日経ビジネス

20130311 日経ビジネス

◼︎20130311 日経ビジネス

◼︎古森重隆 富士フィルムホールディングス

来るぞ来るぞと言われていましたが、写真市場の本格的なデジタル化はなかなかこなかった
特に一般写真フィルム市場が一貫して伸び続けていたこともあり、会社が本当の意味の危機感を持つことも出来ませんでした
先ほど言った新規事業を途中でやめてしまったのもそのため
市場が伸びている中で、事業構造を変えるのは本当に難しいと痛感します

改革は素早く、大胆にやる
危機時の構造改革は、この改革のスケールやテンポといったダイナミズムを経営者が理解できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません



20130304 日経ビジネス

◼︎20130304 日経ビジネス

◼︎古森重隆 富士フィルムホールディングス
私自身、経営は真剣による斬り合いだと思っています
後ろにトップが控えているナンバー2は、いわば竹刀による剣道で、失敗しても死にません
でも、トップが負ければ、会社は決定的なダメージを受ける
大将であるCEOは絶対に負けてはならない

極論を言えば、危機時の打ち手に奇策はありません
当社は売上の縮小した事業では減少幅に応じて固定費を下げ、会社の成長のために新規事業進出などで成長戦略を描きました
これは、誰にでも分かることです
では、うまくいくか否かの違いはどこに出るのか
それは、覚悟を決めてやり抜くかどうか
いわば、リーダーシップに帰結する、と私は考えます
富士フィルムが今もこうして成長し続けられているのは、正しい方向を見定め適切なタイミングで適切な手を打ってきたため
言い換えれば、経営の適切な決断に、技術や人材といった企業の地力が呼応したということです

設備投資や研究開発費を抑えれば、利益率はすぐに改善するでしょう
ただ、将来の成長のタネがなくなってしまう
その過程では悩む局面もありました
夜に眠れなかったことも一度や二度ではありません
ただ、私が手をこまねいていれば、状況はどんどん悪化してしまう
立ち止まっている時間はありませんでした
危機を前に、改革や投資を小出しにする経営者は少なくありません
一気に処理しなかったために、傷が深まるというのは往々にしてあります

「戦力の逐次投入」がタブーということは、多くの経営者が理解しています
それでも逐次投入に陥るのはリーダーがリスクを恐れているため
いくら優れた戦略を描いたところで、実行されなければ意味はありません

リーダーはまず、必要な情報の本質を把握して、その時点の状況を的確に整理、理解しなければなりません
たとえ、不完全でしかない情報であっても、将来の環境動向、トレンドを見切ることが必要です
リーダーには早い段階で、物事の背後にある本質的なものをつかむ力が求められます
情報をつかめば、次にどこに行くべきかというビジョン、進路、方向性を示す構想力が必要です
そのときに大切なのは、「賢く、正しく」判断する力
そして、賢く、正しく判断した後は、それをやり切る力、すなわち「強さ」が必要になる
経営は勝つか負けるかの丁半博打ではなく、80%は成功するという確信をもって進めるべきもの

経営判断はタイミングとの競争で、完全な情報を得た上で決断を下すことなどまずできません
その中で決断するには心の強さが必要です
そしてもう一つ大事なのは、「優しさ」です
社員や会社、社会など周囲を愛する力のことです

大学時代には、独の哲学者ニーチェの「超人思想」に共感しました
人間とは、もともと強く、気高く、賢く、優雅でかつ自由、崇高な存在である
ところが、現実は道徳や宗教、権力者の支配などで飼いならされた羊のようになっている
その束縛から解き放て、と
だからこそ、ニーチェは、「神は死んだ」と叫んだわけです

30歳ぐらいまでははっきり言って、会社のために一生懸命働く社員ではありませんでした
会社員が本当の天職かどうかわからなかったからです
ただ、責任ある立場を与えられてから変わりました
与えられた仕事にベストを尽くそう
会社のために懸命に頑張ろうと考えるようになりました
その中で、私は小手先のテクニックではなく、真の実力を身につけようと努力してきました
一時の成功ではなく、正々堂々、天下の正道を歩んで勝負する
真の実力で勝つことが大事だ
そう考えるようになりました

私は営業の社員でしたから、勝つことが大事だと思っていました
しかし途中で、負けた相手から称賛される勝ち方を意識するようになりました
例えば、いい製品を出して、適正な価格で相手に勝つということです
ただ勝てばよいという勝ち方をすると、相手に恨まれる上に自らが傷つく
ところが、正しく勝てば、相手もフェアプレーで対抗してくる
それを、私の生き方にしようと努めました

経営は最終的に数字で示されるものです
ただ、その数字を出すために、社員を動かし、会社の現状を分析し、将来のビジョンを提示し、様々な決断を下し、会社の力を引き出さねばなりません

◼︎高橋広敏 インテリジェンス社長
多様性を尊重することの大切さを認識しつつも、社会における自らの役割を明確に自覚し、その実現に向けて心血を注いでいる企業や経営者にロマンや魅力を感じる

世の中にこの会社があってよかったと思ってもらいたいとか、一緒に仕事をする人にやりがいを感じてもらいたいといった意識を持つ働き方を私は大事にしたいと考えている

大局的な見地に立ち、何が社会を良くするのか、経営にとってなにが大事なのかを見極め、大胆に実行する


20130218 日経ビジネス

◼︎20130218 日経ビジネス

◼︎大山健太郎 アイリスオーヤマ
現地法人から配当を取らないこと
現実を見れば、海外に進出する国内企業の多くが国内市場のマイナスを海外子会社の配当で埋めていますが、当社はしません
彼らが稼いだ利益を配当として吸い上げると「搾取された」という感覚に陥りやすいからです
その会社が稼いだものならば、その会社の中で自己資本を厚くしたり、新たな投資に回したりすべきです

アイリスは中国の他にも国内外にグループ会社を抱えていますが、配当は1円足りとも取っていません
こうした決断が可能なのは、アイリスが上場していないからかもしれません
上場の誘いは全て断ってきました
利益は従業員が頑張って働いた成果
それを配当に回すなら、従業員へ還元した方がいいと考えます

従業員第一といっても、甘やかすわけではありません
当社を選んでくれた人を立派な社会人として育て上げる
そのためには厳しい指導も必要になります
成長したいという従業員の気持ちに応えるために、その場をどれだけ提供できるか、経営者は常に考えなければなりません

評価は、人を育てる上で一番重要なポイントです
それをないがしろにしてはいけません
公平な人事は難しいですが、公正な人事にしたい
全員が満足する人事は不可能
ただ、全員が納得する人事ならば挑戦できる

◼︎
清水勝彦
日本の会社で一番国際化していないのは本社

遠藤功
それは「権限のない現場、情報のない本社」という問題です
これが日本の組織運営を悪くしています
進出先の実情を分かっている現場には権限がないから、決められない
権限はあるが、肝心の情報がない本社が悪さをしている
この構造を変えていかなくてはいけません
本社はなにをするところなのか
現場はなにをするところなのか
その役割分担を明確にすることが求められています私は企業にコンサルティングをする際、最近は「ミッション別組織」にするようにアドバイスすることが多い
それぞれの部門のミッションをできるだけ明確にして、シンプルにする
できればシングルミッションが望ましいですね
あれもこれも望むのは、この動乱期には望ましいことではありません

事業部、部門ごとにミッションを明確にする
いまの時期は、複雑なマトリクス組織にしても機能しません
「君たちの部門はコストダウンして利益を上げろ。売り上げはどうでもいい」ということもあれば、「君たちは、投資していいから成長を目指せ」というところもあるというように、ミッションは事業部、部門ごとに異なっていていい
本社のミッションはなにか
そして現場のミッションはなにか
もう一度考えるべきです


◼︎大塚周一 ジャパンディスプレイ社長
設備産業というのは、カネをどれだけふんだんに持っているかによってマーケットシェアが決まってしまうものです

莫大な資金を投じて大型パネルやシステムLSIの工場を建設した電気大手は、どこも投資余力がなくなった途端に勝てなくなっている

これからは設備投資すれば誰でも参入できるような領域にカネをかけるのではなく、高い生産技術が参入障壁になる分野に経営資源を集中させるべきだと思います



20130204 日経ビジネス

◼︎20130204 日経ビジネス

◼︎大山健太郎 アイリスオーヤマ
現場からは開発が間に合わない、原材料費で元が取れないという意見があるかもしれません
ただ、これはメーカー側の論理であり、顧客には関係のない話です
価格を決める際、製品原価に販売管理費や製造経費、利益を足しこむことが一般的だと思いますが、当社の場合は初めに販売する価格を決め、次に利益を引き、製造原価などを決めていくという「引き算のプロセス」です
製品価格→利益→販売管理費→原材料費→製品経費

ものづくりは目的ではなく、あくまでプロセスです

他社が対応できない顧客の依頼に応え続けること
それが、どんな環境下でも利益を生み出し、ひいては企業を存続させることにつながるということを忘れないでください

ここまで見て、永続のカギは変化対応ということがご理解いただけたと思います
それでは、自社が社会の変化に対応できているのか、変化対応度らどのように測ればいいのでしょうか
アイリスでは、売上高に占める新商品の比率を指標にしています
効率を考えれば、ロングライフ商品を出すのが一番でしょう
ただ、ロングライフ商品への依存は企業が思考停止に陥る前段階で、結果的に大赤字の元凶になると私は考えています

新商品を毎年大量に投入すると、一見効率が悪いようにも見えるでしょう
ただ、単年の決算だけでなく、会社の未来を考えれば、損して得を取るべきです

アイリスは世間から「厳しい会社」として知られているようですが、それを実践するからには、経営者である私が自分自身に対して一番厳しくしなければいけません


◼︎
マイケル・ポーター
戦略の中核を成す原則は、
「顧客のためにユニークな価値を創出する」「何をして何をしないかを明確にし、選択する」の2つです

企業規模は成功を決定する上で最も重要な要素ではありません
重要なのは、自らの立ち位置をしっかりと固めることだと教えてくれます

事業において最も大切なことは、他社とは違う独特の方法で(顧客や社会の)ニーズを満たすことです
ニーズを満たすことから利益が生まれます
利益が先にあって、そのあとにニーズがあるのではありません
当たり前のことに聞こえるでしょうが、実際には「どうすれば利益を得られるか」と考えるところから始める人が多すぎる気がします

事業が成功するのは、ある特定のことに対して強い情熱を持つ人物が「自分たちなら変えられる」「影響を及ぼすことができる」「もっとうまくできる」と思って事業を生んだ場合です


20130225 日経ビジネス

◼︎20130225 日経ビジネス

◼︎大西洋 三越伊勢丹ホールディングス社長
強い決断の裏には、大西が背負う思いがある
売上高1兆2300億円を誇る業界トップ企業の経営者として、百貨店を未来に残す
340年の歴史を持つ三越と120年を経た伊勢丹ののれんを守る



20130211 日経ビジネス

◼︎20130211 日経ビジネス

◼︎阿多親市 ソフトバンクテクノロジー社長

私がマイクロソフト日本法人で学んだことの一つは、「1人のマネージャーが管理できる部下の数は10人未満」ということです
部下の数が10人以上になると、モチベーションや健康状態など個別の事情を把握するのは難しくなると思います


◼︎竹中平蔵
経済政策には二通りあると前から言っている
「助ける政策」と「解決する政策」

亀井さんは助ける政策にすごく偏っていた
政治は助けも必要だが、助ける以上は期限を切って、同時に問題を解決する政策をしないといけない

◼︎大山健太郎 アイリスオーヤマ
再生で、まず手っ取り早いのが余剰人員の削減でしょう
会社を適正な規模に縮小して、再スタートを切れば身軽になる
ただ、私はこの手法を使いません
なぜなら、残った人員も士気が低下し、結果的に再成長にむけて前向きに仕事に取り組めなくなるからです
だから、人員削減はしません
その代わり、共通費用を徹底的に削減します
ただ、共通費用を削減することで、さらに人員に余剰が出てきます
こういった余剰人員には売り上げを作る仕事にシフトしてもらいます
人員削減によって100の売り上げが70に減るのであれば、人員削減をせずに売り上げを120や150に伸びるよう考えさせた方がいい

なお、アイリスが人を送り込んで再生を主導することはほとんどありません
再生で大事なのは、従業員のやる気をそがず、かつ自主的に再建を任せて自信をつけさせることです


◼︎
遠藤功
日本には優れたリーダーはあまりいませんが、優れたキャプテンは結構います
キャプテンなら日本人の力量でも、できる
他のメンバーと一緒に汗を流してやっていくキャプテンは日本人には向いているのでしょう

大きな組織にはリーダーが必要です
日本の大企業がうまくいかないのは、大きな組織を牽引できるリーダーがいないからです
では、どうすればいいか
1つの選択肢は、キャプテンで回せるサイズの組織にすればいい
そのほうが日本らしさが出る

清水勝彦
私は、リーダーというのは敵がいなければいけないと思います
敵がいるくらいでないと、大事なときに厳しい決断ができません
結局戦略はトレードオフなので、もともと、みんなが納得して仲良くでは決断できない
やりたいことが10個ある中で、本当にやらなければいけない3つを選んで資源を集中すること、つまり残りの7つはどんなに非難する人がいてもすてなければ結果は出ないのです

遠藤
日本の組織のトップは、思い切った決断ができないし、自分で引っ張っていく覚悟が足りない
人の話を聞いてしまうのです
主観がないとは言いませんが、弱いですね

清水
サッカーに例えると、いま、この選手はチームの中核だけど、将来を考えてトレードに出すといった計画を立てる
これはキャプテンにはできないでしょう
長い目で見てそうした計画を立てて実行しないと、チーム、会社、国は良い方向にいきません
日本ではキャプテンとリーダーがごっちゃになっていて、整理されていないように思います

遠藤
MBA教育ではリーダーは育たないというのが私の持論です
リーダーシップに関する授業はありますが、そういう授業をとっているような人間はリーダーには育たない
リーダーシップは教えられても、リーダーを育てることはできない
ビジネスの第一線で責任を背負い、一皮むける体験をしないと、本当のリーダーの器になりません

清水
外資系では、リーダー候補に社長のカバン持ちを2年くらいやらせるということがあります
リーダーの経験を身近に見て、自分でやって失敗してという、のたうち回って、上がったり下がったりのプロセスになっています

遠藤
教えるというより「盗む」ということでしょうね
自分のスタイルを作るとき、それに合うものは吸収していく
いろんなリーダーと接するというのは大きな財産になるでしょう
いろんなリーダーの生き様を見るというのは重要です
キャプテンから学んでもキャプテンにしかなりません

器を大きくするというのは難しい
スキルは学べても、器は教育では大きくできない
器は器だから、器に合った教育をするしかない
コマツの坂根正弘会長は稀有なリーダーの例だと思います
リーダーシップはあるし、決断力もあり、和を尊ぶ、極めてバランスのとれたリーダーです


日本では現場に行けば行くほど面白い
一方、社長に会ってもあまり面白くない
例えば、米マイクロソフトを創業したビル•ゲイツ氏の話は面白いが、現場はつまらない
日本はそれとは逆です

清水
日産のゴーンCEOがおっしゃっていたのは、リーダーにはいろいろなスタイルがあるけれど、どんなリーダーにも大事なことがあると
1つは「人の話を聞く力」もう1つは「interestingなこと」だと
みんな忙しいわけですが、「面白い上司」と「面白い仕事」をできると感じることが心の余裕や、イノベーションにもつながるのではないでしょうか


◼︎石原進 九州旅客鉄道会長
思い返せば、2002年に社長に就任してまず取り組んだのも、本業のサービス改善でした
背景には、1996年をピークに鉄道の収入が減少し続けていたことがありました
もっとも、特別なことに取り組んだわけではありません
「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の、いわゆる「5S運動」でした
社員の中には、「整理整頓や清掃でなにが変わるのか」懐疑的な人も少なくなかったでしょう
しかしやっているうちに、「最近、駅が綺麗じゃないの」といった反応がお客様からかえってくる
そうなると、最初は乗り気じゃなかった社員たちも本腰を入れて取り組むようになります
こうした地道な取り組みの積み重ねが当社への信頼を高めてきたのだと確信しています




20130114 日経ビジネス

◼︎20130114 日経ビジネス

◼︎ジム•コリンズ
アップル同様、深刻な危機に陥りながら見事に復活した有力企業には米IBMや米ゼロックスがあります
多くの企業は死線にぶつかり、消え去ります
でも、危機を前提に事前準備を徹底しておけば、再び市場の覇者になることもできるのです
ではなにをしなければいけないか
大きく3つあります
第1は、「まず人選ありき」
適材をバスに乗せ、適所に座らせ、「不適材」をバスから降ろす
そうすれば自ずとバスの行き先は決まります
危機に際して「戦略を変えよう」「製品を変えよう」「ブランドを変えよう」「技術を変えよう」などと思ってはいけません
最初にバスを見るべきです
厳格な能力主義によって最高の人材をバスに乗せ、最適の席に座らせているかどうかチェックするのです
経営が傾いているとすれば、能力主義を貫いていない証拠です

第2は「残酷な現実の直視」です
どんなに残酷な事実からも目を背けてはいけません
「10年後に我々は今よりも格段に強くなっている」という確信を持つためには、目の前の現実を直視する必要があります
そうすれば、どうすれば現在の苦境から脱出できるのかがわかります

第3は、「銃撃に続いて、大砲発射」をすることです
銃撃とは、何が実際に有効なのか検証する実験のことです
私が経営が芳しくない企業の社長なら、まず「これまでに撃った多数の銃弾のうち目標に命中したのはどれか」と自問します
命中した銃弾には、すなわち潜在力があるということです
その段階で銃弾を大砲へ切り替えます
銃銃撃なしにいきなり大砲を発射するのは禁じ手です
「救世主」にすがること、つまり、無謀な賭けに出るのと同じです
まずは十分に銃弾をうつ

10X型企業は幸運に恵まれて卓越した実績を出したわけではないということです
むしろ不運をはね返し、偉大になれたのです

運イベント自体は制御不能で予測不可能です
運イベントに遭遇した場合を想定し、日頃から十分に準備するのです
10X型リーダーも自分の運を最大に生かしています

◼︎井上礼之 ダイキン工業会長兼CEO
工場というハードだけでなく、そこで働く人(ソフト)の高度化も追求することが必要なのです

◼︎稲盛和夫 日本航空名誉会長
約3万2千人全員の心が変わったからこそ、JALは再建できたと思っています
「私も老骨にムチ打って頑張るから、皆さんもついてきてください。みなさんが会社をよくするという気持ちにならなければ、会社は再建できません」
こう説き、それに応えてくれたから、奇跡的な復活を遂げられた
リーダーの役割は、現場の人の心を変えることだと思っています

景気のいいときは派遣社員を使い、悪くなったら辞めさせる
いつからか、こういうイージーな経営をするようになってしまった

どんな目標も、社員が幸せでなければ達成できません
全社員が、自分の属する企業を自分たちの会社だと思い、頑張ることが重要なんです
全社員の力を借りようと思うなら、会社の経営目的を従業員の幸せに置くことです
まずは、マネジメントのトップが力を貸してくれと現場まできっちり伝えて、自主独立の組織に再分割してやらせていく
それだけで、1年もすれば企業は蘇るでしょう

リーダーとは哲学者であると同時に、従業員の教師でなくてはダメだと思っています

経営者は、「これだけのことは辛抱してくれ。冷たいかもしれないけれども、やらなければ会社が再生できない。ただこれ以上のことはやりません」とはっきり伝えるべきです
トップが現場の従業員全員に対して、熱涙下るような訓示を出さないといかん

売り上げが増えないなら、耐えなくてはしょうがないでしょう
耐えながら、一方で新製品や新規事業を考える
売り上げが増えないことなんていくらでもあります
経済は変動するんだから
ただ、バブル崩壊後の日本では、サラリーマンがトップに立っている
だから根性のある人がいないのでしょう
経営とは、引いてよし押してよしです
売り上げが増えるときには押すし、悪いときには引いていく
どの局面でも、リーダーには燃えるような闘魂が必要です
強い意志と闘魂がない人は、リーダーになっちゃいかん
元は大変怖がりで慎重でも、いざとらなったら、火の中水の中であろうと勇気を奮い起こす
ここぞというところでは命をかけて一歩も引かない
この闘魂が経営者にはいるんです



利益たった1%で突き進むアマゾンの奇才経営者

■利益たった1%で突き進むアマゾンの奇才経営者

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140108/257918/?P=2&mds

私はよく「5年後、10年後には何が変わっているだろうか?」と尋ねられる。しかし本当に重要な質問は「5年後、10年後にも何が変わっていないか?」だ。なぜなら、ビジネスの根本を長期にわたって不変な原則の上に建てることができるからだ。今から5年、10年経ってユーザーが私のところに来て「ジェフ、値段をもっと高くしてくれないか」ということは想像できない。「配達を遅くしてくれ、品揃えを少なくしてくれ」などということもあり得ない。低料金、速い配送、幅広い品揃えは何十年経ってもユーザーが望むものだ。

高利益率ビジネスはうらやましい。しかし高利益率ビジネスからは日本人の言うカイゼン、効率化は生まれない。なぜならその必要がないからだ。必要は発明の母だ。18年にわたってアマゾンはリーンな低利益ビジネスを追求してきた。それはアマゾンの文化だ。

20130121 日経ビジネス

■20130121 日経ビジネス

■ソニー
「安く多く売るのではなく、世界のプレミアムブランドとしての地位を確立することこそが、遠いようでテレビ事業再生への近道だ」
ソニーのホームエンターテインメント&サウンド事業本部企画マーケティング部門長である奥田利文は言い切る

本来成長領域のはずのモバイル製品群はどうか
スマホやタブレットでは、テレビで仕掛ける地道な「高付加価値路線」ではもはや挽回が不可能なほど、劣勢にたたされている
アップルとサムスンによる市場寡占化が進んでいるが、平井は「世界的なレベルで言えば、(2強の顔ぶれが)入れ替わる可能性はいくらでもある。(スウェーデンのエリクソンと合弁を解消して発足した)ソニーモバイルコミュニケーションズは経営スピードが確実に速くなっている」と、舞台から降りる気はさらさらない

今のソニーには、市場のルールを一変させるような商品・サービスの開発力が欠けている
様々な手を打ってはいるが、「結果として、世界初・ソニー初の商品が全くない」
メリルリンチ日本証券調査部長の片山栄一

「予定よりもアヘッド(前進)している」
平井がこう評価するテレビ事業の立て直しも、シェアを追わずに利益確保を優先させるもので、現状はコスト削減が主な策
平井本人も認めるように「ディフェンス」にとどまる
「赤字を一定規模で抑える体制はできたが、黒字化や収益拡大を図れる商品や戦略がみえない」
テレビ事業について、ドイツ証券シニアアナリストの中根康夫は手厳しい


20130107 日経ビジネス

■20130107 日経ビジネス

■安部首相
首相辞任後、失意の安部氏が真っ先に取り組んだのが地元・山口県の支持者へのお詫び行脚
罵声を浴びせられることもあったが、「すべてを真っ正面から受け止めることが始まりだと自らに言い聞かせた」と安部氏は振り返る
全国の落選候補などの集会に弁士として積極的に出向いては「有為な仲間を落選させ、自民党を大敗させた責任は私にある」と頭を下げ続けた
「背負った十字架の重さを自覚し、現場に足を運び続けた。逃げずにその姿勢を示したことが安部さんの失地回復の一歩となった」安部氏に近い議員はこう語る


本音では信頼を寄せず、ライバル視する石破氏を党運営の要の幹事長に指名
石破氏の国民的人気を活用し衆院選を自身との二枚看板で乗り切る「実を取る」道を選んだ
懐の広さを示し、党内外の不満の芽を早目に摘み取った安部氏


■澤田秀雄 ハウステンボス社長
2010年4月、私が来た時のハウステンボスがそうでした
18期連続の赤字という状況で私はなにをしたか
たった二つです
一つは借金をなくすこと
もう一つは売り上げを増やすことです
国も同じことをすればいい
二割無駄を減らして、税収を二割増やす
20兆円の経費が浮いて20兆円の増収が出来れば40兆円のプラスです
別に難しいことをやれと言っているわけではないんです

もちろん工夫は必要です
ハウステンボスだって無駄を減らすためにあらゆる手を尽くしました
増収するといってもなにもしなければこんな遠隔地まで誰もきてくれません
ならばとうすればいいか
答えの一つが今開催している「1万球の電球を使った世界一のライトアップ」です
「世界一」というのが重要で、二位では佐世保まで来てくれない

国の場合、無駄はいくらでも削れるとして、増収の方法は2つしかない
一つは江戸時代の悪代官のように税金をむしり取る
もう一つは、16〜18世紀の楽市楽座のように国を栄えさせて、結果として税収を増やす
あとは、どちらが一億数千万人の国民にとってハッピーかという問題だけです

2013年以降、そうした改革を断行できるリーダーが現れるかがこの国の分かれ目だと思います
すべてリーダー次第
それは国も会社も一緒

子供も大人ももっと挑戦してもらいたい
挑戦して失敗して、やっとの思いで成功して感動するのが人間なんだから
僕なんてどれだけ失敗したか
旅行業、LCC、証券業とやってきたけど、挑戦したことの7〜8割は失敗です
致命傷さえ負わなければ人生はなんとでもなるんです

■河内幸枝 マロニー社長

よく核家族化が進んで家庭で団欒が減れば、鍋需要は縮小するという意見がありますが、私はむしろ無縁社会の進展で絆を求める人が増えて、鍋に対するニーズは高まるのではないかと考えています
そもそも仲間と火を囲むのは、狩猟時代から人類の本能に組み込まれた対話の基本形でしょう

私だって、経営に失敗して、個人保証で無一文になって、働くこともできなくなったらどうしようと考えますよ
でも、今のところは生活保護制度がある
私は年金も払っているからさらにいい暮らしができます
そんな風に思えば何にだって挑戦できると思いませんか
人間は積み重ね思考でないといけませんて

■大村禎史 西松屋チェーン社長
何事もダメだと思ったらダメでね
悲観したらいけません
少子化の影響もいつかは出るでしょうけど、先のことばかり考えて対応するのはナンセンス
西松屋は2013年も、目の前のチャンスをしっかりつかみ、少しずつ進みますわ

■宗次徳二 壱番屋社長
経営構造を見てもなにを見ても優れた人しか勝ち残れない時代になってしまいましたからね
なにかひとつくらいは、誰よりも頑張るぞというものがないと、人生にいいことは起きない
私の場合は、「早起きと掃除だけはだれにも負けない」という気持ちでやってきました
午前4時ぐらいにはやおきして、店に行って掃除をする
社長が誰よりも早くきて、誰よりも一心不乱に掃除していたら、社員も働くようになるんです
社長が誰よりもハードワーカーの会社は強い
朝が早いと一日だって有効に使えます
私の場合、毎日できるだけ店舗など現場を回っていました
現場まわりがもう大好き
現場で掃除をしているとお客様の思考の変化とか様々な重要な情報も自然と入ってきます
だから次の一手も自信を持って打てる

でも、世の中を見回すと、どうもそういう経営者は少ないように思います
重役出勤して、現場に顔を出さず、会議で声だけ張り上げる
社長が誰よりもハードワーカーどころか、自分が楽をしとる
現場主義どころか社長室で数字しか見ない
そういう人は顧客のことよりも、ライバルの動きとか世間のトレンドとかろくでもないことばかり気にするんですよ
時間をかけて現場を見ていないから、思いつきでしか指示を出せない
当然、道を誤ります

そういうことですから、2013年以降、自分のお店や自分の会社、企業をよみがえらせたいと思うなら、社長が朝4時に起きて現場を回ることです
効果が出るまで3〜5年はかかります
それでも社長の背中を見て、徐々に早起きして仕事する社員が2割ぐらい出てくれば、もうその会社は生き残れます


■井上貴之 カーセブンディベロップメント社長
顧客がより厳しい目で商品やサービスを選べば、本物は栄える
景気が良い時代は偽物でも飯が食えたけれど、これからはそうはいかない
会社の業績が悪化したり、市場環境が悪くなったりするのは、社内の仕組みを変えられる最大のチャンスにもなる
「世の中変わっちまうぞ、俺たちもやり方を変えよう」と言えば、痛みを伴う構造改革もやりやすい


■堀場雅夫 堀場製作所最高顧問
日本人の課題は、持てる力を120%発揮して具体的なアクションにつなげられないことなんですよ
積極性、アクティビティーが低いわけや
本質的な能力があるんだから、これをいかに引っ張り出すか
僕が「こんなのやれ」と言ったら、「いや、私にはできませんわ」こういいよるわな
だけどアングロサクソンのほうは「おまえには無理やな」と言っても「やらせてくれ」と言う
こういう考え方に変えたらいいだけ
皆さん、フルスロットルで走ったことありますか
フルスロットルで一遍、一週間でも一ヶ月でもやってみろと
本当の能力が出ますよ

■井上礼之 ダイキン工業
今、世の中では市場環境や競争条件が大きく変化する「パラダイムシフト」が起こっています
過去の分析や業界の常識にとらわれていては、もはや戦うことはできません
絶えず現実を見据えながら、実行にこだわり、ビジネスモデルを大胆に変えていく必要があります
経営者には、いわば「答えのないところに答えを出していく」ことが求められているのです

私はこれまで、「自主経営を貫くが、自前主義には執着しない」という考え方を経営の根幹としてきました
最近、その思いはますます強くなっています
自主経営とは、「ありたい姿」や「あるべき姿」を従業員と共有しながら、経営者が戦略の実行局面で幅広い選択肢を持って、主体的に意思決定できることを指します
あるところでは自前主義に徹底的にこだわって差異化を追求する
また、別のところではM&Aや提携によって足りないところを補う
自主経営とは、こうした経営判断を自由自在に使い分けていくこと


■稲盛和夫 日本航空名誉会長
優れたリーダーとは、人格を含めたトータルの人間性に魅力があり、確固たる信念に満ちて、独善ではなく、みんなの意見を吸収して、説得するだけの力がなければなりませんから
作られるものじゃなく、それを持った人がいなければいかんのです

自民党は日銀に国債を買い取らせてでも大きな金融緩和をすると言っておられる
2%ぐらいのインフレをすると
私は専門家ではないし、あんまりよくわかってないので、感覚的にしかモノが言えません
そのうえで、金融緩和は一時的な景気浮揚を招くことはできるかもしれませんが、危険だという気がします

戦時中に国は、戦時国債を膨大に発行して、民衆は国のためにと国債をいっぱい買いました
これが戦後、紙切れになり、同時にハイパーインフレが起こってしまった
父は戦前、印刷屋をやってコツコツとお金を貯めてきましたが、それも全部紙くずになったんですね
焼け野原に掘っ建て小屋を建てて、親子9人で生き延びてきましたが、その時のハイパーインフレ、つまり本当に紙幣が紙くずになっていくのを見てきました
インフレターゲットをやったら、しばらくは国の借金にとっても、借金をたくさんしている人にとってもいいかもしれません
ですが今度、インフレを止めようと思っても、そう簡単に止まるものじゃない
私はブラジルのハイパーインフレや、いろいろなことを現地で見てきましたから
過去の経験からすると、よっぽど劇薬で、非常に危なっかしいと危惧しますね

現在の日本は、政府も民間も非常に依頼心が強くて、誰かがなんとかしてくれると思っている
自主性や自立心が希薄になって、依頼心と依存心が官民すべてに横溢(おういつ)している
自立する心がない限り、日本の現状を打破することはできません
自立するという意識の下に、なんとしてもいい方向に向かわなきゃならんと思う
そういう強い意思力が欠落している気がします

私は7〜8年前、中国共産党幹部の教育機関である北京の党中央校で講演しました
その中で、明治時代、辛亥革命で敗れた孫文が日本にきて、神戸で講演した時の言葉を引用しました
孫文は日本国民に対してこう話したんです
「日本は明治維新を迎えて欧米の近代文明を取り入れ、繁栄を遂げようとしている。その欧米文明というのは覇権の文明、力の文明です。しかし東洋には、人間の徳で治めていくという王道の文明があります。欧米文明を取り入れて覇権の道を歩くのか、それとも古来東洋に存在する王道の道を歩くのか。日本の将来は皆さんの選択にかかっています」
こういう素晴らしいスピーチでした
日本はその声に耳を貸さないで、一瀉千里(いっしゃせんり)に覇権の道を歩いて、1945年に敗戦を迎えて壊滅してしまった

徳とは仁と義です
優しい思いやりの心がベースにあって、素晴らしい仕事をしながら相手を慈しみ、愛し、ビジネスを展開していく
これを続けて、日本人の立派な人間性を分かってもらえれば、彼らも日本人を尊敬してくれるんじゃないかと思っています

ビジネスの根幹には、どうすれば儲かるかということがあります
けれど、それを考える前に、「利他の心」がいると私は説いています
自分が儲けようと思うなら、相手も利益を得られるような思いやりの心、つまり利他の心がなかったら意味がありません
ビジネスにテクニックは必要でしょう
ですがそのテクニックを動かす人間のベースにあるのは、相手を思いやる利他の心です
利己の塊みたいな人が、ビジネスの中でテクニックを使ったら、世の中はますますいびつになっていく

■新浪 ローソン社長
経営者は短期的な収益を求めるマーケットから常に攻められている
しかもどんどん短期的になっている
そんな中で、資本市場からよくやったと言われるのがいいのか、それとも、今は歯を食いしばって「自分たちのやり方でやるんだ」と企業文化を残していくのか
経営者として決めなくちゃいけない問題ですね
恐らく「長期」と「短期」で、どちらが正しい、誤っているというものではない

20121119 日経ビジネス

■20121119 日経ビジネス

■関戸正実 セキド社長
生き残っていくためには、企業体として一番強い形になっている必要があります
当社は家電とブランド品以外にも、日用品やカー用品、スポーツ用品なども手がけてきました
そして、時宜に合わせてそれらの事業から手を引いてきた経緯があります
立ち上げと撤退の繰り返しです
でもその経験があったからこそ、事業の内容や構成を柔軟に変化させていくことの重要性を学んでいます

事業を多角化していたからこそ、経営環境が悪化した家電量販事業を手放すことが可能になったとも言えます
効率化のために今回、事業を「選択と集中」するわけですが、新規事業に挑戦することの重要性を忘れることがあってはいけません
事業を絞り込んだがゆえに、変化に対応することが難しくなってしまえば、いつかは行き詰まります
ある一時点での判断が、いつまでも正しいとは限らないわけですから

家電量販事業からは撤退しましたが、経験を通じて学んだことは、当社の中から消えてなくなるわけではありません

先代の創業者がよく使っていた「周囲に尽くす」というりねんが、自分の中にも生きているのだと思います
そういった有形無形の財産は今後も、経営を続けていくうえで必ず支えになってくれるでしょう


■新井田傳 幸楽苑社長
我々はようやく500店舗
しかし24店舗を除きすべて直営です
私は、FCは虚業であって実業だとは思わない
人材を増やさなくても店舗数は増やせるんですから

経営は人を育ててなんぼの世界だと思うんです
スピードを重視するのであればFCに勝るものはない
これは間違いありません
どんどん増えていく他社を端でみていて、スピードの誘惑に駆られたことがないかと言われると、そりゃあ葛藤はありました

私が30歳になったときに会津に6店舗目を作りました
当然、会津では一番数の多い食堂になりました
同じ業態の店舗を会津内に作ると自分の店舗同士で競合してしまうと危惧した私は、中華料理、喫茶店、カレー屋、ラーメン専門店と業種の違う6店舗を作ってしまったのです
その結果、まったく管理ができなくなりました
原料費も違えば人件費も違います

外食産業の工場には2つあります
セントラルキッチンとコミッサリー(食品加工工場)です
セントラルキッチンはキッチンの延長線上にある概念ですから、食堂と同様、作るための道具がそれぞれ独立していて工場のラインとしてつながってはいません
一方、コミッサリーは材料を片方で投入すると、20m先で製品になって出てきます
その間、人が全く介在しないんです
外食産業の効率化にはこのコミッサリーを目指さなくてはいけないと考えました

他社が完全なコミッサリーをなかなか作れないのには理由があります
店舗のメニューと連動してくるからです
メニューがたくさんあればあるほど、コミッサリーでは多様な食品を作らなければなりません
我々の強みは店のメニューと連動している点にあります
これは他社にモノマネはできない
メニューまでさかのぼらなければならないためです
ほとんどの外食産業は多品種少量生産ですよね
セントラルキッチンで作ることは出来ても、コミッサリーができない理由はそこにあります

過去、様々なことに挑戦しました
ご飯ものを増やしてみたり、揚げ物を置いてみたり
ただ、メニューを広げて成功したことはありません
麺のメニューを増やすのは問題ないのですが、全く違ったものをやろうとするとうまくいかない
そしてメニューを広げようとすればするほど、「ラーメン」という幸楽苑の価値観が薄れてしまう
これではダメです
だからラーメン以外の需要が大きくなったときには、我々がそれを奪うことはできません
「今日はなんとなくラーメンが食べたいな」と思われた人が、幸楽苑を通り過ぎて日高屋さんに行くようなことがあってはダメなんです
メニューを広げたからといって顧客が増えるわけではありません

■酒巻久 キャノン電子社長
ドラッカーが唱える理論の中で、私が経営改革に生かしてきたのは、大きく5つに集約できます
「自らの強みを知る」
「時間を管理する」
「最も重要なことに集中せよ」
「イノベーションの原理と方法」
「チェンジリーダーにとっての3つのタブー」

▼自らの強み
「これからは、誰もが自らマネジメントしなければならない。自らを最も貢献できる場所に置き、成長しなければならない」
「誰でも、自らの強みについてはよくわかっている。だが、大抵は間違っている。わかっているのはせいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし何事かを成し遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない。できないことによって何かを行うことなど、到底できない」

▼時間を管理する
「私の観測によれば、成果をあげるものは仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間が取られているかを明らかにすることからスタートする。次に、時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要素を退ける」
「時間を管理するには、まず自らの時間をどのように使っているかを知らなければならない」
「成果をあげるものは、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、最も欠乏した資源である。それが時間である」
「時間こそ真に普遍的な制約条件である。あらゆる仕事が時間の中で行われ、時間を費やす。しかるに、ほとんどの人が、この代替できない必要不可欠な資源を当たり前のように扱う」

▼最も重要なことに集中せよ
「成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。成果をあげるひとは、最も重要なことから始め、しかも、一度に一つのことしかしない」
「いかなる成果も上げられない人の方がよく働いている。成果の上がらない人は、
第一に、一つの仕事に必要な時間を過小評価する。
第二に、彼らは急ごうとする。
第三に、彼らは同時にいくつかのことをする」
「集中するための第一の原則は、もはや生産的でなくなった過去のものを捨てることである。そのためには、自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直し、「まだ行っていなかったとして、今これに手をつけるか」を問わなければならない」
「集中が必要なのは、仕事の本質と人間の本質による。いくつかの理由はすでに明らかである。貢献を行うための時間よりも、行わなければならない貢献のほうが多いからである」

▼イノベーションの原理と方法
「第一に、イノベーションを行うためには、機会を分析することから始めなければならない。
分析すべき7つの機会は、
1.予期せぬこと
2.ギャップ
3.ニーズ
4.構造の変化
5.人口の変化
6.認識の変化
7.新知識の獲得」
「第二に、イノベーションとは、理論的な分析であるとともに、知覚的な認識である」
「第三に、イノベーションに成功するには、焦点を絞り単純なものにしなければならない」
「第四に、イノベーションを成功するためには、小さくスタートしなければならない。大がかりであってはならない。具体的なことだけに絞らなければならない」

▼チェンジリーダーにとっての3つのタブー
「第一のタブーは、現実とつじつまが合わないイノベーションを手がけること。そのようなイノベーションが実を結ぶことは稀である。単にその新奇さのゆえに、魅力的に見えることが少なくない
。しかし、それらの多くは、たとえ失敗しなくとも、膨大な資金と時間を要する」
「第二のタブーは、真のイノベーションと単なる新奇さを混同することである。イノベーションは価値を生む。新奇さは、面白いだけである。ところが、組織の多くが、毎日同じことを行い、毎日同じものを創ることに飽きたと言うだけで、新奇なモノに取り組む」
「第三のタブーは、行動と動作を混同することである。製品、サービス、プロセスが成果を生まなくなり、その廃棄が必要になると、あらゆる組織が組織改革に走る。もちろん、組織改革が必要なことは多い。組織改革だけでは、単なる動作だけであって、意味ある行動の代わりとはならない」


イノベーションは失敗がつきものであり、失敗を犯さないようにすることが経営者の仕事だと思う
ジョブズも「イノベーターになるなら失敗の要素をいかに少なくするかが必要だ」と指摘している
失敗リスクを回避するために必要なことは、ドラッカーが言うところの「時間の管理」だ


「一つのチームは無事帰還し、もう一つのチームは帰還できなかった。生死を分けたのはチームの行動スタイル。天候にかかわらず、着実に進行することをルールとした部隊が帰還。リーダーだけの判断でその日の行動を決めた部隊が失敗したのだ」
一部のリーダーだけに頼るだけでは限界がある

20121203 日経ビジネス

■20121203 日経ビジネス

■孫正義
ネットワークだけでも、端末だけでも、コンテンツだけでもダメだと思います
三つをうまく統合し、トータルで提供していくのが最終的な目標です
どれか一つを一生懸命やって残り二つはおざなりではダメ

Microsoftのビルゲイツはアップルのスティーブジョブズに「お前ほどの能力があれば立派なソフト会社になれるのに」と言いました
スティーブもまたビルに対し「お前ほどの能力があれば立派なハードウェアの会社になれるのに」と返しました
現在Microsoftはタブレット「サーフェス」を投入し、ハードの領域に進みつつあります
一方、アップルも端末を作りながら、特にソフトのプラットフォームを強化しています

ネットワークも同様です
端末の中に入る通信モジュールをいかにシームレスに統合するかが重要になってきています
通信事業者はどのハードにいかに自分が持っている周波数を対応させ、シームレスにつながるか
これをやらないとネットワークは意味を持たない時代に入っているんです
ネットワーク、ハード、コンテンツは切っても切れない関係になっていきます
こうした関係を理解し、なおかつ統合していくだけの力を持ち合わせていないと戦えない時代がきます

問:
スプリント買収はそうした交渉で優位に立つためですか
答:
交渉力とは価格についてだけではない
限られたスペースでどの周波数に対応したチップをいれてもらうかという交渉力を持つ
これが勝負どころの交渉力なんです
国内という限られた市場だけにとどまっていては意味をなさない

戦は知恵だけでは勝てない
兵力がないと勝てない
兵力とはボリュームです
これがないと相手に対する交渉力を持ち得ない
日本の家電メーカーがことごとく大赤字になっているのは、ボリューム競争から自ら降りて行ったからです

ハードは必ずコモディティ化します
パソコンだってそう
パソコン業界にいたハードメーカーはどこに行ったのでしょう
絶頂期を何年続けられる構えを持つかが全てです

iPhoneを持つアップルは重要な戦略的パートナーです
アップルと戦う気も必要もさらさらない
武田信玄と織田信長には決定的な違いがあります
武田信玄は甲斐の国から360度隣接している全部の国から京都まで一直線を引き、その上にいる敵とは戦い、それ以外の後ろや隣り合わせの国とは外交をもって敵対することを避けました
なぜか。織田信長は人生50年の中で天下を取りに行くにはどうすべきなのかを考え、その結果、京の都を押さえることだと考えて動いたわけです

古今東西、何千年も昔から様々な戦がありました
どの城を取った、取らなかったというのは大切ですが、せんじゅつにすぎません
どういう武器、弾薬を整えた軍団を構造的に作り上げて行くのか、どれだけの兵力を持つのか
そもそもどういう天下を取りに行くのか
これを考えて動かなければ

ソフトバンクが通信会社だ、と定義すること自体、既に構えが悪い
ライバルはシリコンバレーです
シリコンバレーとともにIT革命を推進する企業群を作りたい

コア中のコア企業を除けば、創業時の一部を除けば、ソフトバンクのブランドをつけることを許していません
ブランドを許すと硬直化するからです
退却戦に迷いが出る

ソフトバンクのブランドがついていなければ一瞬のためらいもなく切ることができます
これはグループ各社に最初から言っていることです

■田中孝司 KDDI社長
問:
ライバルの動きは気になりますか
答:
私にとって一番心配なのは、ユーザの要望がコロコロと変わることです
当社にとってのライバルはNTTでもソフトバンクでもなくユーザだと思っています
ドコモには安心・安全と高い顧客満足度という軸があって、ソフトバンクには孫正義社長の強いリーダーシップと、革新的な企業イメージがあります
ライバルの間で埋没しないためには、ユーザの信頼を獲得する努力を怠ることはできません
私はユーザが欲しいものを先回りして提供し、満足感と驚きを提供することにこだわりながら、KDDIの経営を舵取りしていきたいと考えています

私自身は一発勝負する性格ではなく、世界の通信市場で3位になってやろうと思うこともありません
それよりも移ろいやすいユーザ相手に、どうすれば満足感を与えられるかを考えることのほうが重要だと考えています

■鵜浦博夫NTT社長
グーグルやフェイスブックなどは通信回線などどこでもいい、ネットワークフリーでサービスを提供したいと思っています
さらに、これらのプラットフォームの上でコンテンツを提供する人々はOSさえフリーでやりたい
ではユーザはどうか
端末からもフリーでありたいというのが本音です
ネットワークもOSも端末もフリーになるというのが普遍的なテーマとしてあります

サービスを提供する側はドコモだけでなくソフトバンクやauの利用者にも提供したいでしょう
特定のキャリアにぶら下がっているビジネスなど誰もやりたくない
ドコモは事業会社ですから目先の戦いをする必要があります
ただ、持ち株会社としては次の戦いに備えたい

キャリアと顧客という分け方ではなく、すべての端末に提供するということです
極論すれば、別のブランドを作って別の会社でやってもいい
競争の土俵が変わるはずです
いえ、変わるのではなく、変えていくのです

■安藤宏基 日清食品ホールディングス社長
うちは提案型ですからね
あらゆることをボンボン消費者に提案してみる
販売期間が一年を超えるものは2アイテムぐらいしかありません

マーケティングは、いわばアートですよ
論理構成は立てるけど、消費者のメンタルモデルは違う
一人一人の心は矛盾だらけなので、いくら社会心理学的に解析しても詳細までは把握しきれません

提案が担当者自身の言葉になっている時は、説得に負けますね
もちろん、いろいろ調べてきたのか、こういうことが起きるぞとか、老婆心ながら要らんことばかり言いますよ
それでも「そんなことありません」と、自分の言葉で理由を説明できる
この現場の肌感覚に勝るものはない
逆に一番ダメなのは取締役が説明することでしょう
屋上屋を架した話には説得力がありません

創業者の言動を疑いもしない
しかし50年経った時、私は(従来の製法や手法を)すごく疑った
そして、時代に沿う形ですべてを見直した時、過去の製造方法はことごとく変わっていったのです

他社にぶっ壊されてからじゃ困る
自らぶっ壊したほうがいい
時代とともに、商品も技術も常に変わっていくんです

組織というのは無責任です
だから物事の責任は組織ではなく個人に返さなきゃダメなんです
個人の場合、「お前に責任がある」と言われたら、どうにも逃れられませんから

初歩的なミスは教育的指導をしないといかんけど、読めないこともあるし、やむなしということも多いんです

問:
トップが言い続けることが大切なのですね
答:
口を酸っぱくして言わないとダメです
組織ができても、コンセプトやポジショニングが不明確だと社員は動きません
ですから、私は220人の管理職全員と年一回、じかに面接をしています
業績がいいからといって、簡単に給料を増やしはしません
業績と経営資質が上がったかを見ながら、年俸を決めています
その社員が今期、何を学んだかという経営資質が最も重要なポイントです
じかに話すことで、こいつは育ってきたなとか、業績は上がっているけど問題を抱えているなといったこともわかります

経営者にとって重要なのは、軸がぶれないことです
社長がああだこうだと言うと、会社が揺らぐんです
ですから、これはいいと決めたことは一定の答えが出るまで徹底する
途中の段階で、いろいろと文句を言っちゃいかんのです

僕はインスタントラーメンは地球を救うと思っているんです
保存がきくし、食べたい時に食べられる


20131118 日経ビジネス

■20131118 日経ビジネス

■小林一雅 小林製薬会長
ライバルを潰しにかかってはいけません
特にいじわるはダメ
問屋を介して圧力をかけたり、原材料メーカーを通じて供給を止めたり、といった妨害は、法に抵触するだけでなく遺恨も生まれます

競争の中にも必ず共存の意識は必要だと考えます
私がベストだと考えるシェアは6〜7割
3〜4割はライバルに解放する

またシェアを守るために無意味な戦いを仕掛ける社員は叱ります
過剰な値引きや問屋への押し込みなどの泥仕合も厳禁
名目上の数値が作れたとしても、それが会社にとって幸せなのかというと、そうではありません

もちろん共存は意識していますが、全面的に戦う場面も企業にはあります

売られた喧嘩は買う
一方で、自ら喧嘩は仕掛けない
これが小林製薬のポリシーです
本音を言えば、競争相手がいないほうが楽です
ただ、独占すると競争環境がなくなり、切磋琢磨もなくなる
すると、市場全体が縮小し、結果的に商品寿命も短くなってしまう
適切な競争と共存のバランス
これが、長寿商品を生む秘訣です


■インバウンドマーケティング
サンリフレの社長は、
「いかに消費者に我々を見つけてもらい、信頼してもらえるか。この点に絞ったマーケティングで他社と差別化している」

まずサイトの内容の多様さだ
例えば過去の施工事例では、同社が手がけた約4000件のリフォームの施工前と施工後の写真、工事費を含めた1円単位での料金総額、施工時間などを開示している

さらに多くの社員が実名でブログを書き、新製品や工事事例から社内行事、プライベートな事柄に至るまで、様々な内容の情報を更新している
それらは顧客にとって直接参考になる情報ばかりではない
しかし積極的な情報開示の姿勢を見せることで、初めて同社のことを知った消費者に安心感を与える効果がある
住設・リフォーム業界では、折り込みチラシ配布や飛び込み訪問、電話での勧誘などが主な営業手法とされてきた
不透明な価格や強引な手法などに対する不信感も根強い
「消費者にとって業界のイメージがよくならないからこそ、競合他社が開示したがらない情報をオープンにすれば、それが安心材料になる」と栗原社長は続ける

外回りや電話営業、見積もりのための訪問といったアウトバウンド型の行為を省き、合理化を追求している
半面、電話で問い合わせを受けるコールセンターは外部委託せず、オペレーター20人を正社員として採用
顧客対応や企画部門に人員を割き、教育を徹底するなどして注力している
実際に消費者宅を訪問する施工職人約30人も正社員か、同社の仕事だけを請け負う専属契約を結んだ技術者
多くのリフォーム業者が施工を外部委託する中、内製化によって信頼を高める逆張りの経営を徹底している

見込み客を引きつける効果的なコンテンツを考案し発信し続けるには、相応の時間とコストが必要になる
そうした分野にリソースを配分するためにも、非効率な営業体制をゼロから見直さなければならない


20121105日経ビジネス

■20121105日経ビジネス

■柳井正 ファーストリテイリング会長
「ファッションか、品質•機能かではなく、それを超えた新しいベーシックを作っていく。我々の考える服のほうが、ファストファッションよりもよほど市場はでかい」



■桐山一憲 P&Gアジア統括責任者
世間一般での「在宅勤務を認めるか認めないか」という議論を聞いていると、社員を野に放ってしまうと仕事をしないのではないか、という管理職側の不安がよく伝わってくる
だが、実際に在宅勤務を導入してみた経験から言えば、社員が仕事をしないなどということは、まずない
社員は本当に一生懸命働くようになった
もちろん、中にはサボる人も出てくる
だが、サボる人は当然ながら結果を出せないわけである
社員が出した結果に対してきちんと評価できる仕組みがあり、かつ評価基準がしっかりと整っていれば、野に放ってもみんな仕事をするのだ
それはなぜだろうか
自宅で一人で仕事をすると周囲の様子がわからないので余計に一生懸命やろうと思うからなのだろう
在宅勤務や社外での仕事を認めたら、もっと働くケースのほうが多くなったのだ
私は、優秀な人間ほど野に放ったほうが、もっといい仕事をするものだとさえ思っている
制度改善で優秀な人間が効率よく成果を出せるようになるのに、成果を出さない人間を念頭に置いて何かを変えることに後ろ向きになるのは、実に持ったいないことである
誰かが変えなければ、組織は変わらない
しかし風土改革は、一朝一夕で実現できるものではない
となれば、変えられる人はやはりトップしかいない
末端からちょこまかとやっても変わらない
それにいったん制度の導入を決めたら、トップの言行不一致はタブーだ
例えば、会議に電話で参加している人がいたとする
それで私が「何であいつはここにいないんだ」と言った瞬間に、それまで進めてきた風土改革の努力は全てが台無しになってしまうだろう
「なんだ、口で言っているだけではないか、本気ではないのだ」と社員たちに思われて終わってしまう
自分が言っていることと、していることが違うというのは、リーダーが絶対にしてはいけないことだ

管理職が部下に対し、「仕事が終わるまで会社にずっと張り付いていろ」と命じるのは、基本的には管理職のエゴで、自分が見ていないとその人たちが働かないと思い込んでいるからだ
こうした発想は、そこまで人を信用できないのかと情けなく思う
「俺の目が届く範囲で必ず仕事をしてくれ」と思っているわけだから、これは結局、部下を信頼していない証拠だ
しかし管理職が部下を信頼できないのであれば、組織でうまくやっていけるわけがない

管理職が気にかけて定期的にチェックし、アドバイスをすることはもちろん必要だ
だが勤務時間中、可能な限り毎日一緒にいなければ信用できないなどという態度は、実に器が小さいと言わざるを得ない
大きなものになびいていくのは人間の習性であるから、仕方がないのかもしれない
しかしそこで一つ二つと思い切ったアクションを取れるようになった人は、優秀なリーダーへの道をたどり始めたと言えるだろう
もちろん、トップが率先して改革を始めたからすぐに組織が全部それに馴染むということはない
時間をかけて何度となく、繰り返し繰り返し言い続けて、ようやく定着していくのが会社の風土というものだ
末端の現場まで行けば、自分の考えていたことと違うことが起こっている場合もたくさんある
しかし、そこで手綱を緩めるのか、あるいは常に改革、成長を目指して前に進むのかで、結果は全然違ってくるだろう


20121001 日経ビジネス

■20121001 日経ビジネス

■御手洗冨士夫 キャノン会長兼社長CEO

会社で最も資金を使うのが工場です
ここを合理化すれば損益を改善し、キャッシュフローも楽になる
そう考え、調査の末に出会ったのがセル生産でした

頼むから信じてくれ、責任はすべて取る、と説得しました
代表取締役を私一人にして、全責任を負うという覚悟を形で表しました
正直、孤独で怖かったですが、なにしろ無我夢中でした


もう一つ変えたのは、縦割りの組織です
キャノンは多角化を標榜し、事業部制を敷いていました
その体制が長くなり、制度疲弊が起きていた
だから、全体最適という方針を打ち出しました
事業部の壁を破るため、全社に横串を通す委員会を作り、事業部門長に兼任させました
事業部間の壁が低くなり、次第に取り払われました
これで、中央集権で全体最適を目指す効率的な組織に生まれ変わりました
効率的な組織の典型は軍隊でしょう
ボトムアップでバラバラに動く軍隊なんてありません
全滅してしまいます
やはり基本はトップダウンです
トップが調査や議論をして、自分の責任で目標や戦略の基本を作るべきです
これは独裁とは違います
トップが考えを述べて、部下と話し、調整して手直しをする
社長に限らず、事業部長でも課長でも、集団のトップは自分の意見をはっきりと示し、その上で部下と交流していくべきです

経営者の役割は「夢」です
将来のあるべき姿を描き、そこに向けた戦略を決め、実行部隊と議論しながら実現する
それが経営者の仕事です


20121022 日経ビジネス

■20121022 日経ビジネス

■中央タクシー
同社は経営理念である「お客様が先、利益は後」を徹底して社員に浸透させている
乗務員にノルマは課さず、経営会議でも数字目標は示さない
もし数字を追えば、「伝説」のような明らかに損失となるサービスを提供しても、多くの乗客がファンとなれば、長期的には会社の利益につながることを体現してみせる

採用方法も独特だ
タクシー業界では乗務員経験者の採用を優遇するのが一般的で、「3年程度で乗務員が丸ごと入れ替わる」と言われるほど人の出入りが激しい
そんな中、中央タクシーは未経験者しか採用せず、乗務員を純粋培養する
離職率は定年退職などを除けばほぼゼロ
経営理念が染み付いたベテラン社員を多く抱えることで、高い水準を担保する

■鈴木敏文 セブン&アイ・ホールディングス会長
今でこそセブンの業績を押し上げる商品に成長したセブンプレミアムだが、当初は社内の各部門から反対を受けたという
鈴木会長は「ほとんどの人間が過去の成功体験にとらわれて、新しい発想ができない」と指摘する
セブンイレブンだけでなく、イトーヨーカドーやそごう・西武でも同じ値段で提供するように、鈴木会長は命じた
ところが、スーパー、コンビニ、百貨店の各部門すべてから反対を受けた
当初は皆を説得した
「だが最後には、命令だからと、チームを作らせてやらせた。今ではだれも文句を言わない。これは自分たちが過去にやってきたことにいかにとらわれているかを端的に示す」と鈴木会長は話す
「過去の成功体験をぶち壊すのが自分の役割であると思い、業革会議を始めた」と鈴木会長は振り返る
「そんなに難しく考えてはいけない。未来永劫、変化は起こり続ける。それにどう対応していけばいいか考えなければならない。よそのことは見てもいいけれど、真似だけはするなと言っている。真似するのは楽だが、今の時代はライフスタイルの全てが短くなっている。自分たちで発想しなければダメだ」
いくら真似をしてもすぐに陳腐化してしまい、果実を得られないからだ
だからこそ自らが発想した価値のある商品・サービスを真っ先に提供し続ける機動力を身につけなければならない
変化に対応できる「すごい組織」を作るには、過去の成功体験をぶち壊す、業革会議のような仕組みが必要だ

20130924 日経ビジネス

■20130924 日経ビジネス

■細谷りそなホールディングス会長
いろいろな事業会社のトップとの付き合いで感じるのは、リーダーの器量以上の組織は絶対にできないという事実です
それを踏まえると、経営トップにとって後継者育成は最重要テーマと言えます


20120910 日経ビジネス

■20120910 日経ビジネス

■細谷英二りそなホールディングス会長

官僚的な組織の最大の欠陥は、それぞれの組織が自らの権益を守るために働くこと
これに対し、民間企業は総合力を発揮し、顧客の信頼を得て持続的な発展を目指すべきだとしている

IBMを立て直したルイス・ガースナー氏に再会し、「黒字化が見えてきたが改革のテンポが遅くなった気がする」と相談しました
するとガースナー氏も「IBMも全く同じだった。従業員が昔に戻りたがる。それを防ぐのがリーダーの役割だ」との答えがかえってきました
彼に「どういうことをしましたか」と聞くと「企業文化、社風を変えること。永遠に業務改善を続けさせることが大事だ」との哲学を口にしました

「破壊と創造」でパナソニックを改革した中村邦夫元社長からも「成功体験が続くと企業は傲慢になる」と聞いたことがある
国内外すべての企業にとって、成功で自己満足が広がり、経営の内向き化を防ぐのはいつでも大きな課題になるわけです

変化に鈍感、または成功体験が長い組織は必ず衰退の道を歩みます
事業が順調に行くほど、イノベーションを先行しないといけません
自然科学者のチャールズ・ダーウィン氏が遺したとされる言葉があります
「最も強いものが生き残ったわけではない。最も変化に対応できたものが生き残った」
銀行も当然ですが、常に顧客や時代に合わせて企業構造を変えるべきなのです


20130903日経ビジネス

■20130903日経ビジネス

■細谷英二りそなホールディングス
社員には「最初の100日間でバランスシートの改革を実行する」と宣言し、再生の基本方針として「厳格に」「嘘をつかない」「先送りしない」という方針を掲げました

私は最初の100日が組織の1000日後を決めるとの思いを強めました


■山本梁介 スーパーホテル会長
同じことをしているのに、成功している人もいれば、失敗する人もいる
成功する人というのは感性が豊かで、人間力にも溢れている
それを見て、事業に成功するだけでなく、人間的にも成功する人を目指さなければいけないと気づきました
自分自身の感性を磨き、人間力を高めるにはどうすればいいか
まず大切なのは自分で考え、自分で行動すること
それによって周囲の人に感動を与え、自分もまた感謝し、感激する

社員にとっては、給料や休暇の多さ以上に、自分の成長を実感できることが一番の喜びであり、幸せです
それを実現することで組織も幸せになり、ひいてはお客様に感動を与えられるようになります
ですから顧客満足の前に、従業員満足が大事なのです

最も重視しているのは、上司と部下との対話です
新入社員を例に挙げるとわまずその人の長所を明らかにする
上司はそれを伝え、大いに伸ばしていくことで部下の自信につなげるのです


20120827日経ビジネス

■20120827日経ビジネス

■森喜朗元首相
小沢さんと私は対象的です
彼は二世議員で当選後すぐに田中角栄さんにかわいがられ、派閥の中枢にのし上がった
私は無所属でスタートし、その後福田赳夫さんに仕えました
そのうち角福戦争が勃発、非主流の福田系の一員としてつらい時代だった
しかし「清貧に甘んずる」という福田先生の人柄に引かれ、ついていきました
一方で小沢さんは角栄さんの「政治はカネだ、力は数だ、数はカネだ」という政治哲学を真似していく
力と数とカネに飽かして、新党をつくっては壊し、壊しては創り、を繰り返してきました
その都度、有能な政治家たちが小沢さんと行動を共にしますが、結局、ほとんどが彼から離れてゆく
自分の行動を正当化するためにきれいごとばかり口にしてきましたが、結局は自分の立場を守ることしか頭になかったんだと思います

「神の国」発言では「日本は天皇を中心とする神の国」という部分だけ、キャッチコピーのように取り上げられました
そもそも神社本庁の関連団体の集会ですから、神様の話になるのは当然でしょう
私が言いたかったのは、「親子の間で殺人が起きる時代だ。これは机上の勉強、啓蒙だけで済む問題ではない。結局は宗教の理念が大事で、命を大切にする神様、仏様の考えが必要になってくる」ということ
さらに、非難を集めた極めつきは「選挙に関心のない人は寝ていてくれたらいい」という発言です
ちょうど選挙の中間点でした
新聞の世論調査を見ると「自民党圧勝」となっている
しかし、調査は選挙公示日あたりを基準にして行っていて、そのデータが選挙の中盤に報道されるんです
だから、「選挙に関心のない人たちが寝ていてくれたらいいが、そんなことはありえない。後半戦には有権者は選挙意識を持って投票に出るから、あと一週間、気を引き締めなければいけない」と言ったんです
しかし、「寝ていてくれたらいい」の部分だけ切り取られた
卑怯ですよ。なぜ記者からそんな仕打ちを受けるのか
結局は新聞の政治部も永田町と同じなんです
田中=>竹下=>小渕という経世会の流れの中で、担当記者の官邸支配が残っていたんです
いきなり小渕さんが倒れ、最も官邸から遠かった福田系から私が総理になったわけですから
清和会潰しですよ

私はラグビーをやっていたこともあり、競技を通して、チームでボールをどう生かすかが大事だと知っていました
必ずしも自分でトライしなくてもいい
自分がどういう役目を果たすかが問われます
絶好ののタイミングで次の人にボールを渡して、その人がトライできるようにと考えました
その相手が小泉純一郎君です
心残りは、外交を引き継ぐ若手がいなくなったことです
その要因の一つに小泉政権下での田中真紀子さんの外相就任にあると思います
小泉さんはそうせんきで応援を受けた眞紀子さんに外相のポストを与えようとしたが、私は最後まで反対しました
「あの人のわがままに追われることになるよ」と
案の定、ロシアや中東にパイプを持つ鈴木宗男君と喧嘩して「両成敗」となってしまう
あれで日本の外交は完全に途絶えてしまった
外交は選挙に結びつかないから、地盤が安定しない若手は責任をもってやりたがらない


■木川ヤマトホールディングス社長
グループ全体の社員数が18万人近くに達する典型的な労働集約産業で、経営方針を全社員に伝えるにはどうするべきか
全員がベクトルを合わせて一枚岩となるために経営者に求められるのは、社員に対する発信力、そしてコミュニケーション力だと思います
ヤマト運輸の社長に就いた年、私は改革を進める上で、社員にどう伝えるべきか考えました
そして、一年ごとにわかりやすいキャッチフレーズをつけることにしました
初年度の2007年は、「チェンジ」
2年目は「チャレンジ」
3年目は「アドバンス」
4年目は「アチーブ」
実際には世界金融危機を受けて3年目は「チャンス」、4年目は「アドバンス」に変えました

経営計画について、社員にきちんと説明することはもちろん重要です
しかし長々と話せば話すほど逆に焦点がぼけ、伝言ゲームになるリスクが高い
私の発したメッセージが現場に届く頃には変質してしまうこともあります
しかしワンワードの単語ならば変わりようがない
そこで一語に思いを込めました
このわかりやすさこそ重要なんです
どんなに優れた経営戦略を立てても、それが現場に伝わらないと意味はない
伝える努力をせず、現場ができていないと怒っても仕方がないでしょう
まずは経営者がメッセージを伝える努力をすること
それが私にとってはキャッチフレーズだったんです
もちろん言葉だけでは不十分です
言葉と同時に行動で示すこと

必要な時に思い切った決断をし、企業の経営方針を体現することも、経営者には求められます
行動が伝えるメッセージは言葉以上に強いですから
私は2011年4月にヤマトホールディングス社長に就きました
就任時、経営トップ3人で相談して大きな決断を下しました
宅急便1個につき10円の寄付です
その前年の宅急便取扱個数が13億個でしたから、概算すると寄付総額は130億円以上に達する
年間純利益の約4割ですから、相当の覚悟がひつようでした
最悪の場合、株主代表訴訟のリスクもある
それでも決断したのは、次のような思いからです
最大の目的は、宅急便、とりわけクール宅急便を育ててくれた東北の被災地に恩返しすべきだという思いです
ただ実はもう一つの思いもありました
それが社員に対して平素から言っていた「世のため人のため」「サービスが先、利益は後」という経営理念を具体的な形として見せることでした
企業が掲げる理念を、経営者が自ら行動で示す機会は、実は滅多にありません
だからこそ、機会が訪れたとき、経営者は思い切って決断を下し、行動しなくてはならない

小倉昌男さんというカリスマ経営者が育て、歴代の経営層が大きく成長させてきた企業の何を変えて、何を守るのか
経営とは取捨選択の連続です
その中で私を動かしてきたのは「為さざるの罪」という言葉でした
正しいと信じたら失敗を恐れず行動する
何もせずに文句ばかり言うのは罪だという意味が込められています

改革はまだ道半ばです
これからも試行錯誤を重ねるでしょう
しかし改革は、トライアンドエラーの積み重ねに他なりません


■正垣泰彦 サイゼリヤ会長
既存店の売上高が減って来店客数が少なくなるというのは、お客さんが繰り返して来てたべるという小商圏の使い方に対応できていないからだと考えています
商品や店舗の投資も含めて、いかに小商圏に対応し、お客さんにとって便利な店をたくさん作れるかが重要です

問:
コンビニやスーパーができないこととは、なんですか?
答:
一言でいうとコーディネーション、組み合わせです
サイゼリヤのワインに合う料理、ドリンクバーに合う料理、そういった組み合わせがあるんです
コーディネーションというのは、核となる売れ筋の商品があって、それと一緒に食べたらもっとおいしいといったものを組み合わせることです

フードサービスの場合、手作りはおいしいなどと誤解している人が多い
けれど、手作りでやっている限り、絶対によくならないんですよ
企業として社会に貢献するには、膨大な投資をして研究開発し、工業化を進めて新しい商品を生んでいくことがことが必要です
工場を作れば、商品はカイゼン、カイゼンでどんどん良くなります
だから企業がこの先大きくなるかどうかは、工場にいかに投資をしていくかで決まります
サイゼリヤ工場を作っているからこの先絶対に良くなりますよ
他社は二億円、三億円を投資して工場作りましたなどと言っているけどうちの千葉工場なんて50億円かけてつくっているんだもの
全然ケタが違います
投資をしたら、勝ちです

生産性を向上させる余地は、無限にあると思っています
だから諦めちゃダメ
それに、無駄は削れば削るほど社員の作業が楽になるから、どこまでも削ったほうがいいんです

仕事量や仕事の種類が少なくないと、お客様のタイミングを見計らうといったことはできません
だから、仕事を増やすのではなく、絞り込んでいくことが重要になります
「絶対にやる仕事」と「やってはいけない仕事」に二分し、絶対にやる仕事だけを徹底的に遂行する
お客さんや店にとって一番大事なことは日々変化していくけれど、その時々で優先順位があり、その優先順位通りに徹底できることが大事なんです

巷に流通している野菜は、スーパーマーケットで売る為に作られています
大きさ、色、形になどにこだわり、高く売れるものがいいとされているんです
そうじゃなくて食べて美味しい野菜を作ろう
そこに私たちが農業を始めた理由があります

ビジネスも含めて、何かが起こればそれはチャンスに転換できる
福島においては、これを機に世界一の都市になるというビジョンを描くことでしょう

世の中ってどんどん変わっていくんですよ
変化することが大事なんです




■松本徹三 ソフトバンクモバイル特別顧問
常に最悪のケースを想定し、リスクを厳しく管理することを心掛けるようになった
ただしどんなに慎重になったとしても、ビジネスの世界において失敗のリスクをゼロにすることはできません

最悪時の覚悟を固めることは、失敗への恐怖心を和らげ、新しい挑戦を続けることにも役立ちます


20120820日経ビジネス

■20120820日経ビジネス


■木川ヤマトホールディングス社長
プラットフォームビジネスは、サービス単体ではなく仕組み全体で採算を合わせることが大切なんです
住民や自治体、企業から薄く広く、長く対価を頂き、プラットフォーム全体で利益を上げる
適正利益に留めれば、プラットフォームはより使いやすく、浸透しやすくなります

プラットフォームビジネスを成功させるには、必ず一つの鉄則を守らなくてはなりません
それが「独り占めしない」ということです
ヤマトグループが各社の持つ機能を合わせれば、サプライチェーンの川上から川下まで、極めて幅の広いサービスを提供することができます
ですが、だからといってすべての機能を独り占めするつもりはありません
他社との協業を積極的に増やしていくべきだと思うんですね

ひとたびプラットフォームを築けば、その上にはライバルや異業種、自治体などの様々なプレーヤーが乗った方がいい
プラットフォームビジネスでは協業という考え方が重要です
そもそもプラットフォームの事業者がほかのプレーヤーを排除すれば、長い目で見て支持されるプラットフォームにはなりません
我々が作るのはあくまで土台であり、幅広いプレーヤーがその上にプラスアルファの機能を加えていく
土台の上に乗るサービスが多いほどプラットフォームは強固になり、長期的に使われるものになる
ヤマトはいわば黒子なんです
ビジネスの主役ではないけれども、我々と組まないとプラットフォームを使うことができなくなる
そのような存在になることが肝要なんです
デファクトスタンダードになれば、業界で主導権を握るプラスリーダーにもなれます
ライバルとの価格競争に巻き込まれず、競争を有利に進められる立場になる
しかしだからといって利益ばかりを追求すればお客様の支持は得られません
デファクトスタンダードとなったらこの立場を生かして、一段上のよりスケールの大きい使い勝手のいいプラットフォームを構築する


20120806•13日経ビジネス

■20120806•13日経ビジネス

■中条潮
二年前に経営破綻したJALの再建が順調に進んでいる
一部の政治家からは、破綻時に撤退した地方路線の復活を求める意見も出ている
国の支援で助かったのだから、恩返しをすべきだという理屈のようだ
だが、私はこの議論に甚だ疑問を感じている
そもそも自力で経営できなくなったJALを救済すること自体が、競争上不平等であるからだ

競争の激しい航空業界において、本来マーケットの動向はすべて経済合理性に委ねるべきである
航空会社の経営や存続について国や政治家が口出しすべきではない

国はJALを助ける道を選んだ
この選択に納得しているわけではないが、一点だけ正当性はある
それは、破綻がJALの経営責任だけに起因するものではないからだ
行政による数々の規制や政治家の口出しも、JALを経営難に至らしめる要因となった
そのため、一度限りならば国が救済するのも、その責任上、やむを得なかったといえよう
破綻後、行政や政治家のしがらみが消え、JALはようやく普通の企業に近づいた
そしてそれが予想を上回る再建結果につながった
それにもかかわらず、再びJALの経営に口を出すのは明らかに愚策である
無論、それで再び経営危機を迎えたとしても手助けは無用である
競争環境の中で戦えないならば、破綻するしかない

20130730日経ビジネス

■20130730日経ビジネス

■木川ヤマトホールディングス社長
(顧客が)仕方ないと思って諦めていること。
ここに、オンリーワン作りのヒントがあります

宅急便は、二代目社長の小倉昌男さんが生み出し、今年で36年を迎えます
事業のライフサイクルは大体30年と言われますから、30年間イノベーションがなければ成長は必然的に鈍化します
どうやったってマーケットは成熟しますから
ゴーイングコンサーン(存続する企業)であるためには変化が欠かせない

宅急便の登場で、日本人の生活は劇的に変わりました
それは単に個人の荷物のやりとりが便利になっただけではありません
宅急便が拡大してインフラとなることで、他産業の成長も促したのです
その代表が通販業界です
88年から始めたクール宅急便が好例でしょう
冷蔵、冷凍温度帯の宅配が可能になると、旬のものを取り寄せる食の通販が爆発的に広がりました
新しい需要を生み出し、指示されれば、1つのインフラになります
我々だけでなく他産業の成長も促せば、築いたインフラはより強固なものになる
つまりヤマトグループにとって、イノベーションとは需要創出のことにほかならない
常に成長の原動力となってきたのが需要創出なのです

1.オンリーワンの商品を生み出す
2.ライバルの参入を受け入れ、競争環境を生み出す
3.拡大する市場の中で圧倒的なナンバーワンになる
4.最終的にデファクトスタンダードとなる
この一連の流れが、需要創出なんです

宅急便を生み出した小倉さんも宅急便というビジネスモデルを作ったことだけがすごいのではありません
オンリーワンの商品を生み出したあとで、追随する同業者と競争して市場を広げ、その中で圧倒的なナンバーワンになる努力をされた


オンリーワン商品作りの鉄則
1.プッシュ型ではなくプル型
解決策がなくて困っているという声が開発の第一歩
押し付ける(プッシュ)のではなく、ニーズを手繰り寄せる

2.狙いを絞り込む
潜在需要が見えたら、対象とするセグメントを絞り込む
ゴルフ宅急便はニッチ市場だが、絞り込んで成功した
×1000億円市場で10%を押さえる
◯200億円市場で50%を取る

3.利益を先取りしない
サービス開始当初から利益を確保しようとせず、価格設定は利用者目的で
需要を拡大し、利益はあとでとる






■為末大
今、競技人生を振り返ると、世界選手権で銅メダルを取ったことよりも、終盤の悔しさばかりが脳裏をよぎります
大阪の世界陸上、北京五輪ですね

競技人生の道は、いつも自分自身で選んできたのですが、その都度、母は「その選択がいいと思っていた」と言ってくれる

もう一つ、私にとって大きな存在だったのがライバル選手でした
心の中では「ライバルなんてあらわれないほうがいい」とおもっていましたよ「こいつがいなければ、勝てる」とおもうし、楽に頂点にたどり着けるわけですから
でも、こうした困難な存在が目の前に現れることによって、乗り越えるべき壁が見えて、必死に努力する
気がつけば、自分がかつて想定していたよりも、ずっと高いレベルに到達している

金メダルへの挑戦は終わりましたが、世界一への挑戦はまだ終わっていません
これからまた、新しい挑戦を始めます


20120723日経ビジネス

20120723日経ビジネス

■新浪剛史 ローソン社長
まず、業界首位のマネをするのはやめる
マネしている限り、劣位であり続けることになります
「全国に均質のサービスを提供する」ことを目指すのが首位の戦略だとすれば、僕たちはそれとは異なる戦略 「地域ごとにそれぞれ違う店舗を作る」という戦略を取ろうと決めました
そのために、外国人や女性、社外からの中途採用など、多様な「人財」を取り込みました
それにあわせて、マネジメントの思想も従来のコンビニエンスストアとはまるで異なるものに変えました
本社に一極集中させる「中央集権」から地域ごとの現場に判断を委ねる「多様性(ダイバーシティ)」を認めるのであれば、地域ごとにそれぞれの社員が自分たちで考え、判断しなければなりません
そして、分権によってモチベーションが高まった組織に、新たなテクノロジーという武器を与えました
会員カード情報を分析するCRM(顧客情報管理)によって、「顧客」ごとの購買行動を精緻に捕捉する
これにより「地域ごとに異なる店舗をつくる」という形でより加速しようと試みているわけです
マネの構造を解体し、「勝てる仕組み」を構築


本人にその気があってもなくても、強力に改革を進めてきたトップは「独裁者」になる危険があるんです
僕が永遠にローソンの経営トップを続けることはありません
次の世代を作らなくてはいけない


経営資源は限られている
けれども、成長分野や戦略分野には資源を割きたい
この矛盾を解くために僕たちが取り組んでいるのが「BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)」です
まずは本社の業務を棚卸ししました
その業務がそもそも必要なのか
必要だとして、それはルーティンワークなのか、それとも取り組みによって成果が変わるような「考える仕事なのか」
そうした観点で業務を一つ一つ見直すわけです

大崎本社の抱えていたおよそ100人分の業務が中国・大連にアウトソーシングされました
つまり、採用なしに100人のリソースを捻出できたことになります
こうして生み出された人的リソースを海外やECなど成長・戦略分野に投下していくというわけです
ルーティンワークから解放され、やりがいのある「考える仕事」に専念できることになります
BPRは、リソースアロケーション(資源の再配分)の取り組みであると同時に本社機能をより小さく、より「考える仕事」を集約して精鋭化していく試みの一つでもあるのです


20120709 日経ビジネス

■20120709 日経ビジネス

■パナソニック
パナソニックほど組織改革に時間を費やしてきた会社はない
2000年に就任した中村邦夫元社長は創業者松下幸之助時代から続いた事業部制を廃止し、大番頭が幅を利かせていた上場子会社を吸収するなど大手術をした
個別の利益追求ばかり考えていた縦割りの事業部門の垣根を取り払うため、次の大坪社長が重視したのがドメインという事業領域での管理だ
津賀氏はこれをまた解体し、各事業の輪郭をはっきりさせ次の成長の芽を見極めようとしているだ
あるパナソニック幹部は「なによりも津賀氏が気にしているのは、これまでの組織や事業のグランドデザインが供給側の都合で描かれ、顧客の視点がかけていたことだ」と指摘する

ユーザの視点で商品を再構成
「住宅空間」テレビ、エアコンなど
「非住宅空間」業務用のエアコンなど
「モビリティ」カーナビ、ノーパソなど
「パーソナル」髭剃り、ケータイなど


■十勝バス
「乗客を増やすしか、生き残る道はない」そう腹をくくった野村社長は自ら住民の元に足を運び「なぜバスに乗ってもらえないのか」と訪ねあるくことから改革の一歩を踏み出した
バスに乗らないのではなくて、乗り方がわからないのだ
ならば、バスに関する基礎知識を広めることで利用者を呼び戻せる
そこで、高齢者が集まる施設にバスでのりつけて講習を開く
小学生も「重要な顧客予備軍」と位置付けて、啓蒙活動を実施している
商品サービスにも磨きをかけた
住民との対話を通じて「バスは手段に過ぎない。あくまで通勤通学や買い物、通院といった目的があるから使ってもらえる」という原点を痛感した
そこで、「目的別時刻表」を作成して、病院や市役所といった身近な行き先から、帯広競馬場や十勝川温泉といった観光地まで明示した
この時刻表の作成にあたって住民の目的を意識して、バスの運行コースを変更した

■みちのりHD
地方バス会社、岩手県北バスは、2009年に民事再生手続きを申請して、経営破綻した
翌年、企業再生を手掛ける経営共創基盤の完全子会社「みちのりホールディングス」の傘下に入った
そして再建へのスタートを切る
「縮小を続けてきたバス市場は、ほとんど思考停止状態だった。それだけに改革すべき点はたくさんある。伸びしろが豊富で、再生できる可能性を秘めている」
みちのりHD社長で、経営共創基盤の代表取締役マネージングディレクターを務める松本順氏はそう語る
これまで、ジリ貧の状態に手をこまねいていた幹部も意識がガラリと変わった
そして次々と新しい取り組みに着手していく
「かつては年に一度しか実施しなかった時刻表の見直しを一部路線では毎月実施している。従来の何倍もの速さで意思決定をするようになった」
ムダを省いた合理化が進められ、顧客拡大への取り組みに乗り出していった
地元の自治体も巻き込んでいった
高齢者が家に閉じこもってしまうと、地域全体が活気を失っていく
高齢化による負のスパイラルから抜け出すための改革が必要だ
岩手県宮古市と話し合い、バス路線や時刻表を効率的なダイヤに変更して、バスの利用を増やしていこうと考えたのだ
ところが、3.11で壊滅的な打撃を受け、計画は頓挫する
だが、地域の交通インフラをズタズタに引き裂いた震災が、岩手県北バスにとって「復活」の契機となる
多くの住民が避難所生活を余儀なくされた
この緊急事態を「改善の契機」と捉えて動き出した
それが、仮設住宅を結ぶバス路線だ
住民が別々の仮設に離れて住み、病院からも遠い
一方で、貴重な輸送手段であるJR山田線などの鉄道が被災して、復旧の見通しが立たない
そこで、代替輸送手段としてバスを使ってもらおうと考えたわけだ
震災で、地域のインフラと生活が激変したことに、臨機応変に対応しなければならない
この仮設バスを実現するために、岩手県北バスは地道に顧客ニーズを聞き取り、路線や時刻表を機動的に見直していく
復旧や復興に応じて、需要が刻々と変わっていく
通学や通勤の客が戻ってくる
また、商店や病院が再開すれば、人の流れが変わる
それぞれの変化に機敏に対応して、バスの便数や時刻表を変更しなければ、ニーズに応えられない
取り組みを続けたことで、岩手県北バスの乗客は、前年比で倍増している
しかも、バスが持つ「柔軟性」が脚光をあびるようになった
鉄道や飛行機は、道路や線路、トンネル、橋、滑走路などが壊れると、補修に時間と費用がかかる
また、住民の生活などが変わっても、それに合わせて橋や駅舎を動かすことは難しい
だが、バスは道路さえつながっていれば、フレキシブルに運行ダイヤを見直すことができる
需給によって、路線や便数も変えられる

「住民のニーズはたくさんある。それを拾い上げて利便性を高めていく努力はまだ終わらない。それがバス業界に今、一番求められているのではないか」みちのりHDから送り込まれた鈴木拓副社長はそう確信している

■ローソン 新浪剛史社長
当事者意識とモチベーションが強力に宿った自律的な「現場」
コンビニ業界で言えば、お客様の求められるもの、環境の変化や、業界内外の動きをいち早く察知して即応できる組織
これをどう作るか
今回のテーマは、そのために僕が取り組んできた「分権」です
数少ない本部直営店を除けば、コンビニの店舗を運営するのは「FC加盟店」であり、その多くは、夫婦が一組となるいわゆるパパママストアです
その加盟店の店舗運営を各地に駐在するSVがサポートしています
日本型コンビニを生んだチェーンストア理論の根幹にあるのは中央集権の考え方です
すべての店舗で均質化された商品やサービスを提供するために本部は店舗の収益を向上させるための戦略と日々の戦術を、ともに立案します
SVはその指示を忠実に守りながら加盟店の実行をバックアップする
意思決定のほとんどは本部でなされます
徹底して本部に権限を集中することで「規模の経済」が働くようになる
それがFC経営の強さの源泉でした
しかし、外部から来た僕は、チェーンストア理論を無視して、ただひたすら「お客様にどうしたら喜んでいただけるか」という一点で議論を重ねました
その結果、徹底して各地の地域に根ざして、それぞれの実情に合った店舗を作ろう、と考えました
たしかに、多様性など認めれば「規模の経済」が働きにくくなります
しかし僕は譲らなかった
ではどう実現するか
地域ごとに異なるという多様性を認めるのであれば、意思決定は現場に委ねるしかありません
コンビニの常識に捉われない様々な試みを地域発でやってもらう
そのための方法はただ1つ
現場に大胆に権限を委譲することです
分権によって、どんどん本部の機能は小さくなっています
しかし、精鋭化していくのです
商品開発や調達•製造など、もっと本部が取り組むべき戦略的な課題に集中できるようになります
忘れてはいけないのは、大きな戦略立案はあくまでも経営者の仕事だということです
つまり、会社の方向を示す大きな絵を描くこと
それは、経営理念の実現に向けての一歩です
ここを僕は支社長たちと握り、支社長たちは支社長たちと握る
それたものがあれば正せばいい
はみ出してはいけない大きな枠を付与し、あとはやってみろと
リスクを取らないのが最大のリスクだと伝え、やる気を奮い立たせるんです
分権は、そのための大きな武器の1つになります
分権により、驚くほど人は育っていくのです

20120716 日経ビジネス

■20120716 日経ビジネス

■新浪剛史 ローソン社長
日露戦争の日本海海戦において日本が優位に立った要因として忘れてはならないのは、技術(テクノロジー)の視点です
日本海軍は、砲弾の炸薬として「下瀬火薬」を採用しました
従来、砲弾は、敵艦の装甲を貫通して船体に穴を開けることに主眼をおくものでした
ところが下瀬火薬は、装甲を貫く力には乏しい
つまり「船を沈める」ことはできません
その代わりに、艦上で破裂して破片が飛散し、かつ3000度を超える高温ガスを発生するというものでした
この高温によって戦艦に塗られたペンキも引火し、艦上は炎に包まれます
この猛烈な火災によって砲兵は稼働できず、結果として、沈めることはできなくても「船を無力化する」ことができた
技術の進歩による、発想の転換でした

「量」ではなく「質」で挑む
そのカギを握るのが、下瀬火薬のように、競争のルールをは根本から変えてしまうような新しいテクノロジーなのです
コンビニとPOSとは切っても切り離せない関係にあります
コンビニの店舗では、お客様が商品をお買い求めになる際に、そのお客様の年齢層と性別を視認してレジに打ち込みます
従来、スーパーなどでは「いつ、何歳くらいの男性/女性に売れた」という詳細な情報は補足出来ませんでした
これを把握して、その情報を基に日々分析を行い、商品開発に生かし、死に筋を排除してお客様にマッチした、品揃えを磨き続ける
これができるのがコンビニの圧倒的な強みでした
この仕組みを作り上げたのが、日本型コンビニの生みの親であるセブンイレブンです
ローソンを含めて他のコンビニは、POSを徹底活用する同社をずっとマネしてきた
しかし、マネし続けている限りパイオニアにはかないません
だから僕たちは、「POSの仕組み」を乗り越えようと試みています
その切り札になるのが「ponta」によって得られる顧客情報です
すでに売上高に占めるカード会員比率が40%を超えるまでになりました
会員カードの発行時には、住所や年齢、性別などを登録していただきます
レジで視認するより正確に年齢や性別を把握出来ます
たとえば、そのお客様が一週間に何日、どの時間帯にきていただけているのか
特に重要なのは、商品ごとのリピートがわかることです
POSにはこれが分析出来ません
これまで「だれかわからないお客様の集団」の消費を推理しながら発注してきたのに対し、極端にいえば「このお客様がいるからこの商品が売れる」という形で発注できる

技術の進歩によって「無数の誰か」ではなく「顧客」と向き合う
それを究極に推し進めた先にあるのは、インターネットというテクノロジーを活用したECです
本部がインターネットで直接お客様にモノを売るというのは、コンビニ業界のタブーでした
しかしローソンは、日本型コンビニの常識を覆して、本部による直販のECを始めました
既存ビジネスを守るがために誰かに取れるくらいなら先に取りにいく
これからの僕たちのライバルは、コンビニではなくアマゾンだと思っているくらいです

POSやFCなど日本型コンビニが作り上げてきた仕組みはあまりに堅牢でした
それゆえに覆されることなく1980年代から延々と生き延びてきたとも言えます
新しい技術でこれをどう乗り越えるか
競争のパラダイムを一変させるような新たな技術の芽を見いだし、戦略に組み込むのは、経営トップのリーダーシップだと思っています
テクノロジーは、ゲームのルールを変えるからです

■津賀一宏 パナソニック社長
現在の時間軸でお客様の価値を追求するのが事業部門
パナソニックではビジネスユニットと言います
これに対し事業の寿命を見極めたり、新しい事業と置き換えたり、M&Aで追加したりという、もう少し広い視野で将来の時間軸も含めて担保するのがコーポレート(本社)です


20120618 日経ビジネス

■20120618 日経ビジネス

■坂根正弘 コマツ会長
日本で販売するより輸出のほうがはるかに稼いでいます
これは1ドル79円の実績です
国内販売より輸出が儲からなくなれば、日本から逃げ出す理由になるでしょうが、現実は違います
この数字から判断するなら、国内生産をやめるのではなく、国内販売をやめるべきになります
強い生産部門を持てば、国内に製造拠点があっても十分戦えることがおわかりいただけたと思います

通常、生産部門と言えば、自社工場など社内の生産部隊を指します
しかし、コマツでは生産部門とは協力企業を含めた概念にしています
協力企業とは部品や部材をコマツにおさめている外部の企業です
生産部門を強くするには、協力企業を含めて強くしなければいけません
協力企業とうまく連携する秘訣は、信頼関係につきます
コマツを信頼しているからこそ増産や減産に臨機応変に応じてくれます
当社では強い信頼関係を構築するために様々な取り組みをしてきました
まず、一度出した仕事は社内に引き揚げない
これが大原則です
2008年のリーマンショックの後、当社も仕事がなくなりました
だからといって、外部に頼んだ仕事を引き上げてはいけません
むしろコマツの仕事を協力企業に出しました
苦しい時はお互い様です
そこで引き揚げたら、絶対にお願いを聞いてもらえなくなるでしょう
信頼関係を築くには時間がかかりますが、壊すのは簡単です
当時銀行から資金調達に困る企業が出てきました
そこで当社は支払いを現金にしました
新規に設備を導入したばかりのところにはコマツが設備を買い取りリースしました
さらにコマツの幹部が銀行に一緒に行き「おたくがかさないなら、コマツが貸す」とも言いました
そこまですれば銀行もお金を貸しますね
こうやって苦楽を共に経験し、積み上げることで、いい関係を築いてきました
コマツの一番の財産です

もちろん、甘いことばかりでは関係は続きません
発注先を合理的な理由で代えることはあります
新しい商品を作ったり、モデルチェンジをしたりする時には、数社に競合させます
その結果、いいアイデアや提案をしてもらったところに発注します
価格が安ければ、いいわけではありません
コンペをするときには我々の理論価格を持っています
仕事を取りたいために極端に安い価格を提案してきたところには、仕事を出しません
安ければいいというスタンスでは永続的な関係にはならないでしょう
いったん発注を決めたら、価格を調整するのは鋼材など原材料の価格が動いたときです
為替相場が動いたからって、取引条件を変えたりしません
短期的にみれば、当社は多少、高い値段で買っているのかもしれません
でも長期的にみれば我々のほうが合理的で有利なはずです
普段買い叩いているようなところは、部品や部材が足りなくなったときに値段を吹っかけられるに決まっています

ライバルを圧倒する競争力を持つダントツ商品には、どこかにキーとなる部品が必要です
キーコンポーネントを作るのはコマツだけの力ではありません
協力企業をはじめ鉄鋼、ゴムといった素材メーカーなど関係する人たちが皆で知恵を出しあって作ります
これまでの経験でいいますと、日本で作ることが圧倒的に有利です
日本は少しずつ技術が進化します
10年、20年経つと海外で作るのに比べて相当な差がついているでしょう
これが日本の強さです
だからコマツではキーになるコンポーネントは、技術革新を継続させるため日本で作ることにしています

日本の生産の力は強い
技術力も非常に優れています
だが、海外の企業に負けてしまう事例は残念ながら多い
私は「技術で勝ってビジネスで負ける」と言っています
世界の変化を予測してビジネスモデルを構築するのはトップの役割です
ビジネスモデルがわかれば、足りない経営資源を外部から買ってくることも必要になります
技術力はボトムアップですが、ビジネスモデルの構築はトップダウンの仕事です
日本の最大の弱点は、ここにあるように思います

■郭 ホンハイCEO
ホンハイによるシャープ本体の持ち株比率は約10%
よって経営をコントロールすることはできません
それでも資本提携が成功すると考えた理由は3つあります
第一は距離の近さです
大阪〜台北の飛行時間は約3時間です
第二は両者が補完関係にある点です
シャープはシステム統合などの上流の技術に優れ、ホンハイは生産能力と世界に顧客を抱える
2社が組めば1+1=2ではなく5になるはずです
第三は社員が株式を持つことによって報われる制度を導入すれば、社員の潜在的能力を大きく引き出すことにつながります
日本企業はこれまで結果平等の社会主義にとらわれてきました

これまでも話していますが、ホンハイに自社ブランドの民生機器を手がける意思はありません
それで収益が高まるわけではないですから
一方、家電販売店事業は、サプライチェーンを簡素にするためにやります
ホンハイは将来、ネット通販を含め世界最大級の流通業者の一つとなることを目指します

20120702 日経ビジネス

■20120702 日経ビジネス

■新浪剛史 ローソン社長
「僕たちローソンは、日露戦争の時の日本だ」

「規模で見た強者が勝つ」と決まっているなら、戦略も戦術も考える意味がないはずです
ただ全面戦争を挑もうというのではなく「どこで、どう戦うか」ということを突き詰めて考える
決まったらそこに資源を集中投下し、その「局地戦」では必ず勝つ
半面、経営資源は限られていますから、場合によっては「勝てない」戦いもあるでしょう
苦しいけれど、そこに無駄な資源投下はしない
明確な諦めもまた大切な意思決定です

日露戦争で日本がそうしたように戦略的に資源を集中投下するとすれば、どこか?
その答えの一つが「ダイバーシティ(多様性)」でした
ローソンは業界の中でも特に田舎に店が多いんです
これもやはり最初は、効率が悪いからどんどん閉鎖してしまおうと思っていました
でも実際に田舎を見て回ると、狭い日本ですが、地方に文化や風土はまるで違う
日本の地方はこんなにも千差万別なのに、コンビニ業界は均質な商品やサービスを提供している
おかしいじゃないかと
むしろ地域によって姿を変えるコンビニチェーンがあってもいいんじゃないかと思ったわけです
小売りのプロからすれば、素人が何アホ言っているんだということになりますね
均質化された商品やサービスを多店舗に展開するのがチェーンストア理論の基本ですから
でも、素人だからできる発想もある

「小売りの常識」に照らした均質な発想から自由になるためには、商品やサービスを生み出す「人財」のダイバーシティも必要です
まずは業界を問わず、広く社外から有用な人を集めました
また2005年以降、採用する女性の比率を50%以上にするよう指示しました
その3年後、2008年には採用する社員の3分の1を外国人にするように決めました

ただ多様な「人財」を採用しただけでなく、その前段階として、古い商慣習や固定観念に縛られた人に辞めてもらう荒療治もしました
僕の持論で、「改革」というのは長くやってはいけない
長くて2年です
そして人員削減をしていいのは一回きり
二回目以降はその経営者の責任です
だから、就任してすぐに早期退職制度を用意しました
新しい体制は嫌だという一割強の社員が去って行きました
解体したかったのは、「(質が悪くても)店舗を増やし続ければ成長できる」「粗利益率の高い商品さえ流せば儲かる」という流通業界の古い慣習や常識です
まず、売れる商品、お客様が欲している商品ではなく、粗利益率の高い商品を店舗に流すことだけをやっていた商品本部の部長級を大幅に入れ替えました
また、「店舗は増やし続ける」という固定観念を打破するために、一気に1割の店舗を閉じました
チェーンストアは店舗が増え続けることで規模に見合った効率を手にすることができる
店舗数の純減なんてとんでもないと批判されましたが、それでも断行しました

■永瀬昭幸 ナガセ社長
リーダーシップとは、目的を達成するために断固としてやり抜く精神力や覚悟を指すわけです
そして、多くの人たちの心を動かすことができる人であることが重要です
心が動けば体もお金も動きますから
リーダーを育てるには、実際にやってみないとダメ
自転車に乗るには、自転車の技術論を読んでもダメなのと一緒

リーダーは組織に対して、なぜそれをやるのかを徹底的に納得させなければダメなわけですよね
納得できなければ、人間は本気になれませんから
学生にとって一番の問題は「なぜ勉強しなくちゃならないのか」がなかなか理解できないことです
どんな将来をイメージし、ゴールに到達するためにどうやっていくのか
この課題に真正面から向き合い、考える教育をしないとエネルギーは出ません
頑張らなくてはという自覚とともに、それをやることが自分の喜びになるところまで持っていくことが重要なのです
仕事だって同じ
嫌々やっている人と喜んでやっている人では当然、仕事の成果は違いますよね

リーダーに求められる要素で欠かせないのは、カリスマ性とコミュニケーション能力です
どうやって「この人についていきたい」と思わせるか
自分たちに愛情を持って接してくれるか。危機に陥った時も泰然として、冗談を言って緊張をほぐしつつ引っ張ってくれる
人間としての器が大きい人物こそがリーダーだと思います

企業は社員のモチベーションアップに、もっとエネルギーを費やしたほうがいい
本人に勢いが生まれるモチベーション教育
実はこれこそ、うちが生徒さんに対してやっていることなんです
成績というのは、勉強すれば伸びるんです
こんな簡単な理屈はないんですよ
だとすれば、勉強するモチベーションが上がるよう、動機づけをしっかりやることです


20120611日経ビジネス

■20120611日経ビジネス

■トリドール
粟田社長は「セントラルキッチンにすればかなりの利益が出るだろうが、集客に結びつくかどうかは分からない」と導入に疑問を呈する
「外食と中食の境界線が曖昧になる中、飲食店のライバルは、もはや同業他社ではない。飲食店が無機質になれば、最大の競争相手であるコンビニに負ける。手作り、出来たて、手間暇を掛けるのがウチの強みであり、顧客の支持につながっている」

■上西京一郎 オリエンタルランド社長
問:
日本の人口は減少していきます。リピーターを獲得するための一番の方策はなんでしょう
答:
まずはハード面でパークへの関心を常に持っていただくこと
もう一つ大切なのは、そのハードを生かす「人」の部分ですね
キャストの皆さんがゲストの方々に高いホスピタリティーの心を持って対応する
これを続けることだと思います

問:
日本の企業がなかなかできないことに「値上げ」があります
東京ディズニーリゾートは昨年、値上げをしましたが、踏み切る基準などはあるんですか
答:
何年ごとといった基準はないんですが、考え方はあります
パークのバリューが値上げをしてもいいと思われるレベルに1つ2つ上がった時には、アトラクションなどに投資をしているので値上げもするということですね
もう一つ大事なのがやっぱり市場調査と言いますか価格感度ですね
これはしっかりと見極めながら、じゃあ300円なのか400円なのかと最終的にジャッジしていく
これを繰り返していくということですね

問:
施設として新しく追加されたものなどを定量的に判断するんですか
それとも定性的な何かがあるのですか
答:
基本的にミックスなんですけれども、やはり定性的な部分のほうが多いですね
定量的というと、その間にいくら投資したからこれだけあげようということになります
ただ、それだけでやっていくと完全な内輪の論理になってしまいます
アトラクションやエンターテイメントなどについて、常にゲスト満足度調査をしているんですね
それが本当にゲストの方々に受け入れられているのかどうか
どっちかというと後者の定性的な部分を大事にしながら、判断する時はそれを合わせて、じゃあ、やらせていただこうかと


価格ってむやみに下げると、じゃあ、今までの価格って何だったの
と皆さん思いますから。
そう思われてしまうと従来の価格の価値が完全に毀損されてしまいます
私どもは基本的には我慢しようということで、ホテルでも過去に値下げはしていません


■伊藤瞭介 山水電気 元社長
本来サンスイのような専業メーカーは、ただ部品を組み上げて製品を作るだけでは生き残れません
存在し続けるためには、いくつかの条件があることに気づきました
まず一つは絶対にリストラをしないこと
新しい価値を生み出すことができるのは、尖った才能を持つ人材であり、彼らが最大の財産なのです
かつて専業メーカーには、必ず才能溢れるタレントがいました
彼らの多くは組織に迎合せず、一匹狼のような存在です
専業メーカーは、扱いにくいタレントを、窓際に追いやることなく、処遇する文化を持っていた
ところがリストラに走ると、こうした人材が真っ先に会社を去ってしまう
彼らは、企業のブランドや心意気にロイヤルティー(忠誠心)を感じるからこそ、会社にとどまってくれる
リストラは社員の失望を買います
一度でもやると、もう二度と立ち直れません。それはなぜか。
企業文化を失うからです
文化は金では買えません
日本企業はそこに気づいてほしい
企業文化は、従業員と顧客が時間をかけて作り上げるものです

経営者が短期の業績や株価ばかりを気にするようになると、とにかく数字を伸ばそうと、新鮮味にかける商品を次々と投入することになりがちです
また、得意分野だけでは目指す規模に達しないという理由で、多角化を進めてしまう
こうなったら、専業メーカーの強みは失われます

企業規模が大きくならなくても、社員が幸せで、顧客に新しい価値を提供し続けられることのほうが、拡大路線を突き進むことよりも重要なのではないか、と

これからは再び専業メーカーが脚光を浴びる時代になると確信しています
モノが溢れる今の時代、特徴のない商品では消費者の心を捉えられません
顧客に感動を与えるものづくりを続けられるよう、経営者が歴史に学ぶことを願ってやみません


20120604 日経ビジネス

■20120604 日経ビジネス

■パナソニック
「白物家電の売上高構成比がAVを逆転するのは恐らく数十年ぶりのことじゃないか。テレビ事業の不振をカバーできるかどうかは分からないが、白物には販売拡大の余地が大いにある」パナソニックでアプライアンス(生活家電)を担当する高見和徳専務はIR説明会でこう話した

今回パナソニックが発表した2012年度事業戦略の見通しでは、消費者向け家電売上高2兆3850億円のうち、白物家電が1兆2460億円と5割を超え、AV家電との地位が逆転する
パナソニックによるとこうした現象は、少なくとも1949年の旧松下電器産業の株式上場以降は皆無で、それ以前の記録は分からないとのことだ
そもそも白物家電部門は常に営業利益率でAV部門を上回る「優等生」だった
過去7年間の平均で見ると、AV部門の営業利益率が2.4%にとどまるのに対し白物家電は5.9%

白物家電の成長を支えるのが新興国を中心とした海外の旺盛な需要増だ

■坂根正弘 コマツ会長
危機に直面してコマツは底力を見せました
当時の河合良成社長が陣頭指揮を執って、2年間でキャタピラーに負けない品質のプルドーザーを作り上げたのです
ここで重要なのは開発対象を当時主要であったブルドーザー2機種に絞ったことです
「この2機種だけは絶対に負けない」というように、メリハリをつけました
河合社長の言葉で大事だったのは「攻撃は最大の防御なり」です
何事も守りに入ってはジリ貧になるだけです

当時のコマツはキャタピラーに技術で劣っていたが、強みはあった
現場のチームワークとか、目標に向かって突き進む力強さとか
強みというのは、どこの会社でも探せばあります
それを見つけるのが第一歩ですね

商品や技術は必ず追いつかれます
モノがあるのですから分解すれば秘密が見えてしまう
ダントツ商品は競争力のベースになるものですが、いくら優れていても長くは優位性を保てません
次に目指すのが「ダントツサービス」になります
顧客の困っていることを解決する商品単独ではないサービスを指します
ハードの強みを生かしたソフトのイメージですね

顧客は企業価値を評価しつつ、売り上げと利益という対価をいただき、企業価値を創る存在でもあります
だから極めて当たり前のことかもしれませんが、企業価値活動においては、顧客が最も大切な存在だと結論づけました
企業は常に顧客の方を向いて経営をしていくことが、価値の増加に近づいていくことになります
それならば、最も大切な存在である「顧客」にとって「なくてはならない会社」になればいい
それがダントツ経営の目指す姿です

ダントツ商品でダントツのサービスを提供し、顧客の経営にまで関与する
経営トップ同士に信頼感が生まれれば、鬼に金棒
コマツから離れられなくなります

顧客にとってなくてはならない会社になるという目標に向けて何をすべきか
それを示すのがトップの役割になります
明確なゴールを設定して、わかりやすく示す
そして社内が同じ方向を向いて知恵を絞り、汗を流す仕組みを作ります
「着眼大局、着手小局」と言っていますが、トップは大きな方向性を示しつつ、何をすべきかを小さなレベルで具体的に示さなければ、社内に伝わりません
「見える化」という要素が大きなカギになります
経営トップがマーケットや社内で起きていることを、いかに早く見るか
見えていれば、確信を持って判断できます
見るための仕組み作りが大切になります
もう一つ付け加えると、私は常々、言葉力がトップの命だと考えています
人を動かすのは言葉です
大切なのは「知行合一」
トップは言葉と行動を一致させなければなりません
行動と実績に裏打ちされてこそ、言葉が力を持ちます

■まつもと ゆきひろ ruby開発者
ソーシャルゲームの健全性が問題になっている
私はソーシャルゲーム各社の判断は早く、一連の問題に真摯に対応していると思う
ソーシャルゲームは2007年に本格的に始まり急成長してきた
産業自体が未熟で、システムの制度設計も自明のものではなかったし、サービス内容もどうあるべきか判断がつきにくい部分があったはずだ
言わば手探りの状態で立ち上がってきたので、最初から問題点を予測することはどうしても難しかっただろう
産業の成長に従って、自主規制や法規制を加え、健全で成熟した産業に育てていく
今回もこうした流れになっており、私は評価している

今回の規制でコンプガチャが廃止になり、新たな方向を目指すことになれば、今までとは違ったゲームに変化するだろう
人と人がネットを通じてゲームに参加する本来の魅力の向上など、私はソーシャルゲームの今後の可能性に期待している

20120521日経ビジネス

■20120521日経ビジネス

■ヤクルト
ヤクルト本社は、グループとして全国に109の販売会社を持つ
その販社がヤクルトレディと呼ばれる販売員を抱える
人海戦術による販売網がヤクルトの営業力を支えている
歴史を遡れば、ヤクルトは戦前に各地域で販社が創業し、その後に商標権管理や広告宣伝を目的として、ヤクルト本社が設置されている
1955年に本社がスタート
67年に「中興の祖」と言われる故•松園尚己氏が、長崎ヤクルトのトップから本社社長に就任
販売網を磨き上げ、80年には株式上場に導いている
当時は、本社経営陣にも地方販社のオーナーがずらりと並んでいた


グループの離反が広まっている
その謎を解くカギが、本社の好業績にある
高い利益率を維持し続けている背景には、ヤクルトレディを基盤とした強い営業力を持つ販社の存在がある
だが、販社の経営状況は厳しく、毎年のように経営に行き詰まる販社があり、整理統合されてきた
「本社だけが安定した利益率を維持しているのは、商品の販社への卸値をあげて、利益を吸い上げているからだ」
ある販社のトップは、本社の商品戦略に多くの販社が苦しんでいると憤る(いきどおる)

「魅力的な商品が出てこない」
販社にはそうした不満がうずまいている

現場の販売力でヤクルト本社は好業績を上げながら、90年代から利益を浪費する事件を続けざまに起こした
98年にはデリバティブで1000億円を超える損失
2000年以降も右翼の大物、西山広喜氏が社長だった企業との取引が発覚するなど、世間を騒がせた
だが、1996年に社長に就任した堀澄也氏(現会長)は、17年間にわたって、代表権を握り続けている
堀会長は、ヤクルト本社初の「本社入社組の経営トップ」となった
そして、徐々に販社出身者が役員から外され、今では常勤取締役から消えている
販社がダノン側につく背景には、「敵の敵は味方」という構図がある

■日立
目には見えないが、内向きだった社内風土を外部に目を向けさせる仕組みが機能している
カンパニー制と社内格付けの仕組みだ
社内の事業を6つのカンパニーに分けて、それぞれを独立した会社のように運営し採算管理を明確にする
さらにその下のビジネスユニットという事業単位には社内格付けを付与する
純資産と負債の割合など財務体質や利益率などで格付けを決め、ユニットに伝える
格付けが低ければ本社の経営会議に定期的に事業状況を報告する必要があり、設備投資も本社の承諾が必要だ
高ければ経営会議への報告義務もなく、投資の自由度が高まる
かくして好調な部門ほど、丸の内の本社から離れていくことになった
この制度で経営のスピードは格段に上がった
本社部門はグループ全体のコスト削減策や経営改革に集中し、事業上の判断は現場で決定する

■平井一夫 ソニー社長兼CEO
まず固定費を下げる、それから売り上げを伸ばすために商品力を強化する
基本的にやらなくてはいけないのはこれだけです

私は仕事でのフラストレーションを仕事で発散させるということは絶対にやりたくないし、しません
仕事のオンオフははっきりさせます
週末もメールを読んでいるときりがないので、外出する場合は携帯電話だけ
スマートフォンは持っていきません

デジタルイメージングの分野はソニーの将来にとって非常に重要です
圧倒的な優位性をさらに強固にするために、現状より多くの経営資源を投入して、もっと強くする

問:
よく質問されると思いますが、アップルがiPodやiPhoneのような商品を生み出せたのに、なぜソニーはできなかったのでしょうか
答:
デシジョンメーキングに問題があったんじゃないかとおもいます
具体的にいうと、ネットワークを介して音楽を楽しむ
コンテンツをダウンロードしてもらうビジネスモデルや商品はソニーにもあったわけです
でも、それぞれの事業ユニットが、自分たちなりの考え方を持っている中で、各ユニットをまたぐようなビジネスに取り込もうとなると、意見調整などに時間がかかってしまった


商品軸というよりも、「できること軸」で物事を考えることが大事になる
今後は特にモバイル領域で新たな体験を提供していくことが重要だと考えていて深掘りします


■ジョージ•ソロス
欧州統合のプロセスは戦後、非常に長期的な視点を持った少数の指導者が先頭に立って始まった
彼らはその実現が用意ではないことを知っていたので、しっかりとした政治的意思は持ちつつも、限られた目的で一歩ずつ前進する道を選んだ
その過程で問題が判明したら、解決しながら前進すればよいと考えた
こうして欧州石炭鉄鋼共同体が、少しずつ前進しながらEUへと発展を遂げた
ドイツはこの過程で常に最前線にたってきた
ソ連が崩壊し始めた時、ドイツのリーダーたちは東西ドイツの統一は欧州がさらに統合して始めて可能になるとわかっていたので膨大な犠牲を払うことを厭わなかった
経済的な問題が浮上すれば、ドイツは常に他国より多くを負担し、リターンは他国ほど求めず、他国と譲り合いつつ様々な合意にこぎ着けた
当時、ドイツの政治家は「ドイツに独立した外交政策はない。欧州の外交政策があるだけだ」とよく主張していた
かくしてマーストリヒト条約が成立し、ユーロ導入も実現した
ただ、残念なことにその後、経済が停滞し、2008年には金融危機が発生した
以来、事態はユーロ崩壊へのプロセスへと変質していった
私は今回のユーロ危機は、EUそのものの存在をダメにする可能性があると見ている
崩壊に向けた最初のステップは、リーマンブラザーズが破綻した直後にメルケル独首相がこう言い放った時に始まった
「金融危機に対する保証は、欧州が一体となって行うのではなく、各国政府でそれぞれ行うべきだ」
ドイツの姿勢が明らかに変わった瞬間だった

マーストリヒト条約には作った人たちも気づいていなかった欠陥があった
それらの欠陥の全容はいまだに理解されていないが、一つは「ユーロが失敗するかもしれない」ということを念頭に置いていなかった点だ
その証拠にユーロ加盟国に対し「(財政規律などの)ルールを守らなかった場合、強制的に従わせる方法」も「ユーロから離脱する方法」も、「加盟国が通貨を刷る(=金融緩和を図る方法)」も決めていない
失敗するかもしれないことを念頭においていれば、強制条項や離脱の条件をあらかじめ決めていたはずだ

ドイツ中央銀行は民間銀行の融資絞り始めている
だが、ギリシャなど債務過剰国が景気を回復するにはドイツの強い需要が不可欠だ
ドイツの強い需要がなければ、昨年末に合意し、今年3月に25カ国が署名したユーロ圏の財政規律を強化する協定も機能しない
過剰債務国は必要な政策を実施できないか、実行できても目標達成は難しく政府債務のGDP比は上昇し、ドイツとの競争力格差は一層拡大することになる
ユーロが存続し得るかは別にして、欧州は長らく経済の停滞から抜け出せないだろう
1980年代の南米や日本は長期停滞にもかかわらず、今も存続している
だがEUは国ではない
それだけに債務国がデフレによる債務の罠に陥れば、まだ完成途上にある政治結合体であるEUは崩壊し、シェンゲン協定も消え去る可能性は十分ある
これは大変な悲劇だ
欧州は現在、打つ手がないからEUを続けているだけだ
それではお互いが協調する体制にはつながらない
現状を反転させるには、誰もがそのために努力したくなるような夢を持つべきだ
EUは本来「素晴らしい夢だった」はずだ
それはまさに、哲学者カール•ポッパーが提唱してきた「オープンソサエティー(開かれた社会)」を実現するという意味だ
開かれた社会とは、異なった考え方や利害を抱えた成員同士が平和的に共存することを可能にする制度が必要だと認めるような社会だ
そこでは人権と民主主義を守り、どこか一カ国が支配的な立場に立ったりはしない
その意味で、EUは世界がお手本にできるようなオープンソサエティーになり得るはずである
そうした理想のEUに戻るため、当局はまず自分のミスを認めて正す必要がある
最近のメルケル首相にはそうした変化の兆しが見られる


20120422日経ビジネス

■20120422日経ビジネス

■セブン&アイ 鈴木敏文会長
「メーカーが人件費の安い海外に出るのはわかる。でも小売りが所得の低い地域に行って儲かりますか。国内に投資した方がはるかに効率がいい」
日本の少子高齢化が進む中、ほかの流通各社は中国や東南アジアへの出店を急いでいる
そうした状況で、鈴木会長が「国内回帰」とも取れる発言をするのは、それだけ国内での成長に自信を持っているからにほかならない

■パートの保険拡大
野村証券の皆川アナリスト「消費増税よりも小売りへの影響が大きいかもしれない」
社会保障•税の一体改革素案でパートの社会保険適用範囲を、週30時間以上から20時間以上に引き下げる方針が盛り込まれた
これが決定した場合、大打撃を受けるのはパート従業員比率が8割程度と依存度が高い食品スーパーだ



20120430日経ビジネス

■20120430日経ビジネス

■新浪剛史 ローソン社長
思い入れやパッションが弱い人は、リーダーに向かないと言い切る

■鈴木敏文 セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO
「妥協するのは簡単だが、妥協した時すべてが終わる」


三品和広:
家電メーカー3社が失敗したというなら、それは歴史の必然です
だれの落ち度でもないと思います
終戦後、日本は生徒として先生であるアメリカから技術を教わり、製品の量産化を進めるうちに技術水準を高めました
そしてテレビメーカーとしての地位を固めて、先生だったアメリカ勢を追い抜いたわけです
これと同じことが起きているに過ぎません
日本がアメリカに対してやったことを韓国・台湾勢が日本にしているだけのことです
アメリカに日本が追いついたのは、日本人が追いついたのは、日本人が勤勉だからとよく言われますが、そんな特殊要因によるものではありません

成毛眞:
家電メーカーが過去に成功を収めたのは歴史の偶然と考えています
以前は、韓国や中国などのアジア勢は政情の問題から産業の育成が遅れていた
欧州勢もものづくりにはさほど力をいれていなかった
ライバルはアメリカだけ
変動相場制に移行する前は為替レートが1ドル360円に固定されていて、日本の輸出に有利に働きました
歴史の偶然からこうした条件が揃ったから、日本企業は躍進することができた
三品:
日本メーカーのテレビ事業の低迷を、人災だと受け止めてしまうと、人材を代えてもう一戦まみえてみようとなる
でも誰が悪いというわけでもない
だいたい世の中はこうなるものなんだと達観すると、打ち手が変わる
向かう先も大きく変わる
そう考えなければ、失敗を重ねるだけでしょう


■ジェフ・ベゾス 米アマゾンドットコムCEO
アマゾンの顧客中心主義は3つの「ビッグアイデア」に基づいています
1つ目は顧客を出発点にしてそこからさかのぼるというアイデア
2つ目は発想と革新を進め、 先駆者になることを目指すというものです
3つ目は長期的な視点に立つこと

顧客に対するこだわりを持ち、発明し、開拓し、新たなことに挑戦する
そして必ず長期的視野に立つ
このアプローチがアマゾンの優位性を形作っています

我々が何か商品やサービスをリリースするにしても、必ず顧客を出発点にしてさかのぼり、準備が整った時点で発売する
会社が本当に辛抱強いかどうかは、行動に表れます
バグが残っているような商品を時期尚早で発売する会社は決して辛抱強くない

我々は辛抱強い
待つのは平気です
2〜3年でうまくいく必要は全くありません
状況によっても変わりますが、一般的に私達の会社が見ているタイムラインは5年から7年です

「ベゾスさん、私は部屋を清潔に保つことには賛成です。しかし、聞かせてください。なぜほうきで掃いているのですか?どうして汚れのもとを取り除かないのですか?」
それはとてもいい指摘でした
ほこりの根本原因を見つければ、ほうきで掃く必要はなくなります


20120416日経ビジネス

20120416日経ビジネス

■吉永泰之 富士重工社長
歴史的な背景も含めて、当社がコストで戦っていくのは厳しい
飛行機作りから始まっていますから、安全安心なクルマを作るのは得意なんですが、つい素材なども非常に良いモノを使ってしまう傾向があります

問:
「シェア1%へのこだわり」とも発言されています
シェアを無理して伸ばすのではなく、1%あれば、あとは世界市場の伸びとともに成長していくという意味ですよね
無理に台数を伸ばせば反動がくるとお考えですか
答:
そう思っています
シェアを伸ばそうと思うと数が欲しくなってきて、普通のクルマを作ろうという発想になります



■辻本憲三 カプコン会長兼CEO
新しいことにどんどん挑戦させて、「うまくいかないこと」を見つけ、対策を練るのが経営者の役目
うまくいっている事業は放っておけばいい
問題を抱えていたり、計画通りにいかなかったりする事業をうまくいくように変えていくのが経営者の仕事でしょう

カプコンは6年前に経営のIT化を推し進め、すべての現状を経営者が実数で、かつリアルタイムに見られる体制を作り上げました
こうして集まる数値を把握し、うまくいってない事業を瞬時に察知し、対策を含めて判断していく
それの繰り返しです

最近、中国だ、インドだという経営者が増えています
労働力が安価だ、モノを作るコストが安いという理由で海外に出て行く経営者は20年先を見ていない
今、決して成熟国家から逃げたらいかんと思っています
勢いを持って急成長している新興国はあっという間です
日本企業は成熟国家で来るべき時代に向けて知恵を絞り出し、競争力を磨かなければならない
それが、目先ではなく、中長期的に競争力を保持していく必須条件だと思います


20120220日経ビジネス

20120220日経ビジネス

■三木谷浩史 楽天社長
比較的国境を越えやすかった製造業が海外展開の旗手として経済成長を支えてきた時代は終焉をむかえ今まさにサービス業が海外展開を推し進めなければならない
前例はほぼないに等しい
自ら創り上げた楽天主義を容赦なく外国人に徹底させ、逆に日本人にも決して甘えを許さず英語の使用を強要する
三木谷は壮大な実験の真っ只中にいる
「日本人が内向きになっている中で、楽天が本当に海外で成功すれば若者の意識は変わるはず。トレンドセッターの役割を果たす」
と三木谷は誓う
そして、「成功すれば日本に対する最大のコントリビューション(貢献)」とも

問:
何も日本人だけが集まっている時の会議を英語でやる必要はないんじゃないか、という意見もあります
答:
「これしかない」と僕は思っているんです
そうしないと結局英語から逃げちゃう
そうなると、外国人は会議にはいれなくなってしまう
企業の中に入れずに壁が生じる

20120213日経ビジネス

20120213日経ビジネス


■加藤修一 ケーズホールディングス会長兼CEO
頑張って数字を作ろうとすると必ず綻びが生じます
無理して結果を出しても、翌年はもっといい数字を作らなければならなくなる
こうして蓄積されてあった無理が、些細なきっかけで一気に噴き出してしまうんです
成長を続けていた企業が突然、大赤字を出すことがあります
たった一年で苦境に陥ったわけじゃない
4年とか5年の間に無理をして成長し、その一方で隠されてきた悪い部分が表に出てしまったです
頑張った結果なんですね
ですから私はその逆、「頑張らない経営」を続けて成長してきました
無理をしない、結果を優先しない経営です。
人間の体に例えるとよく分かります
長生きするためには腹八分目食事をして、適度な運動をして、気楽に過ごすことが重要です
一方で、無理を続けると病気になったり、最悪の場合死に至ったりすることもある
経営も同じです

長い間、経営をやっていると、こうした不況の時こそ、やっておくべきことがあるというのが分かるんです
当社は来期、40〜50の大型店を出店しようと計画しています
不況は事業を拡大させる絶好のタイミングなんです
この考え方を一言で言えば「好況充実、不況拡大」です
景気のいい時は現状を維持し、不況時は売り上げの減少を補うため新規出店して売り場面積を広げます
その要諦は人件費の効率的な運用にあります
家電量販店にとって、最大のコストは売り場を支える従業員の人件費です
「好況充実、不況拡大」を実践すれば、人件費もうまくコントロールできます
不況時は商品が売れないので、社員は手持ち無沙汰になります
そこで新しい店を出して社員に仕事を作る
世間は不況だけど、当社の社員は仕事が潤沢にあるという状態になる
そうすれば人件費がムダになることはありません
不況時は不動産価格などが下がりますから、出店コストを抑えられるメリットもあります

当社は経営方針を変えません
事業を多角化しても、投資先が分散して、結果的に2番手3番手の分野ばかりが並ぶ事態が想定されるからです
一方、お客さんは1番の店しか選びません
品揃え、価格、接客など重視する基準はお客さんによってまちまちでしょう
ただ、なんらかの基準で1番にならないと、お客さんにはきてもらえないんです

社員のレベルを急に上げることはできません
そのノウハウは先輩から後輩へと時間を掛けて伝わっていくものです
だから会社を無理に拡大させるよりも、社員が育つスピードに合わせて緩やかに成長させたほうがいい
僕はまだ会社の規模が小さい頃から社員のレベルが落ちない成長速度を模索してきました
売上高が年間1億円程度の時、目指していた成長率は年25%です
以後、売上高1000億円を達成した際は年15%、5000億円を超えた頃には年10%まで成長の速度を緩めました

僕は海外で流通をやるのは難しいと思っています
SPAであれば独自の商品がありますから、それを求めて海外の人が買いに訪れるかもしれない
でも僕たちが売る家電製品は、基本的にどこの店でも買えます
他社と差別化するのが難しい
それに流通はその国の商慣習や生活パターン、人々の気質を熟知しないとできません
基本的にその国の企業がやるべきだと思いますね
しかも国内にはまだまだ成長の余地がある
当社の2011年3月期の売上高は約7709億円ですが、2015〜2016年には1兆円に到達するでしょう
さらに今後20年ぐらいは成長し続けられると思います

300万人が住む茨城には35店舗ある一方で、1300万人が住む東京には11店舗しかない
東京都内に100店以上は出せるでしょう
山の手線内には出さず、郊外に大型店を出店していく計画です
さらに当社は出店地域を拡大させつつ、既存の小さな店を閉めて大きな店に作り替えています
小さい店はやっぱり魅力にかけます
だから儲かっていても閉める
たとえば盛岡南店は売り場面積を9倍に拡大しました
売り上げは3〜4倍になる一方で、広告宣伝費は3分の1から4分の1になりました
強豪他社の進出を防ぎつつ、利益を出しやすくなります
こうして当社は構造改革しながら、ゆっくりと拡大していく
海外に出るとか、新しい事業を始めるような暇はありません
その代わり、これまで通りやれば何も複雑なことをしなくても成長はできると思っています

僕たちは店舗でお客さんと交渉しながら、商品価格を下げて販売しています
一方、ネット販売では価格を明示しないと売れない
こうした事情もあって、今はネット販売の専門業者が成長しています
ただ、いずれは大手家電量販店がネット販売の主導権を握ることになるでしょうね
「店舗を持たずにローコスト経営ができる方が強い」という見方もありますが、僕は違うと思う
倉庫だけで膨大な品揃えをするのは難しい
店舗ならば可能です
また売れない商品があっても、店舗でさばくことができますね
配送だって速いですよ
ネットでの注文は店舗で受けることにしていて、場合によっては10分後にお届けできる

規模を追うための買収に乗り出そうとは思いません
これまで当社は東北のデンコードーや四国のビッグエスなどを子会社化してきました
それは、それぞれの経営者と考え方があっていたからです
私は規模が大きい会社よりも、意思がきちっと伝わる会社のほうが強いと考えています
強い会社は永続的に成長できる
だから僕はこっちを大事にしていきたいと思っています


■水谷豊 ボストンコンサルティンググループ日本代表
「3つのリストラ」の勧め
1つが「ポートフォリオの見直し」だ
コングロマリット・ディスカウントという言葉がある
これは事業の多角化によって、個々の事業をそれぞれ営むよりも全体の企業価値が下がってしまうことを指す
これまでは「売り上げがある程度上積みできる」という理由で、あまり儲からない事業でも継続する例が多かった
経営者に売り上げが落ちることへの恐怖があることは理解できるが、上を目指すには、例えば「利益率10%」を目安にして、それ以下の事業は切り離すという思い切った決断も必要だ

2つ目のポイントは、「縦のリストラ」だ
人員削減と言えば、各部門の人数を減らす「横のリストラ」が一般的
一方、縦に間延びしてしまった組織を削る努力はあまりなされていない
縦のリストラには、コストカット以外にもメリットがある
縦に組織が多いと、それだけ新しい案件の合意を取り付けるために通るべき関門が増える
この関門が少なくなれば、つまらない報告義務が減り、意思決定のスピードを格段に速めることもできる

最後の3つ目が、「関連会社のリストラ」
関連会社しかやっていないサービスがある
例えば携帯電話会社における基地局保全業務などは、他の選択肢がないため関連会社に頼むより方法がない
これ自体は仕方のないことだが、私の印象では企業本体が一生懸命リストラをしているのに、子会社が意外に削減の努力を怠っているケースが目立つ
では、専門性の強い子会社のリストラをするにはどうすればいいのか
まずはその企業のミッションを明確にすることだ
こうした子会社でよく見られるのが、外部に事業を展開しようとしているケース
しかし大抵の場合1〜2割が外部からの売り上げで、あとはグループ内からのもの
外からは利益が得られず、それを内部からの受注で補填している企業がほとんどだ
そうならば、外売りは今すぐやめさせて、その分コストを徹底的に下げさせるべき
中途半端に外販に手を出すのではなく、親会社のために果たすべき役割を明確にするのだ


20120206日経ビジネス

20120206日経ビジネス

■飯塚哲哉 ザインエレクトロニクス社長
絶不調の時に築いた人間関係や企業関係、また、まいた成長の種こそが、人や企業のそのあとを決定づける

■伊藤雅俊 味の素社長
今、味の素は会社全体で1兆2000億円の売り上げがあります
うち日本の売り上げが8000億円、海外が4000億円です
ゆくゆくはグローバルで活躍する食品メーカーのトップ10に入ることが目標です
2011年度から2013年度までの3年間は、たしかなグローバルカンパニーになるための基盤作りの時期と考えています
そのためにはR&Dが重要です
我が社の場合、他社とは異なる高い比率でR&Dへの投資を続けることが特長を生み出しています
日本の味の素には研究者が1085人いて、その割合は全社員の約30%を占めます
しかも、そのうち10%がドクターです
このような研究組織を持つ会社は、世界でも類を見ません
海外にも研究者を多く配しています
ロシアと中国に研究所があり、ロシアには113人、中国には95人の研究者がいます
食品業界の中で、これは異常とも言える割合です
しかし、異常なことをやらなくては、特長など生まれません

競合他社が増える中、味の素としては大量生産によってコスト競争力を強化するのではなく、生産技術を生み出すことによって競争力を高めたいと考えています
例えば、少ない原料で発酵ができれば、結果として生産コストが下がります
地球の資源にとっても、より望ましい
ここでもR&Dは不可欠です
新たな技術開発に向けて重点的に資源を投入することから技術力に差が生まれ、事業の安定性を高めることにつながると考えています


伸ばしたいのが海外食品事業です

海外の消費者向けビジネスも着実に広がりを見せています
グローバル企業として成長する上で、新興国を中心に市場開拓を加速させることは欠かせません
新興国市場を開拓する際、味の素には1つの共通した流れがあります
もともと味の素は汎用調味料です
なんにでも使えるので便利な半面、少し経済的な余裕が出てくると、消費者は中華用の豚スープ、鰹の香りがするダシなど、より専門性の高い商品を求めるようになります
いわゆる風味調味料ですね
今はこの風味調味料が、東アジア諸国でよく売れています
さらに経済発展が進むと、今度はクックドゥのように、単品料理用商品の需要が出てきます

今全世界で味の素の社員は、2万8000人ほどいます
うち1万人が日本、1万8000人が海外の社員です
今後は海外の社員の数が増え、国内の社員数は横ばいから微増になると考えています
現地の役員比率は、2013年度が終わるまでに50%に持っていきたいと思っています
今は34%ぐらいですが、どんどん増えていくと思います


20120130日経ビジネス

20120130日経ビジネス

■永守重信 日本電産社長
事業をどう拡大していくか
最も重要な戦略はなんでしょう
もちろん、これがすべてではありませんが、大事なものの一つは多角化です
多角化というと、本業に近いところでやるべきで、落下傘的な事業拡大はダメだと言われます
しかし、落下傘的に見える多角化でも成功している企業はあります
逆に多角化の基本は本業の深堀りと言いますが、大半はそれで失敗しています
では何がポイントなのでしょうか
私は、それは、つながりだと思います
技術や営業といった社内の資源をつなげ、融合させて目標を目指していくのです
社内に資源がなければ、M&Aという手段があります
日本電産がM&Aをテコに成長してきたことはご存じだと思います
1980年代から約30社がグループに入り、一緒にやっていますが、かつてはよくこう言われました
「なんで本業と関係ない会社を買うんだ」とね
でも、私は全く気になりませんでした
実をいうと当社の柱である精密モーターの技術が90年代半ばから2000年にかけて一変すると予想されていたのです
ところが当社にはまだ十分な技術がなかった
そこでとりかかったのがM&Aなのです
もちろん市場の変化がいつも思惑通りになるとは限りません
先ほどの話で言えば、2000年ごろのFDB化を想定して動いたとしても、実際の変化は遅れるかもしれません
それでも、目標を定め、そこに至る道筋で社内にない経営資源のマス目を一つひとつ埋めておくことが大事なのです
そうすれば、変化が急にやってきても即座に対応できるからです

集中が一定域までいけば、頭の中の別の部分で事業分野の拡大を考えるのも経営者の役割です


20120116日経ビジネス

20120116日経ビジネス

■ジムロジャーズ
ユーロはあと10年続かないだろうが、2〜3年は持ちこたえると思っていた
だが、事態は私が思う以上に深刻だった

ドイツのメルケル首相はタフで、問題解決にむけて強い意志を示している
これ以上、財政赤字を拡大させないために、資本規制や制裁措置の枠組み作りに意欲的に取り組んでいる
彼女は正しいことをしようとしている
しかし制裁の対象となる国や金融機関が曲者だ
彼らは損を被りたくないので、なかなか膿を出そうとはしない
だからいつも問題を先送りする
これでは支援する側のドイツ国民は納得しないだろう

ギリシャは紀元前2000ねんの頃から借金を繰り返している
徳政令の乱発や債務奴隷など、歴史を通して負債にまつわる問題を抱えてきた
このギリシャ人の体質はそう簡単には変わらないよ

ある時点でデフォルトしてしまったら、次は誰がお金を貸すだろうか
デフォルトし、信用を失った国の国民はこれ以上お金を借りることができずに、収入の範囲内で生活することを恐ろしいじゃないのだろうか

ユーロを破綻させることも含め、
根本的に何かを変えなければならないところまできている
ユーロの2012年は一言で表すならば「muddle(ごたごた)」だ

今はむしろドルのほうがポジティブだ
昨年ユーロを売った時、少しドルを買った
以前に比べて楽観的に見ている

私がドルを買っているのは、世界の資金がドルに向かっているからだ
しかし決してドルが安全だとは思っていない

「質への逃避」ではなく、「流動性への逃避」だ
危なくなったらすぐ換金できる場所にお金をおいている

これまでの歴史を振り返ると、アメリカは4〜6年サイクルで不況に見舞われている
2001年の同時多発テロ以降に始まった不況は、2008年のリーマンショックでさらに深刻化した
次のサイクルはちょうど2012、2013年あたりか
もっと事態は悪くなるだろう

私は世界の株式への投資を長年控えてきた
でも、日本株だけは買っている
理由は割安だからだ
震災直後に日本株インデックスと農業関連株を買った
私は世界の農業関連ビジネスに興味を持っているから
経済構造が変化しつつある点も評価できる
1970年代、日本は貿易総額のうち約30%がアメリカ向けで25%がアジア向けだった
それが足元では50%以上がアジア向けになり、アメリカは15%となっている
この傾向はいいことだ

20120109日経ビジネス

20120109日経ビジネス

■永守重信 日本電産社長
コスト削減だけで利益は上げ続けられないし、そんなM&Aを繰り返しても成長を持続することはできないのです
企業の第一歩はなんでしょうか
それは利益です
まず最初に利益を上げることこそ大事なのです
それも2〜3%なんていう利益率ではダメ
2桁は必要です
それだけ利益を上げれば、次の設備や研究開発、ヒトへの投資が可能になり、それによって売上高を伸ばせる
売上高を伸ばして利益をあげるのではないのです
利益を上げるから売り上げも増やせるのです
なんとしても利益をあげること
それが成長の第一歩なのです
それを「財務価値」と呼びましょう
そしてその過程では、「なぜ、利益が出ないのか」「なぜ儲からないのか」を自ら考え、動く社員を育てることも大事です
コスト、利益などへの社員の意識を高め、士気を高めるのです
これが「人材価値」の向上です
財務価値を上げ、人材価値を
高められれば、なにができるようになるでしょう
それは「顧客にとっての価値向上」です
新製品・新技術やより安い価格を提供し、、、
ここまでできれば「株式市場での価値」も上がり、M&Aもしやすくなります
当然、よりいい人材も低いコストの資金も集まりやすくなります
そして、この価値創造の循環が次の利益をもたらすのです


20120102 日経ビジネス

20120102 日経ビジネス

■岡野雅行 岡野工業代表社員
2012年、日本は落ちるところまで落ちる
だって、2012年にたちはだかるであろう問題に、誰も頭を使って対処してないんだもの
円高対策にしても、今、中小製造業で流行っているのが苦し紛れの海外進出だろ
でも、成功するのは難しいんじゃないか
そりゃ、探せば成功者はいる
俺も7〜8人は知っている
でも、そいつらは皆、バブル崩壊で借金抱えて、女房子供捨てて、夜逃げ同然で東南アジアに行った人間ばかりでさ
「日本には絶対帰れない」「骨を埋めるしかない」と死に物狂いで現地社会に同化したんだ
「円高で日本で食えないから向こうへ工場だけ移してコストを下げましょう」なんて甘い考えは通用しないと思うな

製造業が勝ち続ける方法は一つしかない
競争あいてが出てこない製品を作ることだよ


■内永ゆか子 ベルリッツコーポレーション会長兼社長兼CEO
真のグローバル企業とはなにか
一つの判断基準となるのは、企業の世界各地域での売上高や利益であろう
特定の国や地域の売上高が突出し、例えば6割を超えているような場合はまだグローバル企業とは言えない
もう一つの基準は統治体制である
例えば米IBMではアメリカ本社の下に、各国の営業や開発、販売部門が対等に配置されていた
私が在籍していた日本IBMを含め、どの国でも各部門のマネジメント権限や人材評価の基準は同じ
国や地域による差はない
片や日本企業を見ると、国内外に営業、販売などの部門を設けてはいるが、日本と他国が主従関係になっていることが多いようだ
売上高の大半を国内で上げている場合はそれでも通用する
だが、他国での売上比率が増えてくると、この統治方法では難しい

世界各国で軸がぶれない経営を貫くには、本社の果たす役割がカギとなる
各国・地域の拠点を対等に位置づけたうえで、本社が明確な企業哲学やビジョンを持ち、同じメッセージを各国・地域に伝えて、経営目標や成長戦略、ビジネスモデルも各国・地域で共有する
コミュニケーションと教育を密にし、本社の思想を徹底して伝えていくことが基本である

明確な哲学や経営理念を持つこと
そのうえでマネジメントシステムを共通化し、本社機能を多国展開することが、日本企業が本当の意味でグローバル化するには避けて通れない道だ

20111212日経ビジネス

20111212日経ビジネス

■高 清げん 統一企業 董事長
私はいつも世界から最も優れたものを選んでそれを徹底して学んできました

いいものを努力して安く作っていれば、ちゃんと儲かる
これは日本から学んだことです

中国は文化大革命などで経済成長が遅れたことで大きく成長し、台湾は日本や欧米などから技術や文化を学びながら小さいながら急激に成長しました
この両者が合致することで、中国市場はもっと大きく成長できるはずです

これから東アジアが世界の中心になってきます
日本はアジア諸国の先頭を飛んでいるカモメなんです

私たちは数多くの日本企業と一緒に事業をしてきました
ですので日本企業の社長や、その先代の社長のことをよく存じ上げています
最近、世代交代が進んで、日本企業のトップの方のタイプが変わってきたように思います
欧米型の方が増えたんじゃないかなと
合理的で現実的な経営判断ができる半面、私たちが憧れてきた日本の企業家たちが持っていた良い持ち味を失っているようにも感じます


20111121日経ビジネス

20111121日経ビジネス

■孫正義 ソフトバンクCEO
当社とアップルのどくせんが崩れたことでiPhoneに背を向け、別の方向に一気に力をシフトするという経営的な選択肢はありました
目先の利益を確保するために、iPhoneから撤退するということです
だけど、本当に優れていて、自分が心底認めているものに、ビジネス上の理由で、背を向けていいのか
銭カネのために放棄したり、あるいは情熱を失ったりするのは邪道だろうと思ったんです

おそらく5年後、10年後には他社とは全く違う事業体になっているでしょう

インターネットがPCからモバイル中心の時代にパラダイムシフトするという読みは早くからありました
CPUの進化と通信速度の進化と液晶画面の高精細さの進化が5年後、10年後にどうなるかを読み込むと、必ずそうなると思っていました
だから、OSも入っていない、従来の音声マシンで通話サービスをやってもしょうがないと思っていました

既にiPodを世に送り出していたスティーブに会いに行ったんです
iPhoneを発表する2年前、2005年のことです
既に開発に入り始めていました
会いにいったら「来たか」という感じで迎えてくれました
「僕は必ずモバイルの業界に参入する。そのときに戦う武器が欲しい。僕がイメージする武器を作れるのはあなたしかいない」といった感じで語りかけました
スティーブはにやっと笑ってこう言いました。「外から言いにきたのはお前が初めてだ。中身はまだ言えないが、時期がきたら組もう」

問:
つまり携帯電話事業の参入に当たり、将来のiPhone像が見えていたわけですか
答:
もちろんです
そうでないと2兆円の博打は打てませんよ
僕は勝負できる構えを作ってからでなければ動きません
戦略というのは、外部から見えない方がいいんです
買収当時、「勝てる見込みのない会社を買った」と散々叩かれましたが、むしろそれでよかった
戦が始まる前までは「あいつはバカだ、アホだ」と思われるのがベストです
そして水面下で、とっておきの武器を準備しておく
それを世に出した時、事前の予想との振れ幅が大きいほど、効果も大きくなる
だから、買収した時点で「こういう準備ができています、だから勝てます」と早々にご開陳するのは、戦を知らない人がやることです
繰り返しますが、これが戦略というものです
単に料金を安くするとか、広告宣伝をうまくやるというのは戦術のレベルです
戦術だけでは短期的な勝負はできても大きな博打は打てないんですよ

競争の土俵はすでに電話からインターネットに移っています
今はまだ言えませんが、新しい技術や作品を仕込んでいるところです

2014年度に実質無借金経営になった暁には、毎年コンスタントに6000億円のフリーキャッシュフローが生まれるようになります
毎年6000億円分の博打を打っても、誰からも怒られない
今までは借金して博打を打っていたわけですから、危なっかしい、いかがわしいと言われ続けてきました

リーダーは大ボラに聞こえるぐらいの高い志を掲げて、情熱を燃やしてやっていかないと発展はないと思うんですよね
最初からクジラを目指すべきです
オタマジャクシから始めたらカエルにしかなれません


■ソフトバンク
会議でも、社員は常に社員に考えることを要求される
「孫社長の会議では、必ず複数の選択肢を求められる」
元ヤフー社員の村上臣氏は言う
「案が一つしかないと、それが気に入らない場合、お前を否定するしかないだろうと怒られる」(村上氏)
だから、孫社長の前では皆、複数の選択肢を必ず用意する

会議では肩書きも関係ない
「サービスを一番分かっているお前が開始日をきめろ」居並ぶ上司を前に、こう言われたエンジニアもいる

夏野剛氏
「孫さんは本気の事業をやる時には絶対に本心を明かさない。光の道やメガソーラーのように、ツイッターで当初から公言するのは、その事業で儲けようと思っていない証拠だ」と分析する
「,,,,本当に敏感な問題については、孫さんは一切発言しない。本気の勝負が始まる時に、事前に手の内を明かさないのが孫さんだ」


20111114日経ビジネス

20111114日経ビジネス

■村上太一 リブセンス社長
同じ世代の起業家仲間はたくさんいますが、僕らの世代と先輩企業家の方々とは、企業に対する考え方が違うかもしれません
うまく言えないのですが、同世代には、「お金持ちになりたい」「名誉を得たい」というような野心を抱いている人が少ないと思います
むしろ「優れたサービスを生み出して、人々の生活に役立つモノになればいい」という思いのほうが強いんです
「世界と戦う」という意識も薄いかもしれません
というのも、ネットはそもそも世界と直結しているので、いいサービスを開発してユーザに受け入れられれば、そのまま世界中で売り込める時代になっているんです

ネットの世界って、社員が多ければいいものが生まれるわけではありません1人の天才エンジニアが世界を変えるサービスを生み出すことがある
そこに無限の可能性を感じるし、日本からでも世界に誇るサービスが生み出せると考えています

いまは仕事に365日集中しています
趣味はありませんね
だって、僕にとってこれ以上の楽しい時間は存在しないと思っていますから

20111107 日経ビジネス

20111107 日経ビジネス

■日本曹達
農薬大手の日本曹達は世界の80カ国以上で販売する殺菌剤「トップジンM」の原体の生産を韓国で始める
進出先は韓国南部にある麗水市
同国三大コンビナートの一つがある
外国企業への投資減税制度で法人税は5年間無税で、さらに2年間は半額で済む
地方税や市税も15年間はタダ
貿易自由化、為替、法人税、温暖化ガス規制、労働規制、電力問題
自動車や電機などでライバルとなった韓国メーカーに対して、国内メーカーは「六重苦」と呼ばれる、ハンディを背負っての戦いを強いられている

逆に言えば、韓国ではこれらの条件がクリアされている


■大坪文雄 パナソニック社長
テレビ事業が収益的に非常に厳しいことは事実です
私たちは計5工場への大型投資決断しました
投資を決めた当時はパネルからテレビを一貫する選択肢は理にかなっていました
ただ為替相場はそのころ1ドル115円前後でした
円高を想定できなかったのは反省すべき点です
また薄型テレビがコモディティ化するスピードの速さを痛感しました
それでもこれだけ大きな生産能力を持っているのですから、円高や価格下落がいくら激しくても、大量生産や地道なコスト削減を続ければ、再生の道は開けると思ってきました
しかし、それは難しいと判断しました
経済実態から乖離した水準まで円高が進んでいますし、ウォン安の進行で韓国メーカーとの優劣の差はどんどん開きました

問:
テレビ事業をどのように黒字化させますか
答:
設備投資が重すぎました
これからはアセットライト(資産の軽量化)戦略に転換します
生産量の拡大による収益の追求はもう辞めます
国内工場はプラズマの尼崎第2、液晶の姫路に絞り込みました
今ある設備の範囲内で最適な数量を作り、着実に収益を確保する方向に舵を切ります
プラズマテレビに力点を置いて薄型テレビ事業に取り組んだことも反省点です
プラズマは技術的に大型テレビに向いています
ですから、家庭のテレビが大型化することを想定して、プラズマテレビで大画面のニーズに応えようとしました
この判断は当初正しかった
ところがその後、各社が液晶パネルに積極投資して液晶テレビでもプラズマテレビに劣らない大型製品を作れるようになりました
当社も大型テレビで液晶を採用した商品を今後はどんどん開発することにしました
製品デザインも劣っていました

急激な円高に限らず、日本の高い法人税率や電気料金、関税障壁などあらゆることが当社の経営の重しになっています
TPPへの参加などを通じて、一つ一つをはやく解決していくほかありません

我々が掲げる「まるごと」はこれまで他社が取り組んでこなかった全く新しいビジネスモデルへの挑戦だと考えています
そう簡単にビジネスは拡大しないでしょう
パナ電工の長榮周作社長らの発案である100本の矢作戦に取り組み、地道に売り上げ拡大を目指します
まるごとに関わるプロジェクトやテーマ一つを一本の矢に例えて
それを世界中で100本揃えようとしています
例えばコンビニストアチェーンに省エネ製品などを一括提供する「コンビニまるごと」
すべての矢が的に命中するわけではないので、100本以上の矢が必要になります
作戦は100本の矢が突き刺さるまで続けます
一本の事業規模が100億円として100本命中すれば一兆円の売り上げになります

20111031日経ビジネス

20111031日経ビジネス

■澤田秀雄 HIS会長について 南部靖之 パソナグループ代表
「創業者」はカネを使って新しいことに挑戦し、「経営者」は緻密な計算によって利益を生み出す
本来違う性格だと思っていたが、澤田君はこの2つを併せ持っている

■ トニー・フェルナンデス マレーシア・エアアジアCEOについて 伊東信一郎全日本空輸社長
トニーの持つ人生訓は、「夢を見ること。かなえること。信じられないことを信じること。夢を見ることに挑戦し、NOとは絶対に答えないこと」彼の人柄、ビジネスはまさにこの言葉通り

■スティーブ・ジョブズ アップル創業者について 孫正義
アップル復帰後に彼が手がけた有名なテレビコマーシャルを思い出す
「Think different」
歴史に名を刻む人物は、その他の人間とは全く違う生命体なのかもしれない
想像を超える発想を生み出す
そして絶えず世の中に問うことになる
だから、crazyと批判されることもある
それでも自分を信じる
そうして生まれたモノだけが、世界を変える力を持つのだ
ジョブズの生き方が、それを証明してくれた
彼がこの世に残したモノは、優れた製品だけではない
彼の生き方、そして考え方から、一体我々は何を引き継いでいくべきなのか

■大震災後の日本経済 野口悠紀雄
「大震災によって、日本経済を束縛する条件は、需要不足から供給不足へと180度変わった」というのが、本書の出発点となる認識である
震災で生産設備が損壊し、でんり供給能力も大幅に低下するため、生産を拡大することができなくなる一方、復興のために巨額の投資が必要になるからだ
こうした超過需要の経済環境で、復興財源として大量の国債を発行すれば、金利が上昇し、激しいインフレーションを起こすという
これまでは、「企業の資金需要が低水準のままであった」ため、長期金利が高騰することはなかった
しかし復興が本格化すると、資金需要に応えるために、金融機関は国債売却を加速して金利が上昇する
そこで国債暴落を回避するために、日銀が大量に国債を購入することでハイパーインフレが生じてしまう
だとすれば、消費は抑制されるが、法人税、所得税、電力税などの増税のほうが痛みは少ないというのが著者の見立てである

■経済復興 岩田喜久男
著者は取るべき経済の範を、昭和恐慌の高橋是清財相に見る
具体的には、復興が軌道に乗るまで、4%のインフレ目標を設定して、マネタリーベースを大きく増やし、「市場に穏やかなインフレ期待を抱かせる」
これに成功すれば、経済成長による税収増や円安による輸出増大につながる
このデフレと円高からの脱却は、震災以前から著者が一貫して唱え続けている提言である

■熊谷亮丸 大和総研チーフエコノミスト
足元はギリシャに端を発した債務危機で、世界にはデフレ懸念が強くなっています
しかし、過去100年の間に世界に起きた金融危機とそのあとの経済情勢を見ると、そんな不安とは異なる姿が浮かび上がります
金融セクターの危機の後には、景気の落ち込みを防ごうとした大規模な財政出動があり、それが財政危機を招くのが常なのです
そしてその次には利下げなど金融緩和が加速し、それがインフレ圧力を高進させるという段階を経ていくのです

株式のような金融商品と実物資産は10〜20年ごとにどちらかが強くなる時代を繰り返しているのです
私は2000年以降、世界経済は実物資産の時代に入ったと見ています
なぜか。グローバル化は新興国経済を急拡大させ、豊かさの増進が穀物や資源の消費量を急増させています

例えば原油価格上昇は加工貿易の国である日本の経済に大きな影響を与えます
一方で、日本は高齢化でやがて貯蓄を取り崩す時代がきます
国の財政は大幅赤字であり、併せて考えると2015〜2020年にも経常収支が赤字に転じる可能性があると見ています
そのときに起きるのは円安であり、株安、債券安、インフレなよではないでしょうか

■ノリエル・ルービニ氏
先進国の企業は最終需要の低迷で生産能力が過剰となり今後の需要も不透明なことから人員削減を進めている
しかし人員削減は最終需要をさらに冷やす
ある企業の労働コストはほかのだれかの労働所得と需要であり、一企業にとって個別には合理的なことも、総体としては有害なのだ
結果として、自由市場は十分な最終需要を生まない
例えばアメリカでは、労働コストの削減は国内総生産に占める労働所得のシェアを急速に縮小させた
カール・マルクスは、社会主義を褒めそやしすぎたが、グローバリゼーション、解放された資本主義、そして労働者から資本家への所得と富の再分配が資本主義を破滅に導くと主張した点は正しかった
彼が述べたように、規制されない資本主義は、信用のバブルと資産価格の騰落に煽られ、常に過剰生産と消費不振を起こし、破滅的な金融危機を繰り返しかねないのだ
大恐慌以前でさえ、欧州の啓蒙的なブルジョア階級は、革命を避けるには労働者の権利の保護、賃金と労働条件の改善、富を再配分し教育、保健、社会的セーフティネットなどの公共財に資金を回す福祉国家の創造が必要だと認識していた

金融システムは慎重に規制する必要があるとの教訓は、欧州の社会福祉モデルの欠陥などにより大規模な規制緩和を求める世論が高まったレーガン米大統領・サッチャー英首相の時代に失われた
その欠陥とは、増大する財政赤字、過剰な規制、そして経済的ななダイナミズムの欠如として表れていたもので、経済成長は停滞し、今日のユーロ圏の政府債務危機に至っている
しかし、アングロサクソンの自由放任モデルとて、今や悲惨なまでに失敗している
市場志向型の経済を安定させるには、市場と公共財の供給の適切な均衡を取り戻すことが必要だ
それは規制されない市場というアングロサクソンモデルからも、財政赤字に依存した大陸欧州の福祉国家モデルからも離脱することを意味する
アジアの成長モデル(そういうものが実際あるならば)でさえ、中国やインドなどでの不平等の拡大を止められなかった
不平等の問題にきちんと対処できない経済モデルは、その正当性がいつかは危機に瀕する


20111024 日経ビジネス

20111024 日経ビジネス

■岡藤正広 伊藤忠商事
自分の仕事ができない理由を社内のルールや外部環境のせいにする人が多いんですよ
僕の経験から言っても、仕事ができない人間ほどルールに対して細かい文句を言う
いまだに「リーマンショックの影響が」とか言い訳してるやつがいるからな
みんな、戦う条件は同じでしょう
それなのに、結果が出ない理由を社内ルールや外部環境にしたって、面白くないだろうに
スポーツも仕事もルールがあるから、面白いわけですよね
僕は、プロの商売人は常に、結果で語るべきだと考えます

僕の尊敬する京セラ創業者の稲盛さんがこんなことを言っているんですね
彼が最初に京都で会社を創業したとき、まずはその町でナンバーワンの会社を目指したそうです
実際にそれを達成すると、次は区内のナンバーワンやと
そうやって京都一、日本一とコツコツと目標を上げていきながら、今の世界企業、京セラを作りあげていったんですね
だから、手の届く目標を掲げて、達成していくのが、成長への確実な方法と違うかな
経営でも僕は経営ビジョンというのが、今ひとつ好きじゃない
10,20年後の自社の目標を掲げてというけれど、先の見えない未来のことに言及しても、当たる確率はほとんどないよね

もちろんね、そういう長期的な視点を持つことは大事ですよ
ビジョンをしっかり固めて、そこから現在の経営に落とし込む考え方の重要性もわかります
けれど、僕はやっぱり、実現できる目標を掲げて、それをコツコツ達成していくほうが肌に合っている
その積み重ねの結果が、頂点につながっていくという経営スタイルです
まあ、職人型とも言えるのかな

あとね、最後にいっておきたいのは、商売は結局、人と人との信頼関係で決まるということです
商売の損というのは頑張ればなんぼでも取り返せる
けれど、人の信用は一度失うとなかなか取り戻せません

■ジョージ・ソロス
残念ながら銀行危機では、ユーロ圏指導者たちは間違った対策を取ろうとしている
具体的にいうと、欧州首脳は銀行システムへの保証ではなく、銀行システムの資本増強について検討している
しかも、ユーロ圏全体でまとまって取り組むのではなく、各国別に資本増強を図ろうとしている

20111010日経ビジネス

20111010日経ビジネス

■小林喜光 三菱ケミカルホールディングス社長
炭素繊維は、日本人が30〜40年かけて生み出したテクノロジーです
台湾や欧米でも多少は開発されているものの、原料から製品まで手掛けているのは、現時点では日本企業だけ
近い将来、日本を支える技術の一つになるでしょう

稼げる技術を生み育てるには、いくつかのポイントがあると思います
一つは絞り込みです
わたしが社長に就任した頃、当社の基礎テーマは300ほどありましたが、その後の4年半で20〜30に限定しました
現在は、新エネルギーと環境、ヘルスケアの3分野に重点を置いています

また、開発競争をマラソンだと思ってはダメです
常に前へ前へと全速力で走り続けなければいけません
「新技術ができたらブラックボックス化したり、特許を固めるなどして長く儲ければいい」といった考えは、私から言わせれば理想論に過ぎません
今の時代、素材は分析すれば原料のレシピはすぐわかります
クルマだって分解すればいい
技術を隠すなんて不可能なのです
確かに特許は重要ですが、せいぜいもって数年
20〜30年先を考えるなら、やはり新しいものを生み続けるしかない
その意味では、技術を生かして企業を成長させようとするならば、開発競争は100メートル走の繰り返しと考えるべきです
たとえ開発に30年掛かるとしても、短距離走の連続なのです

■岡藤正広 伊藤忠商事社長
同じ現場を見ても、できる人間は変化に気づく
儲け話の切り口も鋭い
商売は、有事になってから動き出しても手遅れなんです

日々の現場で、どうやって儲け話を見つければいいでしょうか
正解はありませんが、1つぼくが意識しているのは、常に「明るいところ」を探すということです

新しい魅力的な商売は、大概矛盾をはらんでいることが多い
つまり、既存の商売とぶつかるわけですな

振り返ると、案外、自分たちが今手がけている商売を否定したところに、明るい市場があるかもしれないですね
意識するのは難しいけれど、常に「今の商売だけでいいのか」という客観的な目線は必要です

いくら市場が明るいからといって、自分の不得意な領域に飛び込んだらダメ
一発狙いは禁物です
商売には必ず流れがある
ブランドだって、最初は生地の取引から始まって、ブランドの管理へ移っていったというようにね
その過程でお客さんを少しずつ開拓してきた
それを無視して、全く違う分野に投資すると失敗します
そこにお客さんはいないからね
僕らのブランド事業は、こうした流れに沿って、衣料品から、生活消費全般に広げていきました

20111017 日経ビジネス

20111017 日経ビジネス

■編集長の視点 山川龍雄
アップルは、これだけの規模の会社にしては、極端に製品の種類が少ない
「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい」
ジョブズ氏が遺した名言の一つです
競合の動きを気にして後追い商品ばかりつくってしまい、製品の種類が膨らみがちな日本企業とは対極にある戦略がそこにあります

コマツといえば、坂根正弘会長が標榜するダントツ経営で知られます
競合に負けてもかまわない部分をはっきりさせ、絶対に負けない部分を定めてダントツの商品を作るという考えは、どこかジョブズ氏の手法とも通じるところがあります
経営者にとって「どこを捨てても構わない」ということは、「どこに注力する」というより、はるかに逡巡を伴います
しかし、今その決断がとわれているような気がします


ジョブズ氏は生前、「死こそ生命がもたらした、この世で唯一最高の発明だ」と語っていた
「死は古きものを取り除き、新しきものに道を譲る」からだと言う
ジョブズ氏は祝辞で次のようにも述べている
「人生は短い。他人のいいなりになるな。常識にとらわれるな。周囲の雑音に惑わされるな。そして最も重要なのは、勇気を持って心の声や直感に耳を傾けることだ。何者になりたいのかは、自分自身が一番よく知っている」


竹内弘高
戦略の最初の種はたぶん右脳、つまり直感や洞察から生まれると思います
でも、それだけでは良い戦略とは言えないんですね
右脳によって作られた仮説を検証するという意味で、まともな左脳が必要なんです
要するに、右脳と左脳を両方とも使えて、しかもつなげられる会社が戦略的には一番強いんです


■日覺昭廣 東レ社長
高コスト構造でも耐えられる製品に関しては、国内でも設備投資しているんですよ
国内の役割は、研究開発を続けてハイエンド製品をつくり、生産技術を確立して現場力を強化すること
ここ3〜4年のことを考えれば、国内工場をすべて閉めて海外に持っていった方が利益率は高くなると思いますよ
だけど、すべてを海外に移して5年後、10年後はどうかといえば、恐らく競争に負けて終わりでしょうね
研究開発拠点である国内の重要性は今後も変わることがありません

問:
円高に強い体質を構築しているとはいえ、円高が一層進行したら厳しいのではないでしょうか
答:
まあ80円前後まででしょうね
東レがどうこうというより、お客様の加工メーカーが成り立たなくなる
まだそこまでの状況ではありませんが、製造業が韓国や台湾に出ていってしまったときに、東レだけが日本にいられるだろうか、と
そうなると、加工メーカーだけでなく、部品や素材といった産業も空洞化してしまう
日本の産業競争力そのものがなくなるということですよ
将来的に、円安に触れたとしても、そのときは既に時遅し
国内に素材産業の基盤がなくなっているということにもなりかねません


20111003 日経ビジネス

20111003 日経ビジネス

■朝田照男 丸紅社長
今後20年先は、黙っていても新興国の世界になることは間違いないだろう
日米欧がなくなってしまうわけではないが、先進国の安定成長と新興国の高成長が併存する時代になる
世界経済の成長に対する寄与率は、新興国で3分の2を占めると見ている
2000年に2億人だった中国を含むアジアの中間所得層は2020年に、20億人に増えるという
これは欧州を抜いてアメリカに次ぐ購買力だ
贅沢品や耐久消費財も含め、我々は消費地としてのアジアを常に念頭に置いて戦略を立てなければならない
こうした中、資源価格はこれまでのような急激な右肩上がりも、大暴落もなくなると考えている
中国、インド、東南アジア、南米、アフリカと需要は安定して伸び続けるが、一方で供給側も新規開発を急いでいる
2012〜2013年は供給の底になるが、2014年以降は資源メジャーの新規開発が始まる
穀物は現在は需給バランスがマッチしているが、食の西欧化で肉食が増えれば需給は逼迫するだろう
1トンの牛を育てるためには、その13〜15倍の穀物が必要で需要が爆発的に伸びる可能性は高い

■岡藤正広 伊藤忠商事社長
儲けの秘訣は、「お客さんに儲けてもらうこと」
自分が儲けるためには、パートナーであるお客さんが儲かる仕組みを考えないといけません

会社にとって本当のお客様は誰か
もしかしたら、本当のお客さんは、目の前の相手ではない場合もあるんです
僕が紳士服の生地を海外から輸入する仕事をしてた時代ね。英國屋というテーラーさんが東京の帝国ホテルで生地の展示会を開いたんです
紳士服の生地の展示だから当然、会場に足を運んでくるのは男ばかり、僕は最初そう思っていた
ところが、実際には奥さんや娘さんが大勢いたんです
想像と違ったから、驚いたけれど、そこからぼくは生地の本当のお客は女性じゃないか、ということを知ったわけ

単にお客さんの儲けだけを追求していれば、いいわけでもないんです
重要なのは、その儲けの仕組みを自分が主導できるかどうか
儲かる話を常にお客さんから求められるようにせないかんのですな

お客さんが儲かるようになると、商社はいらないよとなってしまう
逆に、あんまり主導権を握り過ぎると、お客さんの儲けが減っちゃう
ですから、商社は時代によって、お客さんとの立ち位置をどんどん変えています
そうやって、お客様の儲けと主導権のバランスを取ってきたんですね

■奥正之 三井住友フィナンシャルグループ会長
組織はどうしても自己増殖を始めます
その結果、部門にとっては最適でも全体のためにならないという現象が起きるのです
いわゆる、「部分最適、全体不適合の罠」に陥らないためにはトップ自らの目によるチェックが常に必要です
現場重視という言葉がありますが、それでは足りません
組織の壁を作らないためには、まさに現場直視が重要なのです

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