張り付いていろ」と命じるのは、基本的には管理職のエゴで、自分が見ていないとその人たちが働かないと思い込んでいるからだ
こうした発想は、そこまで人を信用できないのかと情けなく思う
「俺の目が届く範囲で必ず仕事をしてくれ」と思っているわけだから、これは結局、部下を信頼していない証拠だ
しかし管理職が部下を信頼できないのであれば、組織でうまくやっていけるわけがない
管理職が気にかけて定期的にチェックし、アドバイスをすることはもちろん必要だ
だが勤務時間中、可能な限り毎日一緒にいなければ信用できないなどという態度は、実に器が小さいと言わざるを得ない
大きなものになびいていくのは人間の習性であるから、仕方がないのかもしれない
しかしそこで一つ二つと思い切ったアクションを取れるようになった人は、優秀なリーダーへの道をたどり始めたと言えるだろう
もちろん、トップが率先して改革を始めたからすぐに組織が全部それに馴染むということはない
時間をかけて何度となく、繰り返し繰り返し言い続けて、ようやく定着していくのが会社の風土というものだ
末端の現場まで行けば、自分の考えていたことと違うことが起こっている場合もたくさんある
しかし、そこで手綱を緩めるのか、あるいは常に改革、成長を目指して前に進むのかで、結果は全然違ってくるだろう